あらすじ
第1巻
女子高校生の間宮夕夏がいじめを苦に飛び降り自殺をした。愛する妹を失い、失意のどん底にあった兄の間宮朝春の前に、突然謎の天使が現れる。天使は朝春に対し、夕夏を死に追いやった犯人を殺せば、妹を生き返らせてあげるという「犯人さがしゲーム」を提案する。その申し出を受け、天使と契約した朝春は過去の世界に舞い戻り、一教師である「日吉朝春」として、夕夏のクラスの副担任を務めることになった。着任の挨拶で夕夏をいじめていたと思わしき男子生徒を発見した朝春は、すぐさまカッターナイフで男子生徒を殺害。しかし、その男子生徒は夕夏を死に追いやった犯人ではなく、そのミスによるペナルティとして、朝春は寿命を10年減らされてしまう。朝春は真実を見定めて行動しないと死ぬことを天使から警告され、再びゲームのやり直しを宣告されるのだった。(Loop.1「天使」。ほか、2エピソード収録)
第2巻
飯島菜美が間宮夕夏をいじめていた現場を押さえた間宮朝春は、彼女にスキルの「強制自白」を使用して夕夏をいじめた理由を自白させる。それでクラス全体に「夕夏を不幸にしないとほかの人間も不幸になる」という謎のメールが出回っていたことを知った朝春は、その犯人を突き止めるべく行動を開始。夕夏たちの信頼を勝ち得た朝春は、その頑張りを天使から認められ、ご褒美としてセーブの能力を授かり、犯人特定への弾みをつける。校内の問題児である坂本当真が過去に夕夏に振られた事実をつかんだ朝春は、当真をマークし続けていたが、そんな時に夕夏が謎の集団に暴行され、校内に夕夏の暴行写真が張り出されるという衝撃の事件が発生する。夕夏と仲のよかった戸島樹が妹を守るために夕夏を裏切り、謎の集団に夕夏を引き渡したことを知った朝春は樹を殺害。セーブ地点からゲームを再開した朝春は、当真たちに武器を渡して協力を仰ぎ、夕夏と樹を謎の集団から守るために動き出す。(Loop.4「不良」。ほか、3エピソード収録)
登場人物・キャラクター
間宮 朝春 (まみや あさはる)
黒髪の青年。15歳の時に父親が殺人犯となって投獄されてしまい、残された家族ともども世間の奇異の目にさらされ、辛酸をなめつくしてきた。そのため、家族を守ろうとする意識が非常に強い。自分と同じく辛い目に遭ってきた妹の間宮夕夏を幸せにするため、高校卒業後にいくつものアルバイトを掛け持ちして懸命に働き、夕夏を遠くの高校へ進学させた。しかし、高校で夕夏がいじめに遭い、投身自殺をしたことで絶望の淵に立たされてしまう。そんな時に出会った謎の天使から、夕夏を死に追いやった犯人を殺せば、妹を生き返らせてあげるという「犯人さがしゲームへの参加を提案され、藁にもすがる思いでその申し出を承諾する。過去の世界に舞い戻り、立岡高校の新任教師「日吉朝春」となって夕夏のクラスの副担任に就任。一連の出来事の真犯人を探すゲームへと挑むことになった。夕夏への思いが強すぎるあまり、短絡的な行動をしてしまうことがあり、初めて過去へ戻った直後に、夕夏を死に追いやった犯人であると目星をつけた男子生徒をすぐに殺害している。そのため、その短慮さと性急すぎる判断を天使にたしなめられていた。犯人ではない人物を殺害するたびに間宮朝春自身の寿命が10年縮み、ゲームを最初から再開しなければならないという過酷な状態で、天使から与えられたスキルを使いながら必死に情報を集め、犯人を特定しようと奮闘する。学生時代から優等生で、新任教師の演技もそつなくこなしている。
間宮 夕夏 (まみや ゆうか)
間宮朝春の妹で、陰鬱な雰囲気を漂わせている女子高校生。女子バスケットボール部に所属している。本来は朗らかで明るく、心優しい性格をしている。父親が殺人犯だったことで世間の迫害を受け、朝春にずっと守られてきた。そのため、朝春のことはとても信頼しており、朝春といっしょに幸せになることを夢見ていた。朝春の計らいで遠くの高校へと進学し、誰も自分を知らない環境で楽しい学生生活を送っていたが、いつの頃からか、いじめの対象になってしまい、校舎の屋上から飛び降り自殺した。天使の提案した「犯人さがしゲーム」に乗り、過去に舞い戻って新任教師の「日吉朝春」となった朝春から、陰ながらフォローされるようになり、徐々に笑顔を取り戻していく。バスケットボールはほかの部員と比較してもダントツにうまい。戸島樹に好意を抱いている。
天使 (てんし)
白く大きな翼を持った天使。性別は不明で、少年のようにも、少女のようにも見える中性的な容姿をしている。人を食ったような言動を繰り返す、ややひねくれた性格の持ち主。間宮夕夏を自殺で失い、絶望していた間宮朝春のもとに現れ、過去に戻って夕夏を死に追いやった犯人を捜すゲームへの参加を提案し、みごと犯人を殺害すれば夕夏を生き返らせることを約束する。その提案に乗り、「日吉朝春」となった彼の傍にずっといて、「犯人さがしゲーム」の推移を見守っていた。朝春以外の人間にはその姿は見えない。朝春に対してスキルと呼ばれる、犯人さがしゲームに役立つ特殊な能力を与えたり、犯人ではない人間を殺害した朝春に臓器が10歳ぶん年を取るペナルティを与えるなど、人知を超えた能力を扱える。朝春を犯人さがしゲームへと参加させた経緯は不明。面白いことが大好きで、ゲームの途中で朝春の頑張りを評価し、状態を保存できるセーブのルールを追加することもあった。
佐伯 姫乃 (さえき ひめの)
黒髪のロングヘアをした女子高校生。間宮夕夏のクラスメート。クラス委員を務める優等生で、陸上部に所属している。夕夏が自殺した際は、葬式で涙を流していた。ほかの生徒や新任教師である「日吉朝春」となった間宮朝春のこともつねに気にかけている。夕夏がいじめられる原因となったとされる、女子バスケットボール部で起こった先輩のバスケットボールシューズが切り裂かれた事件のことを、朝春に語っていた。
清水 茜 (しみず あおい)
ショートヘアの女子高校生。間宮夕夏の親友で、女子バスケットボール部に所属している。夕夏とは非常に仲がよかったが、いつの頃からかほかの生徒といっしょに夕夏をいじめるようになった。先輩のバスケットボールシューズを切り刻んで焼却炉に捨てていた現場を間宮朝春が目撃したため、彼女が夕夏をいじめていたと思い込んだ朝春から殺害されるが、実際は犯人ではなかった。本来は優しい性格で、夕夏にキーホルダーを渡し、友情の証としていた。
飯島 菜美 (いいじま なみ)
ショートヘアの女子高校生。女子バスケットボール部に所属している。ほかの部員と共に間宮夕夏に対する度を越えた嫌がらせを繰り返している。なかなか退部しない夕夏にしびれを切らし、彼女の腕をバットで殴って折ろうとするが、その現場を間宮朝春に目撃され、スキルの「強制自白」で夕夏をいじめていた理由を自白させられる。
戸島 樹 (とじま いつき)
黒髪の男子高校生。間宮夕夏のクラスメート。非常におとなしい性格で、夕夏に助けられた過去があり、それ以来夕夏のことを思っている。夕夏が自殺したあとの葬式後に、彼女を助けられなかったことを間宮朝春に対し謝罪していた。朝春が「犯人さがしゲーム」に参加した際、妹を実質的な人質にされ、夕夏を裏切って謎の集団を率いる仮面の女に引き渡してしまった。そのことを朝春に糾弾され、彼に殺害されてしまう。
坂本 当真 (さかもと とうま)
短髪の男子高校生。校内でも有名な問題児で、いつも加藤蓮也や染谷瞬とつるんでいる不良のリーダー格。元野球部で、非常に無口で寡黙な性格の持ち主。間宮夕夏に告白して振られた過去を持つことから、「犯人さがしゲーム」に参加した間宮朝春に犯人として目をつけられる。のちに朝春から武器を渡され、夕夏と戸島樹を守る兵隊として使われる。
加藤 蓮也 (かとう れんや)
目つきの鋭い男子高校生。校内でも有名な問題児で、いつも坂本当真や染谷瞬とつるんでいる不良。素行が悪く、授業態度と成績は最悪。間宮夕夏が自殺した葬儀中に夕夏を侮辱していたことから、「犯人さがしゲーム」に参加したばかりの間宮朝春にいじめの犯人と勘違いされて殺害される。のちに朝春から武器を渡され、夕夏と戸島樹を守る兵隊として使われる。
染谷 瞬 (そめや しゅん)
ちゃらけた雰囲気を漂わせる男子高校生。校内でも有名な問題児で、いつも坂本当真や加藤蓮也とつるんでいる不良。言動が非常に軽薄で、女癖が悪いという噂も流れている。のちに朝春から武器を渡され、夕夏と戸島樹を守る兵隊として使われてる。
仮面の女 (かめんのおんな)
不気味な仮面をかぶった謎の女性。不良集団を束ねており、戸島樹の妹を実質的な人質として、樹に間宮夕夏を裏切らせ、不良集団に命じて夕夏を暴行させた人物。その正体や目的はいっさい不明。
牧野 (まきの)
立岡高校で教師を務める若い女性。過去に舞い戻り、教師となった間宮朝春の指導を担当していた。間宮夕夏がクラスメートにいじめられてることに気づいていたが、無関心を決め込み、なんのアクションも起こさなかった。
その他キーワード
犯人さがしゲーム (はんにんさがしげーむ)
間宮夕夏を自殺で失った間宮朝春に、天使が提案した特殊なゲームのこと。過去に戻った朝春が新任教師として学校に通い、クラスの中から夕夏を自殺に追い込んだ真犯人を特定して殺害すれば、夕夏が生き返るというという勝利条件が定められている。期間は9月1日から12月23日の深夜0時までで、間違った人物を殺害した場合は9月1日からやり直しとなるが、その際にペナルティとして朝春の寿命が10年減らされてしまう。サービスとして天使から与えられた、三つのスキルを1ループにつき1回だけ使用できる。天使の気まぐれで、ゲームの途中で状態を保存できるセーブのルールが追加されていた。
スキル
「犯人さがしゲーム」に参加した間宮朝春に、天使が授けた特殊な能力。全部で15種類が存在し、1ループにつき三つのスキルを選んで、各1回のみ使うことができる。対象と自分の視覚を5秒間だけ入れ替える「視覚置換」、特定の人物や物に関して、対象の脳内に強く残っている記憶を覗ける「記憶盗視」など、いずれも魔法じみた能力を誇る。しかし、すべてのスキルの効果が曖昧で不完全な面を残しているため、使い方とタイミングが非常に難しい。
クレジット
- 原作
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貫 徹