王国物語

王国物語

シャリバルテ国を舞台に、光と影に引き裂かれた双子の兄弟が、数奇な運命に翻弄されながらも強く生きる姿を描くファンタジー。青と紫の瞳を持つアードルテとアーダルテ、ハン族に生まれたハンとシャオ・ランカという、二組の双子を中心に物語が展開される。「web連載空間ぽこぽこ」で2011年4月に、「マンガ・エロティクス・エフ」2011年vol.71にそれぞれ掲載されたのち、「ウルトラジャンプ」2017年5月号から連載の作品。

正式名称
王国物語
ふりがな
おうこくものがたり
作者
ジャンル
兄弟・姉妹・双子
 
ダークファンタジー
関連商品
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あらすじ

第1巻

シャリバルテ国に青色の瞳を持つ少年のアードルテと、紫の瞳を持つ少年のアーダルテがいた。アードルテは幽閉の身として閉ざされた世界で暗闇に生き、アーダルテはシャリバルテ国王の優しき第一皇太子として光の中に暮らしていた。そんなある日、アードルテのもとにアーダルテがやって来たことで、まったく接点のなかったはずの二人は、互いの顔が瓜二つであることを知る。これを機に、アーダルテは毎夜アードルテのもとを訪れるようになり、二人は急速になかよくなっていく。しかし、閉ざされた世界で生きてきたアードルテは、あまりにも自分とはかけ離れた世界に生きるアーダルテに嫉妬心を抱くようになる。そして成人を直前に控えたある日、アードルテは一日だけでいいから外に出たいと懇願。見た目がそっくりなアーダルテに、自分の代わりに閉じ込められてほしいと願い出る。快く引き受けたアーダルテだったが、アードルテは自由の身を楽しみ、そのままアーダルテを装って暮らし、元の場所に帰ることはなかった。それから数年が過ぎ、皇太子アーダルテとして過ごしていたアードルテは、ついに王位継承の儀を行うことになる。儀式には最後の清めとして、自らの影を生贄として捧げるとあり、その場に連れて来られたのは目隠しをされ、手を拘束されて自由を奪われたアーダルテその人だった。(第1話「アードルテとアーダルテ」。ほか、5エピソード収録)

第2巻

ハンシャオ・ランカは、遊牧の民であるハン族として生きる双子の兄弟だった。戦に秀でた民族でありながら、元来ひ弱なハンは自身に劣等感を抱き、一族の星と一心に期待される優秀なシャオにあこがれを抱いていた。家督を継ぐ者は一人のみと決められている中で、誰もがそれをシャオが継ぐだろうと思っていたある日、シャオはウマに襲われて右腕を失う大ケガを負う。これにより、一度は自暴自棄になるシャオだったが、次第に落ち着きを取り戻し、再度前向きに生き始める。一方、ハンはシャオのケガにより、家督を継ぐ可能性があることを感じ始める。しかしそんな中、ハンは同じハン族の幼なじみ・ウイエルから凌辱を受けると同時に、家督を継ぐ権利がシャオの方に認められたことを知り、絶望して生きる気力を失ってしまう。ハンはシャオに自分を殺してほしいと懇願するが、それを聞いたシャオは自分の首を斬って自害し、ハンに腕を切り落とすことを命じて、「シャオとして生きろ」と言葉を遺してこの世を去る。残されたハンは自らの腕を切り落とすと、周囲に火をつけ、混乱に乗じて集落を出る。そしてたどり着いた先は、シャリバルテ国だった。(第7話「シャオとダオ」。ほか、5エピソード収録)

登場人物・キャラクター

アードルテ

青色の瞳を持つ少年。物心ついた時から閉ざされた場所で、隔離されて育てられた。幼い頃は乳母がおり、食事の世話や寝かしつけてもらいながら暮らしていたが、乳母の死後は名実ともに孤独になる。食事は差し入れ用の窓口から食事番によって差し入れられるが、会話もなく、顔を見ることもない。ある夜、皇太子のアーダルテが訪れ、互いの顔がそっくりであることを知って以来、毎夜訪ねてくる彼と親しくなる。しかし話を聞くうちに、あまりにも自分と違う暮らしぶりに、アーダルテに対する嫉妬心が生まれる。成人を直前に控えた日、アーダルテに対して一日だけ外に出たいと懇願し、自分の代わりに部屋の中にいてほしいと願い出るが、結局約束を破って自室に戻らず、アーダルテに成り代わって皇太子として暮らしている。のちに、王位継承の儀で再び顔を合わせたアーダルテと共に国を脱出し、平民として二人で生活を始めることとなる。

アーダルテ

紫色の瞳を持つ少年で、第14代シャリバルテ国王の第一皇太子。ある夜、アードルテの住む場所を訪れ、互いが瓜二つの風貌であることを知って興味を持ち、毎晩彼に会いに行くようになる。自分の経験したことをアードルテに話すうちに、なかよくなっていく。成人を直前に控えた日、アードルテから一日だけ外に出たいと懇願され、彼の代わりに自分が部屋の中に入ることを承諾する。しかし、一日だけという約束は守られず、結局彼は帰って来ないまま、アードルテとして孤独に暮らすことになる。皇太子として暮らしていたアードルテの王位継承の儀では、アードルテの影として生贄にされそうになるが、再び顔を合わせたアードルテと共に国を脱出し、平民として二人で生活を始める。そこではパンを売り歩く仕事に就き、病がちなアードルテを支える大きな存在となる。のちに、仕事中に知り合った彼女に思いを寄せるようになる。

ハン

王の側近として側仕えをしている青年。ハン族出身であることから「ハン」と呼ばれているが、実名は「ダオ・ランカ」。ハン族でありながら、もともとひ弱で、二本足の「ウマ」と呼ばれる動物を乗りこなすことや、弓を引くのが苦手。双子の兄弟のシャオ・ランカとの実力の差は明らかで、家督を継ぐのがシャオなのは明白だった。しかし森へ狩りに行った日、野生のウマに襲われそうになり、助けてくれたシャオが右腕を失う大ケガを負うこととなった。これにより、一時的にハンが家督を継ぐ権利を得たかに見えたが、最終的にはシャオが家督を継ぐ決定が下された。ウイエルから凌辱を受けたことも影響して生きる気力を失うが、それを知ったシャオが自害してしまう。彼が死に際に遺した「シャオとして生きろ」という言葉を胸に、自分の右腕を切り落とし、シャオとして生きる覚悟を決めて一族の集落を出た。その後、シャリバルテ国にたどり着き、謎の男によって助けられ、右腕が再生された。そこからは王の側近となって、あらためてシャオとしての人生を歩むことになる。

シャオ・ランカ

ハン族の青年で、ハンの双子の兄弟。何をやらせても器用にこなし、秀でた才を持っているため、家督を継ぐのはシャオ・ランカだと噂されていた。しかし森に狩りに行った際、二本足の「ウマ」と呼ばれる動物に襲われたハンを助けようとして右腕を失う。これにより、家督を失う資格はなくなったとすべてにおいて投げやりになり、自暴自棄に陥るが、ほどなくして立ち直った。一時は家督を継ぐ権利を失ったと思われたが、改めてその精神力を評価され、大伯父に推されることになる。しかし逆に、男として生きることをあきらめなければならなくなったハンが絶望し、生きる気力をなくしたため、自ら首を斬って自害した。その際、ハンに対して腕を切り落とすことを命じ、「シャオとして生きろ」と言葉を遺してこの世を去った。

彼女 (かのじょ)

アーダルテが売るパンを買いに来る若い女性。ある日、いつものように買ったパンを受け取った際、ひそかに手作りの細工を渡されたことがきっかけで、アーダルテと思いを通わせるようになる。その後、アードルテに紹介され、三人で暮らし始めると、二人から共有される関係へと変化する。そして妊娠し、男の子を出産する。

(おう)

シャリバルテ国の王を務める男性。先の戦争の折、英雄的な勝利をおさめた英雄王で、その青く透き通る長髪をなびかせる様子から「月光王」と呼ばれていた。現在は長く床に伏している状態で、最近では目もきかなくなってしまっており、余命幾ばくもない。側近としてハンをそばに置くようになって10年、彼が用意した薬湯を医師に調べさせ、自分を蝕むこの病が、ハンによって少しずつ毒を盛られ続けた結果であることを知る。ハンに対しては、側近としてやって来て以降ずっと目をかけており、全幅の信頼を寄せている。

王の弟 (おうのおとうと)

王の弟で、強めのウエーブヘアにしている。ふだんは首相を務めているが、王が病に伏してからは、彼の代理として立ち居振る舞うようになる。秘密裏にハンを囲い込み、王の命を狙っている。

ウイエル

ハン族の青年で、ハンやシャオ・ランカの幼なじみ。もともとおしゃべりで、周囲からよく注意を受けることがあったが、シャオが腕を失ったことについて、宴の席でハンに対して「運がよかったな」と声を掛け、激昂された。のちに物陰でハンを凌辱し、男として生きることをあきらめて自分のものになるように持ち掛ける。また、ハンがシャオとして一族の集落から姿を消して以降は、家督をまとめるものとして彼を捜し続け、生け捕って帰るようにとの命を受けていた。その後シャリバルテ国において、王の側近として働くハンの姿を発見する。生け捕りにするために毒をもって襲い掛かるが、彼のないはずの右腕が義手ではなく、確かに存在していることを確認すると、彼がシャオではなくハンであることに気づく。

大伯父 (おおおじ)

ハンとシャオ・ランカの大伯父にあたる男性。ひげを蓄え、その風貌から周囲に威圧感を与えてしまう。ハンとシャオが成人を迎えるにあたり、彼らのもとを訪れた。さまざまな伝統を軽んじる者が多い昨今を嘆き、古の教えに倣うことが何より肝要と考えている。家督を継ぐ者を決める会議の際、周囲がハンを推す中で、右腕を失ってもなお道を失っていないことを理由に一人だけシャオを推した。

その他キーワード

ハン族 (はんぞく)

国境を持たない遊牧民族。戦に秀でた民族で血族ごとにまとまり、暮らしも戦もすべてが家長を中心に動くとされている。特徴的な深い黒髪を持ち、家督を継ぐ者以外の男子はみんな局部を切り落とす「マラウカイの儀」を執り行うことが決まっている。また、母親の腹の中にいる時からウマと呼ばれる二本足の動物に乗っていることから、ウマに乗ることに長けており、ウマの上で琴を鳴らし、歌を吟ずることでも有名。通常は刀ではなく弓矢を使用する。「先祖の地を守り、ウマと共に生きて一族の血を永遠につなぐ」ことを理念としている。ハン族の祖といわれる「アノー」の存在が原因で、ウーリ教とは水と油の存在といわれている。

ウーリ教 (うーりきょう)

シャリバルテ国の主たる宗教。天から降り立った大きな翼を持つ聖人ウーリが、人々に知と愛を説いたと伝えられている。同時に悪魔であるとされている「アノー」という存在があり、これは聖人ウーリの弟で、ハン族の祖であると伝えられている。一方でアノーは聖人ウーリの悪心が具現化したものであるとか、聖人ウーリの別人格であるともいわれているが、真実は定かではない。ウーリ教はその聖典においてはハン族を悪魔とし、その存在を禁忌としているため、ハン族とウーリ教は水と油の存在であるといわれている。

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