あらすじ
第1巻
高校生の山田春太は陰キャでありながら、極度な照れ屋で奥手な美少女の坂下真冬と付き合って1か月になる。しかし奥手な性格も相まって、春太は真冬とまだ手もにぎれずにいた。そんなある日、春太は誕生日を祝おうと真冬を公園に呼び出す。だが、そこへやって来たのは真冬の双子の妹で、海外から帰国したばかりの坂下真夏だった。双子の妹の存在を知らない春太は、いつもと違って積極的な姿勢でせまってくることに驚きを感じながらも、真夏とキスをしてしまう。直後に姿を現した真冬を見て、春太はすべてを察するものの、時すでに遅し。その後は、真冬に見つからない様にこっそり且つ強引に小悪魔的な態度でせまってくる真夏に翻弄され、すっかり真夏のペースに巻き込まれてしまう。春太は、その後も真夏との関係をすっぱり切ることができないままの自分に悩み、罪悪感に苛まれながらも、真冬への思いを募らせていく。そんな中、学校で秋の林間学校へと向かうことになる。こうして春太は2泊3日という長い時間を真冬、真夏姉妹と共に過ごすことになる。
第2巻
秋の林間学校に参加していた山田春太は、小澤千秋の言葉をきっかけに、かつて中学2年生の夏に坂下真夏と出会い、仲を深めていたという事実を思い出す。実は春太は当時事故に遭い、記憶を失っていたのである。さらに、真夏と坂下真冬もその事実を知ったことで、新たな三角関係はどんどんややこしい形となっていく。さらに、当時の記憶がよみがえって真夏に対しても魅力を感じるようになった春太が、二人のどちらを選ぶこともできず悶々と悩む日々を送る中、真夏だけでなく、奥手な真冬までもが積極的にアプローチを開始。こうして春太は、二人から同時に求愛を受けるというモテ期を経験することになったが、そのせいで真冬と真夏の関係は次第に悪化し、なかよしだったはずの姉妹に亀裂が生まれてしまう。その矢先、今度は姉妹のお父さんの3年にわたる海外赴任が決定。家族四人全員で渡航することが決まり、ショックを受けながらも真夏は健気に、それを受け入れる準備をしようと努力する。一方の真冬は、ショックのあまり携帯電話も持たずに飛び出し、行方知れずになってしまう。真夏からすべてを打ち明けられた春太は、行方をくらませてしまった真冬を捜して奔走する。
登場人物・キャラクター
山田 春太 (やまだ はるた)
男子高校生で、年齢は16歳。同じクラスの坂下真冬と交際して1か月になるが、奥手な性格と真冬の極度の照れ屋な性格が災いして、まだ手もにぎれていない状態。眼鏡を掛けた地味系の容姿で、いわゆる陰キャ。しかし、オタク仲間の影山ら男子生徒からは「童貞ブラザーズ唯一の希望」と、真冬との交際を応援されている。真冬との交際は順調だったが、真冬の誕生日を祝いたいと彼女を公園に呼び出した際、双子の妹である坂下真夏が真冬のふりをして現れたことに気づかず、キスをしてしまった。それ以降、負い目もあってすっかり真夏のペースに巻き込まれ、翻弄されるようになる。中学2年生の夏休み、区立図書館で知り合って毎日のように会ってなかよくしていた女子生徒がいたが、当時事故に遭い、頭を打って入院したことがあり、多少記憶の混乱があった関係で忘れていた。のちに、小澤千秋からの話と再び頭を打ったのをきっかけに、それが真夏だったことを思い出し、真夏に対する見方が少しずつ変わっていく。最終的には、すべてを知った真冬を交え、姉妹両方から関係を求められる事態に発展。不本意ながら、人生最大のモテ期を迎えることになり、二人のどちらにも決められないことで疲弊して心を痛める。真夏からは、中学生の頃から「ハルハル」と呼ばれている。
坂下 真冬 (さかした まふゆ)
山田春太と同じ学校に通う女子高校生で、年齢は16歳。読書が趣味で、図書委員を務める純情可憐な美少女ながら、極度の照れ屋な性格のために付き合って1か月になる春太とは、手もつなげない状態。父親と共に1年間海外で暮らしていた双子の妹の坂下真夏がおり、海外出張の終了に伴って父親と共に帰国し、再びいっしょに暮らすことになった。春太とは恥ずかしがりながらも、関係が深まっていくことを望んでおり、時にはびっくりするほど積極的になる瞬間もあるが、行動を起こしたあとは恥ずかしさのあまり具合を悪くしてしまうほど。妹の真夏とは大のなかよしだが、のちに真夏が中学2年生の夏休みに春太と先に出会い、好きになっていたことを知り、春太を巡って姉妹で奪い合う関係へと変化する。しかしこれを機に、春太への思いの強さが恥ずかしさを超えて大胆な行動を起こすようになり、自ら春太にキスしたりベッドに誘ったりと、春太も驚くほど積極的な様子を見せる。
坂下 真夏 (さかした まなつ)
山田春太と同じ学校に通う女子高校生で、年齢は16歳。父親の仕事の関係で、1年間海外で暮らしていたが、海外出張の終了に伴って帰国。家族四人で暮らすことになり、双子の姉の坂下真冬と同じ学校に転入した。照れ屋な姉とは正反対で、明るく積極的で活発なタイプ。少々強引でいたずら好きなところもあるが、小悪魔的な魅力がある。ツインテールの髪型で、海外で流行っていたという角のヘアアクセサリーを付けている。見た目からは想像できないが、無類の読書好き。海外から帰国した日の夜、真冬が彼氏の春太に呼び出されたことを知って彼に会いに行き、真冬のふりをして春太とキスをしたことを機に、何かと春太にちょっかいを出し始める。実は中学生2年生の夏休み、区立図書館で先に春太と出会い、まるで付き合っているかのようになかよくしていた。しかし、当時事故に遭って記憶を失った春太が、自分のことを忘れてしまった事実にショックを受け、ちょうど父親の海外出張について行く話が浮上したため、アメリカ行きを決断した。最近になって、真冬から彼氏として春太を紹介されるが、先に春太を好きになったのは自分だったため、混乱する。まったく覚えていない様子の春太と、幸せそうな真冬を前に何も言い出せず、大好きな二人のあいだで板挟み状態になって苦しむが、その後すべてをカミングアウトし、表立って姉妹で春太を取り合うこととなる。
影山 (かげやま)
山田春太と同じ学校に通う男子高校生で、年齢は16歳。クラスメートの春太とは中学時代から仲がいい。アニメや声優が大好きな生粋のオタクで、同じ趣味でありながら、かわいい彼女の坂下真冬と交際を開始した春太を「童貞ブラザーズ唯一の希望」と言い、陰ながら応援している。長い前髪で顔が見えないため、坂下真夏からは「前髪くん」と呼ばれている。
小澤 千秋 (おざわ ちあき)
女子高校生で、年齢は16歳。坂下真冬、坂下真夏姉妹とは、中学時代からの友人。山田春太が、中学生の頃に真夏と付き合っているかのようになかよくしていたことを知っており、高校生になって再会した時、真冬の彼氏として春太を紹介され、春太に対して不信感を持つことになった。しかし、春太がそれを覚えていないことを知り、本人を呼び出して忠告。それがきっかけとなり、春太が再び頭を打ったことで真夏を思い出すこととなった。中学時代のことを知っているだけに、踏み込んだ発言をすることもあるが、基本的な立場は中立を保ち、姉妹のどちらに味方することもなく、三人の関係を見守る。
お父さん (おとうさん)
坂下真冬、坂下真夏の父親。1年ほど前、仕事の関係で1年間の海外出張が決まり、あまりの寂しさに真冬か真夏のどちらかを連れて行きたいと懇願。当時中学生だった真夏といっしょに海外生活を送った。それから1年が経過し、海外出張を終えて無事帰国。再び家族四人での生活を送ることとなった。娘たちを溺愛しており、真冬や真夏と踏み込んだ関係を築いているらしい山田春太に、無理やり酒を勧めるなど、少々強引なところもある。眼鏡を掛け、生まじめな印象だが、眼鏡の奥では春太に対する無言の圧力と娘たちへの執着がかいま見られる。のちに、3年間の海外赴任が決定し、次は家族全員での渡航を希望している。同時に、娘たちと春太のどっちつかずな関係に決着をつけさせようとする。