アゲイン

アゲイン

年を取り家族から邪魔者扱いされていた老人・沢田元太郎が若返りの薬「アゲイン」によって少年に若返り、今までのうっぷんを晴らすかのように暴れまわるドタバタコメディー。楳図かずおの『まことちゃん』と世界観を同一としており、作中に『まことちゃん』の登場人物である沢田家の人々も登場する。「週刊少年サンデー」1971年43号から1972年5号にかけて連載された。

正式名称
アゲイン
ふりがな
あげいん
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
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あらすじ

第1巻

元大工の沢田元太郎は、息子・沢田英一を育てるために懸命に働いていたが、年老いて働けなくなり、家では家族に邪魔者扱いされて侘しい生活を送っていた。そんな中、たまたま間違いで処方された若返りの薬「アゲイン」を飲み、高校生くらいの年齢に若返る。これまで虐げられて来たうっぷんを晴らすかのように、元太郎は気にいらない家の物を壊し、家族をこき使うようになる。さらにせっかく若返ったのだからと夕陽ヶ丘高等学校に侵入し、学校の生徒・沢田フクスケの席を奪おうとするなど、やりたい放題に振る舞う。その後、元太郎は若い頃に好きだった女性・天宮有紀(祖母)に会いにいくが、彼女はほかの男性とお見合いの最中だった。そこで元太郎は、孫の沢田まことに、彼女達が何を話しているか聞いて来るよう命じる。

第2巻

お見合いをしていたのは、見た目は天宮有紀(祖母)にそっくりだが、有紀(祖母)本人ではなかった。その女性はお見合いしていた男性と別れると、着物の裾をたくし上げたあられもない姿で、自身の通う夕陽ヶ丘高等学校に走っていく。そして彼女は、友達に自分はたくさんの男性とお見合いをしており、結婚の約束をしてから、お金を貢がせていると語る。それを盗み聞きした沢田元太郎は、有紀(祖母)の家へ向かう。そこで元太郎は、自分が若い頃に思いを寄せていた有紀(祖母)が、嫁ぎ先より離縁されて苦労して病気である事、孫娘に自分と同じ名前を付けた事を知る。お見合いをしていた性悪娘は、有紀の孫娘だったのである。その後、本当の高校生になる事を願った元太郎は、夕陽ヶ丘高等学校の校長を脅し、夕陽ヶ丘高等学校への入学許可を得るのだった。

第3巻

夕陽ヶ丘高等学校に登校した沢田元太郎は、クラスメイトの女子の顔立ちをあざ笑ったり、授業中暴れ出したりとやりたい放題。困り果てた担任教師は、独特な解釈で生徒を惑わす現国の教師・前尾先生に元太郎をやり込めるように依頼する。さすがの元太郎も、前尾先生の口八丁手八丁の言動に動揺するが、怒りを爆発させ彼に襲いかかる。元太郎の剣幕に恐れをなした前尾先生は、学校の外壁の穴から逃げようとするも、穴に身体がはまり出られなくなってしまう。あげくに、壁の向こう側で待ち構えていた元太郎の孫で幼稚園児の沢田まことにおしっこをかけられるのだった。

第4巻

お昼の時間、弁当を持って来ていない沢田元太郎は、クラスメイトの弁当に鼻くそを入れて嫌がらせするなど、大暴れしていた。さらに放課後、元太郎はドテ子のいる女子レスリング部をはじめ、サッカー部や剣道部などで、部員達相手に大立ち回りを演じていた。その後、元太郎が帰宅すると自宅には元太郎の孫娘・沢田美香の友達である美少女達が待っていた。彼女達は元太郎をそのお色気で篭絡しようと考えるも、逆襲に遭って裸にされ身体中に落書きをされて逃げ出してしまう。

第5巻

夕陽ヶ丘高等学校で全国高校文化・スポーツ総合決勝大会が行われる事になった。沢田元太郎は自分がスポーツで凛々しく活躍する姿を想像していたが、夕陽ヶ丘高等学校の運動部はすべて女子しかおらず、男子の部活動は文化部のみであった。元太郎は男子と女子の立場を逆転させようと画策するが、すべてのスポーツ部でキャプテンを務める天宮有紀(孫)がこれに反発。こうして二人は、さまざまなスポーツで勝負する事になるが、元太郎の暴走により結局はうやむやになってしまうのだった。

第6巻

沢田元太郎が家に帰ると、自分とそっくりな老人がいた。元太郎は彼に対し、どちらが本物かを決めるため、蕎麦の早食い勝負を挑む。その勝負は家族の策略により、元太郎が不利な戦いを強いられる。そんな中、偽物の元太郎が実は女性である事が発覚し、思いもよらない形で収束するのだった。後日、改めて男子が運動部に参加できない事に怒りを募らせた元太郎は、男子達を引き連れ、女子剣道部に勝負を挑む。だがその際、元太郎は若返りの薬「アゲイン」を飲み切ってしまう。元太郎の活躍もあり、剣道の勝負では最終的に男子が勝利を収めるが、その試合の途中でアゲインの効果は切れてしまい、元太郎は防具姿のまま外へと飛び出す。

登場人物・キャラクター

沢田 元太郎 (さわだ げんたろう)

若返りの薬「アゲイン」によって肉体が若返った老齢の男性。以前は大工として息子・沢田英一のためにまじめに一生懸命働いたが、老いて働けなくなったあとは英一をはじめ家族に邪魔者扱いされ、孫にもバカにされている。そんな状況に絶望を感じていたが、アゲインを飲んだ翌朝、高校生くらいの肉体に若返る。せっかくの効果を無駄にしないようにと、夕陽ヶ丘高等学校に強引に転校を果たし、学校でも家庭でも傍若無人に振る舞うようになる。

沢田 英一 (さわだ えいいち)

沢田元太郎の息子。子供の時は病弱であったため、元太郎が懸命に働いて医療費を稼ぎ、大学まで卒業させた。しかし、英一はその恩を忘れて妻・沢田貴世子の言いなりになり、元太郎が働けなくなったあとは、元太郎の意志を無視するようになる。元太郎が若返りの薬「アゲイン」によって若返ったあと、傍若無人に振る舞う彼に対抗しようとするも、その試みは失敗してしまう。

沢田 貴世子 (さわだ きよこ)

沢田英一の妻。美人だが気が強い性格で、沢田元太郎をなにかと邪魔者扱いし、これまで部屋を取りあげて小さな部屋に移すなど冷たく当たっている。元太郎が若返りの薬「アゲイン」によって若返ったあとは、傍若無人に振る舞う元太郎に翻弄されるようになる。

沢田 タツ (さわだ たつ)

沢田元太郎の妻。息子夫婦に同調し、夫である元太郎を邪魔者扱いしている。元太郎が若返りの薬「アゲイン」によって若返ったあとは、傍若無人に振る舞う元太郎に翻弄されるようになる。

沢田 美香 (さわだ みか)

沢田元太郎の孫娘で小学生。親を見習って元太郎に冷たく当たり、外では声を掛けないでほしいと容赦ない言葉を口にする。元太郎が若返りの薬「アゲイン」によって若返ったあとは、傍若無人に振る舞う元太郎に翻弄されるようになる。のちに友達の美少女達を使って、元太郎を篭絡させようとするが失敗に終わる。

沢田 まこと (さわだ まこと)

沢田元太郎の孫で幼稚園に通っている。元気がよく悪戯好きな子供らしい少年で、元太郎が若返りの薬「アゲイン」によって若返ってからは、彼と行動を共にするようになる。

美寿子 (みすこ)

沢田元太郎の住む町の薬屋で、薬剤師を務める女性。不美人で独身である事から、「オールド美寿子」「ブス子」などと呼ばれている。自分で使うために若返りの薬「アゲイン」を作ったが、間違って沢田まことに渡してしまう。

沢田 フクスケ (さわだ ふくすけ)

夕陽ヶ丘高等学校に通う男子。気の弱い性格で、いつもおどおどしている。強引にクラスに潜り込んだ沢田元太郎と同姓であった事から、彼とかかわるようになる。元太郎には友達になってやると言われているが、実際はいいように振り回されているだけである。

天宮 有紀(孫) (あまみや ゆき)

天宮有紀(祖母)の孫娘。夕陽ヶ丘高等学校に通っており、すべてのスポーツ部でキャプテンを務めている。同姓同名の祖母がおり、外見は若い頃の祖母とそっくり。見た目は古風でおしとやかな美少女だが、実は多くの男達とお見合いをして、結婚を前提にお金を貢がせている性悪女。

天宮 有紀(祖母) (あまみや ゆき)

沢田元太郎が若い頃に思いを寄せていた女性。嫁ぎ先で離縁され、苦労した末に身体を壊してしまい、今は床に伏せている。天宮有紀(祖母)自身も昔から元太郎に好意を抱いていた。今は自分と同じ名前を付けた高校生の孫娘・天宮有紀(孫)と暮らしている。

ドテ子 (どてこ)

夕陽ヶ丘高等学校に通う女子。身体が大きく怪力の持ち主で、沢田フクスケに化け物呼ばわりされている。

ドロボウ

沢田元太郎の自宅に忍び込んだ泥棒の男性。元太郎と間違えられて、元太郎の家族に捕まってしまい、ほうほうの体で逃げ出す。

前尾先生 (まえおせんせい)

夕陽ヶ丘高等学校の現国の男性教師。お調子者で軽々しい言動が多く、口が達者。授業では抽象的な解釈を展開し、つねに生徒達を惑わすが、沢田元太郎には返り討ちに遭う。

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