カフカ -Kafka-

カフカ -Kafka-

「伯爵カインシリーズ」の第3部。今も吸血鬼伝説が語り継がれ、古城のある別荘地で巻き起こる殺人事件を解決していくサスペンス。「花とゆめ」1993年18号から22号にかけて掲載された作品。

正式名称
カフカ -Kafka-
ふりがな
かふか
作者
ジャンル
サスペンス
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概要・あらすじ

ある日、若き伯爵のカイン・C・ハーグリーヴスは高熱で倒れて寝込んでしまう。熱は下がったもののまだ本調子ではないカインに、主治医のアンセル・アレンは田舎での静養を勧める。そんなカインが向かったのは、吸血鬼伝説が残り、猟奇殺人が多発している村だった。初めて村に泊まった夜、カインは夜中に怪しい声を聞き、ウィザビー城の近くで美しい女性の吸血鬼に襲われてしまう。

しかし、血を吸われ気を失ったはずのカインは、泊まっていたホテルのベッドで目を覚ます。その後、ウィザビー城の城主であるダーク・ノラン・アシュレイに招待されて城へ向かうと、そこには彼を襲った吸血鬼そっくりの女性、ジュスティーヌがいた。ジュスティーヌやダークとの交流を重ねるうちに、カインは猟奇殺人の真実を知ることになる。

登場人物・キャラクター

カイン・C・ハーグリーヴス

名門であるハーグリーヴス家の若き青年伯爵。父親と、父親の実の姉であるオーガスタとの間に生まれた近親の子供。父親に殺されそうになり、自らの身を守るため父親を毒殺した過去がある。背中にはムチで打たれた痕が残っており、信頼する執事のリフェール以外には肌を見せようとしない。妹のマリーウェザー・ハーグリーヴスを溺愛しており、彼女には何かと甘い。 誰かに毒を盛られて熱を出し、主治医のアンセル・アレンの勧めで療養のため自邸から離れた田舎を訪れ、事件に巻き込まれることになる。

リフェール

カイン・C・ハーグリーヴスの執事の青年。カインに長年仕えており、カインにとっては、なくてはならない空気のような存在。カインに忠実だが、ウィザビー城近くの村へやって来た時から、マリーウェザー・ハーグリーヴスのお気に入りの帽子を燃やすなど、不審な行動をとるようになる。

マリーウェザー・ハーグリーヴス (まりーうぇざーはーぐりーゔす)

カイン・C・ハーグリーヴスの妹。血生臭い事件などが大好きで、カインの静養先に吸血鬼伝説の城があることを知ると目を輝かせて、その城に行こうとカインを誘った。カインがジュスティーヌとキスしたことを知り、最初は怒っていたが、ジュスティーヌに会うとすぐに仲良くなった。怪我をした際に手当てしてくれた彼女に母性を感じている。

アンセル・アレン (あんせるあれん)

眼鏡をかけた長髪の男性。カイン・C・ハーグリーヴスの主治医を務めている。ハーグリーヴス家代々の主治医の家系で、去年父親が引退したため跡を継いだ。子供の頃、カインと遊んだ際に腕に怪我をしたことがあり、その傷が今も残っている。高所恐怖症で、たった2メートルの崖の上でも足がすくんで震えてしまうほど。熱を出して倒れたカインに田舎での静養を勧めた人物で、療養先へも同行し、リフェールの態度が怪しいことをカインに告げる。

ダーク・ノラン・アシュレイ (だーくのらんあしゅれい)

ウィザビー城の現在の城主で、まだ15、16歳くらいの少年。父親の遺産の1つであるウィザビー城に、姉のジュスティーヌと2人で暮らしている。本当に醜悪で怖いのは生きている人間だと語り、吸血鬼伝説を否定している。怒りっぽい少年で、カイン・C・ハーグリーヴスによく言い掛かりをつけている。姉に対して過保護で、姉離れできていない。

ジュスティーヌ

ダーク・ノラン・アシュレイの姉。癖のある長い黒髪の美少女。生まれつき病弱でめったに外出できず、陽の光を浴びると具合が悪くなってしまう。発作を起こしてしばらく寝たきりで、1週間前にようやく意識が戻ったばかり。人前にあまり出ないため、ダーク以外の人間には人見知りする傾向がある。本来は穏やかで優しい少女で、カイン・C・ハーグリーヴスやマリーウェザー・ハーグリーヴスともすぐに打ち解けた。 カインの血を吸った吸血鬼によく似ている。夜になると時折豹変し、妖艶で気の強い女性になって自らのことを「ゲイトルード」と名乗る。また、ダークとジュスティーヌの父が大火傷を負った時に自らも顔に火傷を負ったが、今は綺麗に治っている。ジュスティーヌ自身は、自分が火傷を負ったことや夜に豹変していた時のことを覚えていない。

ゲイトルード夫人 (げいとるーどふじん)

かつてウィザビー城に住んでいたと言われている女性。女吸血鬼だったという噂がある。自分の美貌が崩れ去るのを恐れるあまり黒魔術に頼り、何百人もの美しい少年少女の生き血を吸ったあげく、怒った村人によって魔女として処刑されたという伝説が伝わっている。ユリの花が好きな恋多き女性で、8回も結婚し、夫を毒殺したともいわれている。 ウィザビー城にはゲイトルード夫人の絵が飾ってある。

ダークとジュスティーヌの父 (だーくとじゅすてぃーぬのちち)

ダーク・ノラン・アシュレイとジュスティーヌの父親。ウィザビー城の前城主。銃の暴発で全身に火傷を負って寝たきりとなり、ジュスティーヌが発作を起こし病床に臥している間に亡くなった。

黒い仮面の男 (くろいかめんのおとこ)

ダークとジュスティーヌの父が行っていた、黒ミサのような儀式に参加していた男性。ジュスティーヌが顔に火傷を負った後、ウィザビー城に現れ、再び美しい姿に戻りたいなら悪魔に魂を売り渡し、多くの生贄の血を集めてその身をひたすよう、ジュスティーヌに告げた。

エリザベス・フォーリン (えりざべすふぉーりん)

カイン・C・ハーグリーヴスが泊まったホテルの女主人。アンセル・アレンとは旧知の仲で、アンセルからは「ベッツィおばさん」と呼ばれている。吸血鬼伝説のことを尋ねたカインたちに、近隣で猟奇殺人が多発しているため、その話が禁句となっていることを伝える。

シュゼット

カイン・C・ハーグリーヴスがかつて想いを寄せていた少女。一途なゆえに愛する男性を道連れに死んでしまう。カインの父親の実の姉であるオーガスタの娘。表向きはカインの従姉だが、カインは父親とオーガスタとの間の子供であるため、カインにとってシュゼットは父親違いの姉でもある。

Dr・ジザベル・ディズレーリ (どくたーじざべるでぃずれーり)

「秘密結社デライラ」の死刑執行人(ソールテイカー)。死の淵にあったダークとジュスティーヌの父から、この家の財産すべてをデライラに譲渡する代わりにダーク・ノラン・アシュレイとジュスティーヌを苦しめて地獄へ送ってくれと依頼され、それを実行した。とある理由からカイン・C・ハーグリーヴスを憎んでいる。

集団・組織

秘密結社デライラ (ひみつけっしゃでらいら)

Dr・ジザベル・ディズレーリが所属している組織。もとは医者の集まりで、それがやがて錬金術を極め悪魔的医術を手にした。皮膚移植と霊薬によりジュスティーヌの顔の再生を行い、誰の中にも眠っている内なる獣を呼びさます黒魔術のような強力な暗示をかけ、彼女を吸血鬼のようにした黒幕。

場所

ウィザビー城 (うぃざびーじょう)

昔、吸血鬼が住んでいたといわれる小島にある古城。夜になると、この世のものともつかぬ叫び声がするという噂がある。歴史が古いうえに不幸が多く、代替わりが激しいが、城を継いで住んでいるのはれっきとした貴族。現在はダーク・ノラン・アシュレイとジュスティーヌが住んでいる。至るところにユリの花が飾られている。

合わせ鏡の塔 (だぶるみらーたわー)

ウィザビー城の中にある塔。今は開(あ)かずの間となっている。その昔、ゲイトルード夫人が村人に捕らえられ、火あぶりになるまで幽閉されていた塔。大鏡がたくさんあるだけの塔で、幽閉されたゲイトルード夫人は、1か月間ネズミを食べることで生き長らえたと言われている。

関連

伯爵カインシリーズ (はくしゃくかいんしりーず)

毒薬使いとして有名な伯爵カイン・C・ハーグリーヴスが様々な事件に遭遇しながら、父アレクシス・ハーグリーヴスとの確執や、秘密結社デライラの目的に迫っていく物語。各話にタイトルが付いており「忘れられたジュ... 関連ページ:伯爵カインシリーズ

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