あらすじ
高校生活が始まってすぐ、高モリ子のクラスに転校生のキリザキエイがやって来た。キリザキはキザでアンニュイな雰囲気を漂わせ、右手で数本のシャープペンシルを弄ぶという、一風変わった少年だった。そんなキリザキのとなりの席となったモリ子は、彼の緊張をほぐそうと積極的に話しかける。ひたすら奇妙な言動を繰り返すキリザキと言葉を交わすうちに彼のペースに巻き込まれたモリ子は、キリザキに興味津々となる。放課後、脱兎のごとく駆け出して帰宅するキリザキの姿を見たモリ子は、これまでに感じたことのない高揚感と期待に胸を膨らませるのだった。(エピソード1「4月16日」)
土曜日を迎えてヒマを持て余していたモリ子は、N美の誘いを受けて街にショッピングへと出かける。その途中でキリザキを見かけたモリ子は、すかさず彼の尾行を開始。大型カメラ店に入ったキリザキは、店員の熱烈なセールストークに押され気味となり、高額商品を買わされそうになっていた。モリ子は二人のあいだに割って入り、店員の圧を押し返して撃退する。セールスを断り切れないキリザキに対し、説教をしたモリ子は満足して帰宅するが、そのタイミングで存在を忘れて置き去りにしたN美から抗議の電話がかかってくるのだった。(エピソード9「4月28日②」)
関連作品
本作『キリザキ君は。』は、「ゲームアツマール」で配信されたPCゲーム『キリザキ君は。』を原作としている。原作のPCゲーム版は、動画配信者の幕末志士が制作した学園恋愛シミュレーションゲームとなっている。
登場人物・キャラクター
キリザキ エイ
高校1年生の男子で、長い髪をポニーテールでまとめた長身の少年。つねに口元に不敵な笑みを浮かべ、アンニュイな雰囲気を漂わせている。一風変わった性格で、言動が全体的にキザで理屈っぽく、そのうえエキセントリックな一面がある。教師が黒板に書いた本名の「鋭」という漢字のハネをわざわざ自ら整えたり、究極万能薬と称する栄養剤を昼食に摂取したりするなど、こだわりの方向性が奇妙。本名は「霧崎鋭」だが、周囲の人間には自分のことを「キリザキ」、あるいは自分が付けた異名の「キルザ」と呼ぶようにうながしている。ただし、「キルザ」と呼ぶ者は誰もいない。授業中などに右手の掌で数本のシャープペンシルを弄くり回しており、クラスメートの高モリ子にその理由を聞かれた際は、「シャープシェイプ」という流派であると、よくわからない説明をしていた。食事の仕方も独特で、麵類を食べるときは周囲に目もくれず一心不乱に大きな音を立てながら麵をすすり続ける。潔癖症でもあり、他人のスマホやハンカチを触ったり、野良猫に触られたりするのを苦手としている。ゲーム好きで、得意なゲームでは全国トップの成績を取るほどの腕前を持つ。コンピューターに興味があり、一時はコンピューター部に入ることを検討していたが、ハッキング的なことができないという理由で入部しなかった。ふだんのエキセントリックな言動とは裏腹に意外と面倒見がよく、放課後や休日は妹の霧崎美伊の面倒を見ている。方向音痴なところがあり、また、強引な勧誘を断ることができない。
高 モリ子 (たか もりこ)
高校1年生の女子で、頭に大きなリボンをつけた小柄で細身の美少女。好奇心が強く、優しい性格をしている。高校入学後、突然転校してきたキリザキエイのとなりの席になった際に、彼の緊張をほぐそうと積極的に話しかける。そして、あまりにも奇妙な言動を繰り返すキリザキに対して強い興味を抱き、何かにつけてキリザキの世話を焼くようになる。キリザキと会話したり、遊んだりするうちに、徐々に彼に思いを寄せるようになる。大食漢で、朝食を食べても昼になる前には腹をすかせていることが多い。また、朗らかで世話好きなため、学校内を移動するだけで多くの生徒に取り囲まれる人気者でもある。高モリ子自身はいっさい自覚はないが、実はゲームのセンスに長けている。キリザキとゲームで対戦するたびに彼に勝利し、無邪気に喜んでいた。
N美 (えぬみ)
高校1年生の女子で、金髪のグラマラスなギャル。明るく溌剌とした性格をしている。高モリ子の親友で、昼休みや登下校時はモリ子といっしょに行動していることが多い。大のカレー好きで、下校中にカレーのチェーン店に立ち寄ったり、休日もヒマさえあればカレーを作ったりしている。そのため、高校入学後はカレー部に所属し、精力的に活動している。
霧崎 美伊 (きりざき みい)
小学生の女子で、キリザキエイの妹。ミディアムヘアにしている。内向的な性格で、おとなしくて口数が極端に少ない。小学校からの下校中に毎日キリザキの通う高校に立ち寄り、校門でキリザキを待っていっしょに帰宅している。猫が大好きで、近所の野良猫の世話をキリザキにお願いしてやってもらっている。また、休日にはキリザキといっしょに公園で砂遊びをするなど、とても仲がいい。キリザキと高モリ子の仲のよさを見て嫉妬心を抱いている。また、モリ子とキリザキの会話が盛り上がった際は、キリザキに対して早く帰るようにうながしていた。モリ子からは「ミィちゃん」と呼ばれている。
大型カメラ店の店員
大型カメラ店に勤めている男性店員。日々精力的に働いているが、声が大きいうえに圧が非常に強い。パソコンを見るために店に立ち寄ったキリザキエイに対し、高性能かつ高価格なパソコンを全力で勧め、押しに弱いキリザキに購入をせまる。
クレジット
- 原作
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幕末志士
書誌情報
キリザキ君は。 2巻 KADOKAWA〈MFコミックス ジーンシリーズ〉
第1巻
(2019-04-27発行、 978-4040656533)
第2巻
(2020-03-27発行、 978-4040644974)