流行唄

流行唄

45歳の敏腕音楽プロデューサーが奮闘する姿を描きながら、音楽業界の裏側や日本の歌謡曲の魅力、人生の意味など、さまざまなテーマを盛り込んだヒューマンドラマ。

正式名称
流行唄
ふりがな
はやりうた
作者
ジャンル
歌手
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概要・あらすじ

業界一のレコード会社「SGレコード」に勤める郡司正直は、かつて大ヒット曲を多数世に出した敏腕ディレクターであり、現在も副社長として辣腕を振るっている。ある日、郡司のもとに大学時代に一緒に曲作りをしていた親友・山地生一郎の訃報が届く。知らせを受けて、山地が最後に過ごしていた津軽地方のボロ宿を訪ねると、そこには郡司への手紙と山地が書き記した詩のノートが遺されていた。

一方、次期社長としての地固めも順調に進行していた郡司だったが、進めていた一大プロジェクトが消滅して、降格を余儀なくされる。愛人にも別れを切り出され、腐る毎日を過す郡司だったが、再び天下を取るために新アイドルのプロデュースに乗り出すのだった。

登場人物・キャラクター

郡司 正直

日本の音楽産業をリードする企業「SGレコード」の副社長を務める45歳の男性。「SGレコード」社長の一人娘である芳恵の婿養子となって副社長に就任したが、ディレクター時代は多数の大ヒット曲を世に送り出した才能溢れる人物であり、コネだけで出世したわけではない。妻との関係は冷え切っており、英理子という愛人がいる。音楽業界首位だけで飽き足らず、世界へ出るという野望を持っているが、郡司正直の進めていた社運を賭けたプロジェクトが失敗したことで自ら社長に降格を申し出て、再起をはかる。

山地 生一郎

郡司正直の大学時代の大親友である男性。青森県の病院で病死した。自分が死んだら郡司に知らせるようにと、入院前に長期滞在していた宿の女将に頼んでおり、長らく疎遠になっていた郡司に訃報を知らせる手紙が届いた。大学生時代は、山地生一郎が作詞、郡司が作曲と2人で曲を作り、本気でプロになることを夢見ていた。卒業後は地元の出版社に就職し、プロの作詞家を目指していたが、4、5年前に青森県にふらりと1人でやって来て、ボロ宿で暮らしていた。 しかしガンを患い、半年ほど前に八戸の大きい病院に入院、その後亡くなった。死の間際、宿の部屋を死後1年間はそのままにしておくことと、かつての親友・郡司への連絡を頼んだ。部屋には、生前、山地が書き綴った詩をまとめた1冊のノートがあり、その詩に郡司が曲をつけて世にでたら本望だというメッセージを記した郡司への手紙が遺されていた。 なお、「山地生一郎」はペンネームで、本名は「後藤一郎」。

英理子

郡司正直の愛人。ファッションデザイナーとして成功し、パリへの進出が決まっている美しい女性。郡司とは、お互いの存在を「宝」と言うほど愛し合っていたが、郡司が川合と浮気したことをきっかけに英理子のほうから別れを告げる。女には不自由しない郡司だったが、英理子との別離は郡司に大きな喪失感をもたらすことになる。

芳恵

郡司正直の妻。日本の音楽産業をリードする企業「SGレコード」の社長の一人娘。夫の郡司は婿養子。家で顔を合わせても芳恵から嫌味のような一声をかけるだけの、冷え切った夫婦関係で、お互いに愛人がいる。芳恵自身も朝帰りすることがしばしばある。

鷲尾

郡司正直と犬猿の仲のライバル。「SGレコード」で郡司と同期だったが、10年ほど前に独立し、「パワーライフ」というレコード会社を立ち上げた。郡司が社長の婿養子になった際、鷲尾だけが露骨に軽蔑の視線を向けた。郡司にとっては鷲尾の存在は眼中にないのだが、鷲尾は郡司を敵対視しており、執拗に妨害工作を仕掛ける。

麻居美

郡司正直の大学生時代の恋人。郡司が社長の一人娘である芳恵と結婚する際に一方的に捨てられ、その時は泣きながら郡司を叱責した。その後、別の男性と結婚したが3年前に先立たれ、今は兄の経営するスナックを手伝っている。そのスナックに客として訪れた郡司と偶然の再会を果たす。

川合

郡司正直の秘書を務める若い女性。頭に大きなリボンを付け、短いポニーテールにした可愛らしい顔立ちをしている。郡司のことを尊敬し、密かに好意を抱いていた。郡司からホテルへ誘われ、あっさりと関係を持つ。ベッドで全裸になっても頭のリボンは付けたまま。副社長付きの秘書のため、郡司の降格後は新副社長の秘書となる。

松本 光夫

新しくアイドルをプロデュースしようとする郡司正直のもとへ連れてこられたアイドル候補の青年。年齢は17歳、身長は181センチ。抜群のルックスとスタイルの持ち主で、郡司ですらドキドキさせるほどの魅力的な笑顔を見せる。歌う声も素晴らしく、アイドルの素質を見極める目を持つ郡司を震えさせるほどの逸材。

光田 ケンジ

かつて四天王といわれた大人気アイドルの男性の1人。しかし、落ちぶれて一時はホストクラブで働いていたという噂がある。かつての人気アイドルをアダルトな魅力を持つ大人向けの歌手として、再び売り出す企画を進める郡司正直によって白羽の矢が立つ。本名は「川田あつし」。

夢方 哀二

幻のヒットメーカーと呼ばれる作曲家。作った曲は必ず大ヒットすることから、郡司正直たちは「カケバアタル」と呼んでいる。ひどいブ男で、さらに性格は悪辣で恥知らず、せこくて陰湿という、最悪の評判のうえ、彼に曲を頼んだ人間はみな不幸になるといわれている。しかし、その反面聞いた者が思わず涙するような美しい曲を作る。気が向かないと作曲せず、数年に1曲しか作らないこともある。 日本中ふらふら旅をしていて居所が定まらず、現在も行方不明。郡司は光田ケンジの再デビュー曲を夢方哀二に作曲してもらおうと考えている。

堀 ジュン

郡司正直がアイドルとしてスカウトした若い男性。バーでボーイのアルバイトをしていたところ、その観音菩薩のような顔に魅力を感じた郡司によってスカウトされた。すぐにスタジオへ招いて1曲歌わせたところ、歌唱力も抜群で、澄んだハイトーンの魅力的な声を持つことがわかり、「堀ジュン」という芸名を付けられ、トップアイドルとして売り出すことになる。

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