あらすじ
第1巻
父親が遺した図書館の新米司書となった三姉妹の末っ子こころは、先輩司書である姉のいいなとあるとの教えを受けながら、花に水やりをしたり、食事の後片づけをしたり、受付に座り続けるという平穏な日々を過ごす事になった。(小っちゃな図書館にいる小っちゃな司書)
めったに来客のない図書館で暇を持て余したこころは、姉が厳選したお子様向け文学を読みはじめるが、姉がいなくなるという悲しい物語の内容を見て不安になり、いいなとあるとから離れなくなってしまう。(ずっといっしょ)
休憩時間にあるとのお手製のチョコレートケーキを食べていたこころは、いいなのフォークに付いていた、食べ残しのケーキを口に入れる。いいなとこころが間接キスをする事に嫉妬心を抱いたあるとは、新品のフォークを無言でいいなに手渡すのだった。(午後の紅茶とフォークといいな)
姉達の留守中、こころ一人で留守番をしていた図書館に、知人の女性が来館した。彼女が予約した棚の高い位置にある本を取るため、背の低いこころは知恵を絞って試行錯誤を繰り返す。(一人でお仕事)
優秀な二人の姉、いいなとあるとの立ち居振る舞いに思いをはせていたこころは、改めて自分を見つめなおし、趣味と得意な事をはっきりさせようとする。(虹)
図書館に入れる本の種類の事で言い争いをはじめたいいなとあると。いきり立つ二人から「どんな本を注文すればいいと思う?」と問われたこころは、大好きな「猫の本」を所望するのだった。(こころの一番ほしいもの)
うだるような暑さの休日、中庭でぐったりしていたこころに、思わずホースで水をかけるあると。水をかけ合って大はしゃぎする二人を、年上のいいなが一喝する。(中庭における情景)
深夜の図書館。自室でくつろいでいたいいなは、まだ小さかったこころが、自分たちと同じ司書を志した日の事を思い起こし、今は亡き両親に対して、こころをしっかりと育てる事を誓う。(いいなの想い)
お昼休みに中庭で寝ていたあるとは、起こしに来たこころに寝ぼけてキスをしてしまう。嫉妬心を抱いたいいなは激怒してあるとに迫るが、寝ぼけていたあるとはいいなにもキスをしてしまう。(寝ぼけるにもほどがあります)
大好きな小説家「ひめみやきりん」の新刊を見て興奮したこころは、謎に包まれたミステリアスなきりんの正体に思いをはせる。しかし、きりんの正体は姉のあるとであり、恥ずかしいという理由で、姉妹にも正体をひた隠していたのだった。(あるとが内緒にしてること)
海水浴を翌日に控え、互いの水着姿を披露するこころをはじめとする三姉妹。こころに似合う水着を準備したいいなとあるとの計らいで、簡易水着ショーがはじまる。(楽しみな海水浴)
ある日、貸し出し禁止の医学書が3冊抜けている事に気づいたあると。不可思議な出来事を冗談半分で幽霊の仕業にするいいなに呆れるあるとだったが、その瞬間、宙に浮いて移動する本を姉妹全員が目撃してしまう。(不思議なお客さん)
花火大会から帰宅したこころをはじめとする三姉妹。夏の終わりを感じ取ってしんみりしていたこころとあるとは、いいなが持ってきた花火を手に取り、小さな花火大会に興じるのだった。(ちっちゃな花火大会)
買出しから戻ったいいなは、「ひめみやきりん」のイラストをおみやげとしてこころに手渡す。高価な読者プレゼント用のイラストを買ってしまったいいなに愕然としたあるとは、手持ちのイラストを大量に図書館に飾るのだった。(ステキな絵)
入浴中のあるとのもとに、いっしょにお風呂に入るためにこころがやって来た。二人きりの入浴に心を弾ませるあるとだったが、そこに遅れていいなが入室。お風呂から上がったあるとに対し、嫉妬したいいなは、長々と説教をかますのだった。(たまには一緒に)
外部委託する本を集めて積み上げていたいいなとあると。図書館を去っていく本を見て寂しがるこころに対し、あるとは「本にとって一番幸せなのは人に読んでもらう事でしょ?」と告げる。(本は人の心を旅して巡る)
12月24日の夜。クリスマスプレゼントと称し、各家庭を訪問して図書を貸し出す準備をする三姉妹。サンタクロースの格好をして気分を高めた三人は、重い本を抱えながら、一晩中街中を駆け巡るのだった。(一晩だけのサンタクロース)
クリスマスイブの日に無理をしすぎたために、熱を出して寝込んでしまったこころ。朦朧とする意識の中で、今は亡き両親の事を思い出したこころに、あるとは熱が下がるおまじないとして、優しくキスをする。(おまじない)
第2巻
いつものように起床し、図書館の受付へと向かったいいなは、背と髪が伸び、大人びた雰囲気になったこころとあるとに遭遇。さらに、まるで幼児のように小さくなってしまった自分の姿に激しく困惑する。(初夢)
子供になった夢を見た事で、司書として懸命に働き続けた日々を振り返るいいな。その中でいいなは、貸し出し中になったまま、結局帰ってこなかった本の事を思い出し、少し感傷的になるのだった。(遅れてきた図書)
雪化粧に覆われた図書館。あるとを筆頭に、姉妹で力を合わせて雪かきをするも、夜になってから再び雪が降り始めてしまう。お客さんが来館できなくなる事を危惧するあるとを見たこころは、小さな雪だるまを作って、それをお客さんに見立てるのだった。(雪の中で逢いましょう)
玄関まで降り積もった雪により、図書館から出られなくなってしまったこころら三姉妹。電話線が切れ、助けも呼べなくなった三人は、寒さをしのぐため、屋根裏で雪が溶けるまで辛抱する事になるのだった。(ココロ図書館 危機一髪)
雪で埋まった図書館から脱出したこころら三姉妹は、お客さんの女性の家に一時的に身を寄せる事になった。久しぶりに友人の朱葉に会ったこころは、いいなたちに朱葉を紹介する。(朱葉ちゃん)
久々の再会に積もる話が尽きないこころと朱葉。朱葉の学校の制服を着せてもらうなど、大いにはしゃいだこころだったが、母親である翠の愛を一身に受ける朱葉の姿を見て、こころは少しだけうらやましいという感情を抱く。(二人は同じ)
雪解けと共に図書館へと帰ったこころたち。司書として1年間頑張ったごほうびとして、いいなから新しい制服をもらったこころだったが、思い出の詰まった制服に強い愛着を抱いていたこころは、このままでいいといいなに告げる。(一年間の思い出)
とある早朝の図書館に、あるとの担当編集者である佐伯さららがやって来た。さららは、あるとの正体が「ひめみやきりん」である事をこころたちに黙っている代わりに、強引な原稿の催促を繰り返す。(佐伯さらら)
休館日を利用してお花見にやって来たこころら三姉妹。あるとの作ったお弁当に舌鼓をうっていたこころに対し、自分が作ったお弁当を薦めるいいな。しかし、彼女の料理が「爆弾」である事を知っているこころは、食べるのを躊躇してしまう。(いいなお姉ちゃんのお弁当)
竜を倒した時に流れ出た赤い血が薔薇になったという故事から生まれた、女性から男性に本を、男性が女性に薔薇を贈る4月23日のサンジョルディの日。こころは日頃の感謝の気持ちを込め、二人の姉に本を贈る。(本に薔薇を携えて)
年に一度の定期健診の日。身体測定で、身長が去年よりも伸びたこころ、視力以外は成長を遂げたあると、特に変わらなかったいいなと、三者三様の成長振りを見せる。(定期検診)
朱葉をお客さんに見立て、図書の貸し出しの練習を繰り返すこころ。そんな彼女の姿を見たいいなは、サングラスにマスクを着けて怪しげな客に扮装し、こころに接客を実践させようとする。(司書として)
連日の雨で外出もままならなくなった梅雨時の図書館。白い布をまとい、てるてるぼうずの格好をしたこころは、いいなに天井から本当に吊り下げてもらい、明日の晴れを祈るのだった。(あした天気になーれ)
車で街まで買い物に行く事になったこころら三姉妹。いいなの運転で軽快に悪路を走破していた一行だったが、いいなが一瞬よそ見をした事で、車ごと川へと突っ込んでしまう。(車でお買い物)
雨で海水浴へ行けなかった1年前の無念を晴らすべく、気合を入れて水着を新調したこころたち。海水浴を翌日に控えた夜、朱葉も交えて互いの水着を披露するのだった。(今年こそは海水浴)
七夕に合わせ、休館日となった図書館。こころをはじめとする三姉妹は、1日をそれぞれの自室で過ごし、年に1回しか会えない織姫と彦星の気持ちを追体験するのだった。(いつまでも一緒に)
夏も終わりそうなある夜の丑三つ時。図書館の前で本を抱えている少女を発見したこころは、彼女を図書館へと招き入れる。少女は自分の正体が図書館に出没する透明人間であり、幽霊である事をこころに明かす。(透明人間さん?)
第3巻
いいなが企画した図書館のパンフレットの完成品を見たあるとは、掲載された写真のほとんどが、こころの姿で占められている事実に驚愕する。(図書館へようこそ)
遊びに出かけたこころを思い、ぼんやりしていたいいなを一喝するあると。しかし、いいなは強引にあるとの髪型をこころスタイルへと変えさせ、新人司書だったあるとの初々しい日々を回想するのだった。(あると、こころになる)
図書館恒例の体力測定に臨んだこころら三姉妹。競争相手がいないと張り合いがないというあるとに対し、いいなは去年の自分を思い出して走る事をアドバイスする。(去年の私と競争です)
図書館のお客さんを増やすために朱葉がクラスメイトの君原ことこをつれて来た。こころと仲よくなったことこの姿を見て、嫉妬の炎を燃やしたいいなは、二人に説教をしようとする。(ことこちゃん)
美しい紅葉の季節を迎えた図書館。ゆったりした時が流れる中で、芸術やスポーツ、秋の味覚を楽しむ三姉妹。しかし、最終的に三人がたどり着いたのは読書の秋だった。(読書の秋)
図書館に姿を見せたリスを見て、秋の深まりを感じ取るこころら三姉妹。寒さが厳しさを増し、リスが姿を見せなくなった事に寂しさを感じていたこころに対し、いいなとあるとは、彼女に手編みの毛布とクルミを預けるのだった。(春になったら逢おうね)
クリスマスイブ恒例のサンタ図書館を無事終了させたこころら三姉妹。図書館へと戻った三人は、朱葉や佐伯さららから、図書館が雪で埋まった時のための備えとなる大量の非常食やこたつの差し入れを受ける。(雪が降る前に)
新年を迎えた図書館。晴れやかな気分で初詣に出向いたこころら三姉妹は、それぞれが思い思いの願いを神様へとお願いするのだった。(みんなで願いを叶えよう)
原稿の締め切りから逃れるため、小説家の窪田さえこが図書館へとやって来た。こころのかわいらしさに魅了されたさえこは、原稿の事をすっかり忘れ、こころにべったりとなる。(窪田さえこ)
図書館にお客さんを集めるため、バニーガール姿を披露していた窪田さえこは、来館した朱葉のかわいさに夢中になり、今度は彼女にべったりとなってしまう。(さえこ先生にご用心)
四六時中朱葉といっしょにいたい窪田さえこは、ついに朱葉と図書館に住むと宣言。いいなを唖然とさせるが、ひょんな事から担当編集者の佐伯さららに居場所がばれてしまう。(締め切りは必ず守りましょう!)
窪田さえこの言動に日々のペースを乱され、自身の原稿が滞っていたあると。司書の仕事をすると原稿が締め切りに間に合わないと悟ったあるとは、自分が「ひめみやきりん」である事をこころたちに明かそうとする。(大激白)
こころの誕生日に、差出人不明の古めかしい郵便物が届いた。訝しがるいいなをよそに、郵便物を開けたあるとは、それが今は亡き父親から贈られた日記である事を知る。(天国からの贈り物)
学校の行事でしばらく図書館に来られなくなる朱葉を思いやり、彼女にあるとの書いた小説を渡すこころ。そんなこころの姿を見たいいなとあるとは、こころが段々と父親に似てきた事を実感する。(どこでも一緒)
深夜の図書館。熟睡していたこころは、本の妖精によって起こされる。本の妖精は、いつも本を大事にしてくれるお礼として、こころが幸せになるための願いを叶えようとする。(夜の訪問者)
図書館創立の25周年を記念するパーティーに集った多くの仲間や友人達。こころは、パーティーの喧騒の中で、たくさんの人々に支えられてきた図書館の歴史と幸福を知るのだった。(しあわせはここにある)
登場人物・キャラクター
こころ
父親が遺した小さな図書館の新人司書となった、ほんわかとした雰囲気を漂わせる、心優しい長髪の美少女。三姉妹の末っ子で、司書としてはまだ半人前だが、姉であるいいなとあるとのサポートを受けながら、日々奮闘を続けている。ただし、図書館への来客そのものが少ないため、努力の結果を披露する機会には恵まれていない。あるとから薦められたお子様向け文学に、姉との別れが記述されているのを見て泣きじゃくり、寝る時までいいなたちにべったりになるなど、非常に純粋な性格をしており、感受性も強い。 二人の姉からは「こころん」という愛称を付けられ、非常にかわいがられている。小説家の「ひめみやきりん」の大ファン。
いいな
父親の遺した図書館で司書をしている女性で、三姉妹の長女。落ち着いた物腰をしており、優しくおっとりした人物だが、末っ子のこころに対して過剰な愛情を抱いており、自分以外の人物がこころと仲よくしている姿を見ると、強烈なジェラシーを感じてしまう困った性格。料理の腕前は、作ったお弁当がこころやあるとから「爆弾」と呼ばれるほど拙く、お弁当を食べた飼い猫のキットを卒倒させるほど。 また、姉妹では唯一運転免許を持っているが、運転技術はやや荒っぽい。趣味は写真撮影で、コンピュータの扱いにも精通している。
あると
父親の遺した図書館で司書をしている女性で、三姉妹の次女。ショートカットに大きな丸眼鏡をかけている、常識的な性格をしたしっかり者で、仕事もテキパキとこなす才女。「ある」という愛称で親しまれている。司書の仕事とは別に、商業誌で活躍するプロの小説家としての顔を持っており、「ひめみやきりん」というペンネームで多数の著作を出しているが、その事は姉妹たちにはひた隠しにしている。 趣味は料理で、お菓子作りが得意。イラストが描けるうえ、どこでも寝られるという隠れた特技を持つ。
朱葉 (あかは)
ショートカットのかわいらしい女の子。こころの友人で、引っ込み思案な性格。母親の愛情を一身に受けて育ったが、一人っ子なため、いつも優しい姉にかわいがられているこころの事を少し羨ましいと思っている。
佐伯 さらら (さえき さらら)
編集者の女性。あるとや窪田さえこの担当編集者を務めているが、筆の遅い彼女たちから原稿を受け取るのにいつも苦労している。こころたちにあるとの正体を隠すのと引き換えに、深夜まであるとに原稿を書かせていた。
エレーヌ=デュフォン
図書館に住んでいる幽霊の少女。人間にはその姿を見る事ができないが、夏の終わりの一時期だけ、姿が見えるようになる。図書館ができる前から山におり、今は亡きこころの父親の事も知っている。こころからは透明人間扱いされていた。
窪田 さえこ (くぼた さえこ)
売れっ子の美人小説家で、あるとの知人。原稿の締め切りから逃れるため、山奥にあるこころの図書館に来館する。かわいらしい少女に目がない。こころや朱葉を一目見て気に入り、日がな一日ベタベタしていた。
君原 ことこ (きみはら ことこ)
ボーイッシュな少女で、朱葉のクラスメイト。来館者が少ない図書館のためを思い、朱葉がつれてきた。一見すると美少年にしか見えないため、いいなにはずっと男の子と勘違いされていた。
キット
図書館で飼われている猫。性別は不明。猫が大好きなこころのために、本の配達先の家からあるとがもらってきた。好奇心旺盛な性格で、いいなのお弁当を食べて卒倒していた。
クレジット
- 脚本
書誌情報
ココロ図書館 3巻 KADOKAWA〈電撃コミックスEX〉
第1巻
(2001-04-10発行、 978-4840218214)
第2巻
(2001-10-27発行、 978-4840219648)
第3巻
(2002-08-10発行、 978-4840221856)