エンゼルゲーム さよならと未来のカケラ

エンゼルゲーム さよならと未来のカケラ

「この世界」に突如集められた空宮ナツをはじめとする少女たちの数奇な運命と、「この世界」に関する謎や「ルール」を描くミステリーサスペンス。「ニコニコ静画」で2011年6月10日から2011年9月16日にかけて配信された作品。

正式名称
エンゼルゲーム さよならと未来のカケラ
ふりがな
えんぜるげーむ さよならとみらいのかけら
原作者
春原 ロビンソン
漫画
ジャンル
その他サスペンス・ミステリー・ギャンブル
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

夏休みの初日、二人で映画に行く約束をしていた空宮ナツ平賀加奈は、地下鉄の出口を出た瞬間に、見知らぬ田舎町に迷い込む。そこは民家がいくつもあるものの住人の気配はまったくなく、ナツたちの住む世界とは明らかに別の世界であった。ナツたちは、やがて自分たちが迷い込んだ異世界のことを「この世界」と呼ぶようになり、周囲の探索を続ける。しかし数日たっても元の世界に戻る手段は見つからず、次第に食料も尽きてしまう。そこでナツは加奈の提案により、情報収集も兼ねて周囲の民家に侵入し、食料や風呂を探すことにする。ナツたちが侵入した民家には誰も住んでいなかったが、電気や水道は通っていた。さらに居間で銃やナイフなどの武器を発見したナツたちだったが、それらを手に取った途端、不思議と武器の名前や使い方を把握することができた。これをきっかけに、ナツたちは「この世界」にはいくつかの「ルール」があることに気づく。そんな中、加奈は銃を持ったまま食料を探すためにキッチンへ向かうが、彼女を追ってキッチンへ向かったナツが見たのは、衝撃の光景だった。

第2巻

謎の多い「この世界」では、二人一組の女子高校生たちが理由もわからないままに集められていた。そして、田舎町のような「この世界」のあちこちには武器が置かれ、食料も十分に用意されていた。野口紅葉と共に「この世界」に迷い込んだ箕面柚子は、空に浮かぶ雲がまったく動かないこと、異常な状況に置かれた自分たちが異様に落ち着いていることに違和感を覚える。数々の謎と数奇な運命に翻弄されながらも、柚子は「この世界」に潜む謎を解き明かそうと行動を開始する。一方の紅葉は、拾った武器と柚子の知略で謎を解き明かし、できれば無事に元の世界に帰りたいと願うのだった。柚子と紅葉は周囲を探索しようとするが、そこへ巨大な鬼の面をつけた謎の人物が現れる。紅葉が無理やり鬼の面を剥ぎ取ると、その正体は「この世界」に迷い込んだ女子高校生の一人、山中佐和美だった。佐和美は「この世界」には殺し屋がいること、自分は殺し屋に追われて逃げていたことを柚子たちに話す。さらに佐和美は、謎の人物に教えられた重要な「ルール」について、紙芝居で説明。その話を聞き終わった柚子は、佐和美がいくつかのウソをついていることに気づくが、今は彼女を殺す必要はないと判断する。柚子は佐和美への警戒を続けながらも、彼女と紅葉の三人で行動することになる。

登場人物・キャラクター

空宮 ナツ (そらみや なつ)

「この世界」に迷い込んだ女子高校生の一人で、平賀加奈の親友。黒髪のショートカットで、ヘアピンを付けている。夏休みに加奈と共に映画館へ向かう途中、地下鉄の出口を出た瞬間に「この世界」に迷い込む。最初の数日間は加奈と共に廃校を拠点としながら、持っていた菓子や山菜、廃校内にある食料を食べて過ごしていた。加奈と食料を探すために潜入した民家で武器を発見するが、その直後にキッチンで加奈が誰かを殺した場面に遭遇する。錯乱した加奈に銃を向けられたため、混乱と恐怖心からそのまま彼女を銃殺してしまう。唐突に罵声を浴びせられたり、食べ物の毒見をさせられたりと、加奈にはいつも振り回されていた。しかし加奈のことが大好きなため、反論や疑問などは彼女の笑顔を見るたびに消え去っている。明るい性格で天真爛漫ながら、少々天然気味なところがある。友人には自分の名前の由来について「夏生まれだから」と説明しているが、実際は「両親が名前をつける際にツナ缶を肴に酒を飲んでいたため」というのが真相。

平賀 加奈 (ひらが かな)

「この世界」に迷い込んだ女子高校生の一人で、空宮ナツの親友。茶髪のロングヘアを二つの三つ編みにまとめ、赤いヘアバンドをしている。夏休みにナツと共に映画館に向かう途中、地下鉄の出口を出た瞬間に「この世界」に迷い込む。ナツと共に食料を探して民間に潜入して武器を発見するが、探索のために向かったキッチンで何者かに遭遇して殺害。その場面を見たナツに混乱と勢いで銃を向けてしまい、恐怖心を抱いた彼女に殺されてしまう。あちこちで食材を調達しては菓子などを作っているが、自分が食べる前にナツに毒見をさせていた。穏やかでおとなしそうな見た目に反して、少々腹黒くSっ気の強い性格をしている。将来の夢はお嫁さん(玉の輿)になること。

淀川 花火 (よどがわ はなび)

「この世界」に迷い込んだ女子高校生の一人で、池田栞の幼なじみ。朝起きると同時に、栞と共に「この世界」に迷い込む。赤髪のセミロングで、制服の下にスパッツをはいている。一人称は「ボク」。栞とは幼少期に空手道場で知り合ってなかよくなったが、彼女に対しては友情以上の特別な感情を抱いている。「この世界」の探索中に森で何者かと接触しており、元の世界に戻るための重要な「ルール」を知っている。その際に自分の死を条件として、ルールの内容を栞には話さないでほしいと懇願した。栞のために銃で自殺しようとするが、彼女に止められる。しかしその直後に、鈴木淳子に栞を目の前で殺されたことから強い復讐心を抱くようになり、パーカーで顔を隠した状態で単独行動するようになる。明るく気さくな性格で、運動が大好き。学校ではさまざまな部活から勧誘を受けているが、栞と帰るために帰宅部を続けている。

池田 栞 (いけだ しおり)

「この世界」に迷い込んだ女子高校生の一人で、淀川花火の幼なじみ。青髪のロングヘアを二つのおさげにまとめている。朝起きると同時に、花火と共に「この世界」に来ていた。空手道場の娘ながら少々体が弱く、激しい運動をすると体調を崩すことがある。幼少期に親に無理やり連れて来られた空手道場で、気さくに話し掛けてきた花火と知り合い、なかよくなった。花火と共に行動しているが、彼女と異なり「ルール」はほとんど把握していない。花火が自殺しようとしているのを発見し、必死に説得して彼女を止めるが、その直後に鈴木淳子に銃殺される。趣味は読書で特に児童書を好むが、学校では見栄を張って文学書を読んでいる。

箕面 柚子 (みのお ゆず)

「この世界」に迷い込んだ女子高校生の一人で、野口紅葉の幼なじみ。理論的な思考の持ち主ながら、迷信やサンタクロースの存在を信じているなど、メルヘンチックなところがある。ピンク色のポニーテールの髪型で、ヘアピンをしている。さまざまな眼鏡をコレクションしており、掛けている眼鏡を含めて10本くらい持っている。紅葉と共に「この世界」に迷い込んだが、自分たちが置かれている状況に順応しすぎていることに対し、疑問や違和感を抱いている。しかし「この世界」の謎に誰よりも興味や好奇心を抱き、進んで謎を解き明かそうとしている。山中佐和美と遭遇したあとは、彼女と紅葉の三人で行動するようになる。佐和美のウソを瞬時に見抜くなど観察力や洞察力に優れていると同時に、友人に「友達ポイント」をつける癖があり、機嫌を損ねるようなことをされると容赦なく減点する。

野口 紅葉 (のぐち もみじ)

「この世界」に迷い込んだ女子高校生の一人で、箕面柚子の幼なじみ。山吹色のセミロングヘアで、キャスケット帽をかぶっている。柚子と共に「この世界」に迷い込んだが、あちこちで入手した銃を気に入り、あまり危機感を覚えることなく、異様な環境に順応している。山中佐和美と遭遇したあとは、彼女と柚子の三人で行動するようになる。明るい性格で能天気なところがあり、あだ名は「西校一の昼行灯」。柚子に勉強を教わっているためにテストの成績は良好だが、解答の意味はあまり理解していない。ケチャップが大好きで、柚子の作ったお好み焼きにケチャップを大量にかけたことから、「度を越えたゲス野郎(エレメンタルノート・ハッピーパレード)」の二つ名で罵倒される。

山中 佐和美 (やまなか さわみ)

「この世界」に迷い込んだ女子高校生の一人。赤髪のロングヘアを後ろで一つにまとめ、一本のアホ毛がある。巨大な鬼の面をかぶって箕面柚子と野口紅葉の前に現れ、殺し屋に追われていると柚子たちに助けを求めた。その際に重要な「ルール」について説明し、協力関係を築こうとした。しかしいくつかのウソをついていたり、紅葉と遭遇した時に片手を後ろに回したままだったりと、不審な行動が見受けられることから、柚子に警戒されている。実は鈴木淳子の親友で、いっしょに行動していた彼女が池田栞を殺したあと元の世界に帰ったため、柚子たちに出会うまでは一人で行動していた。これらの事情と淀川花火に命を狙われていることを正直に話したあとは、柚子たちとあらためて友人になり、行動を共にしている。淳子と「まくら大根」というバンドグループを組んでギターを担当しており、バンド名の名づけ親でもある。

鈴木 淳子 (すずき じゅんこ)

「この世界」に迷い込んだ女子高校生の一人で、山中佐和美の親友。青髪をセミロングにしている。佐和美と共に「この世界」に迷い込んだが、重要な「ルール」を知ったあとに、池田栞を銃殺して元の世界に戻った。佐和美とバンドグループ「まくら大根」を組んでベースを担当しているが、バンド名は正直ダサいと思っている。

場所

この世界 (このせかい)

空宮ナツをはじめとする女子高校生たちが、二人一組で集められた謎の異世界。一見のどかな田舎町に見えるが、空に浮かぶ雲が動いていなかったり、民家はあるが住人がいる様子がなかったりと、その環境は明らかに異常な状況にある。この世界から抜け出そうとしても元の場所に戻ってしまうが、民家などの電気、水道、ガスなどはふつうに使えるため、風呂に入ったりすることもできる。また、民家の冷蔵庫や戸棚には十分な食料が用意されており、料理を作ることも可能。また、この世界のあちこちには銃やナイフなど、多種多様な武器が置かれている。いくつかの「ルール」が存在し、箕面柚子は「何者かが殺し合いゲームをさせるために自分たちを集め、観察している」と推測している。

その他キーワード

ルール

「この世界」に存在する、いくつもの法則や条件。主なルールとして、「あちこちに置かれた武器を手に取った瞬間、その武器の名前や使い方が浮かぶ」「日が落ちると暗くなるなど、時間の概念はある」「抜け出そうとしても元いた場所に戻る」などがある。「この世界」を脱出して元の世界に戻るための重要なルールも存在するが、その内容を知る者は少ない。

クレジット

続編

エンゼルゲーム2 リバース (えんぜるげーむつー りばーす)

町田とし子の『エンゼルゲーム さよならと未来のカケラ』の続編。廃墟となった世界を生き抜こうとする篠ノ井酉と篠ノ井辰乃の、日常や姉妹愛を描くサバイバルサスペンス。「月刊少年シリウス」2014年12月号か... 関連ページ:エンゼルゲーム2 リバース

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