ボカロPの音大生と女子高校生との出会い
神崎茜音は東京雅音楽大学に通いながら、「夕影」という名義のボカロPとして動画配信サイトで活動していたが、再生回数や登録者数の伸び悩みに苦悩していた。超有名音楽プロデューサーである父親との「大学在学中にデビューする」という約束の期限が迫る中、茜音は偶然にも自分の楽曲を「灯」という名の歌い手が歌った動画を見つける。灯の圧倒的な歌唱力に心を奪われ、二人でユニットを組めば音楽業界に名を刻むことができるのではないかと希望を抱いた茜音は、灯の正体が海原佳波であることを突き止め、彼女にコンタクトを取る。こうして茜音と佳波は音楽ユニット「KYOKOU」を結成し、やがて音楽業界を揺るがす存在へと成長していく。
父親と息子の確執
茜音の父親である仁は、かつて一世を風靡したミュージシャンで、現在は大手レコード会社「スペクタクル・ミュージック」を経営しており、音楽業界で重要な存在として知られている。しかし、仁は自身がネグレクトを受けて育った経験から、茜音に対して過度に関与することを避け、かつてバンドを組んでいた音大の教師である鷺村に半ば丸投げする形で指導を任せている。そのため、茜音は仁に対して、家族を顧みない身勝手な父親だと感じており、彼の息子であることを指摘されると強い嫌悪感を示す。二人の関係は長年にわたりって亀裂が生じているが、この関係性がスペクタクル・ミュージックのライバル会社「Highest」に付け入るスキを与える要因となってしまう。
音楽に情熱を傾ける人々
本作には茜音や佳波をはじめ、多くのボカロPや歌い手が登場する。そして老若男女を問わず、多くのクリエイターが動画配信サイトに作品を投稿し、互いに競い合いながら才能を磨いていく。特に、弱冠17歳の高校生でありながら、茜音をはじめとする多くの関係者が天才と認める「錆々」や、わずか9歳で視聴ランキングに名を連ねた「ぜねむ」など、若いクリエイターたちが活躍し、高い評価を受けている。そんな中、茜音の活動は「KYOKOU」の結成から始まり、次第に多くのクリエイターの注目を集めるようになる。そして最終的に茜音は、人を導く才能を開花させることとなる。
登場人物・キャラクター
神崎 茜音 (かんざき あかね)
東京雅音楽大学に通う4年生の男子。インターネット上で「夕影」という名前でボカロPとしても活動している。年齢は21歳。有名な音楽プロデューサーである父親・神崎仁を嫌悪しており、仁の親友である音楽大学の講師・鷺村を慕っている。音楽の才能は天才と評される人々には及ばないものの、現状を打破するための行動力に優れ、思い切った行動を取ることで状況を好転させることが多い。父親の名声や音楽の才能、経営手腕に対してコンプレックスを抱いており、早く独立して自分の名を上げたいと考えている。「神崎仁の息子」というレッテルに反発するあまり、他者に心を開かない気難しい性格になり、周囲から反感を買うようなことばかりしている。そんな中、インターネット上で自分の曲を歌う海原佳波と出会い、音楽ユニット「KYOKOU」を結成し、自分が求めていた音楽を表現できるようになった。さらに、ほかのボカロPとの交流を通じて性格も改善されていく。
海原 佳波 (うみはら かなみ)
三重県の高校に通う女子。年齢は16歳。高校に通いながら、インターネット上で「灯」という名前で歌い手として活動している。引っ込み思案な性格で、自分の気持ちを言葉にすることが苦手。女手一つで自分を育ててくれた母親に深く感謝しており、金銭に対して強い執着心を持つ。類いまれなる歌唱力を誇り、厳しい評価を下すことで有名な神崎仁から「才能がある」と絶賛されている。かつて「夕影」として活動していた神崎茜音のボカロ曲に心を奪われ、その曲を使った「歌ってみた動画」を配信サイトに投稿していた。その動画を見た茜音に才能を見込まれ、彼と音楽ユニット「KYOKOU」を結成する。
書誌情報
アカネノネ 7巻 小学館〈ビッグ コミックス〉
第1巻
(2022-08-30発行、 978-4098613922)
第2巻
(2022-11-30発行、 978-4098614691)
第3巻
(2023-02-28発行、 978-4098615841)
第4巻
(2023-05-30発行、 978-4098617043)
第5巻
(2023-08-30発行、 978-4098625437)
第6巻
(2023-12-27発行、 978-4098625963)
第7巻
(2024-03-29発行、 978-4098627530)