キャッチャー・イン・ザ・ライム

静岡県立沼津女子高校の入学式。無口でネクラな高校1年生・高辻皐月は、誰とも話すことができず、孤独感を味わっていった。所属する部活も見つからず、悶々とする中、皐月はラップバトル部を立ち上げようとする新入生2人組を目撃する。彼女たちの名は、天頭杏(アンズ)と南木原漣(レン)。言葉を思いのまま楽しく操る彼女たちを羨ましく思う皐月。

そんな皐月の様子を見て、アンとレンは彼女をラップバトル部に勧誘する。だが、人前で喋ることを苦手としている皐月は、入部を躊躇する。しかし、2人は「ラッパーは意外と根暗が多い」と、皐月を半ば強引にラップバトル部に入れてしまう。だが、正式な部となるには、あと2人の部員が必要であった。翌日、3人は新たなる部員を求めて勧誘活動を開始するが、照れの残る皐月は、うまくラップで主張することができない。

何とか自己主張したい皐月をラップでフォローするアンズとレン。皐月はその思いに応え、懸命に自分の名をラップで叫ぶ。初めて自分の殻を破った皐月。そんな皐月のひたむきさに打たれ、新たなる入部希望者が現れる。皐月と同じクラスの春木空木(ウツギ)である。

空木は戸籍上は男だが、心と姿は女性であり、トランスジェンダーとして沼津女子高校に入学してきた存在。下ネタを得意とするウツギは、皐月にとって、いろいろなことを言いあえる初めての友達となる。こうして4人の部員が揃ったラップバトル部は、正式な部となることを目指し、活動をさらに活発化させていく。