ふつうの女子高校生がタイムリープ能力に覚醒
ふつうの女子高校生の夏穂は、3泊4日の修学旅行で京都を訪れ、親友の雨宮冴子を中心としたグループと共に自由時間を楽しんでいた。そんな中、夏穂は風に吹かれて飛んできた「立入禁止」と書かれたテープに興味を惹かれ、好奇心に駆られて周囲を探索し始める。すると、崩れかけた小さな祠を見つけ、やはり好奇心からその祠の掃除を始めるが、祠の中から現れた謎の光に憑依され、そのまま気を失ってしまう。修学旅行も終わり、学校生活に戻った夏穂はある日、階段から足を滑らせて落下するが、気がつくとケガ一つしていないばかりか、階段から落ちる1時間前にタイムリープしていた。夏穂はこれを白昼夢だと思い込もうとするが、その様子を目撃していた茅野の証言により、現実に起こったことだと認識させられる。こうしてタイムリープの能力を手に入れた夏穂は、他者のためにその能力を活かしつつ、茅野と共に能力の検証を始めることになる。
タイムリープから生まれた二人の絆
夏穂は茅野に対して、気難しいうえに自分勝手という印象を抱いていたため、よい感情を持つことができないでいた。しかし、茅野が夏穂のタイムリープの事実を知ったことをきっかけに、二人のあいだに個人的なつながりが生まれ、徐々に彼の内面を理解するようになる。一方の茅野は、夏穂の過剰な干渉に戸惑いを感じつつも、彼女が傷つくことを防ごうとしたり、困っている時には手を差し伸べようとしたりと、次第に優しい一面を見せるようになる。夏穂は、彼のそうした行動に触れるにつれて、タイムリープに関する相談が楽しくなり、やがて彼を単なる秘密を共有する相手としてだけでなく、一人の男子として意識するようになる。
タイムリープのルーツを探る
二人は共にタイムリープに関する情報を共有しながら、「もえか」と名乗る小学生の悩みを解決したり、雨宮冴子の恋愛成就を手助けしたりと、他者のためにタイムリープ能力を活用しようと奮闘する。しかし、タイムリープの条件である「高所からの落下」が非常に危険であることを痛感し、何か問題が起きた際はすぐにタイムリープに頼ろうとする自分の弱さを反省し、ついにはこの力を手放す決意を固める。夏穂と茅野は、タイムリープの起源を探るため、能力を得るきっかけとなった可能性が高い京都へと向かう。そして、かつて修学旅行で通った道を辿るうちに、「たまゆら様」と呼ばれる存在と、なんらかの関係があることを突き止める。
登場人物・キャラクター
織部 夏穂 (おりべ なほ)
東京にある高校に通う2年生の女子。両親と中学2年生の弟と共に暮らしている。身体を動かすことや食べることが大好きで、ダイエットを試みても大抵は三日坊主で終わってしまう。「思い立ったが吉日」をモットーにしており、直感的かつ楽天的に行動するため、トラブルメイカー的な存在として知られている。しかし、その大胆さやポジティブな性格は友人たちには眩しく映っている。成績はあまりよくなく、優秀な冴子や茅野からしばしば呆れられている。修学旅行中に訪れた祠で謎の光を体内に宿し、それ以降タイムリープの能力を手に入れることになる。タイムリープは、ある程度の高さから落下することで発動し、その瞬間からちょうど1時間前に巻き戻る。ただし、タイムリープ後の世界でも、タイムリープ前の夏穂が消えないため、この1時間のあいだは二人の夏穂が同時に存在することになる。また、タイムリープしてから1時間が経過すると、たとえ異なる行動を取っていたとしても、強制的にタイムリープが発生した場所に戻される。
茅野 圭一 (かやの けいいち)
夏穂と同じ高校に通う2年生の男子。父親は既に他界しており、多忙な母親に代わって弟と妹の面倒を見ながら、家計を助けるためにアルバイトをしている。茶髪でピアスをつけた派手な外見から、周囲には不良と見なされ、クラスでは孤立している。ぶっきらぼうな性格で一匹狼気質なことから、つねに自由気ままに振る舞っているものの、成績は優秀なため教師たちからは特に問題児とは見なされていない。苦労を重ねてきたことで現実主義的な一面を持ち、探求心も旺盛であるため、興味を持ったことは徹底的に追求するタイプ。ある日、偶然にもタイムリープ前とタイムリープ後の夏穂が同時に存在しているのを目撃し、彼女にそのことを問いただす。その結果、タイムリープ能力の秘密を共有して夏穂と親しくなる。