アオイホノオ

大阪の大作家芸術大学に通う学生焔燃がプロの漫画家になることを目指す物語。作者島本和彦の学生時代を描いた自伝的作品で、当時関わった実在人物や、影響を受けた漫画やアニメがしばしば実名で登場するが、多くは実態よりも脚色や誇張がなされたフィクションとされている。第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、第60回小学館漫画賞一般向け部門を受賞。

正式名称
アオイホノオ
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
 
自伝・伝記
レーベル
ヤングサンデーコミックス(小学館)
巻数
既刊17巻
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概要・あらすじ

1980年代初頭。大阪の大作家芸術大学に通う青年焔燃は、自分がひとかどの漫画家になれるという自信に満ちた学生だった。そんな彼の自信も、圧倒的な作画能力を持つ同級生や、次々と現れる新鋭漫画家の才能を前に揺らいでいく。それでもは、挫折と自信回復をくり返しながらプロ漫画家となるべく奮闘する。

登場人物・キャラクター

焔 燃 (ほのお もゆる)

大阪の大作家芸術大学映像計画学科に通う男子大生で1980年度入学。漫画・アニメ・特撮のファンであり、漫画家やアニメーターを志す。作品作りの経験が乏しいにも関わらず己に強い自信を持っており、その気になればいつでもプロデビューできると思っている。挫折を感じることも多々あるが、その度に独特の理屈で自分を鼓舞し、プロの漫画家を目指し続ける。 モデルは作者の島本和彦本人。

年上 トンコ (としうえ とんこ)

大作家芸術大学で焔燃の二年先輩にあたる、憧れの女性。バドミントン部のマネージャーであり、焔は彼女目当てで入部した。同じ部の村上と交際しているが焔には気安く、かつ無警戒に接し、狼狽させることが多い。漫画やアニメには詳しくないが、しばしば焔の作品や主張に鋭い突っ込みを入れる。

津田 洋美 (つだ ひろみ)

大作家芸術大学バドミントン部に所属する、焔燃とは同期の活発でスポーティな女子大生。漫画やアニメには疎いが、漫画家を目指す焔を応援し、焔の部屋でのアニメ観賞にも積極的につき合う。

庵野 秀明 (あんの ひであき)

焔燃がライバル視する、大作家芸術大学の同級生。手書きで細密なペーパーアニメを製作し、ウルトラマンを題材にした特撮映画を撮るなど、映像表現に圧倒的な才能を発揮する。武田康廣に誘われ、DAICONⅢのオープニングアニメを製作した。物事をアニメや特撮に変換して理解する癖があり、ずれた言動で周囲を困惑させる事が多い。 『新世紀エヴァンゲリオン』などを代表作とする、実在のクリエイター、庵野秀明をモデルとしている。

高橋 (たかはし)

焔燃が通う大作家芸術大学の同級生。仮面ライダーに似たオリジナルヒーローのマスクを自作し、常に着用している。アニメや特撮についてはかなりの情報通。1980年代初頭には高価だったビデオデッキを購入し、焔の部屋に持ち込んでその便利さを見せつけた。名前は不明だが、後にヒーロー特撮の造型に携わった、実在の人物がモデルとされている。

岸本 (きしもと)

焔燃が通う大作家芸術大学の同級生で、短編映画製作の課題では山賀博之のグループに誘われている。漫画家志望で、夏休みに焔と共に上京して小学館とSA社に持ち込みをしたが、編集者たちの芳しくない反応に落ち込む。やはり漫画賞応募歴のある、実在人物のモデルがいるとされる。

赤井 孝美 (あかい たかみ)

焔燃が通う大作家芸術大学の同級生。可愛いキャラクターを描くことに定評があり、短編映画製作の課題で、山賀博之からグループに誘われた。その後も山賀や庵野秀明らと共にDAICON FILMの一員となるが、気が弱くしばしば押入れに篭る。『プリンセスメーカー』などを代表作とする、実在のクリエイター、赤井孝美をモデルとしている。

山賀 博之 (やまが ひろゆき)

焔燃が通う大作家芸術大学の同級生。他人の才能を見抜く能力や交渉術に優れ、短編映画製作の課題で庵野秀明や赤井孝美を自分のグループに引き入れる。自らは絵を描く事や作品作りに興味がなく、漫画やアニメにも疎いが、他人を動かすプロデューサー気質を発揮してDAICONⅢのオープニングアニメ製作に加わる。 のちのガイナックス社長、山賀博之をモデルとしている。

岡田 斗司夫 (おかだ としお)

DAICONⅢのスタッフとして、庵野秀明達をオープニングアニメ製作に引き入れた太目の青年。両親が事業で財産を得て経済的に恵まれており、秘密基地のような家に住み趣味に惜しみなく金をつぎ込んでいる。インパクトの強いアイデアを思いつき即座に実行へ移す行動力を持つが、そのために社会道徳を顧みないことが多い。 後にガイナックスを設立する岡田斗司夫をモデルとしている。

武田 康廣 (おかだ やすひろ)

第20回日本SF大会の責任者の一人。SFが小説だけでなく漫画・アニメ・特撮に拡散していることを示すため、大会のオープニングアニメの製作を企画し、その中心スタッフとして庵野秀明と赤井孝美をスカウトした。黒い革の上下と帽子に身を包み、腹に「の」と描かれたTシャツを着ている。 のちのガイナックス取締役武田康廣をモデルとしている。

ジョウ

焔燃が通う大作家芸術大学映像学科の同級生。漫画家志望で、10代のうちにデビューすることを目標としている。焔よりは自分の力量や漫画界を客観的に見ており、しばしば焔に辛辣な批評をする。

タムタム

高橋の友人の特撮マニア。テレビのヒーロー特撮を中心に見ていた焔燃に、東宝特撮をレクチャーする。実在人物のモデルがいるとされる。

村上 (むらかみ)

大作家芸術大学で焔燃が所属するバドミントン部の先輩。部の練習にかこつけて後輩らに落語のテープを聴かせる趣味がある。年上 トンコと交際しており、彼女が親しく接する焔には特に厳しい。

横山 (よこやま)

焔燃と岸本が夏休みに上京して『週刊少年サンデー』編集部へ持ち込みに行った際、応対した編集者。焔と岸本の作品には淡白な評価に終始し、二人を失望させた。後に新人賞へ応募してきた焔の作品を、やはり「感性が合わない」という理由で落とす。古い版では名前が「奥山」になっている。

三上 信一 (みかみ しんいち)

『週刊少年サンデー』の新人編集者で、先輩たちが採用しなかった焔燃の担当につく。彼も焔を高く評価してはいなかったが、1つだけ面白いギャグがある、という理由で手元に残した。後に『週刊少年サンデー』の編集長となる人物。

MADホーリィ (まっどほーりぃ)

SA社の雑誌『ジャンプ』の編集者で、焔燃と岸本の持ち込みに応対する。肩パッドつきの革ジャンを着込み、劇画の絵柄で描かれる中年の男性。焔に多少の期待を寄せており、新作を依頼する。焔がストレートな熱血漫画を描くことに照れてギャグへ逃げていると判断しアドバイスを送るが、焔が誤解して受け取ったことで疎遠になってしまう。

凩ますみ (こがらしますみ)

大作家芸術大学の女子学生で、映像学科の課題で製作された映画『ワンダーマスミ』の主演。黒いロングヘアで美貌の持ち主。『ワンダーマスミ』の出来は芳しくなかったが、その容姿は焔燃を強く惹きつけた。後に焔は、彼女の同性の友達から「美人なのに性格がいい娘」として紹介される。

矢野 健太郎 (やの けんたろう)

大作家芸術大学の四回生だが、漫画ばかり描いていて留年し続け、焔燃との初対面でも一年生だった。大学内で漫研を立ち上げ会長を務めるが、入部しようとした焔燃に漫画家を目指す覚悟を見せつけすぎて、追い出してしまう。焔がやろうとしていた「シリアス風SFヒーローによるギャグ」という分野で在学中にデビューし、焔を打ちのめす。 実在の漫画家、矢野健太郎がモデル。

南 雅彦 (みなみ まさひこ)

焔燃が通う大作家芸術大学映像学科の同級生。短編映画製作の課題で焔燃を自分のグループに引き入れた。他人を動かすプロデューサー気質を持つが、作品作りのセンスでは焔に難色を示される。後にアニメ会社ボンズを設立した南雅彦をモデルとしている。

高橋 留美子 (たかはし るみこ)

『アオイホノオ』でしばしば言及される、実在の漫画家。『週刊少年サンデー』で『うる星やつら』の連載を始めた時期に、焔燃から作風が掲載誌に合ってないのではないかと勝手に心配される。後に青年誌で『めぞん一刻』の連載を始めるが、大人の世界で悪い大人の食い物にされるのではないかと、やはり焔から勝手に心配される。

あだち 充 (あだち みつる)

『アオイホノオ』でしばしば言及される、実在の漫画家。『ナイン』『みゆき』等で焔燃にも愛読されていたが、「いまひとつ人気が出んな」と決めつけていた焔から「かわいそうなあだち充……」と勝手に同情されていた。しかし『ナイン』や、後に連載開始した『タッチ』の展開が、焔に大きな衝撃を与える。

石森 章太郎 (いしもり しょうたろう)

『アオイホノオ』でしばしば言及される、当時既にベテランの漫画家。焔燃に最も影響を与えた漫画家の一人であり、焔はもし漫画家になれなかった場合は彼のアシスタントになりたいと考えていた。後にペンネームを石ノ森章太郎と変えるが、当時は石森名義だった。

細野 不二彦 (ほその ふじひこ)

『アオイホノオ』でしばしば言及される、実在の漫画家。焔燃が「カッコイイ絵柄でギャグをやる」という切り口に活路を見出した矢先に、同ジャンルで完成度の高い作品を発表して焔を絶望させる。さらに初の連載作品、『さすがの猿飛』では「カッコイイ絵を描けるのにあえてギャグ調の主人公」という手法で、焔をさらに打ちのめした。

集団・組織

大作家芸術大学 (おおさっかげいじゅつだいがく)

『アオイホノオ』の主要な舞台となる大学。大阪府にある芸術大学で、焔燃は映像計画学科に所属する。作者の出身校である大阪芸術大学がモデルと思われる。

SA社 (えすえーしゃ)

『アオイホノオ』に登場する会社。『ジャンプ』という人気漫画雑誌を発行している。焔燃と岸本が夏休みに上京し、週刊少年サンデー編集部の次に持ち込みに行った。

ダイコンフィルム

『アオイホノオ』に登場する組織。DAICONⅢを成功させた岡田斗司夫らが、次回大会DAICONⅣのために立ち上げた。DAICONⅢオープニングアニメの映像ソフト販売と、自主制作映画製作を当面の目的とする。庵野秀明は新規メンバーに焔燃の名を挙げたが、勧誘は見送られた。アニメ制作会社ガイナックスの母体である。

イベント・出来事

第20回日本SF大会 (だいにじゅっかいにほんえすえふたいかい)

『アオイホノオ』の中で開催されたイベント。1962年より定期的に開催されていた、日本のSFファンによる大規模なコンベンションで、プロ作家にも重視されている。第20回大会は、大阪では3度目の開催であることからDAICONⅢという通称も持つ。岡田斗司夫、武田康廣らによって開催され、庵野秀明、赤井孝美らによるオープニングアニメが評判となった。 次回作に備えダイコンフィルムが結成される。

その他キーワード

週刊少年サンデー (しゅうかんしょうねんさんでー)

『アオイホノオ』に登場する漫画雑誌。1980年代に連載作品であった『うる星やつら』や『タッチ』などが大ヒットした。定期的に出る増刊は新人育成の場とされており、細野不二彦などがデビューする。夏休みに焔燃が持ち込みに訪れた。新人賞の選考で見込みのない作品を粗雑に扱う描写があるが、欄外の編集長コメントにてフィクションであることが強調されている。

戦え!!トータス1号 (たたかえとーたすいちごう)

『アオイホノオ』に登場する漫画。夏休みに上京した焔燃が出版社に持ち込みをした、宇宙SFギャグ漫画。応対した編集者横山、MADホーリィの反応は淡白で、『増刊少年サンデー』の新人賞では全く評価されなかった。

必殺の転校生 (ひっさつのてんこうせい)

『アオイホノオ』に登場する漫画。SA社の編集者MADホーリィの依頼で焔燃が描いた、学園漫画。最初は16ページの学園ギャグ漫画だったが、「焔はストーリー漫画向き」と見たMADホーリィにより、32ページに改めさせられる。後に焔の誤解からMADホーリィとは疎遠になるが、『週刊少年サンデー』に送られ、三上信一の目にとまる。

書誌情報

アオイホノオ 既刊17巻 小学館〈ヤングサンデーコミックス〉 連載中

第1巻

(2008年2月発行、 978-4091512680)

第2巻

(2009年5月発行、 978-4091216502)

第3巻

(2009年12月発行、 978-4091221094)

第4巻

(2010年6月発行、 978-4091223890)

第5巻

(2010年11月発行、 978-4091225788)

第6巻

(2011年6月発行、 978-4091228284)

第7巻

(2011年11月発行、 978-4091232786)

第8巻

(2012年5月発行、 978-4091232496)

第9巻

(2012年11月発行、 978-4091238801)

第10巻

(2013年6月発行、 978-4091242570)

第11巻

(2013年12月発行、 978-4091244406)

第12巻

(2014年7月11日発行、 978-4091251268)

第13巻

(2015年1月9日発行、 978-4091255174)

第14巻

(2015年7月10日発行、 978-4091262547)

第15巻

(2016年5月12日発行、 978-4091272492)

第16巻

(2016年10月12日発行、 978-4091274359)

第17巻

(2017年5月12日発行、 978-4091276230)

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