インヘルノ

インヘルノ

4年ぶりに1歳年下の弟と再会した高校2年生の少女は、いつのまにか「一人の男」へと変貌を遂げていた弟に、家族以上の感情を抱く。一方の弟も姉の中に「女」を感じ、沸き上がる感情を隠し切れなくなっていく。互いに禁断の愛に踏み込むことを心に決めた2人の、身を焦がす姉弟愛を描く。「ララ」2013年7月号増刊「アネララ」から2017年10月号増刊「アネララ」にかけて掲載された作品。。

正式名称
インヘルノ
ふりがな
いんへるの
作者
ジャンル
恋愛
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あらすじ

第1巻

高校2年生の家入更は、離婚していた両親が復縁する事で、4年ぶりに1歳年下の弟・家入轟と共に生活する事が決定した。小さくてかわいかった大好きな弟との再会を心待ちにしていた更は、期待に気持ちを高ぶらせながら帰宅する。しかしそこで更を待っていたのは、気性の荒い「男」へと成長を遂げた、更の知らない轟の姿だった。更は以前とと同じように轟に接するが、轟は、更にだけ反抗的な態度を取り、つねに距離を取り続けようとする。姉弟にしては轟に対する距離感が近く、警戒心のない更に対して、轟は自分を戒めようとしていたのである。当初こそ急に変わってしまった轟の態度に戸惑う更だったが、そんな二人のぎこちなさも、人当たりのいい更の手によって次第に薄れ、昔のような関係に戻っていく。そんなある日、更に付きまとっているというチャラ男の日村亜蓮が、更の暮らすマンションに現れる。更を自分のものにしようとしつこく言い寄る日村に対応するため、更が実家の外へ出た事を知った轟は、彼女のもとへ向かう。そして更の彼氏のふりをして、日村の事を牽制する。

第2巻

彼氏と別れたばかりの下平豊子は、コンビニでアルバイト中の家入轟に一目惚れする。周囲が羨ましがるような彼氏がほしいと思っていた豊子は、轟に積極的にアプローチを仕掛け、関係を持つ事に成功した。見た目だけを重視した最初の気持ちから打って変わって、豊子が本気で轟に入れ込み始めた時、彼には思いを寄せる相手が存在する事を知る。そんな折、豊子は轟が儚げな女子高校生の家入更といっしょにいるところを目撃。豊子は、彼女が轟の想う相手かと大きなショックを受けるが、のちに更が轟の姉である事を知り、ひとまず胸をなでおろすのだった。一方で、轟に対して家族以上の執着心を自覚し始めていた更は、次第に彼への思いを自制する事ができなくなっていく。その結果、同じ理由で更と距離を置こうとしている轟の気持ちをより翻弄する事になってしまう。二人はいつも反発し合っているように見えて、その距離は着実に近づいていくのだった。

第3巻

下平豊子は、家入轟に密かに思いを寄せながらも、彼の恋を応援する形で、微妙な友人関係を続けていた。そんな中、轟が思う相手が、彼の姉、家入更である事を知る。一方で姉弟という関係を超え、轟と更は、ついに互いの本当の気持ちを確認し合う。だが、そんな関係を他人に知られる事を恐れた更は、轟に豊子と付き合うように勧め、自分は古庄晴比古の告白に応える形で交際を始めようとする。

第4巻

家入更は、古庄晴比古と順調な交際を続けているように見えた。しかし、更と家入轟の本当の関係を知っていた古庄は、冷静でいるように見せて、その実、静かに、そして激しく、心の奥底で更への情熱を燃やし続けていた。更と轟が姉弟である以上、これより深い関係を築く事が困難だろうと考えた古庄は、更を確実に自分のもとにつなぎとめるために体の関係を結ぶ。そして、更の轟への気持ちを知ったうえで、それも含めて彼女と一生添い遂げる覚悟を決める。

第5巻

ある日、家入轟はバイクで事故を起こし、昏睡状態に陥ってしまう。それから1年、かろうじて一命を取り留めた轟だったが、脳を損傷した影響で自力で歩く事が困難な状態にあった。その後、驚異的な回復力を見せた轟は次第に回復し、普通の生活に戻るための準備が着々と進められていく。だがそんな中、轟はいつまでたっても家入更が自分の病室に現れない事に、苛立ちと不安を感じ始めていた。

1年前、更はすべてに整理をつけ、弟の轟と結ばれる決意を固めていた。そんな中、轟がバイクで事故に遭ったという報せを受けた更は、それ以降、意識のない轟を献身的に看病し続けた。だが、涙を見せる事もなく、いつもと何ら変わりない様に見えた更は静かに壊れていった。そしていつしか文字を読む事も、問題を解く事もできなくなっていたのである。更は、轟が事故に遭って以降、眠る事のないまま日々を送っており、周囲がそんな更の異変に気づくまで、4か月もの時間を要した。轟が目を覚ましたのは、それ以降の事であった。

入院中の轟の外泊が認められ、ようやく更との再会にこぎつけた轟は、自宅で互いの存在を確認し合う。更は、父親である家入芳成が見ている事を知りながら、轟をキスを交わす。そして、轟と離れる事を決意するのだった。

登場人物・キャラクター

家入 更 (いえいり さら)

家入轟の1歳年上の姉。偏差値75オーバーの名高いG大付属高校の2年生。生徒会役員を務めている。清楚で儚い印象を持つショートヘアの美人。成績優秀で人望も厚く、男女を問わず、生徒たちから憧れの対象となっている。他人に執着できず、恋愛感情を持てないことを自分の欠点だと感じている。両親は4年前に離婚したが、この春に復縁。 離れて暮らしていた弟の轟とも再会し、再び家族で生活することになった。幼い頃から小さくてかわいい轟が大好き。しかし、離れている間に、轟はいつのまにか「男」として成長を遂げていた。そのことに困惑しながらも、郷に対する想いが、1人の男性に対する執着心であることに気付く。そして許されない愛に立ち向かう。

家入 轟 (いえいり ごう)

家入更の1歳年下の弟。西高に通う高校1年生。運動神経抜群で、特にバスケットボールの実力は折り紙付き。基本的に他人に対して、無駄に威圧的な雰囲気を持つ。目つきが悪く、態度が大きく、気性は荒いが、女性に対しては意外と優しい。両親は4年前に離婚したが、この春に復縁。離れて暮らしていた姉の更と再会し、再び家族で生活することになった。 幼い頃からなにかと姉にくっついて歩くことが多く、更が大好きだった。それは離れている間も同様で、姉への想いはいびつな形となって膨らんでいき、1人の女性に対する禁断の愛へと変わっていく。更のことになると、感情が抑えられなくなる傾向にあり、暴走しがちなところは、幼い頃から変わらない。食事の趣味はお母さんと似ており、白いご飯が大好き。 しかし、更の用意する食事が洋食中心のうえ、繊細な味付けの物が多く、なかなか希望する物が食べられないでいる。のちに家を出るため、コンビニと飲食店でアルバイトを始める。

武田 栄里 (たけだ えり)

G大付属高校に通う女子。家入更の後輩。頭のてっぺんでゆるくまとめたお団子ヘアをしている。更とは、生徒会役員としてともに活動を行っており、更に対する尊敬の念は厚い。更が日村亜蓮に付きまとわれていることを知り、その手出しをなんとか阻止しようと、家入轟に連絡する。

日村 亜蓮 (ひむら あれん)

G大付属高校に通う男子。女性に対して節操がないため、女子生徒たちからは「チャラ男」と呼ばれている。「趣味は家入更」とうそぶき、夏休み中に更を自分のものにする、と仲間内に公言。手段を選ばずに、更に近づこうとする。一時は家入轟を更の彼氏と思い込み、執着を薄れさせるが、のちに轟が更の弟であることを知ると、再び更を手に入れようと動き出す。 なお、見た目通りのチャラい性格の持ち主だが、悪人というわけではない。

お母さん (おかあさん)

家入更と家入轟の母親。医者として働いている。1つにまとめた髪と、眼鏡が特徴のクール系美人で、ノリが軽い。食事の趣味が轟と似ており、白いご飯が好きだ。しかし、更の用意する食事が洋食中心のうえ、繊細な味付けの物が多く、なかなか希望する物が食べられないでいる。テレビとDVD鑑賞が趣味。

家入 芳成 (いえいり よしなり)

家入更と家入轟の父親。お母さんとは、結婚後一度離婚し、轟を連れて九州に移り住んでいた。4年前、復縁する事が決まったが、家族と離れ単身での生活を送っていた。職業はカウンセラー。職業柄、何かと察しがいいところがある。轟との関係を隠さず見せつけた更を、「自分とよく似た破滅型」と称した。しかし、二人が関係を続ける事を許さず、更を轟から離した。 13年後、ガンである事が判明し、入院して手術を受ける事になる。

下平 豊子 (しもひら とよこ)

男性経験が豊富な女子高校生。彼氏がコロコロ変わる。同性の友達はいるが、上辺だけの付き合いで関係性は希薄。本名は下平豊子だが、自分の名前が今風ではないという理由で嫌い、友人には「レナ」と呼ばせている。よく行くコンビニで、アルバイト中の家入轟を見かけて一目惚れする。声をかけても無視されるなど、なかなか相手にされなかった。 しかし、友人の勘違いをきっかけに自宅に誘うことに成功し、男女の関係となる。イケメンの轟に対し、当初はミーハーな気持ちで付き合っていたが、次第に轟に思い入れ、溺れていく。

ヨシナガ

中学時代に家入更とクラスメイトだった男子。更の初恋の相手。本が大好きな、地味でおとなしいタイプ。当時、体育の授業中にバレーボールを顔面レシーブして、左目を負傷した。これがきっかけで、重病を患っていることが発覚。以来、入退院を繰り返している。

古庄 晴比古 (ふるしょう はるひこ)

G大付属高校に通う1年生の男子。家入更とは生徒会役員としてともに活動を行っており、緻密で繊細な仕事ぶりを発揮している。更に対する尊敬の念は厚く、また彼女に密かな想いを寄せている。いつも冷静でテンションが低く、周囲の人間からは「トカゲのような目をしている」とまで言われている。実は関西出身で、関西弁を使う晴比古の母とは、軽妙にして秀逸な掛け合いを展開する。 音楽が好きで、中学時代は吹奏楽部に所属し、フルートを演奏していた。更と家入轟の関係に姉弟以上の違和感を感じ、更への想いを告白。これにより、轟に対して宣戦布告する形となった。剣道二段の腕前を持つ。

小山田 ゆう (おやまだ ゆう)

西高に通う高校1年生の男子。ゲーム好きで少々オタクな一面がある。学校内でひときわ浮いた存在だった家入轟に思い切って声をかけ、体育祭で応援団に参加してほしいと説得。それがきっかけとなり、多くの生徒たちが轟を受け入れるきっかけを作った。

マキタ

西高に通う高校2年生の男子。バスケットボール部に所属している。監督が入院したことに伴って悪化してしまった部内の雰囲気を改善するため、何かと尽力している。体育祭で目立った活躍をしていた家入轟が起爆剤になりうると見込み、バスケットボール部に入らないかと誘いに来た。勉強が苦手で、実力テストは学年最下位。

ヒロカズ

下平豊子が友人に紹介された男子高校生。野性味ゼロのスマート系イケメンで、愛想がいい。豊子と2人でデートしていても、当たりが柔らかく、映画も食事も趣味が合い、相手を気遣える人物。ただし、豊子自身が家入轟を基準にして彼を比較したため、彼女のお眼鏡にはかなわなかった。

晴比古の母 (はるひこのはは)

古庄晴比古の母親。テンション低めで常に冷静な息子の晴比古とは対照的に、明るく天然な下品さを持つ関西人。会話中にさらっと下ネタを挟んできたりする。息子にできた彼女のことに興味津々で、毎朝毎晩しつこく晴比古に質問しては、詳細を聞きだそうとしている。晴比古のことに関しては何でもお見通しで、いつも一枚上手。

押田 奈津紀 (おしだ なつき)

看護師の女性で、年齢は26歳。仕事に忙しい毎日に充実感を感じてはいるものの、医者以外の男性との出会いを求めており、現在は婚活中。明るく裏表のない性格で、いつも笑顔を浮かべている好人物。また世話好きで、看護師としての性分が職場を出ても抜けない。食べる事が大好きで、ラーメンや肉が好み。

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