おもたせしました。

おもたせしました。

自らのチョイスで手土産を選び、取引先や友人、知人宅に持っていく事を生きがいにしている轟寅子と、彼女を取り巻く人々の日常を描いた、コミュニケーショングルメ漫画。「月刊コミック@バンチ」2016年5月号から連載の作品。

正式名称
おもたせしました。
ふりがな
おもたせしました
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
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あらすじ

第1巻

轟寅子は、叔母の轟桜の仕事の手伝いで取引先に訪問する事が多く、手土産を買わない日の方が少ないほどの忙しい毎日を送っている。今日も仕事で貴重な文献を借りていた取引先の老夫婦の家へと、浅草にある「大多福」のおでんを手土産に訪問する。寅子が持って来た手土産のおでんを手渡された老夫婦は、その手土産の意外性に驚きを隠せない。しかし、老夫婦の見せた予想通りの反応に、寅子は嬉々としておでんに関してのうんちくを語り始めるのだった。(エピソード「大多福のおでん」)

早朝の6時に寅子は、叔母から依頼されて若センセイへ資料を届けるために東京大学の本郷キャンパスへ向かっていた。その道中、築地にある「松露」で松露サンドを手土産として購入する。寅子は時間通りに東京大学にたどり着き、無事若センセイに資料と手土産を届けると、若センセイからいい天気だし、いっしょに外で手土産を食べませんか、と誘われる。断りきれずに若センセイに同行してキャンパス内のベンチでのんびりと昼食を食べる二人だった。若センセイは手土産の松露サンドのあまりの美味しさに、研究室の冷蔵庫にしまってあるビールを持ち出し、酒盛りを始めるのだった。(エピソード「松露の玉子サンド」)

早めに仕事が片付き、叔母にLINEで仕事が終わったと報告を済ませた寅子は、最近友人になったタチアナが下町に引っ越して来た事を思い出す。寅子は引越し祝いの手土産に谷中にある「アトリエドフロレンティーナ」でフロランタンというクッキーを購入し、タチアナの住んでいる日本家屋へと向かった。タチアナの家にお邪魔した寅子は、手土産のフロランタンを食べながらお互いの近況報告をする。話題は寅子が疑問に感じていた、何故タチアナが下町に引っ越して来たのかという話になり、今まで知る事のなかったタチアナの曽祖父の話にまで時代が遡っていく。(エピソード「アトリエドフロレンティーナのフロランタン」)

寅子は大学時代の先輩でもある漫画家の巻毛カラ丸の住んでいるマンションに、手土産として世田谷にあるレストラン「OGINO」のパテ・ド・カンパーニュを持参し、漫画の資料を届けに向う。手土産を肴にワインで晩酌をする二人だったが、話しはカラ丸の現在連載中の作品の話題になる。するとカラ丸は流行りに便乗して描いた漫画だからと、自身の作品をデビュー当時の作風と照らし合わせ、自虐混じりに語り始めるのだった。(エピソード「OGINOのパテ・ド・カンパーニュ」)

寅子は、西麻布にある「呼きつね」のいなり寿司を持って、とある映画監督が撮影の資料として使うために借りていた団地の資料を返すために、貸出人の老婆が住む団地へと向かった。老婆の住む団地にお邪魔して、手土産のいなり寿司をつまみながら会話を楽しむ二人だったが、この団地は建替の計画があり、近日中に取り壊されてしまうという。寅子は会話の端々に寂しさを滲ませる老婆の話を聞きながら、田山花袋の「日本橋附近」というエッセイを思い出し、過去に読んだ本の話を語り始めるのだった。(エピソード「呼きつねのいなり寿司」)

取引先の相手と上野動物園で待ち合わせる事に疑問を抱いた寅子だったが、取引相手の妻に急な仕事が入ってしまい、幼い子供達の子守をしなければならなくなったという、取引相手の事情を叔母から説明されて納得する。上野にたどり着いた寅子は、「イアコッペ」で購入したコッペパンを手土産に持参し、上野動物園で取引相手に依頼されていた資料を無事に手渡す。しかしそんな安堵も束の間、元気でわんぱくな子供達に振り回される、慌ただしくも楽しい1日が始まるのだった。(エピソード「イアコッペのコッペパン」)

寅子は、昨年亡くなった名女優・麻生ジュンの娘LISAに依頼された、30年前の「レミゼラブル」の脚本を届けに行く事になった。叔母の桜から前もってLISAの大好物がチーズケーキだと聞いていた寅子は、手土産に「パティスリー ル ラピュタ」のチーズケーキを持って、稽古中のLISAの控え室を訪れる。手土産のチーズケーキに喜びをあらわにしたLISAは、ワインを空けて寅子をもてなす。チーズケーキを肴にワインを飲みながら、LISAは寅子に出演が決まった「レミゼラブル」の舞台への思いを熱く語り始めるのだった。(エピソード「パティスリー ル ラピュタのチーズケーキ」)

寅子は、仕事の依頼で菊人形の黄表紙を借りに、高円寺の「ラザニ屋」のラザニアを持参して天川理髪店へと向っていた。すると、お店の前で男性客が女主人と口喧嘩をしている場面に出くわしてしまう。男性客が出て行ったあと、恐る恐る女主人に声をかけると、女主人は快く寅子を迎え入れてくれた。女主人と手土産のラザニアを食べながら話を聞くと、さっき出て行った男性客は女主人の弟なのだと説明してくれる。弟の事が話題に上がったのを機に、女主人は弟との昔話に花を咲かせ始める。(エピソード「ラザニ屋のラザニア」)

寅子は、叔母から大晦日くらいは実家に帰りなさいと強く言われて、渋々と手土産の谷中にある「すし乃池」の穴子寿司を手に実家に帰った。出迎えた寅子の母は開口一番、寅子がまだ独り身で、男気がまったくない事を嘆きはじめる。久しぶりに会うにもかかわらずぶしつけな母の態度にうんざりしながらも、寅子は母と共に穴子寿司を食べながら晩酌をし、お互いの近況報告や昔の思い出話に盛り上がる。(エピソード「乃池の穴子寿司」)

第2巻

轟寅子は叔母の轟桜から頼まれ、美魔女で有名なピアニスト「八丈志麻」の自宅へ伺う事になる。志麻から手土産には「ガッツリしたもの」をリクエストされており、寅子は千住にある「ロティサリーイン」のホールチキンとローストポテトを持参して志麻の自宅にお邪魔する。しかし、志麻の娘を志麻本人と間違え、大失態を演じてしまう。気まずい思いをしながらも、志麻の娘と手土産のホールチキンとローストポテトを食べ始めるのだった。(エピソード「ロティサリーイン千住のホールチキンとローストポテト」)

寅子は、お得意様から野球の試合の観戦に招かれ、あまり気の乗らない桜の代わりに、中目黒にある「Groovy Nuts」のベーコンスモークドナッツを手土産に「正岡子規記念球場」へとやって来た。お得意様の奥様と無事に会う事ができ、お得意様が応援している野球チームの試合を観戦し始める二人。奥様は寅子の持ってきた手土産を大変気に入り、持参して来たビールを取り出し、炎天下の中、二人は酒盛りを始めるのだった。(エピソード「Groovy Nutsのベーコンスモークドナッツ」)

お得意先の作家・木本に貸していた資料を返却してもらうように桜から頼まれた寅子は、手土産に世田谷にある、「オーガニックハーモニー」のトマトジュースを持参し、木本宅を訪れる。木本は先日発表された直木賞の候補作に選ばれたものの落選してしまい、通算3回目の落選にひどく落ち込んでいる様子。寅子は元気づけるために、持って来ていたトマトジュースを手渡し、木本を励ますために乾杯をするのだった。(エピソード「オーガニックハーモニーのトマトジュース」)

寅子は、石垣島の離島ターミナルを経由して学会に出席するためにはるばる東京までやって来た、かつての大学時代の恩師の先生と、学会で使用する資料を手渡すために国立図書館で待ち合わせしていた。普段は手土産を渡す側の寅子だが、今日は先生から逆に手土産を頂いてしまう。国立図書館の屋上のビーチセットで頂いたばかりの石垣島にある「泡盛ゼリー本舗」の泡盛ゼリーを二人で食べながら、久々に再会した喜びを分かち合うのだった。(エピソード「石垣島泡盛ゼリー本舗の泡盛ゼリー」)

寅子は、渋谷に珍しいチーズ屋さんを見つけ、たまには桜に手土産でも買っていこうかと、「チーズスタンド」の東京ブッラータを衝動買いした。しかし、購入したあとに桜が今日人間ドックの日だった事を思い出し、急ではあるが、友人のタチアナの家に遊びに行く。寅子の突然の訪問に迷惑そうにしながらも、タチアナは寅子を家に上げて、手土産のブッラータを食べながらワインで乾杯し、いつものように酒盛りを始めてしまう。(エピソード「渋谷チーズスタンドの東京ブッラータ」)

寅子は桜の代わりに、インスタグラムやSNSで有名なカメラマン立花光の写真展に行く事になった。手土産に「wagashi asobi」のドライフルーツの羊羹を持参して写真展にお邪魔するのだが、名前の雰囲気と本人の強面な外貌とのギャップに驚いて声を上げてしまう大失態を犯してしまう。しかし、立花はそんな寅子の失態に怒る事なく、寅子の来訪を大いに喜んでくれた。そんな寛大な立花の対応に気を取り直した寅子は、手土産の羊羹を立花と二人で食べて彼との談笑を楽しみながら、写真についての話に聞き入るのだった。(エピソード「wagashi asobiのドライフルーツの羊羹」)

寅子は、かつて近所に住んでいた学生の就職が内定したという話を聞き、「ぼんご」のおにぎりと「洋食GOTOO」のコロッケを手土産に、彼の住んでいるアパートへお邪魔する。学生は20社受けて19回不採用通知を受けたものの、学生のあいだで人気の高い企業に内定していた。しかしその内情は、特にやりたい事はなく、ただ学生のあいだで人気の高い企業から順番に受けていただけだと話す。学生から見れば、好きな事を仕事にして生きがいを見出している寅子が羨ましく見えると語る。そんな学生の言葉を受けて、寅子は就職に悩んだ大学時代を思い出すのだった。(エピソード「ぼんごのおにぎり、洋食GOTOOのカニククリームコロッケとポテトコロッケ」)

桜からちょっと用があるから来てほしいと言われ、寅子は若センセイと東京湾の羽田沖で待ち合わせ、クルーズ船に乗船する事になった。寅子は、桜から若センセイからの誘いだと聞いてやって来たと話すと、若センセイは桜からの誘いでやって来たのだと話す。桜の気遣いを知った二人は、寅子が手土産に持ってきていた京橋の老舗「伊勢廣」の焼き鳥を肴にビールで乾杯し、窓の外の景観を楽しみながら、会話を弾ませていくのだった。(エピソード「京橋 伊勢廣の焼き鳥」)

登場人物・キャラクター

轟 寅子 (とどろき とらこ)

叔母の轟桜の仕事の手伝いをしている女性。黒髪のロングヘアにパーマをかけ、前髪を眉毛の上で真っ直ぐに切りそろえている。黒縁の眼鏡をかけている。つねに着物を愛用しており、さまざまな色や柄の着物を着こなす。緊張するとしどろもどろになって何も話せなくなってしまう性格から、学生時代は就職活動に積極的になれずにいた。しかし、そんな姿を見かねた叔母に仕事を斡旋してもらい、現在に至っている。 学生の頃に本屋でアルバイトをしていた事から本を読むのが好きで、文学の知識が豊富。仕事柄、毎日のように多くの取引先に足を運ぶため手土産を購入する事が多い。かつては小説家を目指していたが、今では手土産を選ぶ事が何よりの生きがいになっている。口癖は「おもたせしました」。

轟 桜 (とどろき さくら)

轟寅子の叔母。普段から着物を身につけている。大学時代、寅子が就職活動に悩んでいるという相談を受けてアドバイスを送った。何かやりたい事が見つかるまで、自分のもとで働かないかと持ち掛け、現在では自身の右腕として寅子をさまざまな取引先へと訪問させている。寅子と同様にさまざまな方面の知識が豊富。お喋りで口うるさく、毎日のように寅子にLINEでメッセージを送って細かく指示を出している。 寅子からは「さくらちゃん」という愛称で呼ばれている。

寅子の母 (とらこのはは)

轟寅子の母親。ショートカットの髪型で、黒縁の眼鏡をかけている。大きな洋館に一人で暮らしていて、以前に卵巣嚢腫で入院した事もあったが、現在は健康。寅子と同じく読書家で、過去の文豪から現代作家まで幅広く嗜む。若いイケメンが大好き。

若センセイ (わかせんせい)

東京大学本郷キャンパスで授業を受け持つ男性教授。ウェーブのかかった黒髪で、眼鏡をかけ、口の周りに無精髭を生やしている。服装は白シャツの上から白衣を羽織っている。理系分野を専門にしており、学会で自身の研究成果を発表する事もある。轟桜とは昔からの付き合いで、轟寅子には時々学会で使用する文献や資料を届けてもらうなど、仕事の取引相手でもある。 温和で誰にでもフレンドリーに接する明るい性格で、時には学校の中でも缶ビールを飲んだりと、ハメを外す事もある。寅子や桜からは「若センセイ」の愛称で呼び敬われている。

タチアナ

轟寅子の友人のイタリア人女性。金髪のボブヘアで、黒い長袖のカットソーを着用している。以前は中央線沿いに住んでいたが、曽祖父が下町に住んでいた事や、下町の情緒が好きという理由から、最近になって下町の古い日本家屋に引越してフリーランスの仕事をしている。そのため、下町近辺に取引先を多く持つ寅子が仕事上がりに遊びに来る事が多く、彼女の手土産をつまみにいっしょに酒を飲んでいる。 明るく表裏のない性格で、日本の文学や歴史に詳しい事から、寅子とは非常に馬が合う。

巻毛 カラ丸 (まきげ からまる)

漫画家の女性。ショートカットの髪型で、眼鏡をかけている。白いワンピースの下にレギンスを着用している。学園物の作品でデビューし、現在は「サムライキッチン」という幕末を舞台にしたグルメ漫画をコミック誌で連載中。以前は自宅にアシスタントを呼んで仕事をしていたが、子供を出産して、のちにシングルマザーになった事から、アシスタントには在宅で漫画を手伝ってもらっている。 轟寅子の大学時代の先輩で、寅子からは「センパイ」と呼ばれ慕われている。今も時々漫画の資料を届けてもらうなど、仕事の取引相手として交流を続けている。

LISA (りさ)

スタイルがよく容姿端麗な役者の女性。年齢は27歳。ショートカットの髪型で、タンクトップに短パンを着用している。母親は昨年亡くなった名女優・麻生ジュン。「レミゼラブル」という作品の舞台に出演する事になり、かつて母親も演じた事のあるファンテーヌとコゼット母娘の一人二役を演じる事が決まった。勉強熱心で、かつて母親が使用したレミゼラブルの脚本を入手してもらえるように轟桜に依頼し、轟寅子に届けてもらう。 好きな食べ物はチーズケーキ。

木本 (きもと)

作家の男性で、長い黒髪をオールバックにして襟足で一つに束ねている。眼鏡をかけ白い長袖シャツを着用している。轟桜の取引先の一人で、時々轟寅子に仕事で使う資料を届けてもらっている。今は自分で宣伝しないと本が売れない時代だと、担当編集者からは言われている。木本自身も色々と頑張っているが、中々ヒット作に恵まれず、苦悩する日々が続いている。 猫が大好きで、時々Twitterに愛猫の写真をアップしている。

先生 (せんせい)

沖縄に住んでいる女性教授。黒髪のボブヘアで黒縁のメガネをかけている。白い長袖シャツに黒い末広がりのパンツを着用し、白いつば広帽子をかぶっている。轟寅子の大学時代の恩師で、何年か小学校の教師をした事もあるが、現在は沖縄を中心に活動している。寅子とはプライベートだけではなく、学会に発表する資料を集めてもらう等、仕事でも良好な関係を築いている。 明るくマイペースな性格ながら、時々周囲を困らせるような言動をする事もある。

立花 光 (たちばな ひかる)

カメラマンの男性。大柄で坊主頭で鼻の下と顎にひげを生やし、半袖の柄シャツを着用している。さまざまなSNSを活用し、つねに新しい事にチャレンジしているカメラマンとして業界内では有名。プロでありながら、高価なカメラを使用する事は少なく、主に手軽で身近なスマートフォンのカメラで撮影を行っている。あまりカメラに対するこだわりがないにもかかわらず、インスタグラムでは1万以上の「いいね」がつくなど、世間での評価は非常に高く、都内で大きな個展を開く事もある。 見た目は強面ではあるが、大らかで優しい性格をしている。

学生 (がくせい)

大学生の男性。黒髪で白い半袖シャツにジーパンを着用している。以前は轟寅子や轟桜の家の近くに住んでいたが、大学生になってからは豊島区で一人暮らしをしている。就職活動を先日終えたばかりではあるが、実は特にやりたい事もなく、就職先は学生の間で人気の高い企業から順番に受けていた。仕事にやりがいを見出し、充実した毎日を過ごしているように見える寅子を羨ましく思っている。

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