概要・あらすじ
ウラルの森では、クマさんを中心にさまざまな動物が共存し、平和に暮らしていた。黒オオカミと銀ギツネは他の動物から嫌われていたが、クマさんは彼らが本当は良い動物であることを知っている。ウラルの森では秋になると冬ごもりの準備を始めるが、ある時銀ギツネはアナグマの家の魚干し倉の近くで、黒オオカミの姿を見つけて追いかけた。
すると、アナグマの魚干し倉が荒らされており、銀ギツネはその犯人に間違えられてしまう。銀ギツネは自分に優しく接してくれた黒オオカミが疑われないように、自分が犯人ということにしてウラルの森を去るのだった。クマさんは銀ギツネが犯人ではないことを知りながらも、そんな銀ギツネを見送る。ところが続いてノロ鹿の魚干し倉が荒らされたことをツルに教えられ、クマさんと黒オオカミはその犯人捜しを始めるのだった。
登場人物・キャラクター
クマさん
ウラルの森に住むクマ。大柄でいつもパイプをくわえている。比較的穏やかな性格で多くの動物から愛され、森の中心的存在になっているが、森を荒らすものに対しては厳しい一面を見せることもある。森の嫌われ者である黒オオカミや銀ギツネとも信頼関係を築いている。
黒オオカミ (くろおおかみ)
ウラルの森に住むオオカミ。毛色が黒く、目が鋭い。モグラやアナグマからはうさんくさいと嫌われているうえ、魚干し倉を立て続けに荒らしているのではという疑いをかけられている。実際はそんな悪さをすることもなく、自分と同じように嫌われている銀ギツネに優しく接している。無実の罪で森を出て行った銀ギツネを連れ戻すために旅に出るなど、優しい性格。
銀ギツネ (ぎんぎつね)
ウラルの森に住む真っ白い狐。悲しそうな目をしており、性格も少々気弱。モグラからは自分が掘った穴を踏みつぶされたと怒られたりして肩身の狭い思いをしているが、クマさんや黒オオカミの優しさに助けられてきた。ある時アナグマの魚干し倉が荒らされ、たまたまたそこにいたことで犯人と誤解されてしまう。しかし、自分が罪をかぶることで黒オオカミの疑いが晴れるならと考え、無実の罪を背負ってウラルの森を出て行く。
アナグマ
ウラルの森に住むアナグマ。全体的に毛色が白く、目の周りだけが黒い。双子のウサギによく悪戯をされてひどい目に遭っている。秋になり冬支度をしていたが、そのための魚を干していた倉を荒らされ、銀ギツネを犯人と勘違いする。
モグラ
ウラルの森に住むモグラ。小柄で常にサングラスをかけ、パイプをくわえていることがある。ある時、自分の掘った穴を銀ギツネに埋められたと勘違いしてカンカンに怒ったが、黒オオカミやクマさんの仲裁によってひとまずその怒りを収める。
ノロ鹿 (のろじか)
ウラルの森に住む鹿。立派な角を持っている。アナグマと同様に魚干し倉を荒らされ、さらに怪我までしてしまう。これにより、すでにウラルの森を出ていった銀ギツネが魚干し倉を荒らした犯人ではないことが発覚する。
ツル
ウラルの森に住むツル。いつも空を飛んでいて、ウラルの森の異状や事件をいち早く発見してクマさんや森のみんなに伝える役目を担っている。森の水門が壊れた時や、ノロ鹿の魚干し倉が荒らされた時も、真っ先に発見してクマさんたちに伝えた。
イタチ
ウラルの森に住むイタチ。黒オオカミの洋服を盗んで黒オオカミになりすまし、アナグマやノロ鹿の魚干し倉を荒らした。ずっと1人で生きてきており、盗みや悪さを楽しんでいることからクマさんに厳しく指摘され、その結果ウラルの森から追放される。
ギザ耳族の長 (ぎざみみぞくのおさ)
ウラルの森に住む白ウサギのお爺さん。かつて争い事によって、耳が半ばで折れ曲がり、先がギザギザになってしまった。その争い事から逃げるために、ウサギの一族を連れてウラルの森にやって来た。クマさんや他の動物たちに受け入れられ、その後は平和に過ごしている。
ミオ
ウラルの森に住むウサギの少女。ギザ耳族の長の孫娘で目が赤く、真っ白い毛を持つ。心優しい性格の持ち主で、薬草や花を摘んでよく他の動物たちの手助けをしている。リョーシャとは幼なじみで、小さい頃から兄妹の様に育ってきた関係にある。しかしリョーシャが森を傷つけるオノを使うようになり、森から出ていこうとする姿を見て心を痛め、クマさんに止めてほしいと相談する。
リョーシャ
ウラルの森に住むウサギの若い男子。他のウサギと違い別の森のウサギとの混血で、目の色は金色、毛には茶色が混じっている。ウラルの森にはウサギの果たすべき役目がなく、誇りを持つことができないと考え、森を傷つけるオノを使うようになる。そしてウサギ族全員を連れて森を出ようと提案し、クマさんと対立する。
双子のウサギ (ふたごのうさぎ)
ウラルの森に住む双子のウサギ。明るく元気いっぱいで、行動をする時はいつも一緒。また腕白なところもあり、アナグマに対してたびたび悪戯をしかけては怒られている。
老人の鹿 (ろうじんのしか)
かくれ里に住んでいる年老いた鹿。アーニャやアーニャの妹とともに暮らしており、普段はオオカミの存在に怯えて隠れている。オオカミと同じ種族の黒オオカミが、獲物ではなく友人として銀ギツネを探していることを聞くと驚き、その手助けをするために、前に見た銀ギツネの話をするようアーニャの妹に勧める。
アーニャ
かくれ里に住む鹿の女性で、長いスカートにエプロンを身に着けている。オオカミの谷に住むオオカミの脅威に怯えており、老人の鹿とアーニャの妹が黒オオカミをかくれ里に連れて来たことに怒り、黒オオカミを追い出そうとする。
アーニャの妹 (あーにゃのいもうと)
かくれ里に住む鹿の女の子で、アーニャの妹。怪我をして倒れていた黒オオカミを見つけてかくれ里に連れ帰り、介抱をする。そして黒オオカミが目を覚ました時、彼に以前に見かけた銀ギツネの行方を伝える。
小鳥 (ことり)
世界中を飛び回る小鳥。南に行く途中、ウラルの森に住むクマさんに呼び留められて餌をもらう。黒オオカミや銀ギツネの消息を知っており、半年前に別の場所で黒オオカミを見かけたことをクマさんに伝えた。
オオカミ
オオカミの谷に住むオオカミたち。普段は鹿など他の動物を狩って生きている。自分たちから逃げていった動物たちが暮らすかくれ里をずっと探しており、それを知っていそうな銀ギツネを捕まえる。
場所
ウラルの森 (うらるのもり)
クマさんやアナグマやノロ鹿など、多くの動物たちが平和に共存している森。自然に囲まれていながらも、動物たちはそれぞれが櫓や家を作って暮らしている。秋になれば冬ごもりをするための準備をし、冬には多くの動物が冬眠に入る。
かくれ里 (かくれざと)
ウラルの森の外にある場所。オオカミの脅威に怯える動物たちが逃げ込んでいる。ここには老人の鹿やアーニャ、アーニャの妹も住んでいる。黒オオカミは怪我をして意識不明になった際、老人の鹿とアーニャの妹によって助けられ、かくれ里に足を踏み入れることになる。
オオカミの谷 (おおかみのたに)
ウラルの森の外にある谷で、オオカミたちの根城。銀ギツネを探しに来た黒オオカミが訪れたが、彼らはかくれ里の場所を知る者として閉じ込められてしまう。