ウシハル

ウシハル

かわいがっていた仔牛が美女にしか見えなくなってしまった中学生の少年の性と悩みを描いたジュブナイル作品。巻末には著者のエッセイマンガが掲載されており、5巻の最後には短編『永命バニー』のネームが掲載されている。小学館「月刊!スピリッツ」2010年1月号から連載開始した後、同社「週刊ビッグコミックスピリッツ」に移籍し2010年31号から2011年52号まで連載。著者の初週刊連載作品となった。

正式名称
ウシハル
ふりがな
うしはる
作者
ジャンル
動物擬人化
 
青春
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概要・あらすじ

牧場の息子森山清晴は、かつてかわいがっていた仔牛のウシハルと再会した。普通の牛だったはずなのに、なぜか自分にだけ、豊満な美女の姿に見える。困惑しながらウシハルの面倒を見ていたある日、中学校の友人が、ウシハルが女性の姿であることに気づく。彼は謎を解くため、牛が女性に見えた経験のある老人吉春を訪問し、性に目覚めた童貞の男子にだけ見えるのではないか、という仮説を立てていく。

調査の最中に「牛女」を探している神社の巫女の少女吉野アキラに遭遇。ウシハルを退治しようとしていた彼女だが、ウシハルをかばう清晴と和解し、事情を知るものとして調査に協力するようになった。同時期に、清晴の友人向井次郎が、いつも女子高生と一緒にいるのを知る。

清晴は彼女が援交をしているのを目撃。それを知った緑は、清晴を共犯者にするため彼を強姦する。童貞ではなくなったことでウシハルと二度と会えないと泣き崩れる清晴。しかし彼にはまだウシハルが見えていた。これからも一緒に暮らせると思っていたところ、ある日牧場を閉めることが決定し、飼っていた牛は売り払われることになってしまう。

清晴は、ウシハルと共に駆け落ちする。

登場人物・キャラクター

森山 清晴 (もりやま きよはる)

森山牧場の一人息子。中学生。性に興味津々な童貞の少年。両親の手伝いで、牛の世話をしている。気は優しくマメだが、性的な発言が多いため、クラスメイトの女子には疎まれている。幼いころかわいがっていた仔牛のウシハルが帰ってきた時、自分にだけ彼女が人間の女性の姿に見えていることに激しくうろたえた。彼は謎を解くため、自分と同じように「牛女」が見えていた老人吉春と出会い、性に目覚めた童貞だけが牛女に見え、童貞を失うと見えなくなることを知る。 友人の向井次郎と親しい女子高生緑に近づいたところ、援交している現場を目撃。後に緑は、彼を共犯者にしようと強姦している。その後、自分がウシハルのことを愛していたことに気づき、ウシハルと共に駆け落ちすることを決意する。 同じように人間女性化した猫のスズキから性的な接触をたびたび求められていたが、拒絶し続けていた。

ウシハル

性に目覚めた童貞の男子にのみ、女性の姿に見える仔牛。通常の人にはただの牛にしか見えない。幼いころかわいがってくれていた森山清晴にとてもなついている。見た目は全裸の豊満な女性なため、思春期の清晴をたびたび困惑させている。無邪気な性格で、泥まみれになって遊ぶなど、行動は仔牛そのまま。どんな相手にでも近づける人懐っこい性格。 同じように人間化した猫のスズキからは嫉妬されるが、本人はあまり意に介していない。古文書の伝説にある「牛女」で、神社の巫女の少女吉野アキラに退治されそうになったことがある。だがウシハルは天真爛漫にアキラに接したため、攻撃されるのを免れた。清晴のクラスの童貞男子などからも女性の姿に見えており、田淵久からは一人の女性として強いアプローチを受けたことがある。

吉野 アキラ (よしの あきら)

巫女の少女。森山清晴に突然話しかけて近づいてきた。普段は長い髪の毛を一つに結んで前に垂らしている。実家は神社。気が強く、男子中学生たちのいたずらにいつも腹を立てている。古文書に書かれていた、ある一定の人物には人間に見える「牛女」の話を追いかけており、男を色気で惑わす悪い妖怪だと信じている。牛女の核心を知っている清晴を利用して真実にたどり着こうとし、ウシハルを発見。 彼女を退治しようとするが、ウシハルの優しさに触れて手を引く。その後は牛女の謎を探るため、清晴と協力して調査を開始。月食の日に境内の月に照らされた草を食べた動物が女性になることを突き止める。最初は清晴のことを嫌っていたが、一生懸命でウシハルを愛している彼のことが気になり、片思いするようになった。

スズキ

森山清晴が拾ってきた猫。清晴の愛情を受けているウシハルに、激しい嫉妬を抱いている。月食の日に神社の境内の月に照らされた草を食べたことで、一部の人のみに人間の女性の姿に見えるようになった。性的なことに興味が深く、度々清晴を襲おうとしたり、自慰を行ったりしている。発情期に清晴の友人田淵久に出会い、彼とセックスをしたことで、猫の姿に戻った。 作中ではウシハルの前でだけ人間の言葉をしゃべっているかのように描写されている。

(みどり)

髪が長い女子高生。向井次郎の隣の家に住んでおり、人当たりがよい少女。次郎と仲がよく、手を繋いでカラオケに行っている。また2人で遊園地に行くなど、遠出もしている。こっそりと援交をしており、目撃してしまった森山清晴に接近。普段からセックスを繰り返す、淫乱な本性を見せる。普段と違う姿を知ってしまった清晴に秘密を守らせるため、共犯者にしようと無理やり襲い、強姦した。

向井 次郎 (むかい じろう)

森山清晴の友人の中学生。メガネをかけ、常に下を向いている、髪の長い少年。寡黙で、ボソボソとしかしゃべらない。「童貞にしか見えない」と思われているウシハルが彼には見えていないため、非童貞だと考えられている。ラジオを聞きながらフィギュアを作るのが趣味。隣のお姉さんの緑と仲がよく、手を繋いで町に遊びに行ったり、遊園地に行っている。 メガネを取ると美少年で、後にモデルになっている。

服部 健太郎 (はっとり けんたろう)

森山清晴の友人の中学生。禿げ上がった巨漢。童貞。清晴同様にウシハルが人間の姿をしているのを見ることができる。食べることとエロいことしか考えていない。下品な言動が多く、クラスの女子からは激しく嫌われている。女子の生理周期を調べあげたことがある。

田淵 久 (たぶち ひさし)

森山清晴の友人の中学生。眉毛が太い。童貞。清晴同様にウシハルが人間の姿をしているのを見ることができる。ウシハルに一目惚れし、積極的にアプローチを試み、仲良くなった。ウシハルが人間に見えなくなった後、同じように人間の姿になっていた猫のスズキ出会い、発情期だったスズキとセックスをしたことで「ジュウカン」と呼ばれるようになってしまった。

清晴の父 (もりやまきよはるのちち)

森山牧場を妻と共に経営している。髪の毛を7:3分けにしており、作業の時には麦わら帽子をかぶっている。息子の森山清晴に牛の世話を手伝わせている。おちゃめな性格で、時折息子の前でおどける。髪の毛が薄くなってきたのを気にしている。牧場を売らねばいけなくなった時、清晴を笑わせようとしていたが、本人も苦しんでいた。

清晴の母 (もりやまきよはるのはは)

髪の毛をパーマにしている。森山牧場を夫と共に経営している。息子の森山清晴に牛の世話を手伝わせることが多い。清晴がわがままを言う時には、厳しく叱りつけている。

森山 梅晴 (もりやま うめはる)

森山清晴の兄。高校生。農業高校に通っており、清晴らとは別のところに住んでいる。彼女は同じ農業高校のユリ。高校で行われる実習の予習のために、牧場である実家に一時的に帰ってきた。

ユリ

森山清晴の兄である森山梅晴の彼女。2人とも農業高校に通っている。高校で行われる実習の予習のために、牧場である梅晴の実家に遊びに来た。素手で牛の肛門に手を突っ込み触診をするなど、アグレッシブな性格。

COW GIRLのママ (かうがーるのまま)

オカマバー「COW GIRL」のママ。スキンヘッドにバニーガールの耳をつけ、牛柄のドレスやブラジャーを身にまとっているオカマの男性。童貞の中学生少年たちが性で悩んでいる時に、厳しく叱りつけつつアドバイスを与えている。特に服部健次郎を気に入っており、後に彼と店を拡大する。

吉春 (よしはる)

町の人には通称「ジュウカンジジイ」と呼ばれ、蔑まれている老人男性。ブログに「牛女」について書き残していた。牛が女性に見える森山清晴が、謎を解くために彼の家を訪れた。若いころ「牛女」の花子に出会って恋に落ちたが、駆け落ちをして性行為に及んだ後、花子はただの牛に戻ってしまった。その経験から、童貞と牛女の関係を清晴に説明する。 祖父が牛女を見たという吉野アキラにも、自分の体験を語っている。

花子 (はなこ)

若いころの吉春が出会った「牛女」。周囲の人間には牛にしか見えないのに、吉春にだけ人間に見えていた。吉春と恋に落ち、駆け落ちしたものの、セックスをしたことで吉春にはただの牛にしか見えなくなる。

ミヤケ

スーパー種牛コンテストで優勝している雄牛。子作りは百発百中。疲れしらずで、あらゆる雌牛に種付けをし続けており、売価は数百万円する。雌牛たちからは非常にモテている。ウシハルは最初は興味を全く示さなかったが、幼いころ森山清晴と別れてさみしがっていた自分を励ましたのがミヤケだと知り、仲良くなる。

長沼 (ながぬま)

森山清晴たちの担任女性教師。普段は男勝りだが、時期によってスカートを履いて女性的になる、と噂されている。月末には首筋にキスマークをつけていたことがあり、深夜彼女が部屋でセックスをしているのを清晴は目撃する。

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