あらすじ
第1巻
中二病だった過去を隠し、外見はみごとに高校デビューを果たした鮎沢みつるだったが、未だ内面はネガティブで自虐的なままだった。そんなみつるは、クラスメイトの花村樹に恋をする。ただ見つめているだけで胸いっぱいのみつるだったが、突然脳内にオネエとクソリプが現れ、みつるの言動にあれこれと干渉するようになる。そんなある日、みつるは森川律に誘われ、同じ学校の仲間が集まるカラオケへ行くことになる。カラオケに行ったことのないみつるは、服装や歌う曲などの事前リサーチを開始。そんな必死なみつるの姿を目にした花村は、おもしろい子だと興味を抱き、それからは何かとみつるに話しかけるようになる。最初は緊張していたみつるも、オネエとクソリプからのアドバイスを受けながら、少しずつ花村と打ち解けていく。そんなみつるの様子を見ていた三津谷は、これ以上花村に近づかないようにと釘を刺す。
第2巻
ある日の放課後、鮎沢みつると森川律がショッピングをしていると、偶然花村樹と進藤に出会い、四人でカフェに立ち寄ることになる。みつるは初めてのカフェに戸惑いながらも、楽しい時間を過ごす。しかし、その事実を知った三津谷からヤキモチを焼かれ、みつるはおもちゃのヘビを下駄箱に入れられるなどの微妙な嫌がらせを受けるようになる。その方法はどうあれ、「自分は花村が好きだから邪魔をするな」とはっきり意思表示をする三津谷に対し、みつるは挙動不審になるばかりで何もできない自分に落ち込む。花村のことをあきらめようと決めたみつるだったが、進藤からの助言もあり、自分の気持ちと向き合う覚悟を決める。こうして以前よりたくましくなったみつるの脳内には、オネエとクソリプが出現する頻度が減っていく。一方、進藤と親しそうに話しをしているみつるを見た花村は、妙な胸騒ぎを覚える。
登場人物・キャラクター
鮎沢 みつる (あゆさわ みつる)
高校1年生の女子。年齢は16歳。同じクラスの花村樹に片思いをしている。中学時代まで友達が一人もおらず、ノートに魔法陣を描いたり、好きなアニメキャラクターをイメージした自作のチョーカーを身につけて登校したりと、いわゆる中二病を発症していた。ある日、いつものように花村に見とれていたところ、脳内にオネエとクソリプが現れ、以降干渉されるようになる。外見は茶色に染めたボブヘアのふつうの女子高校生だが、中学時代まではボリュームのある黒髪を三つ編みにし、分厚い眼鏡をかけた典型的なオタクの風貌をしていた。そのため、鮎沢みつる自身も高校デビューを果たそうと考えていた。見た目はふつうになったものの、ネガティブで自虐的な性格はそのままで、不安が極限に達すると挙動不審な行動を取ることが多い。また、これまで友達がいなかったために人との距離の取り方が下手。そういった少々ずれた言動を、花村や森川律からは個性的でおもしろいと好意的に受け止められている。
オネエ
鮎沢みつるの脳内にいる男性のキャラクター。主にみつるの考えていることに喝を入れる役割を担う。ポジティブで積極的な発言が多いが、オチとして大人のデートに誘うなど、みつるにはハードルの高いアドバイスを送ることが多い。脳内で頻繁にクソリプと口ゲンカをしており、最終的には殴ることもある。外見は派手なメイクで、筋肉質な体つきをしている。いわゆるオネエで、女言葉でしゃべる。発言に少しずれたところもあるが、みつるに幸せになって欲しいとエールを送り続けている。みつるの脳内では、場末のスナックを彷彿とさせる部屋に住んでいる。
クソリプ
鮎沢みつるの脳内にいる男性のキャラクター。みつるの考えていることにクソリプ(内容がまったく見当外れで、気分を害する攻撃的なリプライ)を飛ばす。みつるの言動を巡ってオネエと頻繁に口ゲンカをしており、最終的には殴られることもある。外見のモチーフはみつるが中学2年生の時に考えたオリジナルキャラクターで、ビジュアル系を思わせる十字架をあしらった黒い服を身につけている。当時のみつるが考えた設定は「闇の異世界からやってきた王子」で、名前は「フィリップ・トワイライト」。基本的に毒舌家で、みつるに対してクソリプばかりを送っているが、花村樹が直接的にかかわることになると弱い。花村のファンで、クソリプ自身もたびたび「花村推し」だと公言している。みつるの脳内では、魔法陣が描かれた薄暗い部屋に住んでいる。
花村 樹 (はなむら いつき)
高校1年生の男子。鮎沢みつるのクラスメイト。同じクラスになって以来、みつるから熱烈な恋心を寄せられているが、花村樹自身はまったく気づいていない。ただし、みつるのことは、いつも一生懸命でおもしろい人だと認識しており、自分から連絡先を聞くなど親しくなりたいと思っている。三津谷とは小学生時代からの付き合いで、5年生の時に交際をしていたが、現在は異性として意識していない。長身かつさわやかなルックスの持ち主で、非常にモテるが彼女はいない。誰に対しても優しく気さくに接するため、クラスの人気者。親しい友達からは「花」と呼ばれている。
森川 律 (もりかわ りつ)
高校1年生の女子。鮎沢みつるのクラスメイト。みつるにとって久しぶりにできた友達で、絶大な信頼を寄せられている。前触れもなく突然挙動不審になるみつるのことは、ちょっと変わったおもしろい子だと認識している。大らかな優しい性格で、いざという時には機転が利くタイプ。みつるからは「りっちゃん」と呼ばれている。
三津谷 (みつや)
高校1年生の女子。鮎沢みつるのクラスメイト。花村樹とは小学校時代からの付き合いで、お互いの両親も知り合い。さらに小学5年生の時に少しだけ花村と交際をしたことがあり、現在も花村に好意を寄せている。花村がみつるに興味を抱いていることを知り、二人の関係を妨害しようと画策する。学校では入学初日から告白を受けた伝説を持ち、プライベートでは読者モデルとして活動している圧倒的な美貌の持ち主。人の名前を覚えることが苦手なみつるもすぐに名前を覚えたほど、学校内でも目立つ存在の美少女で、周囲にも優しく接する。しかし、花村が絡むと彼に近づく女性を事前に威嚇するなど、腹黒い一面をのぞかせる。親しい友達からは「みっちゃん」と呼ばれている。
進藤 (しんどう)
高校1年生の男子。鮎沢みつると同じ学校に通っている。みつるとは出身中学も同じで、過去に同じクラスだったが、言葉を交わしたことはなかった。高校ではみつると別のクラスに在籍しているが、友達同士で誘い合ったカラオケで偶然再会し、以降顔を合わせると会話をするようになる。花村樹とも親しく、みつるが花村に好意を抱いていることにも気づいている。髪の毛を染めており、制服もおしゃれに着こなすいわゆるリア充。そのため、みつるからは住む世界が違うと苦手意識を抱かれているが、気にせず接している。明るく気さくな性格で、特技は人の名前を覚えること。