あらすじ
天空神おにゃんこポン
はるか昔の西アフリカ。天空の神であるオニャンコポンは、人間たちの住む下界に直接赴き、たくさんの精霊を創造しては彼らの生活を助けていた。しかしある日、下界で人間たちを見守っていたところ、ヤムイモを突いていた老女がうっかり手をすべらせたことで、彼女の持っていた杵がオニャンコポンの体に命中する。その衝撃によってはるか天の彼方へと吹き飛ばされたオニャンコポンは、猫のような姿をしたおにゃんこポンに変化してしまう。それからしばらくたったある日。再び西アフリカへと足を運んだおにゃんこポンは、人々の暮らしを手伝いつつ、のんびりとした生活を楽しんでいた。そんな中、原っぱで昼寝をしていたおにゃんこポンは、通りがかったネズミから声を掛けられるが、「珍妙な猫」と言われたことで機嫌を損ねる。さらに、その最中に突如地面に大穴があき、ネズミと共に落下してしまう。そして気づくと、おにゃんこポンたちは東京スカイツリーの頂上にいた。おにゃんこポンとネズミは、穴に飲み込まれた影響で現代の東京にタイムスリップしていたのである。
東京のおにゃんこポン
現代の東京へタイムスリップしたおにゃんこポンは、自分が神であるという理由から、浅草で見かけた神社の境内に住み着くことを決める。そしてヒマなときは散歩をしたり、通りがかったクラブで音楽を楽しんだりと、自由気ままな生活を送っていた。のちに共にタイムスリップしたネズミとも再会を果たすが、相変わらず猫呼ばわりされては、怒ってネズミを追い掛け回すようになる。そんな中、おにゃんこポンはウサギのような姿をしたぬいぐるみを拾う。ぬいぐるみを大いに気に入ったおにゃんこポンは、首輪をつけて散歩のまね事をしたり、いっしょにブランコに乗ったりするなど、まるでペットのようにかわいがる。さらに、クリスマスに友達が欲しいと願い事をして、サンタクロースに魔法でぬいぐるみに命を宿してもらう。おにゃんこポンはぬいぐるみに「べるを」と名づけ、天空神である自らの信徒となるように求める。それ以前の記憶を持つべるをは、今までぞんざいに扱われたと訴えて信徒になることを拒むが、共に生活していくうちにおにゃんこポンと打ち解けていき、やがておにゃんこポンの信徒となる。それから1年後、おにゃんこポンとべるをは、ネズミを追い掛けている最中に、再び大穴へと共に落下する。元の時代の西アフリカに戻った三匹は、東京で得た経験を基に、人々を導くための活動を続けるのだった。
メディアミックス
TVアニメ
2017年10月10日から12月26日にかけて、本作『おにゃんこポン Begins』を基にしたTVアニメ『おにゃんこポン』が、TOKYO MXで放送された。TVアニメ版の内容は本作の後日談にあたり、東京から西アフリカに戻ったあとのおにゃんこポンや、べるをが変化した「うさぎ」、ネズミが変化した「チュー丸」たちの活躍が描かれている。また、TVアニメ版のオリジナルキャラクターとして、「ウーパールーパー」や「かわうそ」などの動物や、プロデューサーであるまこみなやりかりこをモデルとした女子高校生が登場する。制作会社は京風とまとで、監督は菅原そうた、シリーズ構成は尾中たけしが務めている。キャストは、おにゃんこポンを内田真礼、チュー丸をまこ、うさぎを佳村はるかが演じている。
ゲームアプリ
本作『おにゃんこポン Begins』およびTVアニメ『おにゃんこポン』を基にしたスマートフォン向けゲーム『パズルゲーム! おにゃんこポンポン』が、2017年10月20日より配信された。ゲームは、作品に登場するキャラクターたちを並べて消していくことで進行する。ステージのクリア条件を達成すると、舞台となる人間の世界が緑あふれる森へと変化していくほか、おにゃんこポンの使徒を増やしてゲームを有利に進められるようになる。制作会社は京風とまとが担当し、キャストは、おにゃんこポンを内田真礼が演じている。
登場人物・キャラクター
おにゃんこポン 主人公
古代の西アフリカで祀られている、性別不明の神。頭に眼の模様が記された覆面をかぶり、胸に「神」の字が刺しゅうされた布を身につけている。動物を「使徒」と呼ばれる存在に変化させたり、精霊を召喚するといった能... 関連ページ:おにゃんこポン
ネズミ
古代の西アフリカで暮らしていた、オスのねずみ。「ネズミ3兄弟」と呼ばれるチームのボスを務めている。猫に追われる存在でありながら、積極的に猫をからかう無謀ともいえる嗜好を持つ。特に、自らを猫ではないと主張するおにゃんこポンに対して、珍妙な猫だと言ったことで追い回される羽目になる。そんな中、突如として発生した地割れにおにゃんこポンと共に飲み込まれ、現代の東京にタイムスリップしてしまう。タイムスリップ直後は、おにゃんこポンと離れた場所に現れるが、やがて浅草にある神社の境内で眠っているところを発見すると、懲りずに猫扱いしては追い回されたりと、おにゃんこポンに負けず劣らずの自由気ままな暮らしを楽しむ。さらに、現地在住のねずみたちを率いるようになり、彼らと共におにゃんこポンを撃退するためのおにゃんこポンホイホイの開発を成し遂げる。べるをがおにゃんこポンの使徒になってからは、彼らの遊びに巻き込まれて災難に遭うこともあったが、懲りずに彼らにいたずらを仕掛けている。そして、1年ほどたったあと、おにゃんこポンの覆面に落書きをしたことをきっかけに、おにゃんこポンやべるをから追い回されている最中、再び発生した地割れに巻き込まれて元の時代である古代の西アフリカへと帰還する。両親と再会すると、彼らと共におにゃんこポンの能力で姿が変化し、おにゃんこポンの使徒として仕えることになる。
べるを
うさぎの姿をした、性別不明のぬいぐるみ。現代の東京で捨てられていたところをおにゃんこポンによって拾われ、ペットのようにかわいがられるようになる。その一方で、拾われた当初は、おにゃんこポンに悪気はなかったものの、ぬいぐるみであるために反応がないという理由から、首輪をつけられた挙句、犬の散歩に見立てて引きずり回されたり、おにゃんこポンと共にブランコに乗りながら、不注意によって弾き飛ばされたりするなど、ぞんざいな扱いを受けることも多かった。クリスマスの夜におにゃんこポンが書いた友達が欲しいという旨の願いを受けた、サンタクロースの魔法によって命を与えられる。それ以降、おにゃんこポンから友達として扱われるようになり、自らの使徒になるように誘い掛けられる。意識を得てすぐの頃は、命を与えられる前の記憶が残っていたため、かつてぞんざいに扱われたことを憤慨していた。また最初に名前をつけられる時も、「ウサ太郎」や「ぴょん吉」など、適当なセンスを嫌がるが、のちに「べるを」と名づけられ、怒る気力もなく絶句してしまう。しかし、共に年末年始を過ごしたり、ウインタースポーツや温泉旅行に出掛けたりして徐々に打ち解けていき、やがておにゃんこポンの使徒になることを了承する。東京で生まれ育ったことから、おにゃんこポンと比較すると常識的な一面があり、おにゃんこポンの突飛な行動に呆れたりツッコミを入れたりしている。かわいらしい容姿とは裏腹に、荒っぽい言葉づかいを見せることも少なくない。また、ぬいぐるみでありながらも抜群の運動神経を誇り、スノーボードを難なく乗りこなす。命を得てからは、おにゃんこポンと1年を共に過ごすうちに、見違えるほどたくましくなった。さらに、おにゃんこポンと共にネズミを追い掛けていたところ、再び発生した地割れに巻き込まれておにゃんこポンの故郷である古代の西アフリカへとタイムスリップし、そこで正式な使徒として任命される。
コスプレイヤー
現代の東京で、ハロウィンに参加していた二人組の少女たち。共に魔女と小悪魔のコスプレをしており、お菓子を配ったりもらったりするためのバスケットを持っている。二人で渋谷の街を練り歩いていたところ、一人で訪れていたおにゃんこポンと出会う。現代の風俗に疎いおにゃんこポンはいつもの姿で、コスプレイヤーたちはその格好からコスプレをしていると思い込み、「Trick or Treat」と声を掛ける。しかし、猫扱いしたことでおにゃんこポンから怒りを買い、「Death or Respect」とすごまれてしまう。
空手家
現代の東京で、空手の師範を務めている青年。道場に「猫背」と書かれた掛け軸を飾るなど、少々風変わりなこだわりを持つ。修業をしている最中におにゃんこポンに乱入され、頭の上に乗られる。さらに、その態勢のまま蹴りの練習をしたことで、頭上のおにゃんこポンのバランスが崩れて顔を覆われてしまい、何も見えなくなったことでパニックに陥る。
おでん屋の店主
現代の東京で、おでんの屋台を引いている男性。明らかに人間ではないおにゃんこポンを客として迎えたり、酒に酔ったおにゃんこポンの話を延々と聞いたりと、少々変わり者ながら穏やかな性格の持ち主。おにゃんこポンが、自らのことを天空神だと主張し出した時は、その外見から思わず猫の神様かと聞き返したことで不評を買ってしまう。しかし、その直後に魚肉ソーセージをサービスしたことで、すぐにおにゃんこポンの機嫌は直った。
サンタクロース
現代の世界で、クリスマスにプレゼントを配っている老齢の男性。おもちゃなどを配るだけでなく、形のあるプレゼントではなく、抽象的な願いも叶えてくれる。人間でありながら、天空神であるおにゃんこポンでも不可能とされる、物体に命を宿す能力を使用できる。おにゃんこポンの住処を訪れた時は、友達が欲しいという旨のメッセージが用意されていたことから、その能力を使ってうさぎのぬいぐるみに命を与えた。おにゃんこポンは、のちにこのぬいぐるみを使徒に選定して「べるを」という名前をつけた。
集団・組織
女子高校生
現代の東京の女子高校生グループ。流行に敏感で自撮りを楽しんだりと、悠々自適な学園生活を過ごしている。東京に転移してきたおにゃんこポンとかかわることが多く、おにゃんこポンやべるをから興味を抱かれて、その言動をしばしばまねされている。
その他キーワード
おにゃんこポンホイホイ
おにゃんこポンに逆襲をもくろむネズミが、現代の東京で出会ったねずみたちと共に開発していた道具の一つ。おにゃんこポンがココナツに目がないという特性を利用したもので、段ボールの中にココナツを仕込んでおき、それに釣られたおにゃんこポンを誘い込み、ネズミ自らが蓋をして閉じ込めるという仕組みとなっている。単純なメカニズムながら効果は絶大で、実際におにゃんこポンが住んでいる神社の境内付近に仕掛けたところ、目を覚ましたおにゃんこポンが即座に飛びついた。
おにゃんこ格言 (おにゃんこかくげん)
現代の東京で生活するおにゃんこポンが読み上げた格言。現時点では、合わせて46個が確認できる。「砂漠の砂より星の数は多い」や「大地の時間に身を委ねよ」など、天地にまつわる神であるおにゃんこポンなればこそというものが多く存在する。その一方で、「夜更かしは三回狩られる」や「雨の日に考えるとマイナス」など、不穏さや不気味な印象を受けるものも少なくない。また、自分は猫ではないと日々強調している割には、「獅子と言えど猫である」や「猫好きは猫すべてを愛するが、犬好きは犬種を愛する」など、猫を主題としたものが複数存在することも特徴の一つとなっている。