人間関係が苦手な二人の出会い
鷹司清之助は「無駄」と「面倒」が何より嫌いで、「友達」が最も無駄だという信念を持ち、友達とかかわることを時間の無駄だと考えていた。そんな中、清之助は従姉妹の白城雪から、従兄弟の鷹司龍太郎の友達づくりを手伝ってほしいと頼まれる。清之助は龍太郎がすぐに音を上げると高をくくり、適当なアドバイスをして責任を回避しようとするが、彼の予想に反して龍太郎は清之助のアドバイスを真摯に受け止めて実行しようとする。その後、雪から龍太郎に関する複雑な事情を聞いた清之助は、面倒に感じながらも龍太郎を放っておくことができず、次第に彼の友達づくりに本気で取り組むようになる。
個性豊かなクラスメートたち
清之助の通う高校と龍太郎の通う小学校は、彼らに負けず劣らずの個性的な生徒が在籍している。清之助のクラスメイトである高橋は、成績が優秀でコミュニケーション能力も高く、清之助とは対照的に超社交的で、友人こそが人生を豊かにするという考えを持つ。一方、龍太郎と同じクラスの清水は、無口で感情を表に出さないが、さりげなく友達の手助けをするために龍太郎から信頼されている。彼らの行動はいずれも清之助にとっては、「無駄」で「面倒」なことだが、清之助は龍太郎や彼らとの交流を経て、やがて「友達」という概念を真剣に考えるようになる。
清之助と龍太郎に訪れる変化
面倒事を嫌う清之助と引っ込み思案な龍太郎は、いずれも親しい友達がいないという共通点を持つ。龍太郎は友達をつくりたいと切望しているが、清之助は友達をつくることは時間の無駄だと考えていた。極度の人見知りで引っ込み思案の龍太郎は、清之助のさりげないアドバイスを前向きに受け止めることで自信とやる気をみなぎらせる。一方の清之助も、龍太郎の友達づくりを手伝うことで、他人の世話を焼いたり龍太郎と何げない時間を過ごすことに抵抗を感じなくなったりするなど、かつて非効率的だと思っていた行動に価値を見いだし、やがて自分も友達を作ることに前向きになっていく。
登場人物・キャラクター
鷹司 清之助 (たかつかさ きよのすけ)
とある高校に通う2年生の男子。「無駄」と「面倒」が嫌いなエリート高校生で、積極的なコミュニケーションを好まない。「人生は有限で、限られた時間をどれだけ有意義に活用できるかで勝敗が決まる」という、独自の人生哲学を持つ。そのため、友達と積極的にかかわることを時間の無駄だと考えており、一人で過ごすことが多い。一方で相手にいい印象を与えるため、社交的であるように装ったり、虚勢を張ったりするなど、抜け目のない一面を併せ持つ。そんな中、雪から龍太郎の友達つくりの協力を依頼された時も、内心は面倒だと思っていた。しかし、龍太郎の努力を目の当たりにして友達の存在意義を自覚し、やがて他者とのかかわりに価値を見いだすようになる。
鷹司 龍太郎 (たかつかさ りゅうたろう)
とある小学校に通う1年生の男子。生まれてすぐに母親を亡くし、父親と暮らしている。保育所に行っていないため、一人で遊ぶことが多い。極度の人見知りで話すことが苦手で、主に筆談で意思疎通をしている。小学校に進学してからも引っ込み思案な性格は変わらず、なかなか友達ができずにいる。そんな鷹司龍太郎の友達づくりを手伝うことになったのが、従兄弟のエリート高校生・鷹司清之助。清之助によるその場逃れの適当なアドバイスを信じて実行に移したり、失敗してもあきらめずに挑戦したりするうちに、龍太郎の心に何かが芽生えていく。
書誌情報
キミにともだちができるまで。 5巻 徳間書店〈ゼノンコミックス〉
第1巻
(2013-01-19発行、 978-4199801334)
第5巻
(2015-02-20発行、 978-4199802553)