概要・あらすじ
村民を見守るように巨大観音像がそびえ立つ村。双子の兄妹と暮らす赤坂時生は、村のスーパーで働きながら、3年前に行方不明になった妻の陽子の帰りを待っていた。ある日の夜、時生は、スーパーの店長や近所の寺田さんのほか、多くの村人たちが、ろうそくを片手にぞろぞろ歩く姿を見かける。何かにとり憑かれたような姿に違和感を覚えた時生が、こっそりあとを尾けてみると、彼らがたどり着いた先は、巨大な観音様の足元だった。村人たちは、目の前にろうそくを立てると、無言のまま一心不乱に手をすり合わせ始めた。あまりに異様な光景に驚いた時生は、あわててその場を逃げ去った。それから3日後、時生が働くスーパーに、村人たちが次々と訪れた。彼らは、時生の顔をじろじろ眺め、無言でろうそくを買っていく。そしてその夜、時生の家の庭に、無数のろうそくが立てられた。村人たちの秘密の集会を見たことがばれたのだろうか。一見平和な村だが、何かがおかしい。不気味な村人の行動に不安を覚えた時生は、徹夜で作業し、庭に大きな落とし穴を作った。妻がいなくなってしまった今、子供だけは自分が守る。時生はそう固く心に誓うのであった。
登場人物・キャラクター
赤坂 時生 (あかさか ときお)
巨大な観音像が見守る村で、双子の赤坂光、赤坂音と一緒に住む男性。「スーパーかものはし」で働く。妻は3年前に行方不明になっており、それ以来、神経症っぽいところがある。過保護で、子供たちを学校に送り届けてから仕事に向かうことも多く、仕事に遅れる場合もある。村人たちが観音像の足元で、一心不乱に祈る異様な光景を見て以来、村人たちからさまざまな圧力を受ける。
赤坂 光 (あかさか ひかり)
赤坂時生の息子。赤坂音の双子の兄で、小学5年生。いつも音と一緒にいる。行動力があり、音を引っ張る立場である。
赤坂 音 (あかさか おと)
赤坂時生の娘。赤坂光の双子の妹で、小学5年生。おっとりした性格で、兄の光に付き従う立場である。