自衛隊vs異世界
舞台となるのは突如、異世界につながる「門(ゲート)」が現れた現代日本。銀座に開かれた門から異世界の軍勢が出現し、侵略戦争が勃発して物語は始まる。たまたま非番で、現場に居合わせた陸上自衛隊員の伊丹耀司は、警察と協力して民間人の避難を手伝う。その後、異世界の軍勢は駆け付けた自衛隊の圧倒的な火力によって壊滅させられ、異世界につながる「門」だけが残されることとなる。異世界につながる「門」は、日本だけではなく世界各国が注目しており、さまざまな思惑が渦巻く中、日本は侵略戦争に終止符を打つために異世界へ自衛隊の派遣を決定する。
特地の調査
自衛隊はその性質上、海外に派遣するにはさまざまな制約が存在するが、作中では「門」の向こう側の世界を「特別地域(特地)」とすることで、この問題をクリアしている。伊丹耀司は銀座での活躍が認められて昇進を果たし、上層部から特地の調査を命じられる。日本政府は世界各国に対して、表向きには侵略戦争に対する賠償金を請求するためとしているが、裏では各国への交渉の手札とするため、特地に眠るさまざまな資源の捜索を自衛隊に行わせていたのだ。伊丹たちは特地で任務をこなしつつも、自衛隊ならではの制約を受け、さまざまな困難に直面することとなる。
特地の情勢
異世界の特地は俗に言うファンタジーな世界で、ドラゴンやエルフ、魔物といった幻想的な生物が生息しており、魔法も存在する。また「神」と呼ばれるものも存在し、登場人物の一人であるロゥリィ・マーキュリーは神に近い「亜神」と呼ばれ、不老不死の特性を持つ。伊丹耀司たち自衛隊が亜神と協力し、魔物たちと戦闘を繰り返しながら、異世界の調査を進めていくのが本作の根幹となっている。また「門」を狙う外国勢力、銀座に攻め入った帝国の思惑など、さまざまな権謀術数が入り混じり、混迷を極める物語が展開される。
登場人物・キャラクター
伊丹 耀司 (いたみ ようじ)
陸上自衛隊に所属する男性。階級は二等陸尉。年季の入ったオタクで、ディープな趣味を持つ。モットーは「喰(く)う寝る遊ぶ、その合間にほんのちょっと人生」。同人誌即売会の常連でもあり、夏の同人誌即売会に行こうとしていた際に、異世界の軍勢の最初の侵略、通称「銀座事件」に巻き込まれる。この出来事で人命を救うため奔走したことが縁となり、異世界の出来事にかかわっていくこととなる。まじめとは言い難い性格で、嫌なことからは真っ先に逃げ出してしまう。ただ要領はよく、責任感も人並み以上にあるため、仕事の成果はきっちりと出す。異世界である通称「徳地」の探索任務では、第3偵察隊隊長に任命され、現地の住民と交流を図る。しかしその最中、焼け落ちたエルフの村を発見。現地では災厄のように扱われている炎龍と交戦する。炎龍を退けて避難民を救ったため、現地の住民からはその迷彩柄の服を指して、「緑の人」と英雄扱いされ始めている。また炎龍からの避難での道のりで、レレイ・ラ・レレーナ、テュカ・ルナ・マルソー、ロゥリィ・マーキュリーの三人と深い交友を持つようになる。
ロゥリィ・マーキュリー
死と断罪の神「エムロイ」に仕える少女。見た目は10代前半ながら、「エムロイの使徒」として、人の身を持ったまま神の領域に足を踏み入れた「亜神」と呼ばれる存在で、その実年齢は900歳を超える。見た目は華奢(きゃしゃ)で可憐(かれん)だが、その力も圧倒的で戦闘では自分より巨大なハルバートを振り回す。単独で盗賊団をつぶすほどの強者(つわもの)で、「死神」の名で呼ばれることもある。エムロイは命の殺生そのものは禁じていないが、それだけに戦う動機を重要視している。盗賊であろうと、己の生き方を貫くのであれば認めるが、逆にその場しのぎの行動で命を奪う行為は魂が汚れると嫌っている。このため、エムロイに使えるロゥリィ・マーキュリーもその価値観は独特なため、異世界では民から敬われるのと同じくらい畏れられている。炎龍から避難する民に接触し、その際に避難民の手伝いをしていた伊丹耀司に興味を覚える。避難民と別れたあとも自衛隊と同行し、伊丹と交友を育んでいる。
クレジット
- 原作
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柳内 たくみ
書誌情報
ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 25巻 アルファポリス〈アルファポリスCOMICS〉
第1巻
(2012-06-15発行、 978-4434167034)
第21巻
(2022-06-23発行、 978-4434304606)
第22巻
(2022-12-19発行、 978-4434313523)
第23巻
(2023-06-22発行、 978-4434321962)
第24巻
(2023-12-18発行、 978-4434331176)
第25巻
(2024-06-19発行、 978-4434340529)