アシガール

アシガール

メディア化もされた『研修医 なな子』や『ごくせん』で知られる森本梢子の代表作の一つ。うっかり戦国時代にタイムスリップした女子高生速川唯が、一目ぼれした若君を守るため足軽として奮闘する戦国ラブ・コメディ。集英社「ココハナ」の創刊号である2012年1月号から2022年2月号まで連載。同誌2023年4月号からは、続編となる『たまのこしいれ ―アシガールEDO―』がスタートした。2017年9月テレビドラマ化。

正式名称
アシガール
ふりがな
あしがーる
作者
ジャンル
ラブコメ
 
戦国
レーベル
マーガレットコミックス(集英社)
巻数
全16巻完結
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あらすじ

速川唯は、遅刻、忘れ物、居眠りの常習犯で、おしゃれや流行にもまるで関心のないぐうたら女子高生。ある満月の夜、唯は天才の弟・速川尊が発明したタイムマシンをうっかり起動させて、1人戦国時代である永禄2年(西暦1559年)へとタイムスリップし、そこで出会った黒羽城城主、羽木忠高の嫡男羽木九八郎忠清(若君)に一目ぼれ。

なんとかお近づきになろうとするが、平民が会えるはずもなく城で門前払いされる。次の満月の夜、無事に現代へ帰還することができた唯は、学校の社会教師から、若君が戦で命を落としたという史実を聞かされる。残された文献によると若君が戦死したのは永禄2年、唯にとってはつい昨日のような年代である。唯は再び永禄2年へ飛び、愛する若君を守り、そして結ばれるため足軽として出世することを決意する。

こうして、人類史上初の足軽女子高生「アシガール」が誕生したのである。

テレビドラマ

2017年テレビドラマ化。NHK総合にて9月23日から放送。主人公の速川唯を黒島結菜、羽木九八郎忠清を健太郎が演じる。2018年12月24日には続編として『アシガールSP~超時空ラブコメ再び~』が放送された。

登場人物・キャラクター

速川 唯 (はやかわ ゆい)

16歳の女子高生。遅刻、忘れ物、居眠りの常習犯で、勉強はまったくやる気なし。おしゃれや流行にもまるで関心はなく、おまけに大食いだが、足だけは速い。陸上部に所属しており、総体で100メートル走の大会新記録を出して優勝したほどだが、その唯一といえる取柄も部活に燃えて活かすこともなく、何も目標もなくただなんとなく毎日を過ごしている。 弟の速川尊が開発したタイムマシンをうっかり起動させて永禄2年へタイムスリップしてしまい、そこで出会った羽木九八郎忠清(若君)に一目ぼれする。若君を守るためならと危険な戦場を駆けるほど一途だが、恋愛にはうぶで純情。若君と布団にともに入るチャンスも臆して逃してしまう。なお、永禄2年では、平成生まれの女子高生であることを隠すため「唯之助」という偽名を使っている。

羽木九八郎忠清 (はぎくはちろうただきよ)

黒羽城城主、羽木忠高の嫡男で超イケメンの17歳。16年間、気になる男子が1人もできなかったという速川唯が一目でゾッコンになるほどの美男子。味方にも敵にも犠牲が出るため戦を好まないが、いざ出陣となれば臆することなく先陣を切る武人。

速川 尊 (はやかわ たける)

速川唯の1つ年下の弟。姉とは正反対で、スポーツは苦手で体力もなく、繊細で食も細い。超有名進学校で常にトップの成績を収め、とくに科学の分野で天才的な頭脳を持つ。夜は自宅の物置を改造した実験室にこもって研究をしており、ついにタイムマシンの開発に成功する。自ら実験しようとするものの、ひ弱な自分では戦国時代で生き残れないと考えていたところ、うっかりものの姉が起動させてしまう。 現代へ戻ってきた姉が再び戦国時代へ行く理由を聞いた速川尊は、護身用の武器を開発して渡すなど姉をサポートする。驚き方は姉とそっくり。

おふくろ様 (おふくろさま)

梅谷村で百姓をしていた孫兵衛の妻。村一番の美人。戦で夫の孫兵衛と息子の弥之助を亡くすが、毅然とした態度を崩さない気丈な女性。弥之助と身分を偽っていた速川唯(唯之助)と対面するが、唯之助の追い詰められた表情を見て、そのまま家に招き、息子のように世話をしてくれる。戦国時代における唯之助の優しく厳しい母となる。名前は吉乃(よしの)であることがのちにわかる。

三之助 (さんのすけ)

おふくろ様の7歳の子供。やまめを釣ってきて、腹の音がうるさくて眠れぬと速川唯にいちばん大きいやまめをくれた。

孫四郎 (まごしろう)

おふくろ様のまだ幼い子供。金太郎のような前掛けを着ているだけでいつもフリチン。速川唯の寝ている顔の近くで、よくお尻をまるだしにして眠っている。

あやめ

猿楽一座の娘。戦に勝利して兵士たちが酒盛りをしていた場で速川唯(唯之助)と出会う。唯之助の手をつかんだ際に女であることを見抜いた。唯之助から事情を聞き、彼女の若君へのアタックに命がけで手を貸してくれる。怒ると強烈なチョップをお見舞いしてくる。

天野 小平太 (あまの こへいた)

羽木九八郎忠清の近習。天野伸茂の孫。7歳の頃から忠清に仕えている。伸茂の命令で速川唯を召し抱えることになる。

天野 伸茂 (あまの のぶしげ)

羽木家の重臣。天野小平太の祖父。同じく羽木家の重臣である千原元次とは幼い頃から顔を合わせるとけんかばかりするライバル。戦では取った首の数で競い、側女の数や産まれた男子の数まで競い合うほど。

ふき

鐘ケ江久正という領主の娘。「鐘ケ江の姫」と呼ばれる。羽木九八郎忠清の側室候補の1人で、忠清に惚れている。あやめの協力を得た速川唯によって秘剣でんでん丸で気絶させられたため、忠清の閨の相手となることはかなわなかった。以後も忠清を慕って、お声をかけられるのを待ち続けている。どれほど忠清のことを想って待ち続けているかを呼んだ歌を文にしたためて逐一送ってくるため、忠清からはウザがられている。

千原 元次 (ちはら もとつぐ)

羽木家の重臣。同じく羽木家の重臣である天野伸茂とは、幼い頃から激しいライバル関係にある。

悪丸 (あくまる)

天下一足が速いという触れ込みで千原元次に召し抱えられた足軽。天涯孤独で15歳。元次から命じられた速川唯(唯之助)とのかけくらべ勝負に負け、捨てられたところを唯之助の進言によって天野小平太に雇われる。そのことに恩義を感じ、唯之助の家来になると申し出る。

羽木 成之 (はぎ なりゆき)

羽木九八郎忠清の腹違いの兄。羽木忠高と側室のお久のあいだに産まれた子。忠高が二条の方を正室に迎えたため、お久は城を出され、そこで成之を産んだ。その後、お久が病死し、成之は寺に預けられて育った。忠清を亡き者にして羽木家を手に入れようともくろむ。

如古坊 (にょこぼう)

羽木成之が預けられていた寺の坊主。羽木家を手に入れるという成之の野望を知り、寺を捨てて成之に付き従う。速川唯を気絶させて連れ去るなど、成之の野望のために暗躍する。

速川 伸行 (はやかわ のぶゆき)

速川唯の父。唯の物事を深く考えない行動派な性格はこの父の遺伝。息子の速川尊から姉のタイムスリップの件を聞いた際、自分が代わりに行って、ついでに本能寺で織田信長を助けてくると軽く言い放っていた。

速川 育代 (はやかわ いくよ)

速川唯の母。しつけは厳しいが優しい母。唯が現代に戻れなくなった際も、きっと誰かが助けてくれて生きていると無事を信じていた。

向坂 (こうさか)

速川唯の家の隣に住む老人。口うるさいことで近所でも有名で、落ち葉のことで速川家にも文句を言ってくるが、治療のために速川家に来ていた羽木九八郎忠清に諭される。実はT大文学部の名誉教授で、専門は日本古典文学。忠清の話し方、立居ふるまい、太刀筋、醸し出す品格から、羽木忠清その人ではないかと思っていたという鋭い眼力の持ち主。

高木 邦彦 (たかぎ くにひこ)

速川唯が現代に戻ってこれなかった1か月の間に、唯のクラスへ転校してきた男子。足の速い女子が好きで、なぜか黒羽城の石垣に惹かれる、ということから唯は羽木九八郎忠清の生まれ変わりなのではと考える。

松丸 阿湖 (まつまる あこ)

松丸義秀の娘。羽木九八郎忠清と政略結婚する予定の姫。可愛くて性格も良く、速川唯にとっては最大の恋のライバルとなるが、唯は松丸阿湖のピンチを二度に渡って助ける。

松丸 義次 (まつまる よしつぐ)

松丸義秀の次男。羽木九八郎忠清と結婚するために黒羽城へ向かった妹・松丸阿湖が高山宗鶴の所に囚われていると聞き、黒羽城へやってくる。

高山 宗鶴 (こうやま むねつる)

羽木家の宿敵である高山家の殿。もともとの史実では、永禄2年に高山家との戦で羽木家が敗れ、羽木忠高が死亡し、羽木家も滅んだとされている。

高山 宗熊 (こうやま むねくま)

高山宗鶴の嫡男。松丸阿湖の身代わりとなって囚われてきた速川唯をそうとは知らずに気に入っている。

その他キーワード

タイムマシン

速川尊が発明した小刀の形をしたタイムマシン。鞘を抜くとスイッチが入り、所持者1人だけを約20秒で永禄2年(西暦1559年)へタイムスリップさせる。満月の日に1回だけ、片道のみ移動できる。そのため、永禄2年から現代に戻るには、次の満月まで30日間待たなければならない。なお、永禄2年で30日が経過して現代に戻ってきても、現代の時間では3分間しか経過していない。 1か月も行方不明になると問題になると判断した尊がそのように設計したためである。

秘剣でんでん丸 (ひけんでんでんまる)

再び戦国時代へ向かうという速川唯のため、護身用として速川尊が発明した武器。手元のボタンを押すと触ったものに電流が流れる。同じく手元にある方向キーで操作することで離れた敵にも電流を飛ばすことができる。

幻の軍隊製造機「まぼ兵くん」 (まぼろしのぐんたいせいぞうきまぼへいくん)

3000の兵の高山軍vs1000の兵の羽木軍という数的不利な鹿之原の合戦に勝利するため、速川唯に頼まれて速川尊が発明したマシン。スイッチを押すことで幻の軍隊を写しだし、敵を欺く。

金のけむり玉 (きんのけむりだま)

投げつけると巻き起こる煙で、100メートル四方を1時間、1センチ先の物でも見えなくなるほど真っ白にする。セットの専用ゴーグルを装着すれば、煙の中でも視界は良好。

書誌情報

アシガール 全16巻 集英社〈マーガレットコミックス〉

第1巻

(2012-07-25発行、 978-4088468075)

第2巻

(2013-02-25発行、 978-4088450032)

第3巻

(2013-10-25発行、 978-4088451176)

第4巻

(2014-05-23発行、 978-4088452180)

第5巻

(2015-01-23発行、 978-4088453385)

第6巻

(2015-08-25発行、 978-4088454368)

第7巻

(2016-04-25発行、 978-4088455587)

第8巻

(2016-12-22発行、 978-4088456898)

第9巻

(2017-09-25発行、 978-4088458144)

第10巻

(2018-04-25発行、 978-4088440293)

第16巻

(2022-02-25発行、 978-4088445182)

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