クロザクロ

クロザクロ

いじめられっ子が謎の生命体に寄生され、人外の力を持つ傀牙へと変貌を遂げてしまうダークファンタジー作品。傀牙に変わってしまった主人公の桜井幹夫の葛藤や、傀牙という化け物や幹夫に寄生したザクロの正体に迫る謎解き要素も含まれる。「週刊少年サンデー」2004年第35号から2006年第1号にかけて連載された作品。

正式名称
クロザクロ
ふりがな
くろざくろ
作者
ジャンル
バトル
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概要・あらすじ

桜井幹夫は痛みに敏感で心優しい高校生。しかし、その性格のため、学校では常にいじめの対象として見られていた。ある時、幹夫は寝ている間に謎の球体を飲み込み、夢の中でザクロという少年に出会う。夢から目覚めると、悪かった視力は回復し、思考も変化。さらにその体は尋常ではない力を持つ傀牙になってしまっていた。幹夫は、傀牙を狩る謎の集団「蒐集者」に命を狙われながらも、どうにかして人間に戻る方法を模索し始める。

登場人物・キャラクター

桜井 幹夫 (さくらい みきお)

高校1年生の男子生徒。いわゆるいじめられっ子であり、自称「生物界のピラミッドの頂点にいる人間の中で一番下に属する人間」。いじめられるままでいるのは勇気がないからでも力がないからでもなく、「殴られると痛い(相手を殴ると相手が痛い)から」という理由であり、人の痛みが分かる心優しい性格。ある時、一方的にザクロに寄生され、傀牙になってしまう。 傀牙になってからは身体能力や反応速度が劇的に向上した一方、望まない暴力性を得ることになってしまい、どうにかして人間に戻りたいと考えている。

ザクロ

桜井幹夫に寄生した謎の少年。ギザギザの鋭い歯を持ち、頭部に包帯状の帽子と大きなゴーグルのようなものを付けた出で立ちが特徴。また頭頂部からは2本の長い髪を立たせている。幹夫の夢に現れ、「ニンゲン以上の力を与える代わりに、傍らの木に花を咲かせろ」と要求。その夢を見た翌日から幹夫の体に異変が起きる。

九蓋 (くがい)

傀牙を狩る蒐集者の一人。鋭い目つきをした男性で、右目の横に大きな傷を持つ。別の傀牙を始末している最中に桜井幹夫と遭遇。理性を保ったままの幹夫のことを傀牙であると見抜き、その命を狙う。しかしのちに、幹夫の存在が傀牙を生み出す原因に至るために必要であると考え、狩ることを中止。幹夫が暴走した時には真っ先に殺せるよう、行動を共にするようになる。

姫葉 薊 (ひめは あざみ)

桜井幹夫の通う高校に転校してきた、長い黒髪と大きく意志の強そうな瞳を持つ美しい少女。フレームレスの眼鏡が特徴。学校ではあまりしゃべらず周囲に対して突き放したような行動をとる。実は九蓋と行動を共にしている蒐集者の一人で、九蓋が取り逃がした傀牙である幹夫のことを探している。

菊岡 咲 (きくおか さき)

桜井幹夫の幼なじみの女の子。ショートカットの髪型が似合う活発な性格で、幹夫をいじめる不良に対しても恐れずに立ち向かっていく。幹夫のことは幼い頃から知っており、その人柄に淡い好意を寄せているが、それだけにいじめられたままでいる幹夫の態度が許せず、つい冷たく当たってしまう。幹夫が傀牙になり、不良に暴力を働いた時は、その変貌ぶりに幻滅した。

桜井 梢枝 (さくらい こずえ)

桜井幹夫の妹。明るい色のショートカットの髪が特徴。兄のことは頼りなく、不甲斐ないダメな性格だと思っているものの、兄妹仲はさほど悪くない。

御形 (ごぎょう)

蒐集者の一人で、規則を破った九蓋を始末するために派遣された青年。サラリとしたミドルヘアにサングラスをかけ、いつもイヤホンで音楽を聴いている。右目に「蛇合眼」という特殊な義眼を移植しており、高い精度で傀牙や蒐集者の生体反応や位置を判別することができる。

(せり)

蒐集者の一人で「白爪」の一員。もみあげまで伸ばしたボサボサの髪に、スカジャンを着用したガタイの良い男性。言いたいことは拳で語るタイプで、「面白そうか」「燃えそうか」を優先して行動する直情的で暑苦しい性格。桜井幹夫を擁立して傀牙の真相に迫ろうとする御形に協力する。

(なずな)

蒐集者の一人で「白爪」の一員。明るい色のミドルヘアをサイドに流し、額を出した髪型の女性。意志の強さを感じさせる目元が特徴。クールで落ち着いた物腰をしており、論理的な思考を旨とする性格。桜井幹夫を擁立して傀牙の真相に迫ろうとする御形に協力する。

菘、蘿蔔 (すずな、すずしろ)

蒐集者で「白爪」のメンバー。菘は白をベースにしたゴスロリ調のドレスに金髪のツインテール、穏やかな目元。蘿蔔は黒をベースにしたゴスロリ調のドレスに、吊り上がった目という特徴を持つ、2人組の少女たち。常に2人で行動し、パンダのぬいぐるみを動かすことができる。

繁縷 (はこべら)

蒐集者の一人で「白爪」の一員。逆立てた長い髪と鼻まで覆う防塵マスクのようなものを付けた容姿が特徴の男性。常に仏ノ座の肩に乗っている。背丈は低く、菘、蘿蔔より少し高い程度。素早い動きを活かし、長針のような武具を投擲して戦う。御形から桜井幹夫の話を聞き、実力を試すとして襲い掛かり、戦力にならないと判断。 以降、考え方が違うとして御形らとは別行動を取る。

仏ノ座 (ほとけのざ)

蒐集者の一人で「白爪」の一員。繁縷を肩に乗せて悠々闊歩することができるほどの巨漢。深く幾重にも剃りこみの入った前髪と残りの髪を後ろで縛った髪型、彫りが深く、眉のない目元にせり出した大きな顎が特徴の男性。桜井幹夫の処遇については繁縷の意見に賛同し、御形らとは袂を分かつ。

(かや)

蒐集者の本部から派遣された執行者の一人。規則を破った九蓋を始末するために派遣された。明るい色のロングヘアを盛り、派手な服装とメイクが特徴の女性。丁字は美人と評しているが、蒐集者を追い詰めていたぶることに快感を感じるという歪んだ嗜好の持ち主。

丁字 (ちょうじ)

蒐集者の本部から派遣された執行者の一人。規則を破った九蓋を始末するために派遣された。長身でサイドを編み込み、トップをモヒカン状に固めた髪型が特徴。れっきとした男性だが、オネエ言葉で話し、美しいものの味方を自称する。

(はぎ)

蒐集者の一人で「黒棘」の一員。黒いミドルヘアを斜めに分け、黒縁の眼鏡をかけた平凡な見た目の男性。蒐集者の施設で御形らと出会い、腰の引けた人物を演じるが、その実、御形と軽く渡り合うほどの実力を持つ。黒い日本刀のような武器で、異様な剣技を使用する。

藤袴 (ふじばかま)

蒐集者の一人で「黒棘」の一員。真っ黒なマントで全身を覆い、大鎌を持った非常に無口な人物。蒐集者の施設で、芹と渡り合う。芹と並んでも頭ひとつ抜けるほどの巨体に見えるが、マントの下はほぼ偽装体で、正体は芹の身長の半分ほどしかない少年である。

(すすき)

蒐集者の一人で「黒棘」の一員。肩に届くほどの長髪を持ち、眉を隠すほど深くバンダナを巻いた姿が特徴。蒐集者の施設で、九蓋、薺を迎え撃った。出会い頭から薺のことを「好みのタイプ」と評するなど、ナンパで軽い性格。だが黒い槍を使った戦闘技術は一流で、九蓋と薺の2人を相手にしても引けを取らないほどの実力を持つ。

撫子 (なでしこ)

蒐集者の一人で「黒棘」の一員。片目が隠れるほど長い前髪をミドルボブにそろえた女性。蒐集者の持つ施設のひとつに潜伏し、情報収集と黒棘の行動管理を行っている。現在は平時の任務のほかに、「黒棘」の中で欠けてしまった芒のメンバー枠を埋めるための人員探索も行っている。

郁子 (いくこ)

蘇芳の娘。山奥で隠居暮らしをしている蘇芳と共に住んでおり、スグリとの戦闘で傷ついた桜井幹夫や九蓋、御形の世話をしてくれる。九蓋や御形とは何らかの形で過去からつながりがあるようで、特に御形には「郁ちゃん」と呼ばれ、親しくしている様子。

蘇芳 (すおう)

郁子の父親。長い髪を後ろでまとめた髪型に無精髭を生やした顔、作務衣に下駄という出で立ちが特徴の無骨な隻腕の男性。スグリとの戦闘で傷ついた九蓋や御形を治療し、匿う。現在は隠居状態だが、過去に蒐集者の本部とのつながりがあり、現在も多少顔が利くという。郁子のことは溺愛しており、御形に「娘に手を出したらただでは済まさない」とすごむほど。

スグリ

人間のことを「傀牙のエサ」、傀牙のことを「俺たちの家畜」と呼ぶ謎の少年。ザクロと同じくギザギザの歯を持ち、鋭い目つきで左目周辺に隈取のような幾何学模様がある。傀牙の体を片手で貫き、取りだした傀牙の種を食べる、人の体に手をかざすだけで吹き飛ばすなど、明らかに人間を超えた力を持つ。ザクロとは何かしらの共通点がある様子。

カリン

ザクロを封じた6人の人物のうち一人。ザクロやスグリらと同様に、額に黒い十字を含む幾何学模様を持つ女性。鼻筋の通った端正な顔立ちをしており、頭全体を大きな帯のようなもので覆い、頭頂部から束ねた髪を出しているのが特徴。世俗を達観したような落ち着きのある性格で、思慮の浅いスグリの言動を「末席」と謗りながら、心配する素振りも見せ、ザクロを封じる際に尻込みしながらも戦闘に加わろうとするスグリを制止した。

レイシ

ザクロを封じた6人の人物のうち一人。ザクロと同じくギザギザの歯を持ち、眉間から鼻筋にかけて大きく直線的な黒い模様を持っている男性。理性的で無駄な殺生を好まない性格で、ザクロが力を取り戻すのにも協力すると告げる。しかし、存在の格が違うため価値観も異なり、人間個人の命をあまり重要視はしていない。そのため、ザクロの宿主である桜井幹夫には興味を示さなかった。 かつて人間に知恵の実を与えた人物で、世界の調整者を自称する。

アケビ

ザクロを封じた6人の人物のうち一人。ターバン状のもので頭を覆った男性。中性的で端正な顔立ちをしており、右目から右頬にかけて黒い模様を持つ。炎を司る特殊な技を使用する。かつてザクロを封じた際に切り落としたザクロの片角を持っており、さらにザクロの力を取り込むため、傀牙を量産して組織的に桜井幹夫たちを襲わせる。

クエン

ザクロを封じた6人の人物のうち一人。錫杖を持ち、修行僧のような和装に身を固めた人物。雷を司る特殊な技を使用する。のちに明らかになる素顔は、髪を逆立て、額から両目まで雷状の模様を持つ強面の男性。アケビと対にして持っていたザクロの角をすでに体に宿しており、種がなくとも生み出せる新たな生命体「儡牙(ライガ)」を創造。 新しい世界に人間はもはや必要ないと語る。

(かずら)

蒐集者の施設で謎の大樹の管理を行っている少女。片目が隠れるほど長い前髪に黒髪ミドルヘアのボサボサ頭と八重歯が特徴。北海道の方言のような訛りのある言葉で話す。基本的に態度はぶっきらぼうだが、大樹の育生に傀牙の種が必要であることをはじめ、重要機密を軽々しく口にしてしまうなど、少々抜けたところがある。黄櫨のことを「先生」と呼んで慕っている。

黄櫨 (はぜ)

蒐集者の施設で謎の大樹の管理と、蒐集者の武具の製作を行っている男性。前髪と襟足をわずかに残し、残りを後頭部で団子状に束ねた髪型が特徴。また額には白毫のようなものがあり、常に目を閉じているように描かれるが物は見えている様子。施設に無断で侵入した九蓋らを迎え入れ、蒐集者の武具の秘密や傀牙との関係を明かし、そのうえさらに強力な武具を渡すと申し出る。

イチイ

蒐集者の組織をまとめる人物にして、かつてザクロの角を切り落とし封印した人物。鳥のように嘴のとがった面をかぶり、その上から山伏が被る頭襟を着用。さながら天狗のような出で立ちをしている。

集団・組織

蒐集者 (はんたー)

傀牙を駆逐するために組織された集団に属する人間たち。傀牙に対抗するため、戦闘技術を中心に特殊な訓練を受けており、九蓋のサポートが必要な新米蒐集者の姫葉薊ですら、不良数人を瞬殺できるほどの腕前を持つ。蒐集者はすべて傀牙の反応を大まかに知ることができる特殊な耳飾り「蛇合の鈴」を着用しており、また傀牙を倒す手段である武具を装備している。 しかし、手当たり次第に傀牙を倒せばいいというものではなく、それぞれ持ち場が決められており、許可なく持ち場を離れると重罰を受けることになるなど厳しい戒律がある。

執行者 (しっこうしゃ)

規律を犯した蒐集者を始末するための役目を負った蒐集者。蒐集者には高い戦闘能力を持つ者たちが選ばれるが、それ故にならず者が選ばれることもある。そういった者たちの抑止力として存在する。しかし、それだけが任務ではなく、特別な指令が下っていないうちは、普通に蒐集者として傀牙を狩る任務を任されている。

白爪 (しろつめ)

蒐集者の中でも特殊な仕事を任されている集団。基本的に大規模な傀牙対策か、組織の存続が危ぶまれるような場面でしか招集されないため、滅多にメンバー同士が顔を合わせることはない。なお、メンバーの呼称には春の七草が当てられている。

黒棘 (くろとげ)

蒐集者の中でも特殊な仕事を任されている集団。表向きに第一線で活躍する「白爪」と対をなす集団で、組織の裏の仕事を受け持っている。そのため、正体を隠して活動しており、バレた時には相手を問わずに始末するよう命じられている。活動内容からか、「黒棘」の持つ武具はすべて一般の蒐集者が持つ武具を侵食する特殊な効果がある。 なお、メンバーの呼称には秋の七草が当てられている。

仮面の連中 (かめんのれんちゅう)

蒐集者組織の最高幹部たち。メンバーはそれぞれ表情の異なる鬼のような面をつけており、全容は明らかではない。しかし、6つの花弁を持つ花を模した何らかのアイテムを所有し、スグリやレイシら、傀牙を生み出す存在の生死を判別することができるほか、「黒棘」を操り何らかの思惑を果たそうとしている。

その他キーワード

傀牙 (おーが)

体に傀牙の種を植え付けられることで、人間から化け物に変化してしまったなれの果て。常人をはるかに上回る身体能力や視力などを得る代わりに、性格が凶暴性を増し、異常なほど食欲が増大する。また血や肉に異常な嗜好性を持つようになり、人間がただの食べ物に見えるほど。種に寄生されてからしばらくは理性を保っていられるが、いずれ本能に抗えなくなり、全身が硬い装甲で覆われた化け物の姿に変貌してしまう。 なお、傀牙になった際の姿は、植え付けられた傀牙の種に応じて決まる。

蛇合の鈴 (じゃごうのすず)

宝石に蛇が巻き付いたようなデザインが特徴。傀牙が本性を現した際に発する特殊な波長を感知し、鈴の音を鳴らす。鈴の反応で大まかな傀牙との距離や方向が分かるという。ただし、その性能は付けた者の素質によって変わり、姫葉薊の場合は高校の敷地内をカバーするのが精々。

傀牙の種 (おーがのたね)

球体状のカプセルに傀牙のフィギュアが入ったような形の物質。これが人間の体内に侵入すると、その人間の体を傀牙に作り変えてしまう。種は体内にずっと残っており、これを摘出することで傀牙を討伐することができる。単に「種」とだけ呼ぶこともある。

武具 (ぶぐ)

蒐集者全員に渡されている対傀牙用の武器。武器の形状はそれぞれの蒐集者によって違い、例えば九蓋の場合は持ち手の両側に2本の刃がついた鉤爪の武器、御形の場合は、巨大な両手斧の形状をしている。長く使用し続けると、武具によって体が侵食されてしまうため、使用には時間制限がある。

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