概要・あらすじ
小学6年生のサッカー少年、青井瞬は、J2・アスレティカクラブ(AC)愛媛アカデミーに練習生として参加する。しかし、練習の途中で小児ぜんそくが発症。アカデミー生への道が絶たれてしまう。それから5年後、瞬は高校2年生になり、ぜんそくも完治した。しかし、惨めな思いは二度としたくないという理由で、サッカーとは距離を置いていた。瞬には、東京の強豪Jクラブユースで活躍する、1歳年下の弟、青井葦人がいる。弟を応援している瞬だったが、試合を観ることだけは避け続けてきた。しかし、葦人と同じ中学校だった椎名七波に教えられ、瞬は葦人の試合後インタビューを見る。そこには、尊敬する選手を聞かれ、「青井瞬」と答える葦人の姿があった。「俺よりずっとうまくて、一番俺のことをわかってくれる、世界で一番偉大な兄です」。その言葉を聞いた瞬は、自分を恥じた。自分はいい兄貴ではなく、ただ逃げていただけなのだ。そんなある日、高校の特別進学科とスポーツ進学科のクラスマッチが行われる。卓球の種目で参加する予定だった瞬は、クラスメートに懇願され、仕方なくサッカーの試合に出ることになっていた。弟の言葉を思い出した瞬は、無意識のうちに華麗なテクニックでボールを運ぶ。そして、信じられない角度から、フリーキックでシュートを決めた。それを偶然見ていたのが、AC愛媛育成部長の大下甚八であった。大下は、5年前、瞬をAC愛媛アカデミーに推薦した人物であり、その後も瞬のことが気がかりで、彼を探していたのだ。それから数日後、瞬のもとに一通の封筒が届く。それは「アスレティカクラブ愛媛Jユース、中途入団の案内」であった。女手一つで家計を支える母のこともあり戸惑う瞬。しかし、自分の気持ちに素直に従うことにした瞬は、Jユースの練習生として再起を決意する。
登場人物・キャラクター
青井 瞬 (あおい しゅん)
愛媛県松山市に住む高校2年生の男子。サッカーをする時以外は黒縁のメガネをかける。東京の強豪Jクラブユースで活躍する、1歳年下の弟、青井葦人がいる。弟同様、サッカーに打ち込んでおり、小学6年生のときにアスレティカクラブ愛媛アカデミーの練習生になる。しかし、練習の途中で小児ぜんそくを発症。それ以来、サッカーとは距離を置いていたが、弟の試合後インタビューをきっかけに、再びサッカーに打ち込む。
青井 葦人 (あおい あしと)
高校1年生の男子。青井瞬の弟。Jユースのトップに君臨する「東京シティ・エスペリオン」で活躍する。自分にサッカーを教えてくれた兄のことを尊敬している。
青井 紀子 (あおい のりこ)
青井瞬の母親。愛媛県松山市で居酒屋を経営し、女手一つで家計を支える。メガネとロングヘアが特徴。人に気を使い、受け身で主体性のない瞬のことを心配する。
椎名 七波 (しいな ななみ)
高校1年生の女子。青井瞬と同じ高校に通い、吹奏楽部に所属する。青井葦人とは同じ中学校出身で、東京の強豪Jクラブユース活躍する葦人のことを応援している。葦人が「兄を尊敬する」と言った試合後インタビューのことを、瞬に教える。
大下 甚八 (おおした じんぱち)
J2のアスレティカクラブ(AC)愛媛育成部長の男性。36歳で、太い眉とあごひげが特徴。青井瞬の才能を見抜き、瞬が小学校6年生のときにACEアカデミーに推薦する。瞬が小児ぜんそくで挫折した後も、瞬のことを気にかけていた。高校2年生になった瞬を見つけ、再びAC愛媛Jユースへと誘う。