アニメがお仕事!

アニメがお仕事!

双子のアニメーター、イチ乃と二太が、想像以上にハードな現実の中、時には喜び、時には挫折を経験しながら、アニメが好きという気持ちを支えにアニメ業界で生きていくワーキング・グラフティ。

正式名称
アニメがお仕事!
ふりがな
あにめがおしごと
作者
ジャンル
兄弟・姉妹・双子
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概要・あらすじ

アニメーターになりたいという夢を捨てきれず、双子の弟の二太を追って上京した福山イチ乃は、アニメ制作会社・めもちプロに入社したものの、厳しい現実や、なかなか上達しない自分への焦りなどに、心折れそうな日々が続いていた。ある日、会社が受けたオリジナル作品の仕事に、自分が憧れているアニメーター「ホシ」が参加していると知って歓喜するが、実は憧れの「ホシ」は二人のアニメーターの共同名義だった。

一方、二太は同郷の知り合いの誘いで、ひそかに他社の原画のアルバイトを始めるが、想像以上のハードさにジリジリと心をすり減らされていくのであった。

登場人物・キャラクター

福山 イチ乃 (ふくやま いちの)

『アニメがお仕事!』の主人公のひとり。アニメーター。二太の二卵性双生児の姉。高校時代は漫研に所属。高校卒業後、ヘルパーの資格を取るために半年間、大学の公開講義に通うも、アニメへの夢が捨てきれず、家出同然で実家を飛び出し、先に上京していた弟・二太のアパートに転がり込む。アニメーターの「ホシ」の描く原画が好きで憧れている。 大の広島カープファン。巨乳。

福山 二太 (ふくやま にた)

『アニメがお仕事!』の主人公のひとり。アニメーター。イチ乃とは二卵性双生児だが、日をまたいで産まれたため、誕生日は一日遅い。高校卒業後に上京してめもちプロに入社した。メカが好きで、メカものの原画を描きたいと思っている。社内で同じ動画班の三鷹涼子に好意を抱く。同郷の知人・秋葉に誘われて、原画描きのバイトに手を出す。 イチ乃からは「ニッくん」と呼ばれている。

三鷹 涼子 (みたか りょうこ)

アニメーター。めもちプロで動画を担当する。かつて精神的な要因で、アニメを離れアパートで1年引きこもっていた過去を持つ。その後、引きこもりの状態から抜け出すきっかけにもなった阿波と不倫の関係を続けていた。仕事の重圧から逃げ出してきた二太を受け入れ、関係を持ってしまう。

竹下 典子 (たけした のりこ)

アニメーター。めもちプロで動画を担当する。趣味はコスプレと服作り。高校まではかなり太っていたが、専門学校時代にコスプレを始めてからは40kg以上のダイエットをして現在の体型にいたる。フリルのついたかわいらしい服を好む。同じ動画班の二太にずっと片思いしている。

湯田上 学 (ゆたがみ まなぶ)

めもちプロの動画担当。別のアニメ制作会社に勤務していた時、退職者への嫌がらせの問題で乗り込んできて啖呵を切った二太に興味を持つ。その後、めもちプロに移籍。二太になにかと挑発的な態度を見せていたが、二太に奮起して欲しい願望の表れだった。技術的には高いものを持っていたが、実家の父親が倒れたため、アニメーターを辞めて実家の造り酒屋を継ぐこととなる。

堀内 (ほりうち)

スタジオWのアニメーター。めもちプロがオリジナル作品を手がけるにあたって、外部スタッフとして参加した。誰にでもあだ名を付けるのが癖で、イチ乃のことを「怒号ちゃん」と呼ぶ。志村との共同作業時には「ホシ」の名でチェックシートにサインをしており、それを見たイチ乃が「ホシ」さんと勘違いしていた。 イチ乃のことを気にかけ、なにかと面倒を見たりしているが、ある時、イチ乃に放ったきつい一言が、イチ乃に大きなショックを与えることとなってしまう。

志村 (しむら)

スタジオWのアニメーター。堀内と同様、外部スタッフとしてめもちプロのアニメ制作に参加し、その時にイチ乃と知り合う。堀内との共同作業時には「ホシ」を名乗る。かつて堀内とは女性関係を巡ってぎくしゃくした過去がある。イチ乃に興味を持ち、付き合おうと提案する。

光川 (みつかわ)

めもちプロのデザイン・作画監督。実質的にめもちプロを仕切っている。高圧的かつ嫌味な人物で、社内の部下たちをいつも怒鳴り散らしている。アニメーターとしての実力はたいしたことがないため、上司としてはまったく尊敬されていない。のちにめもちプロを見捨てて、別の制作会社に移籍することとなる。

和田 (わだ)

めもちプロの原画担当の女性。光川に取り入り、原画班、動画班を仕切ろうとしており、なにかとヒステリックに声をあげ、現場の士気を下げる。スカートの丈が短いと文句を言うなど、イチ乃に対しても過度に辛くあたる。めもちプロが消滅した後は、仕事を回してもらうために、別の会社の制作進行と結婚した。

秋葉 (あきば)

アニメーター。二太とは高校の同級生。高校の時からイチ乃に気があり、さりげなくセクハラまがいの行為を繰り返していた。さらに、「イチ乃が自分を追いかけて上京してきた」という嘘を言いふらし、イチ乃に対しても、露骨に自分をアピールしている。しかし、人間的に尊敬できないということもあり、イチ乃にはまったく相手にされておらず、むしろ嫌悪の対象となっている。 アニメーターとしての腕は悪くなく、二太に先んじて原画の仕事を始めており、二太の焦りの原因にもなっている。二太に原画描きのアルバイトを紹介した。

新庄 (しんじょう)

イチ乃の高校の同級生。高校時代、文化祭で漫研と演劇部の共同公演をしたことをきっかけに親しくなる。イチ乃のオタク仲間で、中心的な存在だったことから、イチ乃に「リーダー」と呼ばれている。高校卒業後は地元で働きながらシナリオを投稿するなど、創作活動を続けており、佳作に入選している。

集団・組織

めもちプロ

『アニメがお仕事!』に登場するアニメ制作会社。社長は阿波。制作班と作画班がマンションの別々の部屋にある小さな会社で、労働環境は良好とはいえずむしろ劣悪。オリジナル作品を受けた際に広いところに引っ越したが、駅から遠くなるなど、環境の悪さは変わらなかった。のちに阿波が姿をくらまし、光川や制作デスクの川田が共同で代表となり、なんとか会社を維持させていた。 しかし、その光川も、社員に内緒で別会社に移籍してしまったため、めもちプロは消滅することとなった。

その他キーワード

原画 (げんが)

『アニメがお仕事!』に出てくる用語。一般的なアニメーションにおいて、場面の構図(レイアウト)を表現し、動きの起点となる絵のこと。原画を描く人のことを原画マン、あるいは単に原画と呼ぶこともある。原画を描くには構図を決めるセンスも必要とされるので、単に絵が上手いだけでは原画を担当することは難しい。また、アニメの制作スケジュールの関係から、速く描くことも求められる。 原画マンとして経験を積むと、作画監督やキャラクターデザインにスキルアップすることもある。

動画 (どうが)

『アニメがお仕事!』に出てくる用語。一般的なアニメーションにおいて、原画と原画の間の動きの部分(中割と呼ばれる)を表す絵のこと。動画を描く人は動画マン、あるいは単に動画とも呼ばれる。動画マンの仕事は、中割を描くほかに原画の清書(仕上げ)もある。基本的に、中割の枚数などを含め原画マンの指示通りに絵を仕上げるだけで、動画マン自身のオリジナリティは必要とされない。 そのため、アニメ制作においては、新人や、原画マンとしてはスキル不足の人が動画を担当し、動画マンとして経験を積むことで、原画マンや動画をチェックする動画検査(動検)などに昇格することが一般的である。ちなみに、アニメーターとは、動画マンや原画マン、動画検査、作画監督などの総称である。

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