アンデッドアンラック

アンデッドアンラック

決して死ぬことのない「不死(アンデッド)」の能力者アンディと、触れた相手を不幸にしてしまう「不運(アンラック)」の能力者の出雲風子。そんな二人が世界を救う組織「ユニオン」に加入し、自らの能力を生かしてさまざまな「課題(クエスト)」をこなしながら、アンディの望む「最高の死亡方法」を探す姿を描くダークファンタジー。集英社「週刊少年ジャンプ」2020年8号から連載の作品。次にくるマンガ大賞2020コミックス部門1位。

正式名称
アンデッドアンラック
ふりがな
あんでっどあんらっく
作者
ジャンル
ダークファンタジー
 
バトル
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あらすじ

アンディとの出会い

出雲風子は、8歳の時に両親を飛行機事故で亡くして以来、10年間引きこもりを続け、恋愛漫画「君に伝われ」の完結を機に、とうとう死を決意する。飛行機事故後から、風子に触れた相手は必ず不幸な目に遭い、亡くなったり、大ケガを負ったりしていた。そのため風子は、両親の死も自らの謎の能力が原因であり、これ以上自分が生きていても、他者を不幸にするだけだと考えていたのだ。そして風子が自殺を試みると、そこに若い男性が現れる。彼は風子に積極的に触れ、その結果やはり彼は不幸となり、入院を必要とするほどの大ケガを負う。だが、その体はなぜかすぐに治癒、蘇生し、風子から与えられる不幸をものともしなかった。彼は、自分の「不死(アンデッド)」の能力故に何百年も死ぬことが許されず、どうにかして死ぬ方法を探しているのだという。風子はそんな彼に無理やり連れ去られ、能力の発動条件を調べられるが、その過程で彼の人柄に触れ、好感を抱くようになる。しかし、そこに二人の命を狙う謎の男たちが現れ、風子は危機に陥るが、とっさの判断で風子は彼にキスをする。風子は彼に触れることで、彼に特大の不幸を招き、混乱に乗じて逃げ出そうと考えたのだ。この作戦がみごとハマり、周囲には隕石が落下して逃亡に成功する。そして風子は、名前がないという彼にアンデッドであることにちなんで「アンディ」と名付ける。

ユニオンと円卓

出雲風子アンディは、風子が持つ「不幸(アンラック)」の能力の発動条件、発動規模について検証しながら、先日襲ってきた男たちが所属する「ユニオン」から逃げていた。その結果、不幸の規模は、風子が対象に触れた時間と面積、そして対象への愛情に比例していることに気づく。つまり、風子がアンディを本気で愛し、かつ長時間および広範囲に触れ合えば、アンディが死亡するほどの不幸を与えられるのではないかという、仮説に行き着く。だが、そこにまたもユニオンの刺客が現れ、二人を殺そうと襲い掛かる。先日の隕石のことで風子はユニオンから、トップクラスの危険人物とされていたのだ。しかし風子は、自分たちを追っているユニオンの人間も特殊能力を持っているのに、追う側と追われる側の違いはどこにあるのだろうかと、疑問に思ったのである。その答えは、風子たち「否定者」と呼ばれる特殊能力者は、基本的にはユニオンに追われる存在であるが、ユニオン内の「円卓」というチームに所属すれば、逆に追う側になれるという、ユニオンの仕組みにあった。そこでアンディは、このままユニオンに追われる生活を送るよりも、円卓のメンバーを二人倒し、その空席に自分たちが入ることで、ユニオンに加入しようと風子に提案する。

VSジーナ

出雲風子アンディは、「円卓」のメンバーの一人を倒したことで、円卓の一員であるシェンに気に入られる。そしてシェンは、風子たちが3日後にロシアに現れる別の円卓メンバーを倒して二人分の席をあければ、自分が新メンバーに推薦することを約束する。これを聞いた風子とアンディはさっそくロシアに向かい、該当の円卓メンバーを探し始める。そこで一人の少女に出会った風子は、いっしょに風景画を描く過程で彼女と親しくなるが、彼女こそが探していた円卓メンバーのジーナだった。ジーナは見た目こそ少女のようだが、実は60歳を超える年齢で、アンディとは50年前から追って追われる関係にあった。そんなジーナは、対象の変化を否定する「不変(アンチェンジ)」の能力を持つ否定者で、水や空気さえもあやつることができる。そのため、物理攻撃が主体のアンディにとっては不利な相手で、さらにジーナは出会った頃からアンディに特別な思いを抱いているようだった。

ユニオンへの加入

出雲風子アンディは、ジーナが現在の「ユニオン」に疑問を抱いており、いつしか死を望むようになっていたことを知る。そんな彼女を解放するためにも二人はジーナを倒し、今後自分たちがユニオンに所属することで、ユニオンを内側から変えていこうと決意。こうして「円卓」の新メンバーとなった二人は、円卓の真の活動目的を知る。彼らはふだん「黙示録(アポカリプス)」という謎の本から人類に与えられる「課題(クエスト)」に取り組んでおり、これをクリアすることで、課題の失敗による「罰則(ペナルティ)」を避け、報酬を得ながら人類を陰で支配する「神」を倒す準備をしていたのである。それに並行して、危険な存在である自分たち以外の否定者の排除活動を行っていたのだ。風子はこの話を聞いてもこれまでの仕打ちに納得できずにいたが、円卓内での地位を上げれば、やがて指揮権も得られることを知る。そこで、まずは課題に積極的に取り組み、実績を積み上げることにしたアンディと風子は、シェンも交えて、アメリカに現れたUMA「スポイル」の捕獲課題に取り組む。スポイルには対象を腐らせる能力があり、スポイルはこの能力を使って、アメリカの人々をゾンビ化させようとしていたのだ。

黙示録(アポカリプス)と罰則(ペナルティ)

アンディはスポイルを捕獲するために、ふだんは封じている別人格「戦勝の神(ヴィクトール)」を解放してしまう。最終的に駆け付けた円卓メンバーたちと、出雲風子の機転によってアンディは本来の人格を取り戻すが、風子は今後もヴィクトールにアンディを乗っ取られないように尽力することを誓うのだった。こうしてスポイルを倒した風子たちは「ユニオン」に戻り、クリア報酬として、円卓に11人目のメンバーを迎えることを許可される。しかし、「黙示録(アポカリプス)」から同時期に出された四つの「課題(クエスト)」のうち、一つは失敗に終わってしまう。これによって、人類は課題失敗による「罰則(ペナルティ)」を受けることになり、風子とアンディはそれがどのようなものであるかを初めて知る。黙示録にはこの世の理(ルール)を変える力が備わっており、今回の罰則は、この世にもう一つの銀河が追加され、そこから侵略者が現れるというものだったのである。この罰則は、円卓のリーダーであるジュイスが侵略者を倒したことで解決するが、これで人類が罰則を与えられたのは99回目だった。ジュイスの見立てでは、101回課題に失敗したとき、その罰則として地球は滅ぼされてしまう。これを防ぐためには、まずは3か月後に与えられる課題をすべてクリアしなくてはならないが、黙示録は円卓が満席でないと開かない。つまり風子たちは、11人目の円卓メンバーを探す必要ができたのである。

黒競売(ブラックオークション)

出雲風子アンディタチアナの円卓メンバー三人は、11人目の仲間を獲得するため、ブラジルで行われる黒競売(ブラックオークション)に潜入することになった。ここでは人身売買が横行しており、否定者の売買すら行われていた。これに加え、風子たちは前回の「課題(クエスト)」の報酬として「不治(アンリペア)」の否定者がブラジルにいるらしいという情報を手に入れていた。そのため風子たちは、否定者たちが競りにかけられていると考えたのである。しかし黒競売当日、参加者として否定者たちが現れる。彼らは「否定者狩り」と呼ばれる集団で、否定者を強引に集めて活動している点では「ユニオン」と同じであった。しかし、あくまで神へ対抗するために活動しているユニオンに対し、否定者狩りは自分たちを迫害する世界への復讐を目的に活動していた。そのため、一度捕獲した否定者でも、利用価値がなければ平気で殺すという、残忍な連中だったのである。風子たちは、そんな否定者狩りに否定者を渡せないと、競売品倉庫にいるはずの否定者の重野力を探しに向かう。

登場人物・キャラクター

出雲 風子 (いずも ふうこ)

対未確認現象統制組織「ユニオン」内のチーム「円卓」に所属する日本人の女性。年齢は18歳。直接肌で触れた相手を不幸な目に遭わせてしまう能力「不運(アンラック)」を持つ、否定者である。対象に与える不運の大きさは、対象への好感度、接触していた時間、接触方法、接触面積に比例しており、思いを寄せる相手と長時間広範囲に触れ合い、さらに性的な行為をしたときが、最も強い不幸を生むと推測されている。また、この能力のためにふだんは手袋を着用し、できるだけ肌を露出しない、スポーティな服装を好む。さらに黒髪のショートヘアということもあって中性的な印象だが、スタイルは抜群で胸が大きい。また、髪は触れても問題のないアンディにカットしてもらっている。また、かぶっているニット帽に「GOOD LUCK」と書いてあることから、ジーナには「ラックちん」と呼ばれている。心優しくまじめな性格の持ち主。8歳のある日、先代の不幸の否定者が死亡したことによって次代に選出され、知らないうちに否定者となる。その結果、海外出張に向かう両親と別れる際、抱きしめてもらったことが原因で、両親に不運が訪れてしまう。これによって両親と、両親と同じ飛行機に乗っていた人々270人が死亡。そのあとも自分に触れた相手が次々に不幸になることから、自分には特殊な力があると考えるようになり、以来十年間、学校にも通わず自宅に引きこもり続けた。それでもお気に入りの恋愛漫画「君に伝われ」の存在が生きるモチベーションとなっていたが、18歳のある日、これも完結。これを機に自殺を決意するが、アンディと出会って自分が否定者であることを知る。そして、ユニオンに加入。アンディが満足して死ねる方法を探しながら、自分たちを否定者にした「神」に立ち向かう。「君に伝われ」を愛読するあまり、恋愛に強いあこがれを抱いており、否定者としての能力とは無関係に異性との肉体的接触は、慎重に行いたいと思っている。しかし、この力が役立てられることを知ってからは、アンディの「不死(アンデッド)」の能力を生かして、彼に積極的に触れることで、意図的に不幸を招き、出雲風子自身の攻撃手段にしていく。また、アンディと行動を共にするようになり、強い信頼と愛情を寄せるようになっていく。

アンディ

対未確認現象統制組織「ユニオン」内のチーム「円卓」に所属する男性。年齢は推定200歳以上で、国籍は不明。どんな致命傷を負っても即座に回復する能力「不死(アンデッド)」を持つ、否定者である。体がバラバラになっても再生できるが、基本的に頭部を中心に再生するため、例えば頭部を頑丈な箱などに入れられると、再生できなくなる。この能力から、容姿は否定者になったと推定される20代半ばほどの姿で止まっており、周囲からは不死であることを理由に「ゾンビ」と呼ばれるときもある。また、出雲風子に出会うまでは特定の名前を持っておらず「アンディ」という名は「アンデッド」にちなんで風子が付けたものである。この名前で呼ばれる前に出会ったジーナには「デッドちん」と呼ばれている。三白眼の長身で、筋骨隆々な強面に銀髪をオールバックにしている。左胸には大きな銃創と「1865」と彫られた入れ墨、左肩には「DEAD END」と彫られた入れ墨が入っており、額の左側には一枚の白いカードが刺さっている。このカードにより、アンディ自身に眠るもう一つの人格「ヴィクトール」を封印している。そのため、ヴィクトールと呼ばれることもあるが、ヴィクトールの人格は「戦勝の神」を意味するためにこの名前を嫌い、似た響きだが「人間」という意味に変わる「ヴィクトル」を名乗っている。粗暴かつ大雑把なマイペースな性格ながら、情に厚く仲間思い。また、まちがいを犯したときは、素直に謝罪して改められる素直さを持つ。200年以上前、否定者になったことにより、人間の寿命をはるかに超えてからも死ぬことができず、死ぬ方法を探していた。そんなある日、風子を知って彼女の「不運(アンラック)」の能力であれば、自分を死なせてくれるのではないかと考えて接近を試みる。しかし、その過程で風子の苦悩を知り、自らもユニオンに追われる生活から抜け出すために、ユニオンに加入した。以後、風子と共に組織の一員として戦うようになる。非常に長生きであるため、多種多様な技能を身につけており、風子の髪の毛を整えたヘアカット技能もその一つ。

シェン

対未確認現象統制組織「ユニオン」内のチーム「円卓」に所属する中国人男性。若く見えるが年齢不詳で、円卓内ではジュイスに次いでNo.2の権力を誇る。目で見た対象に現在思っていること、これから行おうとしている行動とは真逆のことをさせる能力「不真実(アントゥルース)」を持つ、否定者である。しかしこの能力は、シェンの意思とは無関係に発動し、シェンが好意を抱いている相手にしか発動しない。また、最低片目を使って対象を見つめ続けていないと維持できない。つまり、瞬きをしてしまうと能力が途切れるため、ウインクをすることでこれを防いでいる。暴発防止のため、ふだんは意識して親しい相手とは目を合わせないようにしている。胸の下まで伸ばした水色のロングヘアを一つにまとめ、長身で筋肉質の体型をしている。しかし顔立ちは中性的で、穏やかで非常に人当たりがいい。中華風のファッションを好み、基本的には英語を話すが、部下であるムイとは中国語で話す。ある日、円卓としての任務で、危険人物とみなした出雲風子やアンディの命を狙うようになる。しかし、この時の戦いで二人の人柄を気に入り、風子たちが円卓における二人分の席を奪うことができたら、次期メンバーとしてジュイスに推薦すると約束する。そして、風子たちがこれを果たしてからは、積極的に二人と親しくなる。

ジーナ

対未確認現象統制組織「ユニオン」内のチーム「円卓」に所属する女性。年齢は66歳。出雲風子とアンディとは入れ替わりになったため、同時に所属していたことはない。また、触れたあらゆる物体の変化を否定する能力「不変(アンチェンジ)」を持つ、否定者である。この能力は素手あるいは素足で対象に触れることで発動する他対象型で、それに加えて本人の意思で発動できる任意発動型の能力でもある。これによって対象はジーナの意のままとなり、例えば空気でさえも、その変化を否定することで固定が可能。それ故に空気を武器のように動かしたり、盾のように自分の前に置いて、攻撃から身を守ったりすることもできる。ただし、ジーナ自身には使えず、例えば自分の体の老化を止めて、若々しいままでいることはできない。しかし自らの努力により、容姿は実年齢よりも非常に若く見える。特にアンディと知り合った16歳の頃の自分を維持することを意識して、腰まで伸ばした桃色のストレートロングヘアに、学生服のような若々しいファッションやメイクを好む。そのため、風子には年齢を明かすまで10代だとカンちがいされていた。ユニオンには50年前にはすでに加入しており、アンディとは追う者と追われる者の関係として出会った。その時、一度捕獲に成功したことでアンディと親しくなり、思いを寄せるようになる。しかし、捕獲から10年後である40年前、突如アンディに逃げ出されたことを、今でも根に持っている。ある日、ロシアで再会したのを機に、ユニオン加入を希望するアンディと風子と戦うことになる。50年前にはすでに、生きるためにユニオンに従って自分以外の否定者を犠牲にするような暮らしに疑問を持っていた。アンディに執着するのも、アンディにいつか自分を殺してほしいという願いがあったからである。

ジュイス

対未確認現象統制組織「ユニオン」内のチーム「円卓」におけるNo.1の否定者で、リーダーを務める若い女性。その立場から、メンバーたちには「ボス」と呼ばれている。桃色のストレートロングヘアで、ふだんは大きな仮面をかぶって顔を見ることはできない。いつも軍服で軍人のように振る舞い、固めの口調で話す。能力は「不正義(アンジャスティス)」で、対象の考える正義を聞き、これを否定することで発動する他対象型。これによって対象の考える正義とは反対の行動を強制することができ、例えば対象が他者を傷つけて殺してでも生き残ることが正義と考えていた場合は、その反対である、他者を生かすために自害するという行動を取らせる。正義感の強いまじめな性格で、自分の考える正義を信じ、それを最優先に行動する。そのため、人類が「黙示録(アポカリプス)」からの「課題(クエスト)」に振り回された結果、地球の理(ルール)そのものをねじ曲げられ、破滅に向かっている現状を変えたいと考え、人類を救いたいと強く願っている。故に、積極的に課題をこなしてその報酬を得ながら、課題を与える張本人である、神への対抗策を練っていた。したがって、円卓以外の否定者は邪魔であると考えており、出雲風子やアンディのことも、当初は殺そうとしていた。しかし二人がユニオンに加入し、風子が持つ「不運(アンラック)」の能力の強さを実感してからは、風子こそが神を倒す存在になると考え、期待を寄せるようになる。

タチアナ

対未確認現象統制組織「ユニオン」内のチーム「円卓」に所属するロシア人の少女。自分の肌と髪の毛から数メートル程度の範囲に、決して誰にも触れられないエリアを作り出す能力「不可触(アンタッチャブル)」を持つ、否定者である。この能力は自らを対象に、タチアナ自身の意思とは無関係に常時発動する。そのため、誰もタチアナに触れることはできない。これは無機物であっても同じで、それ故に服を着ることはできず、つねに裸でいる。このことから、ふだんは円卓メンバーであるニコの開発した巨大な球形の拘束具の中に入っており、この拘束具ごと移動して生活している。気が強いが仲間や家族思いの義理堅い性格で、他者に攻撃的な態度を取ることもあるが、その人柄が伝わった相手とは親しくなれる。5歳のある日、先代の不可触の否定者が死亡したことで、タチアナの意思とは無関係にその能力が移植される。これによって、そうと知らないまま新たな不可触の否定者となり、両親を殺害してしまった過去を持つ。その後、訳もわからずにいたところをマフィアに捕獲され、黒競売(ブラックオークション)にかけられていたが、これを円卓メンバーであるビリーに助けられたことで、ユニオンに加入した。そのため、ビリーのことを実の父親のように慕っており、ジーナとも非常に親しかった。故に、ジーナを殺して加入した出雲風子やアンディのことは快く思っておらず、当初は仲間とは認められずにいた。しかし、黒競売への潜入のために二人とチームを組むことになり、これがきっかけで親しくなっていく。

重野 力 (しげの ちから)

対未確認現象統制組織「ユニオン」内のチーム「円卓」に所属する日本人の男子。年齢は17歳。ユニオン加入前は、日本の高校に通う3年生だった。自分の手足を動かさず、不動でいるときだけ、視界に入るあらゆる物体の動きを否定して止める「不動(アンムーブ)」の能力を持つ、否定者である。この能力は、落下物や飛行物の動きも止められるが、自らが動くと解除されてしまう。そのため、重野力自身が緊張や恐怖で震え、手足が動いてしまいやすい状況では、失敗に終わることが多い。前髪を両目が隠れるほど伸ばした赤茶色のマッシュショートヘアにしているが、能力の性質上、能力を積極的に使うときは、対象がよく見えるように前髪を上げている。他人のために行動できる心優しいまじめな性格ながら、気弱で緊張しやすく、いつも思うような行動ができないことに悩んでいる。中学1年生のある日、先代の不動の否定者が死亡したことで、そうとは知らないまま新たな不動の否定者となる。この時、横断歩道を渡る最中だった両親を、離れた場所で動かずに待っていたことから、能力が発動。両親は横断歩道から動けなくなり、そのまま交通事故で亡くなったという過去を持つ。その後、自分には謎の能力があり、その発動条件を漠然と理解したことで自責の念に駆られ、自殺も考えたことがある。そんなある日、否定者であることが知られ、マフィアに拉致されたあげく、黒競売(ブラックオークション)にかけられる。しかし、これがきっかけで出雲風子やアンディと出会い、ユニオンに加入することとなる。

ムイ

対未確認現象統制組織「ユニオン」に所属する中国人の少女。年齢は10代後半。否定者ではないが、シェンの唯一の直属の部下として、シェンに尽くしている。髪の毛を頭の低い位置で二つのお団子にしてまとめており、シェン同様に中華風の服装を好む。糸目の小柄な体型で、一見強そうには見えないが身体能力は高く、シェンのトレーニングに付き合えるほどに格闘技術に長けている。穏やかでまじめな性格で、ずぼらなシェンに細やかなサポートを行っている。しかし、自分が否定者ではないが故に、原則否定者のみが参加できる「黙示録(アポカリプス)」からの「課題(クエスト)」に同行できず、シェンの力になれないことを思い悩んでいる。出雲風子やアンディとは、二人がユニオンに加入したことがきっかけで親しくなり、特に風子とは年齢が近いこともあって仲がいいが、風子にも敬語で接している。

リップ

否定者を見つけては拉致する「否定者狩り」集団「UNDER」の一員の少年。年齢は10代後半。自らが他者につけた傷限定で、その傷の治癒を否定する能力「不治(アンリペア)」を持つ、否定者である。この能力は、リップ自身が死亡するまで解除されず、そのあいだは、止血等の治療行為も否定して無効化する。それに加えて対象が、不治の能力によって負った傷を治療すべく、リップを倒さなくてはならないと考えることも治療行為と解釈するため、この考えに陥った時点で、対象はリップに危害を加えられなくなってしまう。これによって、傷つけた相手に対しては、ほとんど無敵となる。前髪を目が隠れるほど長く伸ばした金髪のショートヘアで、顔の右側を覆う大きな眼帯をつけている。たれ目で左目尻にはほくろが一つあり、実年齢よりも大人っぽく見える。ある年の秋、ブラジルのリオデジャネイロで行われる黒競売(ブラックオークション)の商品に否定者がいるという情報を聞きつけ、捕獲のためにラトラたちと共に現地へ向かう。出雲風子、アンディ、タチアナたちとはこの時に出会って戦い、敗北して一度は死亡するものの、その後子供の姿になって蘇生し、風子たちに立ちはだかり続ける。

ラトラ

否定者を見つけては拉致する「否定者狩り」集団「UNDER」の一員の少女。年齢は10代後半。占いが必ずはずれるという能力を持つ否定者で、口にしたこととは逆の未来が必ず実現する。これを利用して、わざと理想の未来とは逆の予言をすることで、思いどおりの状況を実現させて戦う。顎の高さで切りそろえたボブヘアで、クールな性格の持ち主。リップとは非常に親しく、共に行動している。ある年の秋、ブラジルのリオデジャネイロで行われる黒競売(ブラックオークション)の商品に否定者がいるという情報を聞きつけ、捕獲のためにリップたちと共に現地へ向かう。出雲風子やアンディ、タチアナとはこの時に出会って戦った。

その他キーワード

否定者 (ひていしゃ)

世界の理(ルール)を否定する力を持つ能力者。生まれつきの否定者は基本的に存在せず、同じ力を持つ先代の否定者が死亡した際に、次代の否定者として選ばれた別の人間に能力が移行する形で発現する。そのため、自覚なく否定者となり、能力を使った場合は事故や事件を起こしてしまう者も多い。例えば出雲風子は8歳、タチアナは5歳の時に否定者となり、自らの能力の仕組みを知らずに行使し、家族を死なせてしまっている。否定者の能力には、自らのみを対象とする自己対象型と、他者のみで自らには適応できない他対象型の二つがある。ここにさらに発動条件として、能力を自分の意思で発動できる任意発動型と、条件がそろうと本人の意思とは無関係に発動してしまう強制発動型があり、合計四種類の組み合わせの否定者が存在する。ちなみに風子は他対象、強制発動型に分類される。対未確認現象統制組織「ユニオン」ではつねに否定者の情報を集めており、否定者となった人間は、その日から危険人物としてユニオンに狙われる運命にある。これは、ユニオン内の「円卓」に所属しない否定者は、円卓の邪魔になるというジュイスの考えでもある。しかしその一方で、独自に否定者を集めて人類への復讐をもくろむ「否定者狩り」と呼ばれる集団も存在し、リップたちの所属する「UNDER」はこれに該当する。

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