概要・あらすじ
番組制作会社に勤務する藤田光介は、かつて核実験と植物細胞実験が行われた南太平洋のロバス島という無人島にロケハンのため訪れた。奇妙な島の中に実験場跡のクレーターを見つけ、そこに日本語を喋り、人間のように暮らす大きな猫たちの町を発見する。その町に足を踏み入れてしまった藤田光介は、町の規則で乗ってきたボートを押収されて日本に帰れなくなってしまうが、猫たちの謎を探るためにクレーターの町で暮らしていくことになる。
登場人物・キャラクター
藤田 光介 (ふじた こうすけ)
岩手県盛岡市出身の、日本で番組制作会社に勤務していた男性。かつて核実験と植物細胞実験が行われた南太平洋のロバス島という無人島にロケハンのため単独で訪れた。奇妙な島の中に実験場跡のクレーターを発見し、そこに日本語を喋り、人間のように暮らす大きな猫たちの町を発見する。 その町に足を踏み入れてしまい、町の規則で乗ってきたボートを押収されて日本に帰れなくなってしまうが、猫たちの謎を探るためにクレーターの町で暮らすことになる。友人になった猫の文太の家に居候するうちにロバス島の住人として生活していくようになり、後に活張に声をかけられてクレーターの町で新聞記者の仕事を務める。 日本では消息不明で死亡したことになっている。
文太 (ぶんた)
食いしん坊で怠け者な猫。ロバス島のクレーターの町に暮らしている。日本からやって来た藤田光介を町の近くで最初に見つけて声をかけ、友達になった。日本に帰れなくなった光介は文太の家に居候している。お金にだらしなくたびたびトラブルを起こすが、運と能天気な性格で乗り越えている。 時々発作を起こして無意識に機械を作る癖があり、完成した機械はねんねこ商会に売っている。自動で動くエッグ・マンもその機械の1つ。
水本 真弓 (みずもと まゆみ)
消息不明で死亡したとされる藤田光介の真相を探るためロバス島へやってきた女性。島にきて早々に出くわした喋る猫たちに驚いて気絶するが、町の規則で帰れなくなった彼女はクレーターの町で猫たちと暮らすようになる。光介の大学時代の後輩でもあり、日本の大学院では細胞の研究をしていた。 独自に進化したロバス島の植物を興味深く観察している。クレーターの町では、本屋で働いている。猫たちからもモテる。
将軍 (しょうぐん)
ロバス島のクレーターの町に暮らしている。真面目で働き者なレストラン・ド・ラ・シレーヌの経営者の猫。将軍と呼ばれているが軍人ではない。レストランの外見はフィンセント・ファン・ゴッホの「レストラン・ド・ラ・シレーヌ」に細部まで似ている。友達の文太と日本からやってきた藤田光介がよく訪れている店。 やや腐りかけのオキアミが入ったオキアミ・ジュースが名物。
煙鳥 (えんちょう)
『コスモス楽園記』の登場キャラクターロバス島のクレーターの町に暮らしている。パイプを吹かすのが好きな詩猫。家系に音楽家がいたり、自身も音楽鑑賞が趣味で幅広く芸術に長けている。仲の良い友人の文太と、彼の家に居候している日本からやってきた藤田光介を手助けする。
ジプレッション
ロバス島のクレーターの町に暮らしている建築家。無意識にフィンセント・ファン・ゴッホの絵とそっくりの建物を設計している。将軍の経営するレストラン・ド・ラ・シレーヌの設計者でもある。誰かに対して怒り狂うと、自分の片耳を模したろう細工を相手に送り付ける。
麦茶局長 (むぎちゃきょくちょう)
ロバス島のクレーターの町で見回り局に務めている猫。使命感のある性格で、日々町を見回っている。見回り局とはロバス島の警察機構の事。日本からやって来た藤田光介が島の外に出ないか見張るときもある。
活張 (かっぱり)
体格のいい猫で、ロバス島のクレーターの町で「波頭日報」という新聞を作り、編集長をしている。勉虎が仕事を辞めてしまい、日本からやって来た藤田光介を新聞記者に誘う。
星巻博士 (ほしまきはかせ)
ロバス島のクレーターの町に暮らしている。島の化石に詳しい物知りな猫で、過去に恐竜の化石を発掘している。文太のおじさんでもある。普段は大学の化石学研究室にいて、日本からやって来た藤田光介に知識を教えたり、化石研究の手伝いを頼むこともある。
鹿松 (しかまつ)
ロバス島のクレーターの町に暮らしている。のんびり屋の猫で、ボンゴを抱えて体に葉っぱを巻いているのが特徴。文太の隣家に住んでいる。
針王 (はりおう)
ロバス島のクレーターの町に暮らしている商売に執着している猫。ねんねこ商会の室長であり、多少強引でも商品を売って儲ける事が好き。策略家で情報を集めるために勉虎を子分にしている。
勉虎 (べんとら)
ロバス島のクレーターの町に暮らしている元新聞記者。活張が編集長を務める「波頭日報」を辞めて、ねんねこ商会の針王と一緒にいる。日本からやって来た藤田光介の素性や、儲け話を収集している。
フジタ ゴウスケ
1942年に遺伝子構造の組み換え実験を行っていた人物。10年目に核実験と植物細胞実験が行われた南太平洋のロバス島で独自の細胞群の開発に成功した。しかしその細胞群に自ら飲み込まれてしまい日本へ帰れなくなってしまう。ロバス島は戦争が終わると実験中止になり、誰も寄り付かない無人島になった。
エッグ・マン (えっぐまん)
文太が発作を起こして作った機械。自動で動き、止めることは誰にも不可能。エッグ・マンの目に触れると物をなんでも透かして見ることがきる。ペンや筆を持って胴体に触れると、誰でも本来のペンや筆の持ち主のような絵や文字が書ける。オリジナルとコピーを見分ける能力があり、日本語を喋る猫たちがどうやって生まれたかを突き止めるため日本からやって来た藤田光介と硫黄谷に進んでいく。
集団・組織
ねんねこ商会
『コスモス楽園記』に登場する組織。ロバス島で商売をしている。ミュウレルという猫が会長の、猫の商会の名前。働き者の猫が多く、文太の作った機械を買い取ったり、ロバス島に流れ着いたいろいろなものをセリにかけている。
場所
ロバス島
『コスモス楽園記』に登場する架空の島。フジタゴウスケが細胞研究をしていた南太平洋に浮かぶ島で、かつて核実験と植物細胞実験が行われていた。人が寄り付かなくなった現在は無人島になっている。しかし実験場跡のクレーターには日本語を喋り、人間のように暮らす猫たちの町があり、そこに足を踏み入れてしまうと町の規則で帰れなくなってしまう。 島中の植物や生物は独自に進化していて、巨大なカブトムシや牛肉の味がする植物など不思議なもので溢れている。
硫黄谷 (いおうだに)
『コスモス楽園記』に登場する地名。ロバス島にある谷。危険な場所で、幻覚作用のある植物などが生い茂っている。誰も近寄らない場所のため、自殺の名所にもなっている。今まで20匹ほどの日本語を喋る、人間のような猫たちがこの谷へ行ったまま帰ってこない。