この愛は、異端。

この愛は、異端。

「愛」というものを知らず、その感情も信じない悪魔のバアルは、少女の四宮淑乃との生活を通して少しずつ気持ちをゆるがせていく。両親を亡くして天涯孤独になってしまった少女と、そんな少女と契約を交わした悪魔の奇妙で異質なラブストーリー。「ヤングアニマル増刊嵐」2016年10号から「ヤングアニマル」2018年15号にかけて連載された作品。

正式名称
この愛は、異端。
ふりがな
このあいはいたん
作者
ジャンル
ダークファンタジー
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あらすじ

第1巻

中学生の頃に両親を事故で亡くした四宮淑乃は、それ以来、叔父と二人で暮らしていた。しかしその叔父とは、中学生の時に淑乃が古本屋で見つけた本から呼び出して契約を交した悪魔のバアルだった。バアルは悪魔として人間の魂を奪って生きてきたが、淑乃が5千年に一人という特殊な魂の持ち主であることを知り、彼女が幼い頃からずっと狙っていたのだ。両親の死によって淑乃と契約をしたバアルは、彼女の魂を得るために結果的に淑乃を守りながら生活をすることになる。そんな中、20歳になった淑乃は大学へと進学し、旭蒼也と出会う。バアルといつもいっしょにいたために、これまで恋愛らしい恋愛をしたことがなかった淑乃は、優しい蒼也に心惹かれていく。しかし、淑乃に近づく蒼也を快く思わないバアルは、彼に幻覚を見せて恐怖の感情を植え付ける。そして淑乃には、悪魔と契約をした人間は幸せになれないと告げる。その残酷な言葉を受け止めた淑乃は蒼也と距離を置き、バアルはそんな淑乃を満足そうに見つめるのだった。

第2巻

四宮淑乃バアルが暮らす家に、バアルの「上司」であるサタンと後輩のセーレが訪ねてきた。その目的は、淑乃と生活しているバアルの暮らしぶりを確認することだったが、サタンはバアルに対して「情を移すな」と警告する。かつて、バアルたちと同じ悪魔のアスモデウスが人間と結婚したことがあり、サタンはバアルもそうなるのではないかと危惧していたのである。その言葉を否定するバアルに対してサタンは、かつての仲間であるラファエルが悪魔狩りを行っていることを伝える。その後、サタンの警告を受けながらもバアルはさらに淑乃と関係を深めようとし、旭蒼也と距離を置いた淑乃もまた、バアルを受け入れる決意を固めるのだった。

第3巻

四宮淑乃と共に暮らすうちに、バアルはいつしか彼女の魂ではなく心が欲しいと思うようになっていた。しかし淑乃にとって、悪魔であるバアルは自分の死後に魂を奪う相手でしかない。淑乃との関係に悩むバアルは、悪魔でありながら人間と結婚したアスモデウスのもとを訪れ、彼がなぜ結婚に至ったかを尋ねる。アスモデウスが「愛」という感情を理解したうえで、結婚したことを知ったバアルは淑乃のもとへ戻るが、そこへかつて仲間であった天使のラファエルが現れる。ラファエルは、天界で淑乃の両親から娘が悪魔に取り憑かれてしまったことを告げられ、バアルを祓うためにやって来たのだという。そして多くの悪魔を人間の世界から追い出してきたラファエルは、淑乃を解放するようにバアルにせまる。

登場人物・キャラクター

四宮 淑乃 (しのみや よしの)

女子大学生で、年齢は20歳。中学生の時に交通事故で両親を亡くし、その後は叔父と共に暮らしている。実は叔父の正体は悪魔のバアルで、淑乃が死んだあとに魂をバアルに与えるという条件のもと、いっしょに暮らしている。早くに両親を亡くしていることから、結婚してふつうの家庭を築くことを強く望んでおり、大学で旭蒼也と出会った際には蒼也と結婚する未来を想像していた。しかしバアルと契約を結んだことで、人間としてのふつうの幸せは望むことができないということを知り、その後は蒼也との関係を終わらせてバアルと共に生きる決意を固める。

バアル

四宮淑乃の魂を狙う悪魔の男性。本名は「ベリアル」だが淑乃からは、呼びにくいという理由で「バアル」と呼ばれている。かつては天使として天界で暮らしていたが、欲望に目がくらんでサタンと共に天界を追われ、堕天使となる。その後は悪魔として人間たちの魂を奪う日々を過ごしていたが、淑乃の持つ最高級の魂を得るために淑乃と生活することになる。幼い頃から淑乃に目をつけており、事故や災害などから淑乃を守っていた。両親を亡くした淑乃といっしょに暮らすために、ふだんは彼女の叔父として生活している。当初は淑乃から魂を得ることだけが目的だったが、淑乃と共に暮らすうちに彼女に心惹かれていく。

旭 蒼也 (あさひ そうや)

四宮淑乃と同じ大学の男子で、休日は美術館に足しげく通っている。出会った時から淑乃に惹かれ、彼女が他人には言えない悩みを抱えているのではないかと考えて淑乃の力になろうとする。しかし、淑乃に思いを寄せていることをバアルに知られ、バアルの魔力によって幻覚を見せられるようになってしまう。これにより、淑乃が旭蒼也を救うために距離を置いたことで、結果別の女性と付き合うようになる。

サタン

バアルと同じ悪魔の男性。かつては天界で天使「ルシファー」として暮らしていたが、欲望に目がくらんでバアルと共に堕天使となった。その後は悪魔として人間たちの魂を奪う日々を過ごしており、バアルにとっては上司にあたる。四宮淑乃と生活しているバアルのもとを訪れ、バアルが淑乃に情を移さないように警告する。仲間意識が非常に強く、特に天界で暮らしていた頃からの仲間であるバアルに対しては強い友情を感じている。

セーレ

バアルと同じ悪魔の男性。立場上はバアルの後輩で、ふだんは少年の姿をしている。しかし女性を誘惑する技術は、バアルやサタンをも凌ぐといわれている。つねに笑みを浮かべており、セーレ自らが考えていることを表に出すことがないため、バアルからは不信感を抱かれているが、サタンとは良好な関係を築いている。ラファエルによる悪魔狩りに遭遇し、人間の世界から追われてしまう。

アスモデウス

バアルと同じ悪魔の男性。バアルと同じく人間の魂を奪っていたが、とある人間の女性と出会い、彼女と恋に落ちた末に結婚する。「人間と結婚した悪魔」ということでサタンからは軽蔑されるものの、そのサタンを結婚式に招待するなど懐の深い性格の持ち主。しかしバアルに対しては、仲間意識がなかったためか結婚式には呼んでいない。四宮淑乃との関係に悩むバアルの相談を受け、人間と結婚したことについて後悔していないことを伝える。

ラファエル

天界で暮らす天使の男性。バアルやサタンが天界にいた頃の仲間で、バアルに対しては今も天界に戻ってきてほしいと願っている。「悪魔狩り」と称してセーレたち悪魔を人間の世界から追い出す役割を担っており、四宮淑乃の魂を狙っているバアルの前に現れる。

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