あらすじ
一狼と獅郎の契約
警視庁公安部に所属している国下一狼は3年前、ジョーカー事案によって行方不明となった先輩・央莉音の捜索を行っていた。ある日、一狼は上司の田口に呼び出され、暴力団の若頭・英獅郎に取り入って政治家の不正の証拠をつかむことを命じられる。一狼がさっそく獅郎にコンタクトを取ると、その思惑はすぐに見破られてしまうものの、獅郎は莉音の弟同然の存在であり、獅郎も一狼と同様に莉音を捜していることを知る。お互い目的が一致した二人は、恋人同士のふりをしながら独自で調査を行う契約を結ぶ。
ジョーカー事案の真相
央莉音の行方を追っていた国下一狼と英獅郎は、莉音のノートをもとに複数人の政治家とその子供にたどり着く。その中の一人で、現職総理大臣の大須公昭の息子・大須匡に目星を付けた二人だったが、匡にその企みを知られ、獅郎は殺し屋の女に命を狙われてしまう。一方の一狼は、田口によって莉音が生存していることを知らされ、国家権力がかかわっている捜査に参加することとなる。莉音と共に一狼を救出し、無事三人は再会を喜ぶが、いまだ全貌が見えない強大な敵との戦いが始まることとなる。
テレビドラマ
登場人物・キャラクター
国下 一狼 (くにした いちろう)
警視庁公安部に所属している男性。階級は警部補で、現在は田口の指示で動いている。表情が乏しく淡々とした話し方をするが、血が頭に上ると口調も行動も荒くなる。公安部に配属された時は央莉音の部下で、仕事のノウハウはもちろん人間としての生き方も莉音から学んだこともあって、彼女を心から尊敬している。そのため、ジョーカー事案で消息不明となった莉音を独自に捜査していたが、一人では限界を感じていた。そんな中、英獅郎に取り入る際に手を組むことを提案して契約を結び、それからは獅郎の自宅で同居しながら情報交換を行っている。当初は獅郎をならず者扱いしていたが、獅郎の生き方や自分に境遇が似ていることを知って徐々に心を許し、相棒として認めるようになる。千夏とは幼なじみで、テトラビル爆破事件で両親を失ってからも付き合いは変わらず、心の支えとなってくれたこともあり、現在も好意を抱いている。しかし千夏を危険に巻き込まないため、警察官を辞職しているとウソをついている。手先が器用で料理も難なくこなす。
英 獅郎 (はなぶさ しろう)
指定暴力団峰上組の若頭を務める男性。同性愛者で、男性政治家や権力者の愛人として取り入っている。背中一面に入れ墨が入っている。幼い頃から両親がおらず、児童養護施設で央莉音といっしょに育ったため、莉音を姉同然に慕っている。その後、里親に愛情を持って育てられていたが、血のつながりがないことに引け目を感じて現在は一方的に縁を切っている。莉音が莉音のノートを預けたあとにジョーカー事案によって失踪したことを知り、行方を捜している一方で、テトラビル爆破事件の犯人が峰上組の組員だと仕立て上げられたことで、独自にそれぞれの調査を行っていた。そんな中、国下一狼と出会い恋人同士のふりをして情報を共有、交換する契約を結んだ。当初は同居も嫌がっていたが、一狼の過去や性格を知るうちに信頼できる相手として認めるようになる。軟派な見た目ながら頭脳明晰で、若頭として峰上組を統率する一方で株取引も行っており、安定した収入を得ている。組内の部下からの信頼は厚いが、若くして若頭の地位に就いたことで目上の組員からは煙たがれている。
央 莉音 (なかば りおん)
警視庁公安部に所属している若い女性。国下一狼の上司にあたる。英獅郎の姉のような存在で、ロングヘアに鍛え抜かれた肉体を持ち、体術にも長けている。ジョーカー事案に巻き込まれたことによって消息不明となっていたが、実はB国の諜報活動を捜査していたことで命を狙われたため、田口の発案によって命を守るためのフェイクとして行方不明となった。現在は姿を隠し、情報員としてB国の諜報活動に関連する不正問題の捜査を行っている。幼い頃から両親はおらず、児童養護施設で獅郎といっしょに育ったため、獅郎を実の弟だと思ってかわいがっている。正義感が強く面倒見のいい姉御肌で、はっきりとした物言いをする。
田口 (たぐち)
警視監を務める中年の男性。つねに無表情で必要なことだけしかしゃべらない。合理的な性格ながら、政府がもみ消した不正を秘密裏に究明しようとする強い正義感を持っている。日本でB国が行っている諜報活動を捜査していた央莉音を引き抜き、政治不正を暴く捜査官として任命した。その捜査の中で莉音の命の危険がせまった際にジョーカー事案を自作自演し、莉音を消息不明扱いにして、暗躍する組織をあぶり出そうとした。当初、国下一狼に対してはこのことは知らせておらず、単純な捜査のみを指示していたが、一狼が自力でジョーカー事案とテトラビル爆破事件が、大須匡に関連していることにたどりついたため、一狼と英獅郎も捜査員の一員に加えた。
千夏 (ちか)
国下一狼の幼なじみの女性。職業はパティシェ。天真爛漫な性格で一狼のことを気にかけている。一狼が現在公安部に所属していることは知らず、英獅郎を紹介された際に二人が恋人同士だとカンちがいしている。
大須 公昭 (おおす きみあき)
総理大臣を務める高齢の男性。英獅郎とは愛人関係にある。自分の立場を守るために息子の大須匡が起こした事件を、巨大な権力でもみ消し続けてきた。
大須 匡 (おおす まさし)
大須公昭の息子で、国会議員を務める若い男性。テトラビル爆破事件の主犯であり、B国の諜報員ともコンタクトを取っている場面を央莉音に目撃されている。爆破事件の当初は父親の権力で、第三者を犯人に仕立て上げて事実をもみ消していたが、公安部に調査されていることを知り、莉音や国下一狼と英獅郎を暗殺しようと企てた。
殺し屋の女 (ころしやのおんな)
大須匡に雇われた殺し屋の女性。全身ボディスーツ姿で、体術や武器の扱いに慣れている。央莉音を敵対視しており、莉音が生存していることを知っている。匡に雇われているが実際はB国諜報員の一人で、テトラビル爆破事件の真相も把握している。
東 幸子 (あずま ゆきこ)
莉音のノートに書かれた暗号から浮上した女性。父親は衆議院議員を務めている。中学生の頃から現在まで精神科の施設に入院しており、過去の出来事に触れられると取り乱してしまうため、まともに話を聞くことができない状態になっている。
その他キーワード
ジョーカー事案 (じょーかーじあん)
3年前、「Mr.JOKER」と名乗る投稿者によって、央莉音が何者かに暴行される動画が動画投稿サイトにアップロードされた事案。動画がすぐに削除されたこともあり、次第に世間からも話題にされなくなった。
莉音のノート (りおんののーと)
央莉音が失踪前に英獅郎に預けた荷物に入っていたノート。内容は日記風ではあるが、時折暗号のような数字や文字列が書かれていたり、政府高官の名前が記載されていたりする。
テトラビル爆破事件 (てとらびるばくはじけん)
20年前、新宿にあるテトラビルを爆破したテロ事件。死者20人、負傷者300人の犠牲者を出した。公式発表では峰上組の組員が単独で起こした犯行とされている。
書誌情報
ケイ×ヤク -あぶない相棒- 11巻 講談社〈KCデラックス〉
第1巻
(2020-02-13発行、 978-4065185537)
第2巻
(2020-04-13発行、 978-4065192757)
第3巻
(2020-07-13発行、 978-4065197967)
第4巻
(2020-09-11発行、 978-4065205112)
第5巻
(2021-01-13発行、 978-4065220825)
第6巻
(2021-07-13発行、 978-4065241578)
第7巻
(2022-01-13発行、 978-4065261934)
第8巻
(2022-07-13発行、 978-4065285138)
第9巻
(2023-06-13発行、 978-4065319819)
第10巻
(2024-02-13発行、 978-4065345931)
第11巻
(2024-08-09発行、 978-4065365809)