概要・あらすじ
高校3年生の時岡長人は、将来の事などまるで考えずに遊び呆ける毎日。今夜も朝までテレビゲームで遊ぼうとスイッチを入れた瞬間、突然部屋に電車の扉のようなものが現れた。扉から出てきたのは七三分けのサラリーマン風の男。驚いて固まる長人に、男は名刺を差し出して自己紹介した。男は20年後の未来からやってきた「総合時間事業会社代表取締役社長専属秘書」で、名前を田中誠司だという。
田中は長人を「時岡社長」と呼び、長人の命を狙う20年後の刺客から、社長の命を守るためにきたといった。わけのわからない長人は警察に通報。田中は駆けつけた警察官に連行された。気を取り直した長人は、ジャンプを買いにコンビニへ。そしてその帰り道、またもやどこからともなく電車の扉のようなものが出現。
中から現れたのは20年後からの暗殺者、ヴォールテクス社の刺客だった。刺客はビームのようなもので長人を攻撃。もはやこれまでかと長人が諦めかけた時、そのピンチを救ったのは社長秘書田中誠司だった。田中は名刺で刺客をふっ飛ばすと、第二撃を加えようとするが、目標を見失う。刺客は逃げてしまっていた。騒動が収まり、自宅で田中の説明を受ける長人。
それによると、長人は、タイムトラベルをビジネスに取り入れた画期的な人物で、20年後に総合時間事業会社の社長となるのだという。しかし企業は、ヴォールテクス社に乗っ取られて倒産。さらにヴォールテクス社は、タイムトラベルビジネスという発想自体を自分達のものにするため、20年前の時岡社長(高校生の長人)をも暗殺しようとしているという。
そこで社長秘書である田中は、長人を守り抜き、未来を変えるためにやってきたのだ。詳細を聞いても今ひとつ現実感がわかない時人だったが、とりあえず、田中と行動をともにする事になった。翌日、ヴォールテクス社の刺客がフル装備の武器で再び襲ってくるが、田中は全力でこれを撃退する。自分の事を信じ、命がけで守ってくれる田中の姿に長人は感銘を受けた。
そして、20年後に自分が創立するはずの会社以上の、ヴォールテクス社など問題にしないぐらいの会社を立てる事を誓う。どうやって未来を変えればよいのかと問う長人に、キーワードは「人間世界宝3's(ワールドサーズ)」だと田中は答える。20年後、世界中にあらゆる影響力を持つ伝説の3人「人間世界宝」を見つけ出し、社員(なかま)にする事だという。
翌日。田中は、長人の高校に転校生としてやってくる。突然の事に驚き、どうみても高校生に見えない外見にツッコミを入れる長人だが、「人間世界宝3's」の件に関係していた。なんと、「人間世界宝3's」の一人で、タイムマシーンを開発した天才「ゲンナイ」がこの学校にいるのだという。
しかし、ニックネーム以外、ゲンナイの詳細は不明だった。苦心の末、生徒名簿を見る事ができた田中は、そこに源田直生という名前を発見する。ゲンナイという語感に似ている上、源田は東大模試A判定、ロボットコンテスト3年連続世界一という超天才だった。早速二人は源田が所属する「ロボット研究部」へ向かう。
長人はストレートに「タイムマシーンを作って、自分と一緒に会社を立ち上げてくれ」と伝えるが、もちろん源田が本気にするはずはなかった。そこにやってきたのが、長人も大好きな学校のアイドル、アカリンだった。才色兼備だが小心者で、いつもビクビクしているアカリンも「ロボット研究部」の一員だった。アカリンに馴れ馴れしく振る舞う源田にキレた長人は、源田に勝負を挑む。
自分が勝ったら、アカリンから手を引き、さらに自分と会社を作れという条件だった。勝負を受けた源田は、ロボット格闘を提案。最初にカスタムした武器とプログラミングで行うロボットのオートバトルで、先に倒れたほうが負けという単純なルールだ。ハンデとして長人と田中側には、アドバイザーのアカリンが参加。
それぞれが源田と戦い、3回中1回でも源田を倒せたら、長人チームの勝利だった。しかし、長人のロボットは自爆、田中のロボットは勝負の前にお辞儀をしたために転倒、という散々な結果だった。残されたアカリンに、源田は自分に勝つ事は不可能だと言い放つ。じつは源田の目的は、アカリンを屈服させる事にあった。超天才の自分の交際申込みを断ったアカリンに、上下関係を分からせようとしていたのだ。
「不可能」という言葉に反応したアカリンは、長い髪を後ろで結び、猛烈な勢いで武器をカスタマイズして戦いに臨んだ。勝負開始とともにアカリンのロボットはレーザービームを発射。一瞬にして源田のロボットを破壊した。アカリンはたった2分ほどでレーザー砲を作り上げたのだ。
驚いて泡を吹いて倒れる源田に、アカリンはヤンキーのような口調で「テメエごときに不可能と言われる筋合いはない」と詰め寄った。アカリンの本名は、弦内明(つるうちあかり)で、苗字を音読みすると「ゲンナイ」だった。彼女こそが、「人間世界宝3's」の一人、後にタイムマシーンを発明する大天才だったのだ。
登場人物・キャラクター
時岡 長人 (ときおか ながと)
高校3年生の男子。赤点ばかりの劣等生で、いい加減な性格だが、友達思いの側面もある。20年後の未来からやってきた田中誠司により、自分がタイムトラベルビジネスの会社の大社長になる事、ヴォールテクス社の策略により、会社が倒産する事などを知る。さらに現在の自分が、ヴォールテクス社により命を狙われている事を知り、未来を変えるために、秘書・田中と3人の伝説の社員(なかま)を探す。
田中 誠司
20年後の未来からやってきた男性。七三分けと黒縁メガネが特徴。未来では、50兆円企業、総合時間事業会社で、時岡長人社長の秘書を務めており、非常に高い忠誠心を持つ。ヴォールテクス社に命を狙われている高校生時代の時岡長人の身を守るため、タイムトラベルしてくる。冷静沈着、論理的思考の持ち主で、非常に礼儀正しい。武器になる名刺や万年筆、印鑑などのすべてをトランクに詰め込んで持ち歩く。
源田 直生 (げんだ なおい)
時岡長人と同じ高校に通う男子高校生。ロボット研究部に所属する。東大模試A判定、ロボットコンテスト3年連続世界一の超天才。ナルシストで自尊心の高い自信家。学校のアイドル、アカリンこと弦内明に好意を寄せるが、相手にされなかった事を逆恨みしていた。
弦内 明 (つるうち あかり)
時岡長人と同じ高校に通う女子校生。学校のアイドル。ロボット研究部に所属する。才色兼備で控えめな性格が男子に受けている。しかし、その本性は活発で攻撃的。レーザー砲や超時空砲などを簡単に開発してしまう超天才。父がタイムマシーンを開発中の事故で亡くなったため、母親から「普通の子として生きろ」と厳しくしつけられている。そのため、長人らと会うまでは、本性を隠して生活していた。 20年後に世界に影響を与える伝説の三人「人間世界宝3's(ワールドサーズ)」の一人、ゲンナイで、将来タイムマシーンを開発する予定。