概要・あらすじ
学生時代、幼なじみで同性の杉本数昭を好きになったものの、その想いを伝えられずに終わった近江司は、大学を卒業して、教師として再び母校へ通うことになる。担任を受け持つクラスで自己紹介をした司は、教室の窓際に見慣れた面影のある少年・杉本を見つける。後日、元同級生の鳥飼にそのことを話したところ、実は杉本は数昭の兄の甥っ子だということを知る。
司は数昭と瓜二つの顔を持つ杉本を気にしつつも、新任教師として学校生活を始めることになる。
登場人物・キャラクター
近江 司 (おうみ つかさ)
私立高校で教師を務める男性。大学を卒業後、教師として高校時代に通っていた母校で教鞭を執ることになる。学校へはリュックサックを背負って通勤している。茶色の短髪で、ワイシャツにネクタイを締めてスラックスを穿いている。臆病で優しい性格をしているが、いざという時にははっきりと自分の意見を主張する意志の強さを持つ。運動はからきし駄目で、高校時代は帰宅部だったにも関わらず、剣道部の副顧問を務めることになる。 大学時代は異性と付き合うことが何度かあったが、高校生の頃から想いを寄せている同性の杉本数昭のことが忘れられず、毎回破局を迎えている。学生時代の元同級生・鳥飼とは今も交流があって仲が良く、数昭に好意を寄せていることを打ち明けた唯一の友人でもある。 鳥飼からは「オーミ」という愛称で呼ばれており、よく2人で居酒屋に飲みに行っている。
杉本 (すぎもと)
私立高校2年生の少年で、近江司が担任しているクラスの生徒の1人。黒い短髪で、背が高く、額が見える位に前髪が短い。杉本数昭は父親の弟で叔父にあたり、背の高さ以外は容姿が非常によく似ている。学校では剣道部に所属しており、1年の時は幼なじみで同じ剣道部員の早崎と2人で自主練習をするほどに剣道に打ち込んでいた。 密かに新任教師の森下に対して好意を抱いている。一方で司に対しては、森下と親しく話す様子を何度も目撃していることもあり、恋敵として敵対心を燃やしている。
森下 (もりした)
私立高校で教師を務める女性で、近江司の同僚。、肩までの茶色の髪をゆるく内巻にカールさせた髪型をしており、小柄な体格。丸首のシャツにジャケットを羽織り、スカートを穿いていることが多い。まだ教師になって日が浅く、同期の新任教師である司に親近感を抱いている。現在赴任している高校には学生時代に教育実習で来ていたこともあり、当時担任をしていた生徒たちが今でも多く在籍している。 明るくて真面目な性格で、生徒たちからの人気が高い。小さい頃から教師になることが夢だった。学生の頃はサッカー部のマネージャーを務めていた。
鳥飼 (とりかい)
近江司の元同級生の女性。ゆるくウェーブのかかった黒髪を肩まで伸ばしている。司や杉本数昭の幼なじみで、2人とは高校まで同じ学校に通っていた。実家が不動産屋のため、近隣の情報に詳しく、杉本が数昭の甥っ子だということを司に教えた。司とは馬が合うのか、今でも親しくしている。2人でよく居酒屋に行っては気が弱く奥手な司に言いたいことをズバズバ言い、司を一喜一憂させている。
杉本 数昭 (すぎもと かずあき)
近江司の元同級生の男性。黒い短髪で、額が見える位に前髪が短い。杉本とは親戚関係で彼の叔父にあたり、背の高さ以外は容姿が非常によく似ている。ぶっきらぼうな性格で歯に衣着せず本音を吐くが、動物や弱い者をいじめる者を許せない、心優しく正義感の強い一面がある。司とは気が合い、高校を卒業するまでは一緒に行動することが多かった。 また鳥飼とは家が近所で、高校を卒業するまで同じ学校に通っていた。司からは「スーちゃん」という愛称で呼ばれている。
早崎 (はやざき)
私立高校2年生の少年で、近江司が担任しているクラスの生徒の1人。背が高く、茶色の髪にパーマをかけている。白いシャツにジャケットを羽織り、ジーパンを穿いている。学校では剣道部に所属しており、1年の時には個人戦で地区優勝したほどの腕前。当時は幼なじみで同じ剣道部員の杉本と仲が良く、2人で自主練習をするほどに剣道に打ち込んでいた。 しかし、2年になってから1日も学校に登校しておらず、学校近くの駅前にあるパチンコ屋に頻繁に出入りしているところを同級生たちに目撃されている。その目撃談が広まり、滞納している授業料は親に内緒で使い込んでしまったのではないかと噂されている。実際は父親の会社の倒産に伴う家庭環境の悪化により、アルバイトをして家計を助けている。
早崎の母親 (はやざきのははおや)
早崎の母親。ショートカットの髪型で、長袖のシャツを着用している。昨年夫の会社が倒産して家も手放し、その整理に追われて夫は体調を崩して入院中。また実家の母親が昨年の秋に倒れて、施設に入ることになるなど、金銭的に非常に苦しい状態にある。今年の春に赴任して来た近江司が、早崎の不登校を心配して家庭訪問に訪れた際に、必ず滞納している授業料は支払うから、もう少し待ってほしいと頼み込む。
竹田 (たけだ)
私立高校2年生の少女で、近江司が担任しているクラスの生徒の1人。長い黒髪を後頭部で左右に分けてツインテールにし、眼鏡をかけている。品行方正で真面目な性格で、教師たちにも好感を持たれている。密かに杉本に想いを寄せ、彼が所属している剣道部の試合にも足を運んでいる。そんなある日、誰もいなくなった剣道部の部室に無断で侵入し、杉本が普段使用している防具の入った用具入れを抱きしめたり、匂いを嗅いだりしているところを、剣道部の副顧問をしている司に見つかってしまう。
小西
私立高校で教師を務める男性で、近江司の同僚。黒髪を角刈りにしていて、普段からジャージを好んで着用している。2年ほど前に、自分が担任していたクラスの女子生徒が他の教師と親密な関係になり、子供ができたことが問題となった。それ以来、教師と生徒間のトラブルに非常に敏感になり、生徒と親しく馴れ合うことを嫌っている。
平石 里菜 (ひらいし りな)
私立高校2年生の少女で、近江司が担任しているクラスの生徒の1人。長い茶色の髪を後頭部で1つに束ねてポニーテールにしている。以前は制服を海外のブランドメーカーが手がけていることで有名なS学院付属に通っていたが、陰湿ないじめに遭い、1年の1学期までしか通わずに今の学校に編入して来た。他人に干渉されることが嫌いで、何かと編入して来た事情を探ろうとする吉野を煙たく感じている。 クラスでの成績は中の上。
吉野 (よしの)
私立高校2年生の少女で、近江司が担任しているクラスの生徒の1人。髪型は黒髪のベリーショート。クラスではトップクラスに成績が良い。姉は制服を海外のブランドメーカーが手がけているということで有名なS学院付属に首席で入学し、ファッション誌の読者モデルをしている。そんな姉に憧れを抱き、中学時代はS学院付属に入学したくて必死に勉強をしたが、結果は不合格。 第2希望だった今の高校に通うことになり現在に至っている。S学院付属に1年の1学期しか通わずに編入して来た平石里菜が気に掛かっているが、話しかけてもいつも邪険にあしらわれている。