概要・あらすじ
とある世界で、長引いていた戦争が終わりに近づきつつあった。占領下の村々では、暴虐な軍人の圧政で、意味もなく残忍な出来事が起こることもままあった。そんな中、武装した兵士を次々と殺害し消え去る謎のピエロの噂が流れ始める。その男の名はクレイジーピエロ。「たった一人の力では世の中は変わらない」という道理を理解していながらも、彼は殺戮を止めない。
何故なら、彼はクレイジーだから。
登場人物・キャラクター
ピエル
捨て子でサーカスに拾われて育った。投擲などとともに、サーカス芸で磨かれた体術を身に着けている。引っ込み思案でおとなしい性格だが、催眠術師の婆がかけた暗示によって自信家で凶悪な性格が心の中に潜んでいる。理不尽な悪を目にすると、その性格が起き上がり、ピエルをクレイジーピエロに変えてしまう。
クレイジーピエロ
『クレイジーピエロ』の主人公ピエルが変装した姿。巨大な耳にとんがり靴を履いた道化の姿をしている。身軽で素早い動きができ、長剣一本で軍隊と互角に渡り合うことができる。小柄ながら怪力の持ち主で、人体を裂き、火炎を口から吹き、人間大砲で空を飛び、長時間の潜水も可能。怒りの感情が荒ぶるままに敵を殺して回り、後始末などは一切考えていない。
サラ
『クレイジーピエロ』に登場する村のパン屋の娘。黒髪をお下げにした、少しお転婆な女の子。兵士たちに乱暴されそうになったところをピエルに助けられ、よそ者の彼を匿うことになる。クレイジーピエロを追うセドリック少佐に目を付けられ、囮として、また司令官の慰み者にするために連れ去られてしまう。
グレート・クラウン・シルバー (ぐれーとくらうんしるばー)
『クレイジーピエロ』に登場する元サーカスの団長。ピエルの育ての親のひとりでもある。白髪の日に焼けた老人で、昔はピエロとして、銃弾を歯で受け止める芸を披露していた。セドリック少佐の戯れで、本物の銃で芸をすることを強いられ、殺されてしまった。
セドリック少佐 (せどりっくしょうさ)
『クレイジーピエロ』に登場する軍人。サラの住む村に駐屯する軍の将校。黒の巻き毛のハンサムな青年だが、性格は酷薄で計算高い。ピエルがクレイジーピエロではないかと疑い、関わりがあったサラに司令官の伽をさせるべく連行してしまう。首尾よくクレイジーピエロに司令官を処分させ、その首を獲ることで出世しようとたくらんでいた。
司令官 (しれいかん)
サラの住む小さな村を制圧した軍の司令官。頭のてっぺんが禿げ上がった、太った中年男。下世話で下品、自軍が有利に戦争を展開しているために緩みきっている。セドリック少佐からサラをあてがわれ、手籠めにしようとするが、クレイジーピエロに刺殺されてしまう。
ミーシャ
『クレイジーピエロ』の登場する元気な女の子。各地を巡業するサーカスの団員だが、休息をとっていた村が軍隊に占領され、村から出られなくなってしまった。ナイフ投げを得意とし、「稲妻のミーシャ」という二つ名を持つ。村の人間に軍の矛先が向かないように、クレイジーピエロの扮装をして挑発、無駄な捜査をさせて攪乱していた。
ザザラー統制官 (ざざらーとうせいかん)
村に赴任した新たな統制官。高位の軍人でありながら美しい女性だが、性格は残忍。占領地区の住民に魔女狩りの如き拷問を行い、若い娘をさらってきてはその生血をシャワーにして若さを保ってきた。ミーシャと隠れていた仲間のサーカス団員を捕まえ、処刑しようとするが、クレイジーピエロの逆鱗に触れ首を落とされる。
トリガー少佐 (とりがーしょうさ)
『クレイジーピエロ』に登場する軍人。セドリック少佐の弟で、同じ顔立ちをしているが右目には眼帯をしている。職務に忠実で穏当な青年軍人で、ザザラー統制官の蛮行を諌め、軍法会議に出廷させるために派遣された。またクレイジーピエロの捜索も平行して行っており、彼の後先を考えない殺戮を毛嫌いし、できることなら止めようと考えている。
レム
ミーシャと同じサーカスの団員をしていた男の子。サーカスの団員が隠れている廃屋の見張りをしていた。
爪と牙 (つめときば)
『クレイジーピエロ』の登場するザザラー統制官の付き人。背が高い禿頭の老人。口の中の歯は牙のように鋭く、指には長い刃のような付け爪をしている。主人と同じぐらい残虐で悪趣味な性格をしており、クレイジーピエロ捕縛を祝う祝砲を、サーカス団員を弾にした人間大砲で行おうとした。クレイジーピエロと戦い、腕を斬られ、頭を上下に引き裂かれて死亡する。
婆 (ばばあ)
引退した醜女の元サーカス団員。千里眼と占い、催眠術の芸を披露していた。捨て子だったピエルの育ての親で、気が小さいのを心配し、暗示で自信をつけさせる。しかしそれが元でクレイジーピエロと化してしまった。事実を知った彼女は、ピエルを見つけ出し、新たな暗示で女の子にして力を封じる。
その他キーワード
人造人間イゴール (じんぞうにんげんいごーる)
『クレイジーピエロ』に登場する生物兵器。軍の医学部特殊開発課が生み出した人造人間で、身の丈は通常の人間の3倍はあり、禿頭で牙が生えている。力は通常の人間の20倍、人工細胞により手足がちぎれたとしても腸を動かして戦うという不死身ぶりをみせる。さすがに心臓を破壊されると死んでしまう。