あらすじ
第1巻
コルセイトで生まれ育った錬金術師のエスカ・メーリエは、新たに役人として働く事になった。そんな中、中央から錬金術師のロジックス・フィクサリオがやって来て、新人の役人としてエスカと同じ開発班に配属される。だが、錬金術師の開発に必要な機材が届いておらず、届くまでのあいだ、エスカとロジックスは開発に使う材料を採取するために出かける。その出先で二人は、この地域では出現するはずのない強力なモンスターに遭遇してしまう。その強力なモンスターが機材の搬入を遅らせていると知った二人は、討伐隊のリンカの力を借りてモンスターを撃破。それにより機材が届き、錬金術による開発ができるようになった。その後、開発班に辺境の村の水不足を解決してほしいという依頼が舞い込む。エスカとロジックスはその問題を解決する事に成功するが、その時には既に村人達が村から避難したあとだった。この事に悔しさを覚えたエスカは、より一層仕事に対して真剣に取り組むようになる。その後、開発班では遠くの地域にまで材料の採取が行えるようにと、飛行船の開発が始まった。
第2巻
中央でロジックス・フィクサリオが、飛行船の動力開発に携わっていた事が判明する。しかしロジックスは、その開発中に大きな事故を起こし、飛行船の開発に対して消極的になっていた。さらにその事故で、大切な親友をケガさせていた事を後ろめたく思っていたロジックスは、自分に錬金術師を続ける資格はないと考えていた。そんな中、エスカ・メーリエの励ましで、勇気をもらったロジックスは、飛行船の開発に着手し始める。その後、飛行船の動力開発には出力を出すための素材が必要だと判明。そこで、エスカ達はウィルベル・フォル=エルスリートの協力のもと、火の王に会いに行く。火の王から強力な素材を手に入れたエスカ達は、それを飛行機の動力として利用し、飛行船の開発に成功する。一方、未踏遺跡にいたフラメウが目覚めた事により、コルセイトには危機が訪れようとしていた。それを知ったエスカ達はフラメウを止めるために、飛行船に乗って未踏遺跡まで到達する。そこで、フラメウを止める事に成功したエスカ達は、コルセイトを危機から救うのだった。
登場人物・キャラクター
エスカ・メーリエ (えすかめーりえ)
新たにコルセイトの新人役人となった少女。生まれも育ちもコルセイトで、ピンク色の髪をツインテールにしている。また、スカートの後ろには尻尾の形をしたアクセサリーを付けている。温和な性格で、少々おっちょこちょいなところがある。人の役に立ちたいと考える心優しい人物で、コルセイトでの評判もいい。幼い頃に母親から錬金術を習っており、錬金術を使って薬やリンゴのタルトなどさまざまなものを作る事ができる。 コルセイトの役人となって、さまざまな仕事をこなしていくうちに錬金術の腕前が上達していき、やがて大掛かりなものも錬金術で作成できるようになっていく。コルセイトの役人となった当初から錬金術で人の役に立ちたいと考えていたが、辺境の村を救えなかった事がきっかけで、さらに仕事に対してまじめに取り組むようになった。 その後、暴走を始めたフラメウを止めるために飛行船に乗って未踏遺跡に到達し、コルセイトを救う事に成功する。
ロジックス・フィクサリオ (ろじっくすふぃくさりお)
中央からやって来た錬金術師で、新たにコルセイトの役人となった白髪の少年。通称は「ロジー」。物静かでクールな性格ながら、自分の得意分野になると途端に饒舌になる。特に錬金術の事を説明する際には、エスカ・メーリエから先生みたいだと評されるほど。中央では飛行船の開発に携わっており、若くして新型エンジン開発を任されていた。 しかし、不器用な性格がわざわいして孤立してしまい、一人よがりの研究に没頭していくようになる。その後、新型エンジンの開発に成功するも、エンジンが暴走してしまう。その事故で親友の飛行士を大ケガさせた負い目から中央にいられなくなり、コルセイトにやって来た。コルセイトでも飛行船の開発が行なわれようとした際は、中央で飛行船の担当だった事を周囲には秘密にしていた。 ミーチェ・サン・ミュッセンブルクにより自分の過去が周囲に明かされるが、エスカに励まされた事で飛行船の開発に本格的に着手するようになった。その後、飛行船の開発を成功させ、中央へと戻る。
ルシル・エルネラ (るしるえるねら)
新たにコルセイトの役人となった少女で、エスカ・メーリエらと同じ開発班に配属された。白髪のショートヘアで、非常に幼い外見をしている。中央では医術の勉強をしており、医療技術の知識は豊富。その修学の過程で、多少ではあるが錬金術に関する知識も身につけている。開発班が未踏遺跡に赴く際は、エスカらと共に飛行船に乗り合わせている。 また、彼女とロジックス・フィクサリオをフラメウのもとに送り届けるため、魔物の足止めを行っていた。
マリオン・クィン (まりおんくぃん)
コルセイトの役人を務めている女性で、エスカ・メーリエの上司にあたる。黒髪のショートヘアで、眼鏡をかけている。エスカやロジックス・フィクサリオの成長に期待しており、彼女らをよきパートナーとして認めている。
リンカ
コルセイトの役人を務めているロングヘアの女性で、開発班に所属している。非常に高い戦闘能力を有しており、自分の身の丈ほどもある肉厚の剣を軽々と振り回す事のできる膂力の持ち主。その戦闘能力を活かし、開発班では魔物の討伐任務などを担当する事が多い。戦闘においては非常に頼りになる一方で、高い場所を非常に苦手にしている。空高くに浮かぶ未踏遺跡に到達した際は、飛行船から未踏遺跡に渡る事を怖がっていた。
コルランド・グラマン (こるらんどぐらまん)
コルセイト支部の支部長を務めている男性。黒髪をオールバックにしている。口髭を生やしており、体格が非常にいい。威厳のある雰囲気を漂わせているが、マリオン・クィンからは「狸オヤジ」と陰口を叩かれている。ロジックス・フィクサリオが中央で飛行船の開発を行っていたと知っていたが、彼の事を思ってマリオンなどにもその事を秘密にしていた。
ウィルベル・フォル=エルスリート
魔法使いの少女で、火の王のもとに行こうとするエスカ・メーリエに協力を申し出た。ピンク色の髪をロングヘアにしている。黒色の服を身につけて帽子をかぶっている。空を飛ぶ魔法が使えるほか、攻撃魔法を使用する事でドラゴンを相手にできるほどの戦闘能力を有している。エスカら開発班が未踏遺跡に赴く際にも参加している。エスカらをフラメウのもとに送り届けるため、魔物の足止めを行っていた。 コルセイトを危機から救ったあとは新たな契約相手の精霊を探すため、ニオ・アルトゥールといっしょにコルセイトから旅立つ。
ニオ・アルトゥール (におあるとぅーる)
薬士の少女で、ウィルベル・フォル=エルスリートといっしょに旅をしている。黒髪をショートヘアにしている。多少のケガなら一瞬で治療する事ができる。エスカ・メーリエら開発班が未踏遺跡に赴く際にも参加している。エスカ達をフラメウのもとに送り届けるため、ウィルベルといっしょに魔物の足止めを行っていた。コルセイトを危機から救ったあとは、ウィルベルといっしょにコルセイトから旅立つ。
アウィン・サイドレット (あうぃんさいどれっと)
コルセイトで気球の整備士を務めている男性で、エスカ・メーリエの従兄。短髪で眼鏡をかけた、優男風の出で立ち。エスカからは「お兄ちゃん」と呼ばれて慕われており、エスカらが素材の収集に出かける際には魔物からの護衛役などを務めている。昔から飛行船にあこがれており、独学で飛行船の設計図を作成していた。コルセイトで飛行船を作る事となった際にも、率先してその開発に携わっている。 その後、開発に成功した飛行船に乗って未踏遺跡に乗り込んだ際には、その操縦を担当している。
クローネ
メーリエ家に古くから仕えている機械人形。人間の女性を模した姿をしており、頭の上には大きなネジが付いている。前時代の錬金術師により作成されており、メーリエ家を古くから見守っていた。普通の人間のように考える能力を持ち、意思疎通を行なう事ができる。しかし、技術の漏洩を怖れた太古の錬金術師によりいくつかの制約がかけられており、昔の事に関してはしゃべれる事が限られている。 現在はエスカ・メーリエといっしょに暮らしており、メーリエ家にあるリンゴ園の管理を担当しているほか、エスカの生活のサポートも行っている。その昔、フラメウが未踏遺跡の管理素体となって地上を離れた時の事を知っており、彼女にまつわる悲しい物語をみんなに覚えていてほしいと、その内容を絵本に書き記している。 また、フラメウが長い眠りから目覚めた際には、エスカ達に対して危機が迫っていると警告を促しつつ、彼女らと共にフラメウを止めるために未踏遺跡まで向かった。そこでフラメウと再会を果たし、彼女の暴走を食い止めた。その後、フラメウを止めた時の冒険の記録を、絵本に書き記す事を決意している。
レイファー・ラックベリー (れいふぁーらっくべりー)
トレジャーハンターを生業としている男性。短髪で顎鬚を蓄えており、頭にはカウボーイハットをかぶっている。財宝を求めて遺跡などの探索を行っており、ハリー・オルソンといっしょに旅を続けている。また、報酬次第で誰の依頼でも受けるところがあり、未踏遺跡に行くエスカ・メーリエらの警護を担当している。
ハリー・オルソン (はりーおるそん)
学術家の男性で、研究の一環としてレイファー・ラックベリーと共に遺跡探索を行っている。黒髪の短髪で、口髭を生やしている。歴史的価値のある遺跡を求めてレイファーと旅をしているが、遺跡に対して金銭的な価値しか見ていないレイファーには若干頭を痛めている。コルセイト周辺にあった遺跡から未踏遺跡の謎につながる壁画を発見しており、それらの壁画に隠された意味を読み解こうとしていた。
ミーチェ・サン・ミュッセンブルク (みーちぇさんみゅっせんぶるく)
中央で監査官を務めている少年で、コルセイト支部の監査にやって来た。白髪の長い髪を頭後ろで束ねている。若くして中央の監査官に抜擢された事もあってか、年上相手でも堂々とした態度を見せる。コルセイトに来ていたロジックス・フィクサリオの過去も知っており、ロジックスに飛行船開発を続けさせる事について、支部長のコルランド・グラマンに苦言を呈した。 さらにその後、彼の過去をコルセイト支部の開発班にも暴露した。
火の王 (ひのおう)
高位の火の精霊で、コルセイトから西にある熱せられた荒野を根城としている。本体は小さな人形のような姿をしている。人間に祭壇を荒らされていた事から人間に対して敵意を抱いており、エスカ・メーリエらが尋ねて来た際には取り付く島もなく追い返している。その後、エスカらが祭壇に捧げる代わりの宝玉を用意した際には、彼女らを認めて話を聞いてやった。 また、その際にはエスカらの必要としている強い火の素材を分けてやっている。
フラメウ
大地を再生するプラント「ジェオシス」の管理素体として選ばれた錬金術師の少女。癖のある髪をロングヘアにしている。大きな杖を手に持っている。管理素体となった事から不老となったあと、人間達といっしょに大地を再生するための研究に着手する。しかし、研究を続けるうちに大地に対して悪影響を与える人間がいるため、正しい研究成果を得られないと考えるようになっていく。 そして人間達と決別する事を決めて、「ジェオシス」と共に空へと飛んでいく事で人間の手が届かない場所まで移動した。その後、眠りについて長い年月を経るうちに、これらの事を覚えている人間はいなくなってしまった。永い眠りから目覚めたのち、再び「ジェオシス」を起動するためにコルセイトに危機をもたらそうとする。 また、長い時を不老のまま生きるために精神を眠りにつかせており、当初はクローネの事すらも思い出せなかった。その後、エスカ・メーリエとロジックス・フィクサリオの協力により精神を目覚めさせ、クローネの事を思い出して彼女の言葉を聞き入れる。
場所
コルセイト
辺境地域の調査をするために栄えている街。リンゴの名産地として知られており、周辺の大地が干上がっている中では豊かな緑の多い地域となっている。もともとフラメウと「ジェオシス」が空高くへと飛び去った跡地に残された苗木を育てる事によって発展していった地域だが、この経緯を覚えている者はクローネを残して誰もいなくなっている。 ただし、「ジェオシス」が未踏遺跡と呼ばれるようになったあとも遺跡に対する信仰心が強く芽吹いており、未踏遺跡やその欠片を神聖な遺物として大切にしている。その事から未踏遺跡に到達する事は、コルセイトの人々にとって長年の悲願となっている。その後、フラメウが永い眠りから目覚めた際は、「ジェオシス」を起動するためにコルセイトに滅亡の危機が迫っていた。 それらの危機はエスカ・メーリエらが未踏遺跡に到達してフラメウを止める事により、回避する事に成功している。
その他キーワード
錬金術 (れんきんじゅつ)
古の時代に魔法から学問として発展した技術。人々の暮らしを豊かにするために重宝され、最盛期には海を越え空を駆け、星々の世界にも到達する勢いがあったと伝えられている。だが、そんな錬金術ですら大地の力が弱まる現象を解決する事ができなかった。その後、世界が緩やかに死に向かっていった事で錬金術もまた陰りを見せ、現在では最盛期の技術の一端しか伝わっていない。 ただし、その一端だけでもさまざまな技術を有しており、多くの便利な道具を作り出す事が可能となっている。また、現在では錬金術の技術にも多くの種類があり、特に中央に伝わっている錬金術の技術は分野ごとに特定の機材を必要としている。なお、錬金釜を用いての調合には独特のセンスが必要とされており、エスカ・メーリエなどごく少数の者達にしか使えない古い技術となっている。
クレジット
- 原作
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ガスト