行進子犬に恋文を

行進子犬に恋文を

玉崎たまの初連載作品。略称は「こここい」。近代の愛知県にある陸軍女子幼年学校を舞台にしている。生活環境のよさを求めて入学した田舎娘の犬童忍は、高圧的ながらも優秀な上級生の加賀美藤乃と出会う。二人は淡い恋心を育みながら、忍の母親、ちよの死の真相にせまっていく姿を描いた百合ラブストーリー。一迅社「コミック百合姫」2018年3月号から2020年9月号にかけて連載の作品。2019年6月にYouTube「ichijinshaPV」で、百合姫PowerPushPVキャンペーンの第2弾としてボイスコミックPVが公開された。忍を鬼頭明里、藤乃を福原綾香が演じている。

正式名称
行進子犬に恋文を
ふりがな
こうしんこいぬにこいぶみを
作者
ジャンル
軍隊・軍人
 
百合
レーベル
百合姫コミックス(一迅社)
巻数
全5巻完結
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陸軍女子幼年学校での秘められた恋心

物語の舞台である「陸軍女子幼年学校」は、陸軍将校を育成するための全寮制の学校である。ここでは、1年生四人が一組となり、「模範生」と呼ばれる3年生の監督のもとで共同生活を送りながら、軍人としての心構えを養っている。起床から消灯まで厳格な規律が敷かれており、下級生が上級生に対して甘えるような態度をとることは許されない。しかし、この閉鎖的で特殊な環境の中で、生徒たちのあいだでは密かに同性愛的な関係が見られることもある。そんな中、忍と藤乃もまた、互いに淡い恋心を抱くようになっていく。

藤乃と忍の不器用な恋愛物語

ある日、藤乃に二人きりで飯盒炊爨(はんごうすいさん)に誘われた忍は、そこで藤乃がかつて自分の母親のちよと面識があったことを知らされる。さらに、その場で藤乃からキスをされたことで、忍はそれ以降、彼女の一挙一動を強く意識するようになる。藤乃は忍への好意を持て余し、時には暴走してしまうこともある。そんな彼女に振り回されながらも、冷たくされると傷ついてしまう自分の気持ちに気づき始める忍。不器用ながらも少しずつ育まれていく二人の穏やかな恋愛関係こそが、本作の大きな見どころとなっている。

忍の母親、ちよの死が織りなす母娘関係

忍と藤乃が惹かれ合う中で、最大の障害となるのは藤乃の母親である桔梗の存在だ。桔梗はかつて忍の母親、ちよを深く慕い、ちよの遺した忍のことも大切に思っている。しかし一方で、自分の実の娘である藤乃には冷淡で、母親らしい思いやりを見せることはない。忍と藤乃が互いに愛し合うなか、桔梗は二人を引き裂こうと画策し始める。その理由は、どうやら「ちよの死」にかかわっているらしい。桔梗の不可解な言動や、藤乃という存在に秘められた真実が、本作の大きな謎として物語を盛り上げている。

登場人物・キャラクター

犬童 忍 (いんどう しのぶ)

陸軍女子幼年学校に在籍する1年生の女子。長い黒髪を低い位置でツインテールにしている。あまりのかわいらしさに周囲が息を呑むほどで、その愛らしさから上級生の中には「稚児」にしたいと狙う者も多い。幼い頃に母親のちよを戦争で亡くし、親戚の家で育ったため、母親の顔や人柄を知らずに成長した。かつては野良犬のように不潔な身なりで過ごしていたが、藤乃の母親の桔梗から学校の生活環境のよさを聞き、食事や入浴を目当てに入学を決意した。成績や生活態度はよくないものの、身体能力は非常に高い。当初は藤乃の高圧的な態度に怯えていたが、次第に彼女の不器用な優しさを理解し、好意を抱くようになっていく。

加賀美 藤乃 (かがみ ふじの)

陸軍女子幼年学校に在籍する3年生の女子。藤色の長い髪をポニーテールにしている。忍たちが生活する寮室の監督を務める「模範生」であり、その役割から「護民さん」と呼ばれている。ふだんは下級生に対して非常に厳しく高圧的な態度をとるため、当初は忍からも恐れられ、避けられていた。しかし、忍と二人きりになると態度が一変し、まるで別人のように優しい一面を見せる。一方で、「稚児になど興味はないが、ほかの人間にくれてやる気にもならない」と言い放ち、突然キスをするなど、忍を戸惑わせる大胆な言動で彼女を翻弄している。

書誌情報

行進子犬に恋文を 全5巻 一迅社〈百合姫コミックス〉

第1巻

(2018-06-18発行、978-4758078214)

第5巻

(2020-09-29発行、978-4758021623)

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