アクシデンツ 事故調クジラの事件簿

悲劇を繰り返さないために、事故がどうして起きてしまったのか解明する任に就く、内閣官房特命事故調査官・鯨樹雄の活動を描くヒューマンドラマ。「週刊少年サンデー」平成8年5号から平成10年41号にかけて連載された作品。

正式名称
アクシデンツ 事故調クジラの事件簿
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
レーベル
少年サンデーコミックス(小学館) / 小学館文庫(小学館)
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あらすじ

テディベアは見ていた(第1巻)

航空機が航行中に炎上して墜落してしまう。この事故を担当した警視・早坂貢は、これを爆破テロ事件だと断定したが、内閣官房特命事故調査官鯨樹雄は貢とは異なった見識を持っていた。調査の結果、鯨樹の見解通りこれは事故であり、整備士・堀口ひろしの置き忘れたチェックリストが原因で起きた事が判明する。

見えない火事(第1巻)

新人スチュワーデス塩崎優子とベテランスチュワーデス森育子が乗った航空機のトイレから、航行中に煙が噴き出す。森は適切な消火活動をしたが、なぜか火は消えなかった。何とか着陸に成功し、すべての乗客を避難させた森だったが、機長と共に炎に巻かれて重体になってしまう。この事故を担当した警視・早坂貢をはじめ、マスコミは検証もせずに森の消火ミスだと断定するが、内閣官房特命事故調査官鯨樹雄は調査を重ね、機体の構造の欠陥を見抜く。

燃えた花嫁(第1巻)

新しいスキー場ができた事で、その地に昔からあった教会も賑わっていた。その教会で、結婚式の最中に花嫁が自然発火する怪現象が発生する。その後も、教会では幽霊や火の玉騒動などが頻発し、地元の人達からは呪われた教会と敬遠されるようになる。しかし、教会の養女である三谷ゆりは、周りからの反対を受けながらも教会での挙式を望んでいた。鯨樹雄は調査結果が出るまで待つよう勧めるが、ゆりは警告を無視し、婚約者と式を挙げる。

春の嵐(第2巻)

5年ぶりに復活した鉄道「白川線」で、ベテラン信号指令員・天村良二は強風の日に列車の運行を指示する。しかし従来ならば問題なく走行できる風速であったにもかかわらず、列車は鉄橋から転落してしまう。鉄道会社社長の大川健三は天村の判断ミスだと、彼にすべての責任を負わせようとする。だが、内閣官房特命事故調査官鯨樹雄は、唯一の生存者である天村の娘・天村加奈の証言を手掛かりに真実を突き止める。

悪魔の舞い降りたカーブ(第2巻)

F1レーサーの本間壮一はスポンサーがいない事を理由に、所属チームから契約を打ち切ると通告されていた。そんな背景を抱え臨んだレースで、彼は加速した状態で回避行動もとらずに壁に衝突して死んでしまう。マシントラブルで回避する事ができなかったと訴える恋人の藤村あさみは、昔から付き合いのある鯨樹雄に調査を依頼する。しかし現場検証では、壮一が意図的に回避せず、壁にぶっかっていったという結論しか出なかった。調査が終了されようとした頃、新聞紙面を飾った事故の現場を間近で写した1枚の写真から思いもよらない真実が見えてくる。

虚無からの銃弾(第2巻)

射撃テスト飛行中の新型戦闘機が墜落した原因は、その戦闘機の後方についていた機のパイロットだったヒロシ・スチュワート・ハチヤが誤射をした疑いが濃厚となる。だが、内閣官房特命事故調査官御台かずき鯨樹雄は調査を重ね、かずきは新型機の欠陥が原因だという仮説を導き出す。その欠陥が証明されればヒロシは無罪となる。そうなれば新型機に乗っていたパイロットにして、自身の育ての親でもあるブルース・スレーターを撃ち落としてしまったヒロシを、社会的にも心情的にも救う事ができる。しかし、鯨樹はかずきの仮説を覆そうとしていた。

猫の街の火事(第2巻)

鯨樹雄の家に住むは近所の竹林の中に住みついている猫たちに餌を与えていた。そこで少年・本間遼太郎と出会い、いっしょに猫をかわいがっていた。しかし、地主のおじいさんは店子たちにも猫を飼うのを禁じるくらいの猫嫌いで、餌付けをしている本間の事を快く思っていなかった。そんな中、地主のおじいさんの家は火事で燃えてしまう。放火の疑いをかけられた本間を救うため、柊は一人で調査を始める。

クジラと鯨(第3巻)

岩鼓摩島はホエールウオッチングができる事で人気の海に恵まれていた。島に大ホテルを建てる計画を進めているオーナーは、ホエールウォッチングを売りにするジェットフォイル(水中翼船)の就航も手掛けていた。ジェットフォイルの転覆事故の原因解明のために訪れた内閣官房特命事故調査官鯨樹雄をオーナーは歓待する。しかし島民たちはホテルの建設を巡り、鯨の生活を脅かし自然を破壊するとする開発反対派、観光客が来る事で活気が出るとする開発賛成派に分かれていがみ合うようになっていた。その現状に心を傷める島の少女・遠山彩香は、対立の激化を招きかねない傷ついた鯨を密かに匿っていた。

太陽風漂流(第3巻)

鯨樹雄の大学時代からの友人・若松公士スペースシャトル・パシフィックでの衛星回収作業中に予期せぬトラブルに直面し、帰還困難な状態に陥る。鯨樹が救助の方法を探るべくNASAに向かっていると、酸素漏れが予期せぬ事故で加速、船員一人と機長が宇宙に投げ出されてしまい更に深刻な事態に陥る。残り2時間分の酸素しかない状態で、生還が絶望視された乗員の若松とメリルに、老科学者ウラジミール・イワノフと鯨樹は事態を好転させるための策を伝える。

翼の記憶(第3巻)

鯨樹雄は新型の救急ヘリコプターの試験飛行に同行し、設計者の相楽が絶対安全だと断言する言葉を受け、厳しい口調で彼を諫める。それを不満に思った相楽は、鯨樹を紹介した早坂貢に不満をもらす。相楽の不満を聞き、早坂は鯨樹が内閣官房特命事故調査官になった経緯を語り始める。それは鯨樹の親友で、前は航空機の設計者で特命事故調査官に転向した水無月豊と、彼の娘・が、11年前に巻き込まれた事故についての話だった。水無月の乗る軽飛行機が、伝達ミスにより9時間ずれた気象情報をもとに飛び立ってしまい、しかも翼に塗った防氷剤の片翼分は、防氷剤の空容器に現場の整備士が入れた洗剤だった。みぞれの中を突っ切る事になった機体の翼の片翼は凍り付き、水無月は機体のバランスを保つために、自身の身体を重し代わりにして幼い柊に操縦幹を任せる事で乗り切ろうとした。

雨にまぎれて(第3巻)

ある雨の降る19時頃、岩渕警部は男性を車ではねてしまう。目撃者もなく、被害者は即死だったために、岩渕警部は事故の隠蔽を計る。現場近くで停車中の似た車種を探し、被害者の頭髪をなすりつけて傷をつけるなど、入念な偽装工作を施す。その車の持ち主は鯨樹雄の家に新鮮な乳製品を届けてくれる青年・宮沢国男だった。事件があったとされる当日は配達後に鯨樹の家で2時間もおもちゃについて談笑していた国男を、犯人だとは思えない鯨樹。しかし証拠は完璧に揃っている。悩む鯨樹に、は国男が釈放されたら渡すと人形を山盛りにした七福神の乗った宝船を見せる。宝船なのに水には浮かないと言う柊の言葉で、鯨樹は証拠のひとつの矛盾点に気づく。

大地の罠(第4巻)

「二ツ橋建設」の欠陥建築の内偵をしていた内閣官房特命事故調査官鯨樹雄は、当該業者の不買運動をする倉岡あきおと出会い、彼の案内で1年前に免震構造を謳って作られたマンションを調査する。結果はひび割れに室内の傾きと、住み続けるには危険との判断を下すのに充分な欠陥が確認されたため、鯨樹は事故調査官の権限により住民全員を避難させた。免震構造の不備を抱えたままのマンションを販売する倉岡に、息子のあきおは食って掛かるが、倉岡は震度5まで耐えられる構造になっているので事故は起きないと取り合わない。全員の退去を確認し、鯨樹とあきおがマンションを見回り、通りかかった倉岡もマンションの中に立ち寄った瞬間、激しくマンションは揺れ倒壊を始める。震度3から4といった地震にもかかわらず、二ツ橋建設の建てたマンションだけはめちゃめちゃに壊れていく。

悪魔の化身(第4巻)

S化成研究員の高塚は、同僚の石井を伴って外車専門店に足しげく通っていた。お目当ては展示されている名車デイトナ・「ベローチェ」で、自分の収入ではとても買えないが、見るだけでもと通い詰めていたのだった。その事を知る店の社長は、大幅に値引きする事を高塚に提案する。歴代のオーナーが謎の死を遂げているいわくつきの車だが、それでもいいかと言う社長に対し、呪いなど一切信じていない高塚は購入を決意。早速、自慢の車をお披露目するためにクラシックカーを趣味とする人々の集まりの場に参加する。そこでイタリアの有名な車雑誌の編集長は、「悪魔の化身」と呼ばれるこの車がまだ存在していたことに慄きながら、そのエピソードを語る。この車は名チューナーの「ベローチェ」の遺作の改造フェラーリ・デイトナで、海外では三人のオーナーが亡くなっているという。呪いなどは信じない高塚は笑って相手にもしなかったが、地下駐車場で消火装置の故障により有毒ガスを吸い中毒死しそうになるなど、次々と危険な出来事に見舞われるようになり次第に不安を抱くようになる。クラシックカー・オーナーとして親交のあった鯨樹雄は、その原因を探り始める。

酔っ払い飛行(第4巻)

アクロバット飛行のチームに所属しているは、目標にしていたじいさんが航空ショーで酒に酔って事故死してしまった事に激怒する。周囲にも酒好きで酒瓶を手放さないと知られていたため、じいさんの酒酔い操縦が原因の事故である事は確実と思われた。だが、同乗していた犬からもアルコール臭を感じたとのの一言から、鯨樹雄は真の事故原因を暴く。

危険な積み荷(第4巻)

テロリスト集団「黒の戦士」は、アルガニア大使館を爆破した犯人でアルガニア当局に引き渡しを要求されている仲間の身柄を鯨樹雄の乗る飛行機の乗客の命と引き換えに要求する計画を立てる。テロの首謀者・鈴木は、借金の肩代わりをする代償に元空港職員の工藤を使い、貨物室の中に爆弾を紛れ込ませる事に成功する。その爆弾の解除兼起爆リモコンは携帯型のゲーム機に似せて作られており、搭乗客中の子供に託し鈴木は搭乗直前に逃げる計画だった。しかし、偶然解除兼起爆リモコンを渡した相手が柊で、鈴木と工藤の計画通りに事は運ばず、なりゆきで二人は搭乗してしまう。3時間以内に要求が通らなければ機体を爆破すると宣言する鈴木は、交渉時間のギリギリまで解除兼起爆リモコンの在処を隠したままにしておこうとするも、それを鯨樹に見破られてしまう。組織のメンバーではない工藤は、300人もの乗客の命を奪う事に躊躇し鯨樹に協力するが、すぐに鈴木にばれて柊の手から解除兼起爆リモコンは奪われてしまう。鈴木の要求は時間内に通らず、起爆スイッチは押されてしまうが、鯨樹は密かに機体の高度を上げ、貨物室内の温度を下げる事で爆弾の電池が働かないように細工をしていたのだ。鈴木に爆弾は不発だったと思わせ、隙をついて奪う予定だった解除兼起爆リモコンは鈴木の手で破壊されてしまう。このままだといずれ燃料が尽き、高度が下がれば爆弾は起爆してしまうので、鯨樹と工藤は爆弾本体を無効化させるために貨物室を探る。

長距離走者の悲劇(第5巻)

苦手な飛行機に乗せられた事の仕返しに、内閣官房特命事故調査官鯨樹雄から修理に必要な部品を奪い、は自転車で逃げていた。彼女を追いかける鯨樹を見て、通りがかった市立江原高陸上部のランナー豊玉丈一は、自転車で逃げる柊に走って追いつき、部品を取り返す。恩師の思い出の靴を譲り受けた豊玉は練習に一層励んでいたが、原因不明の足の痛みに悩まされていた。思い切って訪ねた整形外科で、疲労骨折で半年もすればまた走れるようになると診断を下される。恩師の靴はサイズこそ合っていたが、彼の足にフィットした形状ではなく、医師からは豊玉の足の疲労骨折の原因でもあると言われてしまう。恩師の指導責任を問われる事を恐れた豊玉はバイク事故を装い、自分の過失で足を痛めたと言い張る。豊玉は正義感が強い事を知る鯨樹は、豊玉が起こした事故に違和感を感じて調査を開始する。

風雪の果て(第5巻)

ベテラン登山家・御州那は、厳冬期の奥槍岳を7日で縦走する計画で入山する。一本のロープで互いを結び合い、命を預けるザイルパートナーに選んだのは経験は不足しているが誠実な人柄の青年・石田だった。予定の日程を過ぎても下山しない二人に捜索願いが出された3日後、とスノーボードに来ていた鯨樹雄は偶然御州那を見つける。彼はどうやって麓に戻ったのかをはっきりと覚えておらず、石田の安否を気遣う。彼が覚えていたのは4日目までで5日目からは大荒れになり、4日間雪洞で過ごし食料も尽き、石田の疲労もあり天候が多少おさまったところで一気に下山したという事だけだった。だがその後発見された石田の遺体に外傷はなく、後輩の葉山は実は石田を置き去りにして食料を奪ったんだろうと、御州那を責める。どうしても記憶が戻らない御州那は、まだ不完全な身体ながら現場となった山に向かおうとする。遺族から亡くなった場所に石田の身につけていたものを埋めて欲しいと託された葉山も、それに同行する。鯨樹は、当時の大気の状態では高山帯では雷が発生していたのではとの仮説を立てていたが、確証は見い出せずに二人と同行する事となる。

おもちゃの修理承ります(第5巻)

早坂貢は父親との思い出にはろくなものがないと思っていた。ある日幼い頃に遊んだおもちゃを、掘り出し物がないかと処分目的で鯨樹雄のおもちゃ屋に持ち込んだところ、「修理代は1万円にしといてやる」と鯨樹は答える。直す価値はあるおもちゃだと言う鯨樹の言葉に、早坂は車軸の曲がった汽車のおもちゃに込められた親心を知る。

沈黙の結末(第5巻)

かつて人身事故を起こして人を死なせてしまった中原康志は、親友タツヤの励ましで、罪を償いながら生活する道を選んだ。遺族に手紙を出し続け、賠償を続ける中原。そんな彼を気晴らしにとドライブに連れだしたタツヤは若い女性を轢いてしまう。罪の重さを恐れたタツヤは、街路樹と車のあいだに彼女を挟んだままの状態の車を捨て、逃げ出してしまう。助手席に座っていた中原は、運転席に移動して彼女を助けるが、被害者の女性はもうろうとした意識の中で運転席の中原を見て、彼が犯人だと誤解してしまう。逮捕された中原は黙秘を続け、中原の人柄を知る鯨樹雄は、その態度から恩を感じているタツヤを庇っているのではないかと推測する。

目撃者(第5巻)

男子学生・拓郎は天体観測と称して自室から隣のマンションの女子大学生の着替えを覗いていた。急ブレーキの音を聞き、その方向を見たところ、倒れている人とそれを放置して逃げ去る車を目撃してしまう。警察車両が駆けつけ、野次馬で騒然とする現場に足を運んだ拓郎は鯨樹雄に目撃情報を伝える。赤いセダンを見たとの拓郎の証言以外に目撃情報はなく、事故を担当した警視・早坂貢はそれを手がかりに捜査を進めるが、赤い車の情報はつかめなかった。捜査本部では証言を疑問視する声も上がり始めた頃、拓郎は校内の教師・神山伸雄のジャケットの模様がひき逃げ犯のものと同じであることに気づく。しかし神山の車は赤ではないため、半信半疑の拓郎は神山の車を確認するために一人で職員駐車場に向かう。

世界一不運な飛行士(第5巻)

顔の怖い副操縦士・富良野はミスを連発する男として有名だった。その噂を聞いた鯨樹雄はパイロットとしての適性に疑問を抱き、面談に行く。調査を重ねた鯨樹の判断は、まじめな性格の彼はミスをしてしまうと再度のミスを恐れるあまり自分を極度の緊張状態に追い込んでしまい、ますます余裕をなくしてしまうというものだった。鯨樹は富良野に、ドジをかさねてしまう1万人に一人という珍しい病気「ラジクギライヒ症候群」だとでっちあげの病名を伝える。そしてその特効薬と称しビタミン剤を与え、1か月飲み続けるとミスをしなくなり病気は完治すると噓をつく。薬の切れる1か月後、様子を見に管制塔にやって来た鯨樹は、緊急事態の報告を聞く。その機の副操縦士は富良野だった。

飛行場猫の事件簿(第5巻)

鯨樹雄内閣官房特命事故調査官として扱った最初の事件。小さな飛行場の飼い猫ボスの視点で描かれている。11年前、ボスによくフライドチキンを与えていたパイロットの青年ジョーが、初単独野外飛行で事故を起こし海に落ちて亡くなってしまう。周囲は操縦ミスで片付けようとしていたが、鯨樹は諦めずにぎりぎりまで粘り、僅かな機体のひび割れをボスの協力もあり見つけ出す事で原因を突き止める。

闇のすきまから…(第6巻)

内閣官房特命事故調査官鯨樹雄は、夜間、女性の手首をドアに挟んだままで電車が発車しているとの目撃談が多く寄せられている駅に赴き、真相の解明に乗り出す。調査を進める鯨樹に、駅員はドアが開いている時は車輌の上部にある側灯という赤いランプが点灯し、それを確認してから発車するため安全は万全である事を説明する。しかし、説明と違い駆け込み乗車をした男性の手首を挟んだ時には側灯は点かなかった。その事を確かめると、駅員は「服などが挟まった時は側灯は点かない」と事もなげに答える。その答えに引っかかりを感じた鯨樹は、最終電車の時間まで駅長室に居残る事にする。駅のホームで一人終電を見送る駅員は、ドアの隙間から差し出される女の手を見つけ、慌てて追いかける。だが摑んだと思った手は突然消え、駅員は代わりに右手を挟まれたままホームを引きずられてしまう。悲鳴を聞きつけた鯨樹が現場に駆けつけたが、扉からは缶コーヒーが転がり出て、車内は僅かに窓が開いているだけで無人だった。

安全の死角(第6巻)

杉山が開発した、乗用車の安全な走行を完璧に補助をする自動運転システムの実験場に招かれた鯨樹雄。だが間違って試験車両に柊を乗せたまま、過酷な安全性能を試す試験は開始されてしまう。しかも途中で気づいた杉山の停止命令は機械の誤作動でどうする事もできずに、柊の乗る車輌は猛スピードで壁にぶつかる実験へと移行していく。

禁じられた遊び(第6巻)

「TK団」を名乗る悪ガキ集団に入りたいと願うのぶおは、彼らが秘密基地にしていた廃ビルに忍び込む。そこは取り壊しが決まっており、今にも崩れ落ちそうな外階段しか地上への通路はないビルだった。のぶおは何とか最上階までたどり着くも、足場が崩れ孤立してしまう。

台本外の事件(第6巻)

迫力あるバイクの走行シーンが売りの映画を作成中に、カメラマンのアキオを後ろに乗せたケイの運転するバイクがダンプカーと衝突してしまう。アキオは死亡し、映画はお蔵入りになるかと思われたが、内閣官房特命事故調査官鯨樹雄は残された映像に映った影から撮影クルーの過失ではない確証をつかむ。

小さな同居人(第6巻)

鯨樹雄は少しのあいだだけ世話をする事になったと少年・杉山てつおを連れて帰って来た。彼は子供扱いされる事を嫌い、遊んであげようとするを邪険に扱う。そんなある日、少し仕事で家を空けると鯨樹が出て行ってしまう。あとを託された柊が、てつおの扱いに困っていると、壁の中から子猫の声がする事に気づく。

警告(第7巻)

内閣官房特命事故調査官鯨樹雄は4か月前から事故が多発している魔のカーブを調査していた。現場はトンネルを抜けたあとの緩い上り坂の途中のカーブで、事件の当事者たちはみな、少年の幽霊を見たと証言している。今回もまた事故が起き、現場の警察官は調査をする鯨樹に、木に引っかかっていたビニールのカッパが反射したのを見間違えたのではないかと語る。鯨樹は実際にその道を走って検証してみるが、警戒しながら走ったにもかかわらずオーバースピードしてしまい、急停車と急ハンドルでギリギリで衝突回避。降車して現場を確かめる鯨樹の背後に、少年の幽霊が立ち「いっぱい人が死ぬよ」と警告して消えてしまう。

危険な人気者(第7巻)

楽しみにしていたクラシックカー・オーナーによる趣味のレース会場の傍らで、クレーンで宙づりにされて悲鳴を上げる男性二人の姿を見かけ、慌てて駆け寄った鯨樹雄。だがそれはきちんと撮影許可をとった、お笑いコンビ「スライス」の番組撮影であり、鯨樹は逆にスタッフから説教されてしまう。身体を張った危険なスタントで人気を得ていた「スライス」のに、鯨樹は人が命を削るのを見て喜ぶようなファンは、自殺志願者を見に集まる野次馬と同レベルだと忠告する。

丘の上の隠れ家(第7巻)

鯨樹雄の家に住んでいる杉山てつおは、同じクラスの勉強も運動も苦手なキヨヒデつよしにいじめられ殴られているのを見て、彼を助けるためにつよしと喧嘩する。それがきっかけで仲よくなったてつおとキヨヒデは、キヨヒデが作った学校の裏の丘の隠れ家で遊ぶようになる。それを知ったつよしは、夜中に一人でやって来て隠れ家を破壊するものの、帰る途中で古井戸に落ちてしまう。いつものように放課後に隠れ家にやって来たてつおとキヨヒデに、助けてくれるよう哀願するつよし。彼は穴の途中で必死に手足を突っ張って耐えていたが、穴の底には割れた瓶などガラスが散乱しており、すぐに引き上げないと危険な状態だった。

血液を運べ!!(第7巻)

鯨樹雄は、事故で重傷を負った少女の輸血用の特別な血液を運んでいた。しかし、霧の多い山道を車で走行途中に、緊急停車の措置もとらずに停車していた乗用車に追突してしまう。その乗用車に乗っていたのは、パチンコ店の景品交換所を襲い現金を奪って逃走中の犯人・寺内だった。寺内は鯨樹を目的地の病院まで案内する事になったが、正体がばれるのを恐れ、山道で迷ったふりを続けていた。共に車内で過ごすうちに寺内は自身にも手術を待つ心臓病の娘がいる事を語る。わざと道に迷ったふりをしている事に気づいた鯨樹は、寺内の案内を無視して自力で病院へ向おうとして崖から転落してしまう。寺内は鯨樹を見殺しにするかどうか迷うものの、鯨樹の、血液だけでも届けてくれという訴えを聞き入れ、ロープを下ろす。先に血液に入ったバッグを引き上げてもらい、次いてロープを伝って崖から上がった鯨樹の前には既に寺内の姿はなく、血液入りのバッグも持ち去られていた。

疑われたてつお(第7巻)

小学生・杉山てつおのクラスメイトの木野さやかは、スポーツも勉強もできるかわいい女の子で、男女問わず慕われている。てつおは彼女に好意を寄せているものの、恥ずかしさからつい悪口を言ってしまったところをさやかに聞かれてしまい、関係は険悪なものとなってしまう。そんな中、体育で跳び箱のテストが行われる。実はさやかは跳び箱は苦手で、みんなの予想に反し失敗してしまう。さやかへの注目をそらせようと次の順番だったてつおはわざと失敗する。飛べなかったさやかとてつおは、体育教師から明日再試験だと言われてしまう。てつおは、さやかを思うあまりみんなの前で学校などなくなればいいと口にする。夜にてつおは工具を持ち、小学校の体育用具室に侵入し、跳び箱の踏切版を少し高くしてさやかが飛びやすいよう細工する。しかしその夜に火災が発生し、体育用具室は全焼してしまう。てつおが校内に忍び込む姿を塾帰りのさやかは目撃しており、火をつけたのはてつおだと証言する。

真実を変える男(第7巻)

鯨樹雄は、事故鑑定人を名乗る三島卓人と裁判の場で対決する。鯨樹の判断は対向車線にはみ出して来た加害車輌がバイクに衝突したというものだったが、三島の判断は真逆で、ガードレールにぶつかり跳ね返されたバイクが対向車線にはみ出してきたというものだった。証拠としてガードレールについたバイクの衝突傷の写真を提出する三島に、その傷は調査時にはなかったものだと鯨樹は反論する。しかしバイクの運転手が死亡した事もあり、結果的に三島の主張が通ってしまう。同席していた事故を担当していた警視・早坂貢は、三島には「真実を金で変える男」との悪い噂がある事を鯨樹に伝える。破格の鑑定料を取るものの依頼人に有利な結果を確約する彼への依頼はひきもきらない。生き残った者の未来のための真実の方が有益ではないかとの三島の主張に、鯨樹は真向から反論する。

海の王者(第8巻)

内閣官房特命事故調査官鯨樹雄は、豪華客船「タイタニックⅡ世号」の処女航海に招待され、共に招かれた杉山てつおと香港までの船旅を満喫していた。そこには事故鑑定人の三島卓人も乗船しており、本業の指揮者として招かれていると鯨樹の前に現れる。世界最大級の船を自慢するオーナーのエリオット・グラントは、自身の船の安全性の裏付けのために鯨樹と三島を招いていたのだ。チーフ・エンジニアのミック・カキハラは、船内の電気設備はすべて同時に使用される事はないため、船内に搭載している発電機は船内最大電力消費量の70%もあれば充分だとの持論のもとにシステムを組んでいた。集中制御システムのもと、完璧で安全な電力の分配がなされていると過信するオーナーとミックの態度に、鯨樹は不安を感じその安全性を保証する事を躊躇する。鯨樹の危惧した通り、オーナーは見栄と思いつきで船外灯をすべてつけてしまい、電力消費量の限界を越えてしまった船は、予期し得なかったアクシデントに次々に見舞われる。

氷解(第8巻)

北岐阜大の助教授で気象学者の山根剛と共に雪崩の調査するために雪山に入った鯨樹雄は、二人で雪崩が起きそうな箇所にあらかじめ手を加え、人工雪崩のテストを行っていた。しかし、天候の急変で4日間もテントに足止めされてしまう。データ分析が専門の山根は、研究室のメンバーに実際に見る山の天候はデータ以上のものを与えてくれると勧められ、まったく登山経験がないものの今回鯨樹と同行する事になった。食料も乏しくなり、不安と苛立ちから鯨樹に怒りをぶつける山根に対し、鯨樹は吹雪の中でもテントの雪を払うなど、できる限りの手を尽くしていた。その作業中、かすかな助けを求める声を聞いた鯨樹は、吹雪の中で倒れていた三山潤子を救助する。三山は友人の木村由美と登山をしていたが、木村は滑落し動けなくなったため、頂上の山小屋を目指していた事を語る。翌朝、短時間だけ天候が回復する疑似晴天の中、鯨樹が寝ているあいだに三山は友人を残したテントを確認しに行ってしまう。鯨樹は、気象に詳しいにもかかわらず強く三山を引き留めなかった山根を責める。山根は、山岳救助隊だった父親が無謀で無知な登山者を助けるために死んでしまった事が原因で、もともと冬山の登山者によい感情を持っていなかったのだ。バカな登山者を助けに行った父親を軽蔑していると言い放つ山根に対して、鯨樹は父親の気持ちを知ろうとしないかわいそうな人だと答える。

ナギの島(第8巻)

天気予報図にはなかった悪天候の中を小型飛行機で進む鯨樹雄は、地図上で確認できない島を発見し緊急着陸する。そこは島の中央にカルデラ湖のある小さな島・つぶら島で、鯨樹はにそっくりな若い女性ナギに助けられる。電話も電気もない、昔ながらの暮らしをしているナギの住む「イズナ村」で救助を待つ鯨樹。しかし、村長の息子でナギに結婚を申し込んでいるイサは、ナギが島を出たがっているのを知り、どこからかやって来た鯨樹がナギを連れて行ってしまう事を恐れ、飛行機の部品を持ち去ってしまう。鯨樹は手なぐさみに木片を削って鯨型の引き車を村の子供に作ったりして3日が過ぎた頃、井戸の水から異臭が漂うようになる。鯨樹は井戸水を嗅いで、イオウの匂いを感じた事から、村人すべてに島から出るようにと呼びかける。島全体が火山でできており、活動が活発になっていたのだ。早急に避難しないと溶岩に村が呑まれると訴える鯨樹の言葉は村長に否定されてしまう。やむなく鯨樹はナギと共にありったけの水と食料を船に積み、有事に備え始める。そんな中、ナギは高熱を発して倒れてしまい、イサは鯨樹におまえのせいでナギがおかしくなった、早く出ていけと隠し持っていた飛行機の部品を投げつける。そのあとで湖の向こう側に生えている薬草をナギのために取りに行ったイサは、噴火の前兆のガスを吸いこみ倒れてしまう。噴火が近いと悟ったイサは、村長を説得し新しい村を自分が見つけると宣言する。鯨樹は船出を始めるイサに、空から一番近い島まで誘導すると飛び立つ。

ラッコの宝物(第9巻)

内閣官房特命事故調査官鯨樹雄は、杉山てつおを知り合いの男性・杉山主任が勤めている「国際自然水族館」に連れて行く。杉山の計らいでラッコの餌やり体験や巨大水槽の裏側を案内して貰うなど、柊とてつおは水族館を満喫する。そんな中、大水槽に空気を送るポンプが、漏水のために故障してしまい、あと2、3時間で大水槽の魚は死滅してしまう緊急事態に陥る。

春の洪水(第9巻)

鯨樹雄は、杉山てつおを連れてオルニア村の「オルニア村保養センター」を訪問する。そばを流れる川の上流にあるダムの安全性を調査するための来訪で、鯨樹は「オルニア村保養センター」のオーナーの榎木に柊とてつおを預け、単身調査に向かう。調査中、長雨で満水状態な事も加わり、老朽化していたダムは土砂崩れで決壊してしまう。しかしリゾート地で、オフシーズンには人がほとんどいないために救助がなかなか来ない。「オルニア村保養センター」に取り残された、オーナーの娘リサの婚約者ジャックは「オルニア村保養センター」の建物の強度を疑ってかかり、今に水圧に押しつぶされると思い込み、救助ヘリに発見してもらおうと「オルニア村保養センター」に火をつける。しかし、ジャックの予想以上に火のまわりは早く、浸水の速さを上回り広がる火災を避けるためにみんなは上階へと逃げる。せっかく救助に来たヘリも煙のために近づけず、鯨樹は何か打つ手はないかと上空から周囲を観察する。

狙われたクジラ(第9巻)

鯨樹雄の事故調査報告書で手抜き工事をしたとされ、職を失ったアニキヤスは鯨樹に復讐しようと機会を窺っていた。バーベキューのコンロの火加減を杉山てつおに任せ、水を汲みに行く鯨樹。両手がバケツで塞がる鯨樹に袋とロープを持って背後から近づくアニキとヤス。だが、鯨樹は大声を上げてバケツを放り出し、柊とてつおに駆け寄り覆いかぶさる。二人の横で、コンロが爆発してしまったのだ。2つのコンロを寄せてしまった事で、鉄板の下になった方のガスボンベが加熱され過ぎて爆発したのが原因だった。予想外の動きで鯨樹を縛り損ねたアニキとヤスだったが、ヤスは爆発の原因を語る鯨樹の言葉を木陰から聴いていた。鯨樹は次に、15年前に日本に留学していた時から付き合いのあるグラム=スカラニコフと合流する。彼はトルメニアという国の次期大統領候補で、シンポジウムの会場でゲストとして講演をする予定だった。その会場に鯨樹を追うアニキとヤス、加えてグラムを狙う狙撃手までもが現れる。

おさむの海(第9巻)

昨年は一人だった溺死者が、今年に入ってから四人も出ている海水浴場の調査に訪れた鯨樹雄は、数年前から海岸で海の観察記録を付けている高校2年生の少年・伊藤おさむと出会う。彼は漁労長の息子で家も裕福で頭もよく、大学へ進学すると周囲からは思われていた。そのため、漁師を継ぐ事が決まっている同じ年の少年たちから妬まれ、嫌われていた。しかし、おさむは伊藤おさむの父のような漁師になりたいとずっと思い続けていた。おさむは鯨樹にノートを見せて調査に協力し、二人はその情報をもとに事故の原因ともいえる離岸流を見つける。だが、おさむが伊藤おさむの父を離岸流の発生した場所に連れて行き、鯨樹がやってみせたようにビーチボールを落とした時はまったく動かない。伊藤おさむの父は、事故が起こると何かしら原因を作るのが商売の鯨樹に騙されたんだとおさむに語る。そもそも離岸流の発生する浜にはいくつか条件があり、急に発生したり止んだりするものでもない。本当の原因を探るため、鯨樹とおさむは再び調査を再開する。

放火魔を追え!(第9巻)

鯨樹雄は、杉山てつおを連れて町内の防火活動をしていた。そこに江古田署の渡辺警部、町長の「安田」、塾講師の中山がねぎらいの声をかける。放火事件が相次いでいるため、警察が警備を強化しているが人手不足を補うために町内のみんなで見回りに協力する事になったのだ。その後、渡辺だけは調査官としての鯨樹の考えを聞きたいと見回りについて来る。なにか手がかりはないかと尋ねる鯨樹に、渡辺は被害者の一人が光を見たと証言している事を話す。燃え始めたあとで光ったとの目撃情報に首を傾げる二人の前に、中学3年生のカメラを提げた少年・太田勇治が現れ、鯨樹を撮影して去っていく。フラッシュをたかれて目がくらんだ鯨樹は、放火とカメラのフラッシュ、事件後の光についてある仮説を立てる。

てつおの危機!(第10巻)

杉山てつおは工場の中の砂の堆積所にはまってしまい、助けを求めて声を上げるものの周囲にはまったく人影はない。下は足を踏ん張る事もできず、さらさらの砂で上がる事もできず、上からは新しい砂が降りそそぐ。てつおは、内閣官房特命事故調査官鯨樹雄がてつおに隠れて「引き取り手が見つかった」と言う内容の話をしているのを聞いていた。両親の葬儀の時に、親戚達がてつおの引き取りを渋っている中で、鯨樹だけが「自分が預かる」と連れて帰ってくれた事を思い出し、ずっといっしょにいたかったと回想する。

クジラ死す!?(第10巻)

深夜、のもとに一本の電話がかかってくる。それは鯨樹雄が亡くなったとの報せだった。その前日、鯨樹は由田トンネルに新人の内閣官房特命事故調査官多田清英を伴い調査に向かっていた。3年前に一度崩落しかけたトンネルで、調査官は当時補強工事をするよう勧告済みだったが、改良は確認できなかった。現地の保線区員・松浦になぜ老朽化を放っておくのかと、今年採用になったばかりの多田は詰め寄る。松浦は上の人間には言っているが、日本のトンネルの約半分は戦前に造られ、3万8千本のトンネルの39%がなんらかの問題を抱えているため順番待ちだと答える。多田は、鯨樹に自分たちの調査や報告に意味があるのか、むなしくなってくると早くも弱音を吐く。さらにトンネルの中へと進む鯨樹たちは、微かな物音を耳にする。それは「アコースティック・エミッション」と呼ばれる、大きな地震やがけ崩れの前兆の音の中でも最終段階の樹木の根が切れる音だった。二人は発煙筒を焚き、あと1分でやって来る列車に向かい停車を呼びかけるために走る。先頭車両が破損・脱線しただけでひとまず揺れはおさまったが、運転手は落石と席のあいだに足を挟まれ動けなくなってしまう。鯨樹らは先頭車両から後続の車両を切り離し、トンネルの地形を利用して乗客の避難を成功させる。しかし自分達は運転手を助けるために残り、続いて起きた崩落に巻き込まれてトンネル内部に取り残されてしまう。早坂貢が現場の指揮を執り、レスキュー隊も派遣されたが、内部から発生した高温の水蒸気が救出を阻んでいた。そこへ三島卓人が現れ、事態は非常に深刻だと警告する。

登場人物・キャラクター

鯨樹 雄 (クジラギ ユウ)

見上げるほどの体躯の持ち主で、力も強い中年の男性。面識のない警察官からは「化物」呼ばわりされるほど。カジュアルめの服装に大きな白衣を羽織っている。内閣官房特命事故調査官の仕事の傍らで、「おもちゃのクジラ」という店名のおもちゃ屋を営んでいる。おもちゃの修理も受注しており、レトロで希少な玩具の買い付けなども手掛けている。 11年前まで優秀な航空機デザイナーだったが、友人の水無月豊を事故で亡くした事をきっかけに特命事故調査官に転職した。柊は水無月の娘で、現在同居している。泳げないため、船に乗る事を極端に怖がっている。共に暮らしている柊や、親しい間柄の早坂貢らからは「クジラ」の名前で呼ばれている。しかし、名前に反して海が苦手な事をよく柊にからかわれている。

(ヒイラギ)

鯨樹雄の家に住んでいる少女。年齢は明らかにされていないが、11年前に舌足らずながら喋っている事から現在の年齢は十代の半ばくらいと推測される。幼い頃に、車の事故で母親を亡くし、その後飛行機事故で父親の水無月豊を亡くしている。それからは、鯨樹と父親が親友だった事から鯨樹に引き取られ共に暮らしている。食事を作ったり、家事をこなしたりとしっかり者だが、周囲に合わせるのが苦手でいつもマイペースに振る舞っている。 普通の人達には気づかない事に着目しがちで、それが鯨樹の調査の役に立つ事もある。

早坂 貢 (ハヤサカ ミツグ)

中年の眼鏡をかけた男性。階級は警視。鯨樹雄とは、11年前の水無月豊が航空機の事故で亡くなった際に、その事件を担当した時からの付き合いである。そのため水無月の娘・柊とも付き合いは長い。

堀口 辰男 (ホリグチ タツオ)

「テディベアは見ていた」に登場する。初老の男性で、飛行機の整備士をしている。事故機に搭乗していた人物に脅迫状を送り付けていた男と交友関係にあったため、事故機は爆破されたものと断定され、堀口辰男は犯人と決めつけられてしまう。

堀口 ひろし (ホリグチ ヒロシ)

「テディベアは見ていた」に登場する。ショートカットの髪型をした青年。飛行機の整備士をしている。同じ仕事に就いている父親の堀口辰男から厳しく指導される事に不満を感じている。物を出しっぱなしにするようなルーズなところがあり、提出するファイルをなくすなどのうっかりミスがなかなか直らない。

塩崎 優子 (シオザキ ユウコ)

「見えない火事」に登場する。新人スチュワーデスの若い女性。長い髪をポニーテールにしている。初フライトで緊張し過ぎて、予想よりも疲労の溜まる仕事だと不満を口にするなど、学生時代の甘えが抜けないところがある。先輩スチュワーデスの森育子の指導のもと緊急事態の対応も落ち着いてこなしてみせた。森と共に、トイレの不審火の初期消火を試みるがうまくいかず、機体は大爆発炎上してしまう。

森 育子 (モリ イクコ)

「見えない火事」に登場する。ショートヘアのベテラン・スチュワーデスの女性。新人スチュワーデスの塩崎優子に厳しくも温かい指導を行っている。機内で起きたぼやを消し止められず、森育子自身の初期対応の誤りだとすべての責任を負わされそうになった。しかし鯨樹雄の事故状況の再現実験で、飛行機の構造の欠点に問題があったと判明して無罪となった。

神父 (シンプ)

「燃えた花嫁」に登場する。スキー場の近くに立つ教会の神父で、初老の男性。身寄りのない子供の世話をしたり、村のために医者のかわりに救急治療をしたりしていた。だが1年前の冬の日、教会で挙式した若いカップルのうち花嫁が突然発火し炎に包まれた事件を皮切りに、火の玉や女の幽霊が教会内で目撃されるようになった。そのために呪われた教会だとみんなから恐れられるようになり心を傷めている。

三谷 ゆり (ミツヤ ユリ)

「燃えた花嫁」に登場する。初対面の鯨樹雄が照れて赤面するくらいの若い美女。神父の養女で、教会での挙式を控えている。1年前の冬に挙式中の花嫁が自然発火してしまった事件を皮切りに火の玉や女の幽霊の目撃情報が続出した。かつて村の人たちの信仰も厚く、神父との交流も盛んだったが、呪われた教会だと噂され誰も寄りつかなくなってしまった教会の現状を憂えている。 自分の挙式を教会内で行う事で安全を証明し、また村の人の信仰の場に戻れればと考えている。鯨樹は怪奇現象の原因を突き止めるまで、教会での式を中止するように説得したが、三谷ゆりは聞き入れず式を執り行おうとした。

天村 加奈 (アマムラ カナ)

「春の嵐」に登場する。長い黒髪の少女。5年前、廃線の決まっていた「白川線」の写真を撮りに来ていたほしおと出会い、彼の写真のモデルになった。父親の天村良二が信号指令員を務める「白川線」に乗車中に事故に遭い、天村加奈を除く乗客16名全員が死亡してしまった。加奈も事故の怪我が原因で一時的に視力を失うが、のちに回復している。 ほしおとは名前も連絡先も交換してなかったが、彼の声を聞いただけで「カメラ小僧さん」と思い出したほどにほしおの事はよく覚えていた。

天村 良二 (アマムラ リョウジ)

「春の嵐」に登場する。天村加奈の父親で、中年の男性。祖父の「天村肖造」が設計した鉄橋を通過する「白川線」の信号指令員を務めている。5年前、廃線になる以前からその職に就いていた、ベテランの信号指令員。以前なら問題なく走行できていた風速の日に運行続行を決断したところ列車が鉄橋から落下してしまった。事故の責任は重く受け止めているが、補修工事をしたばかりの鉄橋からどうして列車が脱線転落したのか理解できずに苦悩している。

大川 健三 (オオカワ ケンゾウ)

「春の嵐」に登場する。眼鏡をかけ、口ひげを蓄えた中年の男性。大川レジャーランド会長兼白川鉄道(株)の社長を務めている。総合レジャーランドを開発し、年間100万人の利用を目指して鉄道の運行を開始したが、その2日後に脱線事故が起きてしまった事から再開を急いでいる。信号指令員の天村良二の判断ミスとして事故を処理すれば現場の鉄橋の改修も不要で、早急に運行再開ができる事から鯨樹雄の調査には非協力的な対応をしている。 事故の原因を究明し安全を確保するよりも、一刻も早く運行を再開して少しでも損害を取り戻したいとしか考えていない利己的な考えの持ち主。

ほしお (ホシオ)

「春の嵐」に登場する。写真スタジオに勤める青年。年齢は18歳。5年前に「白川線」が廃線になると聞き、写真を撮りにやって来た際に天村加奈と線路の脇で出会っている。その時に加奈の写真を撮らせてもらった事がきっかけで、プロのカメラマンを目指す。5年ぶりに運転再開した白川線が、運転再開の2日後に脱線事故を起こした事をテレビのニュースで知り、その番組で加奈の写真を目にした事から見舞いに駆けつけた。 加奈の事は出会った時から忘れられず、写真を5年後の今も持ち歩いている。加奈とは出会った時にお互い自己紹介もしていなかったために「カメラ小僧さん」と呼ばれている。

本間 壮一 (ホンマ ソウイチ)

「悪魔の舞い降りたカーブ」に登場する。襟足を刈り上げたショートカットの髪型をした青年。注目の日本人F1ドライバーで、「チーム・ピエラ」に所属している。今年度契約を交わしたばかりにもかかわらず、スポンサーがいない事が原因で早くも解雇をほのめかされている。そんな折、レースで事故を起こし死亡してしまう。チームの監督ポール・ギニオンは本間壮一の技量不足によるドライブミスだと決めつけ、すべての責任は壮一にあると押しつけた。 藤村あさみとは恋人関係にあった。

藤村 あさみ (フジムラ アサミ)

「悪魔の舞い降りたカーブ」に登場する。ショートカットの髪型をした若い女性で、本間壮一の恋人。鯨樹雄は昔からの知り合いで、鯨樹は藤村あさみの事を「あさ坊」と呼んでいる。あさみ自身もF1の下のクラスであるF3000のドライバーで、鯨樹によれば、ハンドルを握ると性格が変わるのだという。鯨樹の車の修理をあさみの父親が手掛けている縁もあり、お互い親交がある。

ポール・ギニオン (ポールギニオン)

「悪魔の舞い降りたカーブ」に登場する。額を広く出したオールバックの髪型に、顎ひげを蓄えた男性。つねに色の濃い大き目のサングラスをかけている。「チーム・ピエラ」の監督を務めている。本間壮一と契約を交わしたが、スポンサーを引っ張って来れなかった壮一にドライバーとしての魅力を感じておらず、解雇をほのめかしている。その後のレース中に壮一は事故死し、彼の恋人で車に欠陥があったと主張する藤村あさみに対してその心情に理解は示しつつも、頑なにチームの落ち度は認めようとしなかった。

ブルース・スレーター (ブルーススレーター)

「虚無からの銃弾」に登場する。飛行隊長を務めていた中年の男性。年齢は41歳。新型機の射撃テスト中に、チームを組んでいたヒロシ・スチュワート・ハチヤの目の前で搭乗していた機体が突然爆発した事で命を落とした。孤児のヒロシとは公私共に親しく、親代わりのような立場にあった。任務中に使うタックネームは「フォックス」。任務外でもヒロシは彼の事を「隊長」と呼んでいる。

ヒロシ・スチュワート・ハチヤ (ヒロシスチュワートハチヤ)

「虚無からの銃弾」に登場する。短くした黒髪をセンター分けにした青年。新型機の射撃テスト中に、チームを組み前方を飛んでいた新型機に乗った隊長ブルース・スレーターの機を誤爆した疑いをかけられている。ブルースはヒロシ・スチュワート・ハチヤにとっては親代わりともいえる存在だった。どうして目前で隊長機が爆発したのかまったく理解できずにいる。 ヒロシ自身も誤爆したという認識はまったくないが、自分のせいに違いないと強い自責の念に苛まれている。任務中に使うタックネームは「ピン」。

御台 かずき (ミダイ カズキ)

「虚無からの銃弾」に登場する。若い女性。ウェービーなくせのある髪の毛を首の後ろで一つに括り、ヘアターバンのようなものを巻いている。白衣を羽織っているが服装はカジュアルなものを好んで身につけている。鯨樹雄と同様に、内閣官房特命事故調査官を務めている。事故が起きることで不幸になる人がいるのは避けられないとしても、残された人までが不幸になるような事態は避けたいと願いながら職務を遂行している、心の優しい人物。

本間 遼太郎 (ホンマ リョウタロウ)

「猫の街の火事」に登場する。すらりとして見た目のいい少年。竹林の中に住みつく猫に餌をやりに来た柊に胸をときめかせている。昼間から近所をうろうろして自由気ままに振る舞っている。地主のおじいさんの保有する土地に住んでいる店子で、おじいさんが毛嫌いしている猫に餌をやっている事からおじいさんに嫌われている。

地主のおじいさん (ジヌシノオジイサン)

「猫の街の火事」に登場する。店子をたくさん抱えている、地主の初老の男性。飼っていた錦鯉を猫に食べられてしまった事から猫を嫌っている。店子の住人すべてに猫を飼う事を禁止しており、家を追われた猫たちが保有地の竹林に住みついているのも追い出したいと考えている。店子の本間遼太郎が言いつけを守らず猫を飼い続けているため、毛嫌いしている。

遠山 彩香 (トオヤマ アヤカ)

「クジラと鯨」に登場する。岩鼓摩島に住む、よく日焼けした長い髪をサイドダウンにまとめた少女。鯨の事を大切にしたいといつも願っている。島民がリゾートホテルの開発を巡り、開発派と反開発派に分かれていがみ合っている事を悲しんでいる。

オーナー (オーナー)

「クジラと鯨」に登場する。岩鼓摩島出身の口ひげを蓄えた初老の男性。島が栄える事を願い、長年の夢だった大ホテルを島に建設する計画に着手している。開発を巡る島民の対立が激化している事を知りながら、開発反対派も島に客が集まれば感謝する事になると決めつけ、放置している。自社の顔ともいえる「ホエールウォッチング兼用高速ジェットフォイル」が転覆事故を起こし、鯨樹雄が調査にやって来たが、彼が到着する前に事故船を修理してしまうなど、捜査に非協力的な態度を示している。

若松 公士 (ワカマツ コウジ)

「太陽風漂流」に登場する。中年の男性。大学生の時から口癖が「宇宙に行く」だった。夢を叶え、日本人初のミッションスペシャリストとしてスペースシャトルの乗員となった。鯨樹雄の大学時代からの友人でもある。アンティークなおもちゃが大好きで、鯨樹と共通の趣味を持っている。

ジャン・ダラス (ジャンダラス)

「太陽風漂流」に登場する。彫りの深い顔をした中年の男性。NASA機密保安局局長を務めている。極めて重要な国家機密である、若松公士の乗ったスペースシャトル・パシフィックが、宇宙空間で酸素漏れを起こした事から鯨樹雄に協力を要請するためにやって来た。

ウラジミール・イワノフ (ウラジミールイワノフ)

「太陽風漂流」に登場する。科学者である年配の男性。ウクライナに住んでいる。息子は30年前に宇宙に飛び立ったものの、帰還できずに衛星に閉じ込められたまま命を落とした。過去に沈みかけた原潜から鯨樹雄に助け出された事がある。旧ソ連科学アカデミーの退役科学者で、今回のスペースシャトル・パシフィックの事故対応に協力を求められているがNASAとの接触を拒み続けていた。 しかし鯨樹の説得で渡米し、共に乗員が無事に帰還するための方法を模索した。

メリル (メリル)

「太陽風漂流」に登場する。若い宇宙飛行士の白人女性。スペースシャトル・パシフィックに搭乗している。若松公士と共に、シャトル内で予期せぬトラブルに見舞われ続けたが、鯨樹雄とウラジミール・イワノフの的確な指示により若松と共に無事生還を果たす。17才の時、付き合っていた男性にふられ、その彼の夢が宇宙飛行士だった事から見返したい一念で現在の職に就いたバイタリティの固まりのような人物。

水無月 豊 (ミナヅキ ユタカ)

「翼の記憶」に登場する。若い男性で眉毛の濃いのが特徴。学生時代に鯨樹雄といつかいっしょに飛行機を作ろうと夢を語り合っていた。優秀な設計者だが、自身が一生をかけてでもしたいと思った仕事が内閣官房特命事故調査官で、強い決意を固めその道に進んだ。11年前に小さなミスが重なって起きた事故により、娘の柊を残して命を落とした。 妻も自動車事故で亡くしている。

相楽 (サガラ)

「翼の記憶」に登場する。眼鏡をかけた働き盛りの男性。新型の救急ヘリコプターを設計し、早坂貢の紹介で鯨樹雄を乗せて試運転をした。絶対安全なヘリコプターだと自信満々の相楽は、鯨樹から厳しい口調で安全に絶対はないと反論され激しい反感を抱く。のちに早坂から鯨樹が安全に対してこだわるようになったきっかけの話を聞き感涙し、鯨樹に認められるようなヘリコプターを設計する事を宣言する。

岩渕警部 (イワブチケイブ)

「雨にまぎれて」に登場する。顎ひげを蓄えた中年の男性。雨天の夜間走行時に人を轢いてしまうが、目撃者もいない事から他人に罪をなすりつけようとした。入念な偽装工作を施し、たまたま条件に合致した宮沢国男にすべての罪を被せようとした。国男はその夜、鯨樹雄の家に沢山の乳製品を配達に行き、明るく談笑していた。そんな様子から事故に違和感を感じた鯨樹の独自調査によって偽装工作は見破られ、岩渕警部は最終的に自首した。

宮沢 国男 (ミヤザワ クニオ)

「雨にまぎれて」に登場する。宮沢牧場に勤める青年で、鯨樹雄の家に乳製品を定期的に配達している。鯨樹のもとに一度に納品する量は、ミルク120リットルに自家製のチーズや生ハム、バターなど計150キロを超えるほど大量。鯨樹が扱っているアンティークのおもちゃが大好きで、鯨樹のロンドン土産のおもちゃのロボットをもらって大喜びしていた。

倉岡 (クラオカ)

「大地の罠」に登場する。二ツ橋建設の社長を務めている初老の男性。妻の葬儀の時でさえ取引先と談笑していた、仕事と金の亡者と思われているため、息子の倉岡あきおに激しく憎まれている。

倉岡 あきお (クラオカ アキオ)

「大地の罠」に登場する。建築の仕事に携わっている若い男性。父親・倉岡の経営する二ツ橋建設の建てるマンションの免震構造が欠陥だらけだと、モデルルーム会場の正面で不買運動をしている。父親は仕事と金の事ばかり考え、母親の葬儀の時も取引先と談笑していたと、物心ついた頃から嫌っている。

高塚 (タカツカ)

「悪魔の化身」に登場する。S化成バイオ研究所に勤める研究員の青年。鯨樹雄とはクラシックカーの愛好家としてのつながりで親交がある。名車「デイトナ」を、歴代のオーナーが謎の死を遂げていると知りながら、それが理由で値引きされたのをお買い得だと喜んでいた。呪いなどは一切信じない性格で、車の入手後、友人の石井に手伝ってもらいながら進めていた研究が完成するなど、逆に運が向いて来たと感じていた。 研究成果を次の学会で発表しようと準備を進めている最中、車の絡んだ事故に遭い不安を抱き始める。

石井 (イシイ)

「悪魔の化身」に登場する。S化成バイオ研究所に勤める研究員の青年。10年来の付き合いがある友人の高塚の研究を手伝っている。高塚とは休日も共に過ごすなど親しくしていたが、内心は脚光を浴び続けている高塚を激しく妬んでいた。呪われた車を入手した高塚に対し、車の噂を利用し、車に関連づけた事故に見せかけて殺害しようと企む。 高塚が主体となって成功させた研究成果を奪い、それを手土産に他の研究所に好待遇で転職しようとしていたが、追い詰められ石井自身が命を落とす事になった。

じいさん (ジイサン)

「酔っ払い飛行」に登場する。禿頭に口ひげを生やした貫禄のある老人。メンバーがじいさんのほかに柳一人のみの小規模なアクロバット飛行チームのベテラン・パイロット。柳からは「じじい」と呼ばれている。弟子の柳が自信のある操縦を見せても辛口の評価しか与えない頑固なところがある。酒好きで有名で、つねに酒瓶を抱えていた。 もともと同じチームにいた三善は、じいさんがちゃんと飛行機の整備をしているところを見た事がなく、怒鳴り散らしてばかりで人として最低だと評した。鯨樹雄が柊を連れて見に来ていた「第1回日本エアレース大会」中にふらふらと酔っ払ったような操縦をしたあとで沼地に墜落し、飼い犬のマルと共に命を落とす。

(ヤナギ)

「酔っ払い飛行」に登場する。スポーツ刈りに近いショートカットの髪型をした青年。メンバーがじいさんと柳のみの小規模なアクロバット飛行チームに所属している。しかし、なかなかじいさんに操縦技術を認めてもらえず、アクロバット飛行コンテストに出させてもらった事もいまだにない。それでもじいさんを上回るパイロットを夢見て努力を重ねていた。 三善とはもともとチームメイトだったが、彼はじいさんの指導を嫌ってやめてしまった。鯨樹雄が見に来ていた「第1回日本エアレース大会」に出ていたじいさんが事故死してしまった事で目標を見失い自暴自棄になるが、鯨樹の調査により事故の原因が過失によるものではないと知り、再び気力を取り戻す。

三善 (ミヨシ)

「酔っ払い飛行」に登場する。顎ラインの長めの髪をセンター分けにした青年。じいさんと柳のアクロバット飛行チームに以前所属していたが、じいさんの指導に納得がいかずにチームを抜けてしまった。鯨樹雄が見に来ていた「第1回日本エアレース大会」中、じいさんが操縦する飛行機が酔っ払ったような飛行をしたあとで墜落した件で、鯨樹が関係者に聞き取り調査をしていた際には人間として最低だったとじいさんを酷評した。

鈴木 (スズキ)

「危険な積み荷」に登場する。眼鏡をかけた、物腰の柔らかい温和そうな中年の男性。空港のロビーでぶつかった柊に対しても優しい口調で語りかけ、落ちていたけれど君のものかなと手のひらサイズの携帯ゲーム機を手渡した。柊に自然とプレゼントした形となったその携帯ゲーム機は、実は飛行機に積み込んだ爆弾の起爆兼解除装置で、政府と交渉した結果次第では遠隔操作で爆弾を爆破させようと計画していた。 テロリスト集団「黒の戦士」の構成員で、アルガニア大使館を爆破し当局に身柄を引き渡される予定の同志を解放するよう要求するも、機内に乗り合わせた鯨樹雄に阻止された。

工藤 (クドウ)

「危険な積み荷」に登場する。髪をオールバックにしたふくよかな体格の中年男性。元空港職員で内部事情に精通していたため、4000万円の借金の肩代わりと引き替えにテロリスト集団「黒の戦士」のメンバー鈴木の依頼通りに飛行機の中に爆弾を乗せたトランクを仕込んだ。トランクを乗せ、鈴木と工藤は職員に紛れて姿を消す予定だったがロビーで会話した柊に懐かれ、顔を覚えられてしまい呼び留められた事から爆弾を乗せた飛行機に搭乗する。 計画に加担した事を後悔しており、多数の人命を奪う罪深さにおびえて挙動不審になる小心な性格の人物。

豊玉 丈一 (トヨタマ ジョウイチ)

「長距離走者の悲劇」に登場する。市立江原高陸上部で長距離ランナーをしている少年。片方を尖らせた個性的な髪型をしており、眉毛がつながっている。柊が嫌がったのに飛行機に乗せた鯨樹雄への仕返しに、鯨樹の修理作業に必要な部品を自転車で持ち逃げしようとした。それを目撃した豊玉丈一が、柊を万引犯だと勘違いして走って捕まえた。 それが縁で鯨樹に顔と名前を覚えられた。言動がオーバーで個性的なため、柊には「変態男」と呼ばれるほど苦手意識を持たれている。

御州那 (オスナ)

「風雪の果て」に登場する。有名な登山家で、口ひげと顎ひげを豊かに蓄えた中年の男性。葉山と石田とは同じ山岳クラブに所属している。厳冬期に、現地の人も躊躇する険しいルートの奥槍岳の北尾根を7日間で縦走する予定で、食料の予備も3日分しか持たずに石田と入山した。予定期間を過ぎても戻らない二人に対し捜索願いが出された3日後、一人で雪山を彷徨っているところを鯨樹雄に発見される。 記憶を一部失っており、どうして石田と別れたのかまったく覚えていなかった。葉山は御州那の後輩だが、単独で下山し発見された御州那を、石田を見捨てたのではないかと疑っている。

石田 (イシダ)

「風雪の果て」に登場する。優しい顔だちの青年で、御州那と葉山とは同じ山岳クラブに所属している。技術は未熟で経験も浅いが、目標を与えてやればどんな努力も惜しまずやり遂げる実直で素直な性格で、ひたむきな努力家。奥槍岳の北尾根を7日間で縦走する予定で、先輩の御州那のパートナーに選ばれた事を光栄に思っている。その反面で実力不足な自分は足手まといになるならば置いて行かれても仕方がないとも考えていた。 下山する事は叶わず、雪山で遺体となって発見される。外傷はなく、御州那と身体をつなぐ役割を果たすはずのザイルは切られた状態だったために、自力で一人下山した御州那が石田を置き去りにしたと誤解を招いた。

葉山 (ハヤマ)

「風雪の果て」に登場する。髪型をセンター分けにした、目つきのきつい青年。石田と御州那と同じ山岳クラブに所属している。経験も技術も石田を上回る、天才肌の登山家。御州那の後輩でもある。御州那の事は先輩と呼んでいるが、石田をパートナーに選び、無事に帰還させてやれなかった事で御州那を激しく非難する。

早坂の父 (ハヤサカノチチ)

「おもちゃの修理承ります」に登場する。早坂貢の父。いつも怒鳴ってばかりの厳しい父親だった。早坂が10才の時に亡くなっているが、最期まで笑った顔を見た事がないと早坂は振り返っている。鯨樹雄のおもちゃ屋に、早坂は早坂の父から貰ったおもちゃを持ち込んだ事で父親との日々を思い出した。5歳の誕生日に早坂に贈った汽車のおもちゃは、最初から車軸が曲がり塗装のはげたものだった。

中原 康志 (ナカハラ ヤスシ)

「沈黙の結末」に登場する。黒髪を五分刈りにした、がっしり型の体格の青年。3年前の高校生の時にバイクの無免許運転で人を死なせてしまった過去があり、それ以来運転はしないと固く自分を戒めている。遺族へ手紙を欠かさず送り、毎月会いに行き、賠償金を払い続けている。友人のタツヤの励ましがあって、罪から逃げずに向き合う事ができていると、タツヤに感謝している。

タツヤ (タツヤ)

「沈黙の結末」に登場する。実家の酒店「やまだ酒店」で働いている。長髪を首の後ろで束ねている青年。中原康志の友人で、彼が高校生の時にバイクで人身事故を起こし、人を死なせてしまった事の罪の重さに耐えられず、遠くに引っ越そうとしていたところを引き留めた。どこへ逃げてもやってしまった事は変わらないだろうと説得したが、自身が女性を轢いてしまった時には適切な救助活動をせずに逃げ出してしまった。 明るく朗らかな性格ながら、交通事故の加害者になり犯してしまった罪の重さから部屋に引きこもるなど、打たれ弱い一面も持つ。

拓郎 (タクロウ)

「目撃者」に登場する。隣のマンションの女子大生の部屋を覗いていた時に偶然ひき逃げ事故現場を目撃した少年。自分の証言で沢山の大人が関心を示し、クラスメイトにも注目された事で有頂天になっている。自分の提供した情報で犯人は捕まるかもと勿体をつけて自慢していた。注目される事を単純に喜んでいたが、真犯人に狙われるのではないかとクラスメイトに言われて一転し不安になるお調子者。 目撃者は彼一人だったため、その証言は重視されたが、彼が目撃したとされる車は多数の捜査員を動員したにもかかわらず見つからなかった。

神山 伸雄 (カミヤマ ノブオ)

「目撃者」に登場する。拓郎の通う学校の教師を務めている中年の男性。夜間に自分の車で人を轢いてしまったが、そのまま逃げてしまう。事故を起こした車を入念に洗い、平然と授業にも出ていた。しかし、事故当夜と同じ柄のジャケットを着用して学校に通勤していたため、拓郎に怪しまれてしまう。

富良野 (フラノ)

「世界一不運な飛行士」に登場する。「パシフィックエアライン」の副操縦士を務めている。見た目はフランケンシュタインのような怖い顔をしている青年。あだ名は「フランケン」で、職場のみんなもそう呼んでいる。非常にうっかり屋で、ミスが多い事は職場内でも認知されている。しかしキャビンアテンダントの羽生は、富良野のまじめな性格を密かに認めており、将来立派な機長になれると考えている。 運も悪く、富良野が機長に勧めていた機内食が食中毒の原因となり、マシントラブルを抱えた中で操縦する羽目に陥った。

羽生 (ハニュウ)

「世界一不運な飛行士」に登場する。「パシフィックエアライン」のキャビンアテンダントの若い女性。富良野の同僚でよく彼に話かけている。首の後ろに大きなリボンを付けている。富良野の努力家なところをよく見ており、将来立派な機長になれると信じている。思った事はストレートにぶつける性格で、激するとつい口よりも手が先に出てしまうタイプ。 トラブルに遭いうろたえるだけの富良野に対し、多数の乗客の命を預かっているんだからと、顔面を拳で殴って喝を入れた。

ボス (ボス)

「飛行場猫の事件簿」に登場する。飛行場の飼い猫で、20年以上そこで暮らしている。ボスという名前があるが、今では「じいさん」や「クソネコ」呼ばわりされている。名前を知っているのは11年前に内閣官房特命事故調査官になったばかりの初仕事で飛行場にやって来た鯨樹雄だけ。鯨樹の初仕事は、ボスが好きだったパイロットのジョーが操縦する飛行機が海に落ちた原因を調査する事だった。 因みに鯨樹には未だに子猫扱いされているので複雑な気持ちを抱いている。フライドチキンが大好きだったが、ジョーとの思い出に留めておくと決め、ジョーの死後は口にしなくなった。

ジョー (ジョー)

「飛行場猫の事件簿」に登場する。飛行場のパイロットの青年。11年前、飛行場に住んでいる猫のボスとよくフライドチキンを食べていた。ボスを人間と同様に扱い、人と接するように話しかけていた。初めて一人で小型飛行機を空輸する単独野外飛行時に海上に墜落してしまい亡くなっている。パイロット仲間には操縦が下手だったから落ちたのだろうと決めつけられ、ろくに調査もされないまますべての責任を負わされそうになった。 しかし、鯨樹雄の調査とヒントを与えてくれたボスのお陰で機体に問題があった事が判明し、ジョーの名誉は回復された。

駅長 (エキチョウ)

「闇のすきまから…」に登場する。禿頭で小太りの中年男性。駅長を務めている。運行時刻を守る事を優先するあまり、安全への配慮がおろそかになっていた。男の子の母親がつい2か月前にドアに手を挟まれ、引きずられて亡くなっているにもかかわらず、ドアの開閉の設定をまったく変えていなかった。安全対策は部下を厳しく指導し、それをもって再発防止とするつもりだった。

駅員 (エキイン)

「闇のすきまから…」に登場する。ショートカットの髪型をした面長の顔が特徴の青年。駅のホームに立ち、駆け込み乗車などの防止、発車時の目視確認をする役割の駅員。車輌から女の手がでたまま発車している怪事件の目撃情報が多数寄せられて困っている。駅員自身は、鯨樹雄が調査に来るまでそれを一度も見た事がなかった。しかし鯨樹が駅長室に最終電車の時間まで残っていた時に、ドアから突き出た女の手首を実際に目撃する。

男の子 (オトコノコ)

「闇のすきまから…」に登場する。小学生くらいの男の子。2か月前に母親が列車に手を挟まれたまま引きずられて亡くなっている。その事を恨み、駅にいるやつはみんな死んでしまえばいいと思い復讐を計画している。その方法は発車間際の車内に入り、ドアに側灯が点灯しない大きさの空き缶を挟んで隙間を作ったまま発車させ、作りものの手を出して駅員がそれを摑もうとした途端手を引っ込めて缶を蹴り出し、駅員らをドアに挟むというもの。 鯨樹雄に仕掛けを見破られ、説得された事で復讐心を捨て去った。

杉山 (スギヤマ)

「安全の死角」に登場する。肩下まである長髪を流し、眼鏡をかけた青年。「次世代自動車構想研究所」に所属し、究極の安全装置を開発するプロジェクトのリーダーを務めている。緊急事故回避システムを組みこんだ自動車の実験の立ち合いに鯨樹雄を招いた。かつて妹が酒酔い運転の犠牲になっており、その経験から人は不完全な生き物で、どんな人間でも間違いがあるが、杉山自身の作ろうとしているシステムは絶対に安心できると豪語していた。 しかし実験車両に潜り込んでいた柊の携帯ゲーム機でシステムが誤作動したため、最終的に鯨樹と杉山は身体を張って制御不能になった実験車両から柊を助け出した。その事から、機械任せでなく人間中心の安全システムを作ると宣言した。

たかし (タカシ)

「禁じられた遊び」に登場する。小学校の高学年くらいの男子で、悪ガキ集団「TK団」を率いる。片耳にイヤーカフを付け、髪を逆立てている。坂道の上からスケートボードで勢いをつけて滑り降り、車道を突っ切るような危険な遊びに熱中している。「TK団」のメンバーたちからは「リーダー」と呼ばれている。ちなみに「TK団」に入団できるのは、名前がTかKで始まる事、秘密を守る事、命をかける事の三つが「入団しかく」に掲げられている。 風呂屋の煙突からロープを渡して滑り降りたり爆弾まで作ったりと、近所の大人たちも彼らには手を焼いている。鯨樹雄の車に落書きをしたり、廃棄物を投げ込むなどの行きすぎた悪戯をしているが、廃ビルに取り残されたのぶおの救出のためには、TK団のメンバー5人総出で団結力を発揮した。

のぶお (ノブオ)

「禁じられた遊び」に登場する。小学校高学年くらいの男子。親がしつけと教育に厳しく、塾通いをしている。たかしやとおるらの悪ガキ集団「TK団」に憧れており仲間に入りたいと思っているが、なかなか言いだせずにいる。そのため「TK団」のメンバーからは「スパイ野郎」とあだ名を付けられている。

とおる (トオル)

「禁じられた遊び」に登場する。小学校高学年くらいの大きな眼鏡をかけた少年。襟足を刈り上げた坊ちゃんヘアにしている。悪ガキ集団「TK団」のメンバーの一人。火薬を使い、手製の爆弾を作っている。しかし近所で噂されている危険な爆弾までの火力のものは作れたためしがない。取り壊しの決まった廃ビルに閉じ込められたのぶおを助けるために作った爆弾が、これままでで一番の火力のものだった。

アキオ (アキオ)

「台本外の事件」に登場する。口の上にほくろのある青年。学生時代から10年間、同じメンバーで低予算ながらも情熱の詰まったバイク映画「バトルライダー」を撮影していた。アキオはカメラマンを務めており、ライダー兼助監督兼脚本家のケイの運転するバイクの後ろに乗り、後ろに続くバイクの集団がカーブの多い峠道を走行するシーンの撮影をしていた。 運転はケイに任せていたが、バイクがダンプカーにぶつかった事で命を落とす。ケイに対して、脚本のアラは自分のカメラワークで補ってやると明るく励まし、映画の撮影を楽しんでいた。

ケイ (ケイ)

「台本外の事件」に登場する。短い髪をオールバックにした青年。学生時代から10年間、同じメンバーで低予算ながらもこだわりを持った映画「バトルライダー」の撮影をしていた。カメラマンのアキオを後ろに乗せ、そのあとに続くバイクの集団がカーブの多い峠道を走行するシーンの撮影をしていた。ダンプカーと接触してしまいアキオはその事故で亡くなってしまうが、ケイはその時のショックで事故の前後の記憶がまったくない状態で目覚めた。 事故の責任を自分がすべてかぶれば映画の撮影は再開できると考えて、記憶が戻ったと噓の証言をした。

杉山 てつお

「小さな同居人」に登場する。登場回以降、複数のエピソードに登場する。つながっている眉毛が特徴の小学生男子。九州地方のなまりのある喋り方をする。両親が事故で亡くなった事から、両親の仕事仲間だった鯨樹雄に引き取られた。柊とは最初なかなか打ち解ける事ができずにいたが、壁の中に入ってしまった子猫を助けるために、一人では持ち上げられないハンマーを柊と二人で支えて壁に大穴を開けて猫を救った事から仲よくなった。 今では苦手だった猫も好きになっている。

少年の幽霊 (ショウネンノユウレイ)

「警告」に登場する。10代前半くらいに見える男の子で、身長140センチくらい。ストレートの黒髪でやせ気味、白シャツに黒っぽいズボンを履いている。鯨樹雄が事故の多発するカーブの調査をしている時に出会った。鯨樹がそんな特徴の子供が近所にいないかと現地の警官に聞いたところ、村には年寄りばかりで少年は住んでいない事から、見間違いではないかと言われる。 鯨樹ははっきりと姿を見ており、会話もしたが不思議な事にテープ・レコーダーの音声は消えていた。40年前に山崩れで行方不明になった少年だったのかもしれないと、鯨樹は結論づけている。

(カズ)

「危険な人気者」に登場する。ショートカットの黒髪に眼鏡をかけた青年。お笑いコンビ「スライス」として卓といっしょに活動している若手の芸人。危険な目に遭い、悲鳴を上げる姿がウケて人気になった。今の仕事をつかむまでは電車賃にもならないほどのギャラでその日暮らしをしていたため、そんな生活に戻りたくないと身体を張り続けている。 しかし、鯨樹雄に、そんなファンは自殺志願者を見に来るヤジ馬と同じだと忠告され、現状を考え直しはじめる。

(タク)

「危険な人気者」に登場する。明るい髪色の青年。お笑いコンビ「スライス」として和といっしょに活動している若手の芸人。危険な目に遭い、悲鳴を上げる姿がウケて人気になった。今の仕事をつかむまでは、いつ事務所からライブの仕事が入るか分からないため長期のバイトもできず、ライブのギャラも電車賃にも満たないほどでその日暮らしを続けていたため、今の人気を維持したいと身体を張り続けている。 しかし、鯨樹雄に、そんな芸風でついてくるファンは自殺志願者を見に来るヤジ馬と同じと忠告され、身の振り方を考えはじめる。

キヨヒデ (キヨヒデ)

「丘の上の隠れ家」に登場する。前髪が長めのマッシュヘアの小学生の男子で、杉山てつおのクラスメイト。運動も勉強も苦手なため、クラスメイトの男子数名から「カス」呼ばわりされていじめられていた。身体が大きく力の強いつよしが数名を引き連れキヨヒデをいじめるのを、クラスメイトは見て見ぬふりをしていた。そんな中、てつおだけは義憤にかられてキヨヒデをかばい続けた。 それからキヨヒデとてつおは仲よくなり、キヨヒデはてつおを学校の裏の丘の上に作った隠れ家に案内した。やりかえしたらどうかと提案するてつおに、殴れば相手が痛い思いをするからと断った心優しい性格の持ち主。

つよし (ツヨシ)

「丘の上の隠れ家」に登場する。杉山てつおの通う小学校の同級生。ふくよかな体格で身長も高く、てつおよりも頭一つ大きい。同じクラスのキヨヒデがクラス対抗の駅伝での走りが遅く、ビリになってしまった事でキヨヒデをいじめていたが、かばったてつおも殴りつけた。二人がいじめてもへこたれないために嫌がらせをエスカレートさせ、彼らが学校の裏の丘の上に作っていた隠れ家を夜中に壊しに行った。 その帰りに、底に割れたガラス瓶などが堆積して危険な状態の古井戸に落ち、穴の半ばで手足を踏ん張って耐えていたところをキヨヒデとてつおに助け出された。

寺内 (テラウチ)

「血液を運べ!!」に登場する。眼鏡をかけた中年の男性で、洋服屋を営んでいる。パチンコ屋の景品交換所を襲い、現金を強奪しようとした。心臓病の娘の手術費用のために3000万円がどうしても必要で、綿密な準備をしたうえで強盗したものの、景品所から奪った金は6万円しかなかったため途方にくれていた。そんな時に、特殊な血液を輸送中の鯨樹雄と出会い、血液と引き替えに3000万円を要求する事に計画を変更した。 娘のためならほかの子供を犠牲にしても構わないと強がっていたが、輸血を待ち苦しんでいる少女を見て改心する。

木野 さやか (キノ サヤカ)

「疑われたてつお」に登場する。杉山てつおの通う小学校のクラスメイトの女子。学年一の美人で性格もよく、運動神経も頭もいい人気者。しかし跳び箱だけが苦手で、体育の授業中に失敗してしまい注目を浴びてしまう。てつおが美人を鼻にかけて女王様気取りだと悪口を言っていたのを聞いてしまい、目に涙を浮かべるほど傷ついてしまう。しかし、それを引きずる事もなく自分からてつおに話しかけるなど、芯の強い優しい心の持ち主。

三島 卓人 (ミシマ タクト)

「真実を変える男」「海の王者」「クジラ死す!?」に登場する。「事故鑑定人」を名乗る若い男性。ストレートの長髪を首の後ろで一つに括っている。依頼人の都合のいいように真実を変える事も平気で行い、慢心した依頼人が同じ事故を起こしてしまっても意に介さないドライな性格。「海の王者」では本職は指揮者だと明かしており、鯨樹雄と共に豪華客船「タイタニックⅡ世号」の事故現場に居合わせた。 「クジラ死す!?」では、三島卓人自身の「民間の事故調査官」という肩書を柊に説明し、生き残った者のためにしか動かないと自分の独自のスタンスを語っている。

エリオット・グラント (エリオットグラント)

「海の王者」に登場する。豊かな口ひげと顎ひげを蓄えている年配の男性。豪華客船「タイタニックⅡ世号」のオーナーで、祖父はタイタニック号の開発スタッフだった。祖父に代わってタイタニックを復活させる事が夢だった。乗客はエリオット・グラントの事を「オーナー」と呼んでいる。念願が叶い、タイタニックⅡ世号の処女航海で日本から香港へ向かう便に鯨樹雄を招いて安全性を明言してもらおうとした。 しかしチーフエンジニアのミック・カキハラには、コストダウンの要求をしつつも安全面も保つようにと強く要望していた。一方で、ミックには無断で船全体の材質の強度を落とし安全性を犠牲にしてまで無謀なコストダウンを行っていた。プライドが高く、傲慢な振る舞いをする事も多いが、息子のように育ててきたミック・カキハラには本当は心の優しい人だと思われている。

ミック・カキハラ (ミックカキハラ)

「海の王者」に登場する。眼鏡をかけた青年。父親がエリオット・グラントの運転手を務めていたが、両親は突然の事故で他界してしまった。一人残されたミック・カキハラはエリオットに引き取られ、息子のように育ててもらった恩がある。タイタニックⅡ世号の運航管理システムの開発者であり責任者でもある。船の強度を何度も計算し、有事の際にも沈まないように工夫するなど設計に精通していた。 船外灯をすべてつけるなど、想定を越えた電力を使用するような気まぐれな決断を無断で行うエリオットに振り回されつつも、必死に船の安全を確保しようとする。船から乗客が安全に避難できるだけの時間を作るために的確な判断をし、船が沈むのは避けられなかったが、犠牲者は一人だけに留める事に成功する。

山根 剛 (ヤマネ ツヨシ)

「氷解」に登場する。北岐阜大の助教授で、気象学者でもある中年男性。父親は山岳救助の活動中に死亡してしまったため、無謀な雪山での登山で遭難する人たちを軽蔑している。自分勝手な登山者の命を救うために死んだ父親も軽蔑すると言い放つが、鯨樹雄に父親の気持ちを知ろうともしないかわいそうな人だと言われる。その言葉に父親の葬儀を思い出した山根は、多くの参列者が訪れたがその人たちのために父親は死んだと考えると憎しみの方が勝ったと回想する。 登山経験は乏しいが、今回鯨樹に同行したのは周囲の人たちに実際の雪山はデータ以上のものを与えてくれると勧められたからだった。遭難し衰弱した木村由美から感謝の言葉をもらい、その手の冷たさに触れ、生き延びてほしいと心から願い全力で彼女の救助にあたった。

三山 潤子 (ミヤマ ジュンコ)

「氷解」に登場する。ショートカットの髪型をした若い女性。同じ大学に通う友人の木村由美に誘われて雪山へやって来た。由美が登山中に滑落し動けなくなったため、救助を求めて自身もまた遭難しそうになっていたが鯨樹雄に助けられた。迷惑をかけてごめんと謝る木村に対し、貴重な経験ができて感謝しているくらいだと笑顔で答える、落ち着いた優しい性格の持ち主。

木村 由美 (キムラ ユミ)

「氷解」に登場する。黒髪の若い女性。同じ大学に通う友人の三山潤子を誘って雪山にやって来たが、その登山中に滑落し身動きの取れない状態になる。一時的に低体温で心肺停止になり危険な状態だったが、鯨樹雄が的確な処置を施した事で一命をとりとめる。

ナギ (ナギ)

「ナギの島」に登場する。長い髪を首の後ろで三つ編みに束ねた若い女性で、柊にそっくりの容姿をしている。父親はつぶら島の外からやって来た元船員で、船の事故で漂着し看病した母親と結婚した。父親が寂しそうに海を見る姿から、本音は帰りたがっている事をナギは感じていた。父親が見たがっていた外の世界を自分も見てみたいと、飛行機事故で不時着した鯨樹雄に機体が直ったら同行したいと直訴した。 ナギに求婚していたイサはそれを聞いて、ナギをつぶら島に留めるために鯨樹の飛行機の部品の一部を持ち去ってしまう。

イサ (イサ)

「ナギの島」に登場する。よく日に焼けた青年。つぶら島にある「イズナ村」の村長の息子で、ナギの事が好きで夫婦になりたいと思っている。ナギがつぶら島の外からやって来た鯨樹雄を救助し、鯨樹に飛行機が修理できたら自分も同行したいと願い出た事を知り、足止めのために飛行に必要な部品を抜き取って隠し持っていた。 鯨樹が来てからナギがおかしくなってしまったと鯨樹に怒りをぶつけるが、その後自分が火山ガスを吸って意識不明で倒れていたのを助けられ、鯨樹の事を認めるようになる。ナギに自分の気持ちを押し付ける事もせず、最終的にはナギの気持ちを考え、鯨樹といっしょに送り出そうとした。根は優しい思いやりのある人物。

村長 (ソンチョウ)

「ナギの島」に登場する。つぶら島にある「イズナ村」の人々から信頼されている初老の男性。つぶら島にやって来て、村を今の姿にまで発展させた。村人からは「長老」とも呼ばれている。息子はイサ。生きた証と等しい村を捨てる事を恐れ、これまでの暮らしを続ける事に固執している。今までは噴火した事がなかったため、鯨樹雄が噴火が近いと警告しているのを聞き入れようとしなかった。 息子のイサが新しい村を創って見せると言った事に心を動かされ、ようやく村を捨てる決心を固めた。

杉山主任 (スギヤマシュニン)

「ラッコの宝物」に登場する。「国際自然水族館」で主任を務めている中年の男性。鯨樹雄の知人で、柊や杉山てつおにラッコの餌やり体験をさせてあげたり、巨大水槽の裏側を見せてあげたりと歓待し、自ら案内して回った。

榎木 (エノキ)

「春の洪水」に登場する。口ひげを生やした柔和な表情の年配の男性。カナダのオルニア村に「オルニア村保養センター」を建設した。娘のリサと、カナダのパートナー企業の社長の息子ジャックとの婚約に最初は大賛成していたが、ジャックの人柄が傲慢で横暴なため困っている。洪水被害に遭いみんなが不安でいる中、鯨樹から預かった柊が沈んだ様子なのを見て勇気づけるなど、気配りのできる紳士的な人物。

リサ (リサ)

「春の洪水」に登場する。長い髪の若い女性。榎木の娘で、榎木のパートナー企業の社長の息子ジャックと婚約している。しかしジャックは、ほぼ初対面の杉山てつおを嫌な奴だと口にするほど意地の悪い男で、リサは実際は幼なじみで実直な「オルニア村保養センター」の設計者・岸勇二を好ましく思っている。洪水の被害に遭い、「オルニア村保養センター」内に閉じ込められた時に慌てふためき文句ばかり言い、みんなを危険に晒したジャックとの婚約を解消した。

岸 勇二 (キシ ユウジ)

「春の洪水」に登場する。つねに口元に微笑みを浮かべている温和な青年。「オルニア村保養センター」の設計者で、そのオーナーの榎木の娘リサの幼なじみ。「オルニア村保養センター」の傍にあるダムの調査にやって来た鯨樹雄に、娘の婚約者のジャックよりも先に紹介されるほど、榎木とリサから好印象を抱かれている。ジャックにきさま呼ばわりされてもつねに穏やかな口調で会話する落ち着いた人物。

ジャック (ジャック)

「春の洪水」に登場する。髪を七三分けにした若い白人の男性。榎木のカナダにおけるパートナー企業の社長の息子で、娘のリサの婚約者。横柄な人柄で、オープン前の榎木が手掛けた「オルニア村保養センター」に逗留していたが、リサの幼なじみで「オルニア村保養センター」の設計者でもある岸勇二をあからさまに見下し、蔑む発言を連発した。 洪水被害に遭った際には救助ヘリに気づいてもらおうと焦るあまり、閉じ込められた「オルニア村保養センター」に火を放ちみんなを危険に晒した。その後、詫びも反省もしなかった事からリサに婚約を破棄された。

ヤス (ヤス)

「狙われたクジラ」に登場する。センター分けにしたおかっぱ頭の黒髪に口ひげを生やした中年の男性。アニキと工場勤めをしていたが、親会社の指示通りの工事が、鯨樹雄の調査報告書で手抜き工事だと明るみに出て、工場は閉鎖状態になってしまった。そこで、無理にでも調査報告書を書き直させるために鯨樹を拉致しようとしている。アニキから誘われて行動を起こしたもので、ヤスは途中までその意図や目的を理解していないまま付き従っていた。 足を縛れと言われて鯨樹ではなくアニキの足を縛るほどのとぼけた性格の持ち主。

アニキ (アニキ)

「狙われたクジラ」に登場する。もじゃもじゃのヘアスタイルに口ひげとたらこ唇が特徴の小太りの中年男性。ヤスと工場勤めをしていたが、親会社の指示通りの工事が、鯨樹雄の調査報告書で手抜き工事だと明るみに出て、工場は閉鎖状態になってしまった。そこで、無理にでも調査報告書を書き直させるために鯨樹を拉致しようと付け狙っている。 だがうまくいかないまま、鯨樹の友人で来日中行動を共にしていたグロム=スカラニコフを暗殺しようとしていた狙撃手が身を潜めていた場所に鉢合わせしてしまう。ヤスのうっかりした言動のとばっちりを喰う事が多い損な役回りの人物。

グロム=スカラニコフ

「狙われたクジラ」に登場する。軽装で親しみやすい物腰の中年の男性。15年前に日本に留学していた時から、鯨樹雄と付き合いがある。トルメニアの次期大統領候補で、現職の厚生大臣ながら極力警護を遠ざけて身軽に過ごしている。初対面の杉山てつおにおっさんと呼ばれても平気で笑っている気のいい人物。

狙撃手 (ソゲキシュ)

エピソード「狙われたクジラ」に登場する。よくガムを嚙んでいる若い短髪の青年。鯨樹雄を尾行し、鯨樹と接触すると予測されていたグロム=スカラニコフを暗殺する事を最終目標としていた。駐車場の隅で、杉山てつおに車内から計画の途中報告をしているところを聞かれてしまい、口封じのためにてつおを車中に縛って閉じ込めた。

伊藤 おさむ (イトウ オサム)

「おさむの海」に登場する。高校2年生の男子。海が好きで、伊藤おさむの父のような漁師になりたいと願っている。だが父親からは勉強していい仕事に就くように勧められており、父親は自分をまったく認めてくれていないと寂しく思っている。我慢の限界に達した伊藤おさむが父親に感情をぶつけた際に、漁師以外のほかの世界でも成功できると思っているからこそ大学への進学を勧めていた父親の本心を知る。

伊藤おさむの父 (イトウオサムノチチ)

「おさむの海」に登場する。漁労長を務めている中年の男性。息子の伊藤おさむが漁師になりたがっている事を知りながら、塾へ行って、大学へ進学するようにとしか言わない。おさむが自分の事を全然考えてくれていないと感情をぶつけてきた時に、むしろ認めているからこそ漁師以外の世界でも成功できると思っていると本心を語った。

中山 (ナカヤマ)

「放火魔を追え!」に登場する。塾の講師を務める、眼鏡をかけた青年。町内に放火事件が相次いでいるため、塾の生徒たちで見回りをしている。しかし生徒たちだけでは物騒なため、町内のみんなにも協力を願い出た。太田勇治に、自分の昔の夢だったフォトジャーナリストを目指してもらえたら嬉しいと、写真の面白さを教えた。しかし中山は火事を起こし、それを写真に残す事に快楽を感じる嗜好の持ち主だった。

太田 勇治 (オオタ ユウジ)

「放火魔を追え!」に登場する。中学3年生の男子。受験を控えている身ながら、趣味のカメラを抱えてスクープを求めて町をうろつき、家族を心配させている。塾講師の中山に写真を教わり、それからはピューリッツァー賞をとる事を夢見ている。写真を撮影して自室で現像する日々を送っている。撮影に夢中になり過ぎて、放火の現場に遭遇してもまずは撮影を優先してから、そのあとに警察に通報するような非常識な一面がある。 だが注意されれば素直に謝る、根は素直な少年。

渡辺警部 (ワタナベケイブ)

「放火魔を追え!」に登場する。江古田署の警部で、目の細い初老の男性。鯨樹雄の暮らす近所で、2か月に6件も放火事件が起きているため、付近の警備を強化している。しかしそれでも人手が足りないため、町内持ち回りで見回りを手伝ってもらっている。鯨樹が記録を洗い直し、たばこの吸い殻が原因の火事と処理されていた件も放火の可能性がないかと報告するが、却下している。 最近引っ越して来た放火の前歴がある男性を容疑者として逮捕するが、その後も不審火は発生し、鯨樹の意見を再度見直す。

多田 清英 (タダ キヨヒデ)

「クジラ死す!?」に登場する。センター分けの髪型で、眼鏡をかけている青年。今年採用になったばかりの内閣官房特命事故調査官。先輩の鯨樹雄に連れられて由田トンネルの調査にやって来る。現地の保線区員の松浦の話を事故調査に関係ない事だと高飛車な態度で遮ったりと生意気な態度をとり、鯨樹に戒められている。

松浦 (マツウラ)

「クジラ死す!?」に登場する。定年間際の小太りな年配の男性。髪の生え際はかなり後退している。由田トンネルを含む区間の保線区員を務めている。トンネルが老朽化して危険な状態である事は知っているが、上司に報告してもすぐに対策を取ってもらえなかった不満を飲み込んで仕事に従事している。しかし、トンネルが崩落直前の危険な状態だと聞かされても鯨樹たちに進んで協力する、正義感強い人物。

ジョージ・セビル (ジョージセビル)

「クジラ死す!?」に登場する。がっしりとした体格の中年の男性。三島卓人の友人で発破のプロ。鯨樹雄がまだ生きていると信じている三島が由田トンネルに連れて来た。しかし現地の地盤が軟弱過ぎて、発破をかけるのにはリスクが大きすぎると判断し手をこまねいている状態となる。昔のSLの排気口を見つけ、そこからトンネル内部に侵入しようと試みた際にコンクリで塞がれていた箇所を爆破した。

場所

岩鼓摩島 (イワコマジマ)

鯨が身体を岩に擦りつける「岩擦り島」が転じて名前になったといわれるほど、鯨がよく見られる海域にある静かな小さな島。大ホテルの建築計画が進んでいるために環境を守りたい反開発派の島民と、景気がよくなる事を歓迎する開発派の島民とに分かれていさかいが絶えない状態になっている。鯨樹雄は島への交通手段のホエールウォッチング兼用高速ジェットフォイル(水中翼船)が転覆した事故の調査にやって来た。

スペースシャトル・パシフィック (スペースシャトルパシフィック)

若松公士が乗った、アメリカが打ち上げたスペースシャトル。世間的には観測衛星の回収が目的と報道されていたが、実際のミッションの内容は30年前旧ソ連が打ち上げた「ソユーズ型機」の有人探査船の回収だった。今回のシャトルの本来の目的は、米露が協力しその残骸を回収処理する事だった。旧ソ連が打ち上げ、事故を起こして帰還できなくなった有人探査船「ソユーズ型機」の中には当時の宇宙飛行士ウラジミール・イワノフの息子が、今もなお閉じ込められたままである。 プログラム通りにミッションを進めていたスペースシャトル・パシフィックだったが、回収目的船が長年太陽風に晒されていたため帯電しており、シャトルのアームが接触した際に超高圧電流が流れ込んで燃料タンクの配線がショートし、酸素漏れが発生した。

タイタニックⅡ世号 (タイタニックニセイゴウ)

「海の王者」に登場する。乗員乗客あわせ乗船人数3028名の世界最大級の豪華客船。全長286メートル、総排水量73219トン。全客室が一流ホテルのジュニアスイート並みの豪華さを持つ仕様が自慢。船内に映画館やスポーツジム、図書館、ショッピングモール、ゲームセンター、2つのプールを有する。通常に比べかなりコストダウンして建造されている。 オーナーのエリオット・グラントの祖父が「タイタニック号」の開発にかかわっていたため、祖父に代わってタイタニックを復活させたかったとの動機で作られた。最新の運行集中管理システムにより、船内の電力の供給を一括コントロールしている。コンピューターの計算上は船内の電気使用量は最大使用量の60%は超えないと算出されたため、発電機を船内の最大電力量の70%を賄えるものに小型化している。 建造費とメンテナンス費がこれによって抑えられ、安全性を確保したうえでコストダウンに成功したとシステム開発者のミック・カキハラは自信たっぷりに語った。しかし、予測を超えた電力を消費してしまったために発電機が発火し、それを隠蔽しようとするオーナーの手前、消火活動は小規模にしかできず、次々に事態は悪循環を見せ始める。

つぶら島 (ツブラジマ)

鯨樹雄が飛行機の事故で不時着した島。レトロな雰囲気が漂う島で、電気も電話もなく、真ん中に湖がある。定期便のようなものもなく、水道も通っておらず、島民は自給自足で生活をしている。島民たちは和服を身につけている。島の中央の湖は噴火口に水が溜まってできるカルデラ湖で、鯨樹が不時着をしてから数日で井戸水からイオウの匂いがするなど、活発な火山活動の兆しを見せ始める。 それを村人に説明したがなかなか理解してもらえず、やっと村人が避難を始め、島を船で離れ始めた直後に激しく火山は噴火した。

オルニア村 (オルニアムラ)

カナダにある保養地。冬はウインタースポーツで賑わう村だが、春先などのオフシーズンには閑散としている。鯨樹雄は、老朽化が心配されるダムのそばに新しく作られ、今はプレオープン状態の「オルニア村保養センター」のオーナーの榎木から上流のダムの調査依頼を受け、柊と杉山てつおを伴いやって来た。「オルニア村保養センター」は高級ホテル並みの設備を備えており、榎木はカナダに来た日本の留学生やビジネスマンに一年中使ってもらえるような保養所を目指したと鯨樹に語っている。

由田トンネル (ヨシダトンネル)

戦前、昭和10年に造られた全長1.2キロのトンネル。トンネルの構造は、わき水が出るため両端の入り口から中心に向かって登っていて、「へ」の字形に屈曲している。地盤が軟弱で、トンネルを作るには不向きな土地だった。3年前に一度崩落しかかっており、その際に補強工事を行うよう内閣官房特命事故調査官が勧告している。トンネルの入り口の脇には、トンネルを掘る際に生き埋めになってしまった犠牲者のための慰霊碑が建っている。 そのために別名「死神トンネル」と呼ばれている。トンネルの中ですすり泣く女の子を見たとの噂もある。列車が通り過ぎただけで壁面が剥落するなど、トンネル内で列車がすれ違った時の風圧に耐えられない状態にある。報告は現場から上に上がっているものの、老朽化が進んでいるトンネルは日本にたくさんあり、対策は進んでいない。

その他キーワード

内閣官房特命事故調査官 (ナイカクカンボウトクメイジコチョウサカン)

内閣直属の調査官。あらゆる事故を捜査する事ができ、令状なしの家宅捜索も許される大きな権限を持つ。「テディベアは見ていた」の事故の再現実験では、事故で空中で爆発してしまった旅客機の同型機を用意し、事故の様子を再現させた。国家予算を使う権限さえ与えられている。

書誌情報

アクシデンツ 全12巻 小学館〈少年サンデーコミックス〉 完結

第1巻

(1996年6月発行、 978-4091250315)

第2巻

(1996年9月発行、 978-4091250322)

第3巻

(1996年11月発行、 978-4091250339)

第4巻

(1997年2月発行、 978-4091250346)

第5巻

(1997年5月発行、 978-4091250353)

第6巻

(1997年9月発行、 978-4091250360)

第7巻

(1998年1月発行、 978-4091250377)

第8巻

(1998年3月発行、 978-4091250384)

第9巻

(1998年6月発行、 978-4091250391)

第10巻

(1998年8月発行、 978-4091250407)

第11巻

(1998年11月発行、 978-4091255211)

第12巻

(1999年1月発行、 978-4091255228)

アクシデンツ 全7巻 小学館〈小学館文庫〉 完結

第1巻

(2012年8月10日発行、 978-4091938244)

第2巻

(2012年9月15日発行、 978-4091938251)

第3巻

(2012年10月13日発行、 978-4091938268)

第4巻

(2012年11月15日発行、 978-4091938275)

第5巻

(2012年12月15日発行、 978-4091938282)

第6巻

(2013年1月12日発行、 978-4091938299)

第7巻

(2013年2月15日発行、 978-4091938305)

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