概要・あらすじ
ニューヨーク市警所属の警官ケイン・ウォーカーは、自分がゲイであることを隠し、表向きは異性愛者として生活していた。しかし、本当の自分を隠しながら生活することに疲れたケインは、遠方のゲイバーに赴き、その日限りのパートナーを探していた。そんなある日、クリストファー・ストリートのゲイバーで金髪・碧眼の男性メル・フレデリクスと出会い、一目で気に入ってしまう。
登場人物・キャラクター
ケイン・ウォーカー (けいんうぉーかー)
『ニューヨーク・ニューヨーク』の主人公のひとり。ニューヨーク市警所属の警官。ボストン近郊のニュートン出身。初登場時24歳(すぐに25歳の誕生日を迎える)。黒髪のくせ毛。男らしくガッチリとした体型。ゲイであることを隠して生活している。金髪が好き。クリストファー・ストリートのゲイバーで金髪・碧眼の男性メル・フレデリクスと出会い、一目で気に入ってしまう。 特定のパートナーを作らず、フリーセックスを楽しんでいたが、メルと付き合ってからは、ひとりの相手と真面目に向き合うようになっていく。感情をストレートに表現し、時には無神経で無礼な発言をしてしまう。嫉妬深い。自分は浮気をしても、相手にはそれを許さない自分勝手なところがある。
メル・フレデリクス (めるふれでりくす)
『ニューヨーク・ニューヨーク』の主人公のひとり。金髪・碧眼の美青年。初登場時22歳。ケインの恋人。ニューヨーク出身。アッパーマンハッタンのハーレムの近くで育つ。コーヒーショップで働くゲイの男性。クリストファー・ストリートのゲイバーでケインと出会う。恋人と別れ自殺未遂をした過去を持つ。フリーセックスはせず、恋人との貞操を守る。 ケインと喧嘩をしても、浮気をされても、結局許してしまう。慈悲深く、穏やかで心優しい純粋な青年。生い立ちは不幸で、父親を知らず、売春婦だった母親はメルを残して自殺。引き取ってもらった義父から性的虐待を受けおり、16歳の時に家出する。働き口がないため、お金に困り、男娼をしていたこともある。
ゴーシュ・ストーンマン (ごーしゅすとーんまん)
ニューヨーク市警所属の警官。ケインの同僚。ユダヤ人。ストーンマンの名前の通り、周囲に冷たい印象を与える。ズケズケとした物言いで、ほとんど笑うことはない。ゲイクラブでケインとすれ違ったことがあり、お互いゲイと認識するが、黙認していた。ゲイだが、パートナーには女性を選び、妻子がいる。 ケインはゴーシュのことを気取っていて嫌な奴と思っていたが、ゲイであることを知ってからは、彼に相談することが多くなった。ゴーシュは、自信満々でいつも容姿の良いパートナーを連れているケインに、コンプレックスを持っていた。HIVを発症し、亡くなる。
ブライアン・バーグ (ぶらいあんばーぐ)
ニューヨーク市警所属のケインの上司。鼻髭のある小太りの巡査部長。考え方は古いが親しみやすい人物。部下思いの良い上司。ケインがゲイだとうすうす感づいており、ケインにカミングアウトされた後も変わらぬ態度で接する。
ダニエル・ハワード (だにえるはわーど)
ニューヨーク市警所属の警官。ケインの相棒で、仲の良い同僚。実は麻薬組織の実行犯で、警察の情報を横流ししていた。ダニエルもゲイでケインに恋愛感情を抱いていた。ケインをストレートだと思っており、友人関係を壊したくなかったため、ダニエルはその想いを隠していた。 メルがケインの恋人だと気付き、麻薬回収現場にたまたま居合わせたメルをレイプし、後に殺そうとした。メルを助けようとしたケインともみ合いになり、駆けつけた警官に射殺される。
エイダ・ウォーカー (えいだうぉーかー)
ケインの母親。ボストン近郊のニュートンに住んでいる。男性の恋人を連れて帰った息子にショックを受け、汚らわしいと感じてしまう。事実を受け入れることができず、ケインにもメルにも攻撃的になる。愛する息子を思い、同性愛に関して、少しずつではあるが理解を示すようになる。
ジョージ・ウォーカー (じょーじうぉーかー)
ケインの父親。ボストン近郊のニュートンに住んでいる。黒髪のオールバックで、メガネをかけ鼻髭を生やしている。穏やかに話す紳士。高校教師。答えの見えないものに自分の意見を押し付けたりしない人物。ケインが連れてきた男性の恋人、メルを理解しようと歩み寄る。また、自分たちは何があっても味方だから、正直に生きなさいとケインに助言する。
デイビス・オマッティ (でいびすおまってぃ)
ケインの小学校からの親友。小さい頃はケイン同様、悪ガキだった。地元、ニュートンで暮らしている。明るく男らしくサバサバした人物。ケインが自分はゲイだと告白すると、いままで騙していたのかと激しくケインを罵り、拒絶する。
ジョッシュア・ブロンソン (じょっしゅあぶろんそん)
金髪で長髪の男性モデル。メルの元恋人。愛とセックスは別だという考えで、メルと交際中も他の男と関係を持っていた。恋人への貞操を守るメルとの考えの違いから別れることになる。ジョッシュが出て行ったあと、メルは手首を切って自殺を図る。メルの過去を知っている人物。
シャーリー・ロウ (しゃーりーろう)
ケインの母、エイダの親友。まゆ毛が濃く、ふくよかでおおらかな女性。息子が男性の恋人を連れてきたと深刻に告白するエイダを、そんなこと大したことではないと笑い飛ばす。
ルナ・ピッツバーグ (るなぴっつばーぐ)
ウィスコンシン州所属のFBI捜査官。金髪でスタイルの良い美女。ウィスコンシン州で起きた連続殺人事件の容疑者、ジョーイ・クラインを追っている。失踪したメルがジョーイに連れ去られた可能性が高いとケインに伝え、捜査の協力を依頼する。裁判を見てジョーイに興味を持ったと言うが、実はジョーイと深い繋がりのある人物だった。
ジョーイ・クライン (じょーいくらいん)
28歳。男女問わず金髪ばかりを狙う連続殺人犯。黒髪でハンサム、IQが高く狡猾で用心深い。遺体は毎回違う刃物で、バラバラに切断し、証拠が残らないよう胴体は水中に遺棄する。幼少期、家族から虐待を受けており、その家族はみな金髪だった。腹違いの弟だけは、ジョーイに優しくしてくれたため、金髪・碧眼の青年は弟に見立て監禁し、金髪の女性は復讐の対象となっていた。 メルを誘拐して監禁する。
エリカ・ウォーカー (えりかうぉーかー)
ケインとメルの養子となる赤毛でそばかすの女の子。親に捨てられ、養護施設で育ち、5歳の時に引き取られる。麻薬中毒者の子供であるクラックベイビーで、幼い頃はよく癇癪をおこしていた。ゲイカップルに育てられることで、からかわれることもあったが、からかった男子と取っ組み合いの喧嘩をするくらい、気の強い女の子。 ケインとメル、二人の愛情を一身に受けてすくすく育つ。初恋の相手は優しいメル、その次に好きになった男性は皮肉屋で男らしいケインだった。記者志望で、学生時代に失礼な質問をしたマシュー・ライアンと結婚する。
場所
ニューヨーク
アメリカ合衆国の都市。ケインやメルが暮らす街。ケインの職場はクイーンズ、住居はブルックリンだったが、メルとの同棲を機にニューヨーク郊外のナッソーに一軒家を借りて二人で暮らす。