ガチ恋粘着獣 ~ネット配信者の彼女になりたくて~

ガチ恋粘着獣 ~ネット配信者の彼女になりたくて~

動画配信者に対してファンの域を超えて真剣に恋愛感情を抱く、いわゆる「ガチ恋」をしている女性たちの姿を描いたサイコサスペンス。最初は純粋なファンだった彼女たちが、常軌を逸する行動を取るようになっていく、人間のドロドロとした心の内側が描かれている。「ゼノン編集部Z」で配信の作品。

正式名称
ガチ恋粘着獣 ~ネット配信者の彼女になりたくて~
ふりがな
がちこいねんちゃくじゅう ねっとはいしんしゃのかのじょになりたくて
作者
ジャンル
サスペンス
レーベル
ゼノンコミックス タタン(コアミックス)
巻数
既刊14巻
関連商品
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あらすじ

薫に思いを募らせる雛姫

平凡な女子大学生の輝夜雛姫は、動画配信グループ「コズミック」の清水薫にガチ恋していた。薫に自らの存在を知ってもらいたい雛姫は、SNSに自撮り写真とともに手作りケーキをアップするなど涙ぐましい努力をしていたものの、なかなか彼からは認知されない日々が続いていた。そんな中、同じく薫のファンである里穂子が、彼に豪華なケーキとプレゼントを贈っているSNS投稿を見てしまった雛姫は、嫉妬心を募らせていく。そんなある日、雛姫宛に薫が所持しているSNSの裏アカウントから、デートしないかとメッセージが届く。こうして雛姫は薫とデートをすることになるが、薫はあくまで雛姫の体目当てだった。薫の真の目的を知らない雛姫は、処女であることから薫からの誘いを断り、彼の機嫌を損ねてしまう。その日以来、薫からの連絡がすっかり途絶えてしまった雛姫はショックを受ける。そんな中、人気動画配信者のえりこすは薫にコラボレーションを持ち掛け、企画の一環として二人の親密そうなデート動画をアップする。

雛姫と薫の初旅行

輝夜雛姫からの度重なる嫌がらせでえりこすは、活動休止を宣言する。えりこすからしつこいアプローチを受けていた清水薫は、雛姫が関与していることを知らず、これで解放されると安堵する。気分をよくした薫は、久しぶりに雛姫に連絡を取り、取材を兼ねた温泉旅行に行かないかと誘って、彼女と一晩を共にする。そして薫は、雛姫の一途さと見た目のかわいらしさから、軽い気持ちで恋人同士になることを了承してしまう。

雛姫と里穂子のそれぞれの選択

里穂子清水薫が身につけているアクセサリーから、また新しい遊び相手ができたことに気づく。多少の女遊びには目をつぶっていたものの、薫はあくまで自分の彼氏なのだと釘を刺すため、里穂子は輝夜雛姫に会いに行く。こうして自称彼女同士の雛姫と里穂子は大いに揉め、直接薫にどちらが本命なのかを聞きに行くことになる。薫が住むマンションの前に運悪く居合わせた雲母宇宙は、興奮している雛姫と里穂子を必死でなだめる。一方で、とにかく動画再生数を稼ぎたい劔隆文は、その様子を撮影して、三人の了承なしに動画をアップし、インターネット上で炎上してしまう。保身のために里穂子をおかしな女扱いした薫に対して、里穂子は愛情がすぐに憎しみへと変わり、薫の女遊びを世間に公表することにする。一方の雛姫は薫に恨みを募らせるが、同時にどうしても好きという感情が消せずに苦しむ。そして情緒不安定になった雛姫は配信中の薫を襲撃し、拉致監禁してしまう。

同担拒否の琴乃

輝夜雛姫とのトラブルにより、膨大な数のアンチに粘着された清水薫は、以前よりも露出を大幅に抑えていた。そんな中、動画配信者たちが集うリアルイベントが開催されることになり、動画配信グループ「コズミック」も招待される。リアルイベントまではあと10か月あり、それまでにまじめに生まれ変わった「コズミック」をアピールしていこうと、雲母宇宙は気合いを入れる。宇宙は自身にガチ恋しているファンが苦手であり、さらに全員を平等に扱いたい気持ちから、これまで個人SNSを積極的に更新していなかった。しかし、これを機会に取り組んでみるべきだと劔隆文からアドバイスされ、宇宙は慣れないながらも更新頻度を上げていく。それを見た花織琴乃はうれしい気持ちになるが、同じものが好きな人とは絡みたくない「同担拒否」でもあることから、宇宙のSNSにコメントするファンの一部に不快感を抱くようになる。さらに、ストーカー行為によって宇宙の自宅を突き止めて脅迫し、デートに付き合わせた白井ユウの存在を知り、宇宙のために彼女の排除を決意する。

宇宙とウソをついてつながる琴乃

無事、計画どおり白井ユウを排除した花織琴乃は、ガチ恋している自分を否定しつつも、雲母宇宙のことばかりを考える日々が続いていた。そんな中、琴乃が働いているコンセプトカフェに、動画配信グループ「コズミック」が撮影にやって来る。琴乃は宇宙のファンではないふりをして彼と接近し、一個人として連絡先を交換する。一方の宇宙は、ガチ恋ファンのはるみからのストーカー行為により、ファンとどう向き合っていいのかわからなくなっていく。コンセプトカフェで働いている琴乃ならば、自分よりファンの扱い方に長けているのではないかと思い立った宇宙は、話を聞きたいと彼女を食事に誘う。その場面を目撃した白井ユウは店に乗り込み、自分を拒否したくせにファンとつながっていると宇宙を責め立てる。そこで宇宙は、信頼していた琴乃がウソをついて自分に接近してきたと知り、怒りをあらわにする。

イベントに参加する琴乃

花織琴乃雲母宇宙に激怒されたことで、自身が迷惑をかけているガチ恋ファンなのだと気づき、彼との関係を断ち切ることを決意する。宇宙は琴乃に言い過ぎてしまったと謝罪したい旨を連絡するが、彼女は自分はファン失格だからと無視する。その一方で、琴乃の中にはやはり宇宙と離れたくない思いもあり、情緒不安定に陥る。そんな中、琴乃は鷲頭奈緒から最後に動画配信グループ「コズミック」が出演するリアルイベントを観て卒業しようと提案され、琴乃はそれを受け入れる。そして当日のイベント会場で、琴乃は有名な宇宙のファンであるはるみと顔を合わせる。粘着質なはるみはすぐに琴乃が以前、「コズミック」の動画に登場していたコンセプトカフェのメイドだと気づく。そして宇宙とつながろうとしていると一方的に責め立て、激しい暴行を加える。

登場人物・キャラクター

輝夜 雛姫 (かぐや ひなき)

動画配信グループ「コズミック」の清水薫に恋している女子大学生。薫が動画配信者だということは理解しつつも、ガチ恋している。ある日、体目当ての薫からSNSを通してメッセージが届き、実際にデートをしてからますます深みにはまっていく。薫に貢ぐため、輝夜雛姫自身の返済能力を超えた借金を抱えている。薫の特別な存在になりたい思いが暴走し、常軌を逸した行動を繰り返すようになる。見た目は美人であることから、同じ大学内の男子生徒から声をかけられることも多いが、これまで恋愛経験のない処女。薫にガチ恋していることから、彼以外の男性はまったく眼中にない。周囲からは「ヒナ」と呼ばれており、インターネット上のハンドルネームでも使用している。

花織 琴乃 (はなおり ことの)

動画配信グループ「コズミック」の雲母宇宙に恋している女性。年齢は24歳で、和をコンセプトにしたカフェのメイドとして働いている。宇宙が動画配信者だということは理解しつつも、ガチ恋している。清水薫と直接つながりを持ち、「コズミック」だけでなくファン全体に迷惑をかけている輝夜雛姫のことを軽蔑しながらも、花織琴乃自身も宇宙にとって特別な存在になりたいと思うようになる。ふだんはおっとりとしている清楚なお嬢様タイプだが、宇宙のことになると早口になる。また、宇宙の活動の邪魔をしていると感じる者に対しては容赦しない。同じ宇宙のファンに対しても辛辣で、同じものが好きな人とは絡みたくない、いわゆる「同担拒否」でもある。メイド仲間からは「ことちゃん先輩」と呼ばれている。

清水 薫 (しみず くゆる)

動画配信グループ「コズミック」に所属している男性。年齢は24歳。当初一人で投稿していた動画を輝夜雛姫が偶然観たことから、彼女からガチ恋されるようになる。SNSの裏アカウントで、自らのファンだと公言している女性にコンタクトを取り、会ったその日に体の関係を持つことを繰り返している。その行為から雛姫と出会ってしまい、常軌を逸したつきまとい行為を受けるようになってしまう。「コズミック」として活動しているのは女遊びと自己顕示欲を満たすためであり、動画再生数や清水薫自身が興味のないファンの言動は気にしていない。「コズミック」で活動する時の名前は「スバル」。花織琴乃からは雲母宇宙の活動を邪魔する憎い存在と認識されており、「スバカス」と呼ばれている。

雲母 宇宙 (きらら こすも)

動画配信グループ「コズミック」に所属している男性。年齢は24歳。清水薫がたびたび女性ファンに手を出していることを知っており、大きなトラブルにならないうちに止めた方がいいと何度も釘を刺している。ファンは全員が平等だと思っており、誰にでも優しく接する。そのことから、花織琴乃のような粘着質なファンからターゲットにされるようになってしまう。小柄で華奢なスタイルの持ち主で、かわいらしい顔立ちをしている。動画配信者として面白い動画を投稿し、ファンを増やすことを楽しみにしている常識人。「コズミック」で活動する時の名前は「コスモ」。

劔 隆文 (つるぎ たかふみ)

動画配信グループ「コズミック」に所属している男性。年齢は24歳。清水薫がたびたび女性ファンに手を出していることを知っているが、好きにやればいいとあまり気にしていない。「コズミック」そのものには執着心が薄く、動画再生数を稼いでお金が入ってくることを第一に考えている。そのため、純粋に面白い動画を撮影してファンを喜ばせたい雲母宇宙とも考え方が合わない。大人びた雰囲気を漂わせた整ったルックスで、つねに眼鏡をかけている。ファンの前では、わざと辛辣な言葉を口にして喜ばせるドSなキャラクターを演じている。「コズミック」で活動する時の名前は「ギンガ」。

里穂子 (りほこ)

動画配信グループ「コズミック」では、清水薫のファンである社会人の女性。日常的にSNSサイトで彼への愛を発信していることから、輝夜雛姫からはライバルだと目をつけられている。配信中に高額な投げ銭をしたり、リアルでも高額なプレゼントを贈ったりしていることから、薫からは都合のいい金づるとして認識されている。ただし、里穂子本人は薫の本命の彼女だと思っている。実生活ではキャリア志向のOLで、仕事はできるものの、後輩たちからは恋人もいないかわいそうな人だと見下されている。ただし、整った顔立ちをした長身の美人で、薫以外にはまったく興味がないことから恋人がいないだけで、モテないわけではない。会社では目立たないファッションをしているが、プライベートでは髪の毛を縦ロールにしてゴスロリ調の衣装を身につけている。インターネット上では「りこめろ」と名乗っており、文末に「めろ」を付けて話す。

えりこす

動画配信者の若い女性。「えりコスメch(チャンネル)」を一人で運営している。若い女性を中心に高い人気を誇り、動画配信グループ「コズミック」の清水薫とコラボレーション動画を撮影したことで、輝夜雛姫から彼と距離が近いと恨まれるようになる。あくまで仕事として薫にコラボレーション動画を持ちかけているが、以前から彼のファンであり、これをきっかけに恋人同士になりたいと考えている。そのため、たびたびえりこす自身の動画の中で薫と親しい間柄であることをアピールしているが、彼からは迷惑がられている。

めぐる

輝夜雛姫の友達で、同じ大学に通う女子。雛姫とはなんでも話せる親友に近い間柄ではあるものの、彼女が動画配信グループ「コズミック」の清水薫にガチ恋していることは知らない。雛姫が、アルバイト代が出たばかりなのに金欠だとこぼしていたり、薫への思いから挙動不審な言動を見せたりすることを心配している。動画配信サイトはチェックしているものの、「コズミック」のことは女性に媚びた内容ばかりアップしていてつまらないと、否定的な立場を取っている。

鷲頭 奈緒 (わしず なお)

花織琴乃の友達。年齢は24歳。動画配信グループ「コズミック」のファンつながりで親しくなった。劔隆文のファンであることから、雲母宇宙のファンで、同じものが好きな人とは絡みたくない「同担拒否」の琴乃ともうまくやっている。「コズミック」のほかにも海外ドラマなど別の事柄にも興味があり、隆文に対しては一般的なファンとしてのあこがれの感情を抱いている。インターネット上では「アルタ」と名乗っている。

白井 ユウ (しらい ゆう)

動画配信グループ「コズミック」では、雲母宇宙のファンの女子高校生。街で偶然宇宙を見かけ、そのまま尾行して自宅を突き止める。その後、飛び降り自殺未遂で気を引いたり、自宅住所をインターネット上にばらまくと脅したりして、宇宙と個人的に親しくなる。宇宙との関係をSNS上で匂わせる発言を繰り返し、花織琴乃の逆鱗に触れてしまう。インターネット上では「ゆっこ」と名乗っており、琴乃からは「おクソガキ」と呼ばれている。

はるみ

動画配信グループ「コズミック」では、雲母宇宙のファンの女性。「コズミック」が結成されたばかりの時から応援しているため、ファンのあいだでも有名な存在。ただし、インターネット上で新しいファンに因縁をつけたり、はるみ自身の独自ルールを押し付けたりすることから嫌われている。宇宙にガチ恋しており、自宅に入り込むなどストーカー行為を繰り返している。警察沙汰にもなっているが、それよりも宇宙本人と接点が持てたことに喜びを感じ、まったく反省していない。気持ちが高まると自傷行為をする癖がある。

集団・組織

コズミック

動画配信サイトで活動しているグループ。メンバーは清水薫、雲母宇宙、劔隆文の三人で、元は友達同士の遊びで動画撮影と配信をスタートさせた。動画制作のため、三人で共同生活をしている。そのうちにメディアでも取り上げられるようになり、チャンネル登録者数は100万人を突破し、広告収入は1000万を超えるほどの人気配信者となっている。ただし、自分たちの整ったルックスを生かすような企画も多く、一部から「女にこびてる系」としてアンチも存在する。輝夜雛姫や花織琴乃のようにグループのファンの域を超えて、ガチ恋している女性も多い。

書誌情報

ガチ恋粘着獣 ~ネット配信者の彼女になりたくて~ 14巻 コアミックス〈ゼノンコミックス タタン〉

第1巻

(2022-04-01発行、 978-4867203422)

第2巻

(2022-04-01発行、 978-4867203439)

第3巻

(2022-04-01発行、 978-4867203446)

第4巻

(2022-04-01発行、 978-4867203453)

第5巻

(2022-04-01発行、 978-4867203460)

第6巻

(2022-04-01発行、 978-4867203477)

第7巻

(2022-04-20発行、 978-4867203675)

第8巻

(2022-08-20発行、 978-4867204139)

第9巻

(2023-01-20発行、 978-4867204665)

第10巻

(2023-03-20発行、 978-4867204887)

第11巻

(2023-08-19発行、 978-4867205594)

第12巻

(2023-12-20発行、 978-4867206003)

第13巻

(2024-04-19発行、 978-4867206416)

第14巻

(2024-08-20発行、 978-4867206829)

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