コミケ童話全集

コミケ童話全集

年2回開催されるコミックマーケット(コミケ)をテーマに描く、さまざまな童話や昔話をモチーフとしたオムニバスコメディ作品。もともとはおのでらさんのTwitterの個人アカウントで連載されていたため、例外はあるものの概ねにおいて、Twitterの画像表示限界枚数である4ページで一つの作品となっている。

正式名称
コミケ童話全集
ふりがな
こみけどうわぜんしゅう
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
関連商品
Amazon 楽天

作品誕生のいきさつ

作者のおのでらさんが電車に乗っていた際、昔話の『鶴の恩返し』から、「鶴の恩が絵師」というフレーズを連想した事が、本作『コミケ童話全集』が生まれる事になった最初のきっかけである。その後、おのでらさんがこのフレーズをもとにした漫画を個人のTwitterアカウントで投稿し、人気を博した。作品には、コミックマーケットや同人誌、漫画を制作する事がどのようなものかを、世間に知ってもらいたいという、おのでらさんの願いも込められている。

作品構成

すべてのエピソードが独立してはいるが、各エピソードの時期設定などで5章に区分けされている。それぞれ、冬コミ(年末に開催されるコミックマーケット)の参加者と、参加者のもとに現れる来訪者を描く「第1章 冬コミと来訪者」、ラブコメを愛するやくざ、借金帳消しのためにラブコメを描く兄妹、悲劇的なラブコメを描く女王らを描く「第2章 ラブコメと毒漫画」、夏コミ(お盆時期に開催されるコミックマーケット)前から夏コミ当日にかけての人々を描いた「第3章 夏コミの季節」、同人趣味の友人やサークルメンバーを得ていく人々の姿を描いた「第4章 サークルメンバー」、冬コミ前日から当日までを描いた「第5章 冬コミの到来」となっている。

あらすじ

第1章 冬コミと来訪者

冬のコミックマーケット用の新刊を落とす旨をTwitterで発信したのもとに、「女神」というハンドルネームを名乗る神おっさんが訪れた。消失してしまったはずの漫画原稿のデータ復旧や、印刷所の支援を取りつける神おっさんの手伝いによって、男は一度は落とすとあきらめた本の発行にこぎつける。(エピソード「女神の漫画」)

この漫画クソじゃね?症候群を発症し、冬のコミックマーケット用の新刊を落とすかと危機感を抱いた先輩。描画速度の速い後輩のアシスタントを得て順調に脱稿へと向かうが、後輩は背景のキャラを全裸で描く癖があった。(エピソード「はだかの王様と先輩」)

アラブの大富豪、ドチャクソ・アブラデルは、好みの作品を描く同人作家であるシン・デレラが「新刊を落とす」旨をTwitterで告知した事を知り、金銭的な支援をしたいと申し出る。しかし、油田の譲渡など現実味のない提案に、SNSでの接触をブロックされてしまう。(エピソード「石油王の漫画」)

コピー本として発行されたシン・デレラの新刊を、無事に入手する事ができたドチャクソ・アブラデル。内容に感動したアブラデルだったが、シン・デレラが予想よりも若い女性だったため、差し入れに用意していたアラブへの招待チケットを渡すのをためらい、新しい差し入れを入手するため、一度街へ出る事にする。(エピソード「石油王の漫画2」)

冬のコミックマーケットで発行した新刊が大量に残ってしまった黒髪の子。友人である銀髪の子を誘って、在庫を燃やして焼き芋をするため、バーベキューの許可がされている河原で、失意の中、準備を進める。(エピソード「マッチ売りの漫画」)

第2章 ラブコメと毒漫画

多額の借金を背負ったのもとに、債権者である大神がやって来る。金銭は用意できなかったものの、大神好みのラブコメ作品を描けば借金は帳消しにする、という条件を受け入れたクソ豚の三人は、渾身の作品を大神に提出する。(エピソード「三匹のクソ豚」)

ラブコメの女王と謳われるプロ漫画家の栗夢は、自分よりも面白いラブコメを描くと言われる素人集団、クソ豚の家を訪れる。悲劇的なラブコメ作品で泣かせてやろうと考えた栗夢だったが、その作品のあまりの悲劇性を目にした兄によって、ストーリー展開を救いのあるものに変えられてしまう。(エピソード「白雪姫と毒漫画」)

大神は、いつものようにクソ豚の描いたラブコメ作品を受け取って帰って来た。しかし今回提出された作品は、クソ豚と栗夢がリレー形式で描いた作品を1本の作品として手直ししたものだった。悲劇的な展開と救いのある展開が交互に押し寄せてくる感覚に、大神は慟哭する。(エピソード「ラブコメやくざと毒漫画」)

悲劇的な展開で終了したラブコメを読んだ大神は、立腹した様子でクソ豚の家へ向かっていた。一方その頃、兄は前回提出した作品のネームを処分しようと、ネーム用紙を手にゴミ置き場へと向かっていた。(エピソード「ごんクソ豚」)

第3章 夏コミの季節

おばあちゃんを丸呑みにしたは、すぐにその場をあとにしようとする。しかし、飲み込んだおばあちゃんから胃壁を抓られるなどの脅迫を受け、渋々ながらもおばあちゃんが描き進めていた漫画原稿の続きを描く事になる。(エピソード「赤ずきんの漫画」)

ある日、子供達にいじめられていたを助けた浦島は、お礼にとシェアハウス竜宮城へと招かれる。漫画好きの老婆、乙姫の揃えた漫画の質と量に感動した浦島は、シェアハウス竜宮城で、社会に揉まれて疲れきっていた心と体の休息を取る事を決める。(エピソード「竜宮城の漫画」)

ツルを助けたおっさんのもとに、ツルがそのままの姿でやって来た。はた織りでもしてくれるのかと問うと、はたは織れないが、エロ絵を描くと語ったツルは、オッサンの好きなキャラクターのエロ絵を描くべく、別室に閉じこもるのだった。(エピソード「ツルのおんがえし」)

メガネは、幼なじみのかぐやが、付き合う男性を選ぶ配信企画に参加していた。紙に書かれた品物を持って来た男性と付き合うと説明され、渡された紙を確認したメガネは、そこに書かれた物がすべて夏のコミックマーケットで発行される同人誌だという事に気づく。(エピソード「かぐや姫の漫画」)

第4章 サークルメンバー

ある日、桃太郎は恋愛シミュレーションゲームをしようと思い立った。その事をおじいさんばばあさんに話すと、ばばあさんから、より具体的な販売計画など提案される。(エピソード「鬼退治に行かない漫画」)

いっしょに恋愛シミュレーションゲームを作る仲間を求め、都会に出た桃太郎は、そこで野外ライブを行っていたギタリスト兼ボーカルのKENと出会う。その才能に惹かれた桃太郎は、おじいさんの作った団子を差し出し、テーマ曲などの作曲を頼めないかと切り出す。(エピソード「鬼退治に行かない漫画(いぬ編)」)

いっしょに恋愛シミュレーションゲームを作るシナリオライターを求め、桃太郎はミステリー作家の籠もる山中にやって来た。数年間はミステリー作品のシリーズ執筆で忙しいと告げたミステリー作家に、桃太郎はばばあさんから渡されたネタ帳の内容を紹介していく。(エピソード「鬼退治に行かない漫画(さる編)」)

話の展開に困った原稿を持ち込むと、得意のとんちで打開策を示してくれると話題になっている一休だったが、持ち込まれる物がすべて18禁作品ばかりな事に辟易していた。そんな折、一休のとんち力を試そうと考えた将軍から、「屏風の虎が夜な夜な飛び出して来る」という相談が舞い込む。(エピソード「とんちの漫画」)

雪の降るある日、じいさんおばあさんの作ったBL漫画を売ってくる事となった。誰に声を掛けていいかもわからず途方に暮れたじいさんは、雪の中に佇む地蔵にBL漫画を供えて帰路へとついた。罪悪感に苛まれるじいさんだったが、その夜、じいさん達の家の戸を叩く音が響く。(エピソード「地蔵の漫画」)

第5章 冬コミの到来

突然「コミケ(コミックマーケット)の王になろうと思う」と言いだした社長の言葉に、明らかに不快感を示した秘書。しかしまずは徹夜組と転売の撲滅を考えはじめた社長の言葉に、秘書は徐々に耳を傾けていく。(エピソード「おおきなかぶ」)

冬のコミックマーケットが無事に開催される事となった。その最中には、キャラクター同士の新たな出会いや少しの騒動、またはかつての仲間の再会があった。さまざまな思惑の入り乱れるコミケが、和やかに始まる。(エピソード「コミケ童話」)

登場人物・キャラクター

(おとこ)

エピソード「女神の漫画」「コミケ童話」に登場する。ラフな七三分けの黒髪が特徴の男性。年末に開催されるコミックマーケット(冬コミ)の新刊原稿を落とすところだった。破綻前提のスケジュールを立てるのが得意で、毎回割り増し入稿を行っている。ハードディスクが急に壊れてしまい、描いていた新刊データが消えてしまった事から、Twitterに冬コミの新刊を落とす旨をツイートしていた。 しかし、神おっさんに、消滅した原稿データを復旧してもらい、料金そのままで締切を3日後まで延ばしてくれる印刷会社を紹介され、また神おっさんがプロ並みのアシスタント能力を持っていた事から、無事に新刊を発行する事に成功。ちなみに、復旧前の原稿はデータ消去にかかわらず、絶対に締切に間に合っていなかっただろう状態だったため、神おっさんから辛辣な言葉を投げかけられ、心が死んでいく感覚を二度味わっている。 原稿に使用しているソフトは漫画原稿制作ソフト「クリスタ」。

先輩 (せんぱい)

エピソード「はだかの王様と先輩」「コミケ童話」に登場する。垂れ目にボサボサの黒髪をした男性。学園パラレルをメインに、趣味で漫画を描いている。ネームを夜に切る癖があるため、深夜のテンションで制作したネームを翌朝以降に見返し、落ち込む習性がある。ペン入れの最中にこの漫画クソじゃね?症候群を発症。年末に開催されるコミックマーケット(冬コミ)の新刊を落とす危機感に襲われた事から、後輩にアシスタントを頼んだ。 モブキャラをことごとく全裸で描く後輩に困惑しながらも、脱稿に漕ぎつける。しかし脱稿後、後輩が漫画原稿制作ソフト「クリスタ」で「木」や「芝」をすべて全裸にしていった事に気づき、悲鳴を上げた。

ドチャクソ・アブラデル (どちゃくそあぶらでる)

エピソード「石油王の漫画」「石油王の漫画2」「コミケ童話」に登場する。石油王で壮年の男性。カンドゥーラとクゥトラに身を包んでおり、彫りが深く、口周りに髭を蓄えている。無類の漫画好きで、スキあらば世界中のクリエイターに資金をバラ撒こうとする。ある程度のばらまきは黙認されているものの、油田の権利を譲渡しようとする事もあるため、たびたび側近に諫められている。 金銭的な問題で新刊を落とす事にしたシン・デレラの未完成原稿をTwitterで閲覧し、有料版お絵かきソフトと印刷代の支援を申し出ようとした。結果として無料のお絵かきソフトを使用したコピー本の発行を決めたと知るが、保存の効くオフセ本にしてもらいたいと願い、油田の譲渡など余りに現実味のないメッセージを送ったため、ブロックされた。 せめてコピー本を入手しようと、プライベートジェットでコミックマーケット目的で来日し、予想よりも遙かに若いシン・デレラを目にして困惑した。本来は差し入れと称してアラブへの招待チケットを渡すつもりだったが、差し入れを彼女の好きなキャラクターグッズに変更している。 涙腺がゆるく、感激すると語彙力が消失し、すぐに泣いてしまう。

黒髪の子 (くろかみのこ)

エピソード「マッチ売りの漫画」「コミケ童話」に登場する。黒髪のミディアムヘアで、腐女子の少女。年末に開催されたコミックマーケットの新刊が大量に売れ残り、在庫を燃やして焼き芋をやろうと計画して銀髪の子を誘った。幼い頃、格闘ゲームのキャラクターに陶酔し、ノートに筋肉を描き続けた過去がある。二次創作でそこそこの人気があったため、試しにオリジナル作品を作成した。 本の内容は男性四人が温泉に行く話だったが、筋肉以外の物をすべて描くのが面倒くさかったという理由から、ほとんどの部分を湯気で隠すという手抜きを行っていた。練習としてダンボールを焼いている最中、手抜きした部分が多かった事を反省し、描かなかった部分をすべて直接加筆して完売させる事を決意する。 「筋肉販売ガール(マッチョ売りの少女)」の異名を取り、エピソード「コミケ童話」では、ミステリー作家の筋肉に一目惚れして日本一の頒布するゲームを購入している。

大神 (おおがみ)

エピソード「三匹のクソ豚」「白雪姫と毒漫画」「ラブコメやくざと毒漫画」「ごんクソ豚」「コミケ童話」に登場する。闇金融業者、大神金融を営んでいる強面の男性。金髪のオールバックにスクエア型のメガネをかけ、ブラックスーツを着用している。ラブコメがないと生きていけない体質で、ラブコメが切れると動悸がし、汗を流しながら苦しむ。 債務者に対してラブコメ作品の提出を課し、大神の嗜好に刺さる作品を提出できた場合は、毎月ラブコメを提出する事を条件に、借金を全額肩代わりする規約を作った。兄、弟、妹の三人をまとめて「クソ豚」と呼称しているが、そのラブコメの才能には一目を置いており、作品を同人誌にする気はあっても、金銭的な問題があって無理だという言葉に、全額出す事を申し入れた。 悲しすぎる物語を読むと3日ほど寝込む。また漫画を読んでいるあいだは独り言が多い。神おっさんとは知人で、おばあちゃんの債権者。栗夢のファンでもある。怒ると「ぷんすこぷんぷん」と言う。

(おおかみ)

エピソード「赤ずきんの漫画」「コミケ童話」に登場する。赤ずきんのフリをしておばあちゃんの家を訪ね、おばあちゃんを丸呑みにした狼。しかし大神金融に提出するラブコメ作品の締切に追われていたおばあちゃんに胃壁をつねられ、「内側から破り出る」と脅された事から、渋々ペンを取って仕上げを行っていた。しかしその後、おばあちゃん宅を訪れた赤ずきんに辛辣すぎる評価を下され、立腹して赤ずきんも丸呑みにした。 作品を受け取りに来た大神に投げ飛ばされた事で失神している最中に、おばあちゃんと赤ずきんが自力で口から這い出し、その後はおばあちゃんと赤ずきんのもとで漫画を練習しているが、老婆恐怖症になっており、二人には敬語で話す。

浦島 (うらしま)

エピソード「竜宮城の漫画」「コミケ童話」に登場する。散歩が趣味のフリーターをしている男性。センター分けの黒髪で、長い髪を組紐でポニーテールにしており、着物のような衣装を身につけている。特に理由もなく海岸をうろついている事が多い。数日前、子供達にいじめられていた亀を助けた事から、シェアハウス竜宮城に招かれた。 昔は漫画やアニメにハマっていたが、生活が厳しくなるにつれて、徐々に娯楽を楽しむ余裕がなくなっており、心が死にかけていた。初対面時は乙姫が老婆である事にはっきりとうろたえたが、シェアハウス竜宮城の大家と聞いて納得した。シェアハウス竜宮城に置かれた本棚とその漫画作品の厳選された品揃え、物量に舌を巻き、そのままシェアハウス竜宮城に居着いた。 しかしぬるま湯のような日々を送っているあいだに、3年が経過していた事に気づいて焦りを覚え、シェアハウス竜宮城をあとにした。精神的に追い詰められた際に、乙姫から土産として渡された玉手箱を開け、気力を回復した。その後、シェアハウス竜宮城には週1回のペースで通っており、正式に入居するための引っ越し資金を貯めている。

おっさん

エピソード「ツルのおんがえし」「コミケ童話」に登場する。ある日、ツルを助けた初老の男性。頭髪が乏しく、いわゆるバーコード禿げ。『艦これ』の島風、『涼宮ハルヒの憂鬱』のハルヒなどを好む。ツルの描いたエロ絵で自慰を行う際は全裸。ツルの描いた24ページフルカラー二次創作エロ漫画を見て、コミックマーケットに参加しようと誘った。 エピソード「コミケ童話」では、ツルと二人でつる屋というサークルを結成し、参加している。他人にはツルを「家族みたいなもの」と説明している。

メガネ

エピソード「かぐや姫の漫画」「コミケ童話」に登場する。白い髪で、スクエア型のメガネかけている青年。メガネの後輩と二人で小規模なITベンチャー企業を運営している。かぐやとは幼なじみであり、かぐやの配信はほぼ毎回見に行っているが、その理由は配信内容に興味があるわけではなく、かぐやが不用意な発言で炎上しないか心配しているだけとされる。 かぐやが男性と付き合う条件を提示し、それを配信する企画を出した際にも、気を揉んでメガネの後輩を連れて参加した。コミックマーケットを楽しみにしており、楽しみだけでなく、コミックマーケットならではの苦労も知り尽くしている。記憶力が優れており、好きなジャンルの同人誌についてはタイトルや著者名、コミックマーケットでのサークル配置などを暗記している。

桃太郎 (ももたろう)

エピソード「鬼退治に行かない漫画」「鬼退治に行かない漫画(いぬ編)」「鬼退治に行かない漫画(さる編)」「コミケ童話」に登場する。長い前髪をセンター分けにし、鉢巻を巻いている男性。陣羽織を羽織った袴姿をしている。幼少期に空腹で倒れていたところをおじいさんに助けられた。その際、おじいさんの作ったおにぎりに命を救われるが、そのおいしさに再度倒れたとされる。 それ以降、おじいさんとばばあさんの手伝いをしながらイラストの仕事で生計を立てている。ある日、ある恋愛シミュレーションゲームに感銘を受け、自分もこんな作品を作らなければならないという使命感に駆られ、都会で仲間を探す事を決意した。路上ライブをしていたKENの歌を聴いて世界観や曲調に惚れ込み、おじいさんの料理を提供する条件で、ゲームのテーマ曲やBGM作成を依頼する事に成功した。 またかねてからファンだったミステリー作家の山ごもり先を突き止め、ばばあさんが書き留めていたネタ帳の内容をなん点か紹介する事で興味を惹き、シナリオを依頼する事に成功した。エピソード「コミケ童話」では、日本一という創作ゲームサークルで参加している。

一休 (いっきゅう)

エピソード「とんちの漫画」「コミケ童話」に登場する。寺勤めの坊主の青年。幼少期にとんち力を褒められていた際、周囲の子供達から「とんちなんて将来なんの役にも立たない」と揶揄された事から一念発起し、とんちによって作家のストーリー上の悩みを解消する方向へと舵を切った。そのため、作家達から「ネタ詰まり破戒僧」と呼ばれている。ある時から「一休のエロネタが凄い」と話題になって以降、作家のフリをした一般人までもが18禁ネタを持ち込むようになり、辟易していたところで将軍から依頼が入った。 最初はまた18禁のネタかとやさぐれていたが、「屏風の虎が夜な夜な飛び出して来る」という予想外の展開に、活力を取り戻した。描く者と語り合い、楽しみながらとんち力を活かして話を広げていくのが得意。 世界観のずれや、安易な超能力展開を嫌っている。またエピソード「コミケ童話」では、一休と将軍が作り上げた物語「将軍ととら」が「新発見された700年越しの大作」として特別展を開催されている様子が見られた。

じいさん

エピソード「地蔵の漫画」「コミケ童話」に登場する。おばあさんの夫で、老齢の男性。数十年前に作品を見た瞬間から現在に至るまで、ずっとおばあさんのファンとして生きており、おばあさんの作る物を多くの人に見て、使ってもらう事を生き甲斐にして、毎日北へ南へと駆け回っている。家事や炊事も担当しており、とにかくおばあさんが創作しやすい環境作りを心がけて生活している。 しかし、おばあさんの作品と言えどもBL漫画のよさはわからず、売って来ると言って家を出たものの誰に声をかけていいかわからず、かといって売れなかったと言って帰った場合は、おばあさんを悲しませてしまうと考え、途方に暮れていた。そんな折に雪の中で佇む地蔵を見つけ、BL漫画を供えてきた。 エピソード「コミケ童話」では、おばあさんの作ったBL漫画をサークルとして配布していた。

社長 (しゃちょう)

エピソード「おおきなかぶ」に登場する。イベント運営会社の社長を務める男性。頭頂部から額にかけて頭髪が薄い。音楽や展示会、セミナーなど様々なジャンルのイベントを企画から運営まで手がけている。作品のファン達が作り上げてきたコミックマーケットというイベントを、場としても文化としても尊敬しており、なんらかの形で協力したいと常々考えていた。 かなり楽観的な性格をしており、「最終的にはなんとかなる」をモットーに、明らかに危険な状況でも妙な落ち着きを見せる。突然「コミケ(コミックマーケット)の王になろうと思う」と言い始めた際には、秘書から「シンプルにクソ」と吐き捨てられている。しかし徹夜組と転売を潰すところから始めようと発言した事で、そのまともな案に驚愕された。 コミックマーケット開催前夜、会場前広場で「天体観測の会」を開催する事で徹夜組を防ごうとしたが、結果として会の参加者と徹夜組が衝突し、ネットニュースにまで取り上げられる事態となった。

神おっさん (かみおっさん)

エピソード「女神の漫画」「コミケ童話」に登場する。壮年の男性で、背中まである長い白髪をしている。ハンドルネームは「女神」。気に入った漫画はどんな手段を使ってでも製本まで漕ぎつけさせる。年末に開催されるコミックマーケット(冬コミ)の新刊を落とすとツイートした男の家に、調査会社に依頼して住所を特定し、突然やって来た。 ハードディスクが急に壊れてしまい、描いていた新刊データが消えてしまった男のために、遠隔からデータを抜き出すソフトを使って抜き取っておいた新刊データを届けた。一般家庭のセキュリティ程度なら余裕で突破する事ができる。「締切の遅い印刷所とプロ並みのアシスタント、どちらがあれば新刊を出す事ができたか」という問いに対し、必要なのは自制心だったと答えた男に感嘆し、印刷所の紹介を行い、神おっさん自らがアシスタントを務めて、彼が新刊を出す事を成功させた。 アナログ原稿派だが、男の原稿に合わせて漫画原稿制作ソフト「クリスタ」の仕様を10分で覚えるなど、その能力は文字通り神がかり的なもの。ちなみに辛辣なところもあり、こんな便利なソフトがあるにもかかわらず締切を守る事のできない体たらくの男に、厳しい言葉を投げかけている。 原稿の性器部分に修正を入れるための黒ペンをつねに持ち歩いており、つる屋の二人がコミックマーケット会場で修正を言い渡され、あまりの量に途方に暮れていた際には、手伝いを申し出て、無事会場前に修正を終えた。究極の裏方である事をモットーとしており、手助けを終えるとあっさりと姿を消してしまう。 原稿を手伝ったサークルに買い物に訪れる際は、サングラスとマスクで顔を隠し、正体を悟られても決して名乗らず、献本を頑なに拒否して自費で購入する。大神とは知人。

後輩 (こうはい)

エピソード「はだかの王様と先輩」「コミケ童話」に登場する。吊り目で右分けした白髪の男性。年末に開催されるコミックマーケット(冬コミ)の新刊を落とす危機感に襲われた先輩に請われ、アシスタントに入った。作画スピードが非常に速いが、全裸の作画に命を懸けているため、背景に佇むモブキャラなどをすべて全裸で描く癖がある。 そのため先輩を非常に困惑させた。男性の全裸であれば、どんな構図でも30秒で描き上げる実力があり、ネット上の全裸段位戦で四段(最高段位は七段)に属する。男性の全裸ではすでに最高段位クラスの実力を持つが、女体の作画にブレがあるのが課題とされている。「全裸絵師」という自負があり、全裸集をフリー素材として販売もしている。ツルの描く全裸のクオリティとスピードが人知を超えている事から手合わせを願っており、つる屋に挨拶に行った際、ツルと神おっさんの背後に鶴と後光を見て思わず息を呑んだ。 ツルからは、素材集の名称から「全裸360度シリーズの方」と覚えられていた。

側近 (そっきん)

エピソード「石油王の漫画」「石油王の漫画2」「おおきなかぶ」「コミケ童話」に登場する。ドチャクソ・アブラデルの側近の青年。カンドゥーラとクゥトラに身を包んでおり、わずかに顎髭を蓄えている。漫画の知識量、語学力、財務の手腕を認められて、歴代最年少の若さで序列1位の側近となった。アブラデルを満足させるために世界各国の漫画を読破しており、気分に応じた最適な漫画を紹介する事ができる。 石油を資金源とした各事業展開を一任されており、セキュリティ会社を筆頭に複数の企業を運営している。アブラデルが移動する際には、自ら運営しているセキュリティ会社に命じて、さりげなく周辺に厳戒態勢をしいている。またエピソード「おおきなかぶ」においては、コミックマーケット前夜に起こった社長の開催した「天体観測の会」と徹夜組の衝突でコミックマーケット中止を危ぶみ、セキュリティ会社を出動させ、徹夜組を整列させた。

シン・デレラ (しんでれら)

エピソード「石油王の漫画」「石油王の漫画2」「コミケ童話」に登場する。心に染み入る優しい話を描く幼い少女。お絵かきソフトの無料使用期間中に漫画原稿を描き上げようとして失敗し、無料ソフトを試用したコピー本の発行に切り替えた。情報リテラシーが高く、ドチャクソ・アブラデルからメッセージを受け取った際には詐欺を疑い、ブロックしている。 「マジ漕ぎパドル」という少年漫画のライバル校所属キャラの赤巻にハマっている。

銀髪の子 (ぎんぱつのこ)

エピソード「マッチ売りの漫画」「コミケ童話」に登場する。銀髪のロングヘアで、夢女子の少女。推しキャラが含まれていなければボーイズラブも嗜む。夢小説を長年執筆しているが、あくまでネット上での活動であり、コミックマーケットでのサークル参加は、黒髪の子のサークルでの売り子のみとなっている。絵が描ける人間を尊敬しており、幼少の頃に黒髪の子の絵を見た時から応援し続けている。 黒髪の子に誘われ、黒髪の子の在庫を燃やす焼き芋に、困惑しながらも同行した。在庫を燃やす事に反対しており、すべて買い取る提案も示している。黒髪の子の原稿中、Skypeでの画面共有や会話をしており、進捗を見守りつつ「ギャグとしては面白かった」と評価している。

(あに)

エピソード「三匹のクソ豚」「白雪姫と毒漫画」「ごんクソ豚」「コミケ童話」に登場する。弟と妹の兄。クソ豚の描くラブコメ作品の原作を担当している青年。逆立てた黒髪が特徴。大神に対しても臆する事なく対等に振る舞う。漫画界のネーム力を持つ素人で、恋愛、SF、アクションなどさまざまなジャンルのストーリーを作る事ができるが、勢いで書き進めるため字が恐ろしく汚く、弟以外には文字として認識できない。 締切が嫌いなため創作を仕事にしておらず、普段は居酒屋で働いている。「最後は笑顔に変えるから」を創作のモットーとしており、後味の悪い漫画を読むと、衝動的にラストを書き換えたネームを切る。栗夢が挑戦に来た際には、持ち込まれた作品のあまりに悲劇的な展開に怒り、その場で救いのある展開に切り替える作品をつなげ続け、結果的にリレー形式となり、膨大な量になったその作品を大神に提出し、3日間寝込ませた。

(おとうと)

エピソード「三匹のクソ豚」「白雪姫と毒漫画」「ごんクソ豚」「コミケ童話」に登場する。兄の弟で、妹の兄。クソ豚の描くラブコメ作品の作画を担当している青年。ワンレンの黒髪と気怠げな表情で、くわえ煙草をしている。息を吸うように絵の練習をするのが趣味で、鍛え上げられた画力にスピードも加わり、もはや敵なし。しかし、絵を仕事にしておらず、不定期にバーや喫茶店で日銭を稼いでいる。 兄の文字を読む事ができる唯一の存在。

(いもうと)

エピソード「三匹のクソ豚」「白雪姫と毒漫画」「ごんクソ豚」「コミケ童話」に登場する。兄と弟の妹。クソ豚の描くラブコメ作品のネタ元となっている少女。センター分けされたミディアムヘアにしている。日常がラブコメのようになる体質で、毎日のように発生するラブコメ的イベントを兄に相談するため、兄のネタが尽きる事がない。 妹自身の体験が漫画のネタに使用される事をあまり歓迎していないが、兄の作る作品がよすぎるために、なにかあると結局兄に話している。栗夢が来訪した際に、持ち込まれた作品のあまりに悲劇的な展開に放心し、茫然自失となったが、兄が続きにつなげた救いのある展開で、落ち着きを取り戻した。

栗夢 (ぐりむ)

エピソード「白雪姫と毒漫画」「おおきなかぶ」「コミケ童話」に登場する。ゴシックやパンクロリータの衣装を好んで着用している女性。「ラブコメ界の女王」と称されており、ラブコメ界のトップを走っているプロ漫画家。鏡に「この世で一番面白いラブコメを描くのはだあれ?」と問いかけたところ、クソ豚と回答された事から闘争心に火がつき、鏡にクソ豚の住所を調べさせ、「泣かせたら勝ち」という一方的な勝利条件を設定して、悲劇的な作品を持ち込んだ。 しかし、悲劇的な展開を救いのある展開に切り替え続ける兄と、それを清書する弟とのリレー形式の漫画制作に、惰性で描いていた気持ちを切り替えられたとして満足げに帰宅した。エピソード「おおきなかぶ」では、締切直前にもかかわらず筆が乗らず、ネットニュースで目にしたコミックマーケット会場前で繰り広げられる衝突に危機感を抱き、原稿受取に待機している栗夢の編集に「これを止めてきたらマジで本気出す」と話して衝突現場に送り出した。 鏡からは「女王様」と呼ばれている。

(かがみ)

エピソード「白雪姫と毒漫画」に登場する。栗夢の部屋にある、大きな楕円形の鏡。栗夢の質問に答えるほか、要望に応えてクソ豚の作品を表示する事、またクソ豚の住所を特定する事もできる。クソ豚がラブコメを描き始めるまでは栗夢の作品を絶賛していたが、クソ豚の作品を知ってからは「時代はクソ豚」と発言している。フリック機能も付いており、表示した作品を快適に閲覧する事もできる。

おばあちゃん

エピソード「赤ずきんの漫画」に登場する。赤ずきんの祖母。肩までワンレンな白髪の老婆。古武術の元師範代で、道場を運営していたが、経営が立ち行かず、大神金融から借金をした。武の道に生きてきたためラブコメを描いた事がなかったが、借金の便宜を図るため漫画に挑戦し、荒削りながら不器用な恋模様を描いた作品が大神の琴線に触れ、12か月連続のラブコメ作成を条件とした返済免除の権利を手に入れた。 狼に丸呑みにされたものの、提出するラブコメ作品の締切を守るために狼の胃壁をつねる、内側から破るなどの脅迫を繰り返して、狼に続きの作業をさせた。漫画好きの赤ずきんが絵の師匠を買って出ている事、また制作した漫画を楽しみに、赤ずきんが頻繁に遊びに来るようになった事を喜んでいる。

赤ずきん (あかずきん)

エピソード「赤ずきんの漫画」「コミケ童話」に登場する。おばあちゃんの孫で、漫画と絵を描く事が好きな少女。赤い頭巾をかぶっている。絵描きとしての目がよく、デッサンの狂いを発見する力に長けている。またおばあちゃんの絵の師匠をしている事から、絵に対する評価は辛辣。しかし狼に「線が死んでる」などの辛辣な評価を下した結果、狼に丸呑みにされた。

乙姫 (おとひめ)

エピソード「竜宮城の漫画」「コミケ童話」に登場する。シェアハウス竜宮城のオーナーを務める老婆。年齢は78歳。長い髪を後ろ髪だけ残し、頭頂部で結い上げている。シェアハウス竜宮城の中では、「再現したらヤバそうな漫画料理選手権」など、漫画をテーマにしたイベントも開催している。漫画好きだけが集まるアパートをコンセプトに賃貸を始めたところ、入居者が殺到したため、現在10棟の物件を管理している。 家賃収入の多くを各物件の漫画やアニメ、DVDなどのコンテンツを充実させる事で、入居者に還元している。浦島がシェアハウス竜宮城を出て行く決意を固めた際には、玉手箱を渡して見送った。昔は複数人で創作活動を行っており、主に作画を担当していたとされる。

(かめ)

エピソード「竜宮城の漫画」に登場する。子供達にいじめられていたところを浦島に助けられた亀。人語を理解し、さらには会話もでき、二次創作も嗜んでいる。CPの解釈違いで殴られていたと話しており、ハマるCPがいつもマイナーなため、供給の少なさと逆CPなどの苦手作品の回避に疲弊している。

ツル

エピソード「ツルのおんがえし」「コミケ童話」に登場する。ある日、罠にかかっていたところを、おっさんに助けられたタンチョウヅル。ツルの姿のままでおっさん宅に訪れた。はたを織れるタイプのツルではないが、エロ絵が得意なため、ノートパソコンとペンタブレットを持ち歩いている。美しい女性に化けようとしたが、覚えている人間がおっさんだけだったため、人間に化けると毎回おっさんと同じ姿になってしまう。 ただし頭髪はバーコード禿げではなく、タンチョウヅルの時と同じく肉瘤になっている。横から絵についてなにか言われると気が散るという理由から、描いているところは覗かないようにと言い含めていた。アニメや漫画の知識は豊富だが、コミックマーケットについては知らなかった。 エピソード「コミケ童話」では、おっさんと二人でつる屋というサークルを結成し、参加している。他人からおっさんとの関係を聞かれた際、おっさんが「家族みたいなもの」と答えた事に感激して涙を流した。

かぐや

エピソード「かぐや姫の漫画」「コミケ童話」に登場する。背中まである、切り揃えられた黒髪の女性。漫画や同人誌が好きで、たまにネットでの雑談配信やゲームの実況などを行うために、取り巻きがついている。基本的にはニートで、引きこもり気味のためあまり外に出たがらない。SNSと漫画を読んで1日を終えるような生活を送っている。取り巻き達に異なる品物を書いた紙を配り、「そこに書かれた物を持ち寄った男性と付き合う」と約束していた。 この紙に書かれているのはコミックマーケットで発行される同人誌で、メガネ以外に渡した紙には、新刊を落とす事を表明したサークルの新刊タイトルが混ざっていた。メガネとは幼なじみで、読むジャンルがかぶっている事が多い。 取り巻きの男達から「姫」と呼ばれている。

メガネの後輩 (めがねのこうはい)

エピソード「かぐや姫の漫画」に登場する。短い黒髪で薄い顔をした男性。メガネの大学時代の後輩であり、かつメガネと二人で運営している小規模なITベンチャー企業の部下でもある。就職活動が面倒な時期にメガネに声をかけられ、そのまま部下として働いている。周囲の友人と話すたびに、メガネとやっている会社がホワイトかつ給与も悪くない事を確認し、メガネには日々感謝している。 かぐやの配信企画には、メガネに誘われて参加した。

おじいさん

エピソード「鬼退治に行かない漫画」「鬼退治に行かない漫画(いぬ編)」「鬼退治に行かない漫画(さる編)」に登場する。桃太郎の養い親にして、ばばあさんの夫。元板前の老齢男性。サブカルチャーに疎く、桃太郎とばばあさんの会話についていけないが、わからないなりに見守っている。シンプルな料理を作ると驚異的なおいしさで、口にした者の意識や理性を奪うが、おじいさん自身に自覚が薄い。 団子は、一口食べるとほかの団子が食べられなくなり、炒飯は絶品、唐揚げは犯罪的、和食は奇跡と言われている。もっとも得意とする料理は味噌汁だが、かつて味噌汁を飲んで1時間意識を失ったばばあさんによって味噌汁禁止令がしかれて以来、味噌汁を作っていない。この世でもっともうまいまかないを作る料理人として、業界の一部で有名だった。

ばばあさん

エピソード「鬼退治に行かない漫画」「鬼退治に行かない漫画(いぬ編)」に登場する。長い白髪をゆるくハーフアップにした老婆。恋愛作品のネタの量産力と深掘力が尋常ではなく、すでに掘りきったと思われるようなネタを、そこから数年間掘り続ける根気を売りにしている。ネタ作りは日課であり、男女、BL、GLなど、多岐にわたってジャンルを問わない。 ただし語彙力がなく、30分悩んで挙げ句に「おせっせすると気持ちがよくてふたりはしあわせ」のような文章になる。昔は複数人で創作活動を行っており、主にアイディアを担当していたが、活動をやめてからは、書きためたネタが日々濃度を増し続け、冊数、濃度共にとんでもない事になっている。桃太郎がミステリー作家に紹介したネタが収められているネタ帳は、その中でもトップ3に入る濃度に煮詰められた物で、常人が読むと数ページでエネルギーを使い切ってしまうほどのパワーを持っているとされる。

KEN (けん)

エピソード「鬼退治に行かない漫画(いぬ編)」に登場する。桃太郎が出会った、ギタリスト兼ボーカルの青年。シャギーを入れた黒髪が特徴。歌唱力、作曲、編曲能力共に高い実力を持っているが、歌詞が濃すぎるため、メジャーデビューできていないとされる。おじいさんの手料理に惚れ込み、おじいさんの料理を食べるために桃太郎のゲーム制作に協力する事を承諾した。 また、桃太郎の自宅に赴いた際にはおじいさんを讃える歌を作曲して、おじいさんの目の前で披露した。桃太郎に団子をもらった日からおじいさんを敬愛しており、作曲のかたわらマッサージを学んでいる。桃太郎の企画する恋愛シミュレーションゲームのBGMなどを作曲するため居候を始めてからは、毎日おじいさんの疲れを癒やしている。

ミステリー作家 (みすてりーさっか)

エピソード「鬼退治に行かない漫画(さる編)」「コミケ童話」に登場する。ミステリー作家として活躍する男性。本格的なミステリーを書くが、キャッチーな登場人物が多いため中高生からも支持を集めている。ネタに詰まると、筋トレなどで体を動かしたくなる習性があるため、近年はつねに森や山の中で執筆を行っているとされる。処女作のミステリー小説がシリーズ化しており、数年間は手が空かないとしていたが、おばあさんのネタの良さから、おばあさんに会ってみたいと考え始め、桃太郎の企画する恋愛シミュレーションゲームにシナリオとして参加する事を決めた。 エピソード「コミケ童話」では、桃太郎と共に創作ゲームサークル「日本一」の一員としてコミックマーケットに参加した。 ペンネームは「猿氷渡」。

将軍 (しょうぐん)

エピソード「とんちの漫画」「コミケ童話」に登場する。将軍職を務めている壮年男性。烏帽子をかぶっている。一休のとんち力の高さを聞きつけ、「屏風の虎が夜な夜な飛び出して来る」という話を振った。しかしエロネタに疲弊していた一休が予想外の食いつきを見せ、どんどん話を膨らませていく内にストーリーに入り込んでしまい、涙ながらに一休と語り合う事となった。 感受性が強く、一休との語り合いから、しばらくは毎晩虎の夢を見たとされる。のちにこの虎の話は専属絵師を迎え、絵巻となっている。さらにエピソード「コミケ童話」では、一休と将軍が作り上げた絵巻物語「将軍ととら」が「新発見された700年越しの大作」として特別展を開催されている様子が見られた。

和尚 (おしょう)

エピソード「とんちの漫画」に登場する。一休が勤めている寺の和尚。18禁のネタを求められるばかりでやさぐれていた一休を心配していたが、将軍との語り合いでかつての活力を取り戻した一休を目にした事で、肩の荷を降ろした。

おばあさん

エピソード「地蔵の漫画」「コミケ童話」に登場する。じいさんの妻で、長い髪をうなじで結った老婆。手先が器用で、漫画や小説だけでなく、傘や小物、アクセサリーなどさまざまなものを作る。おばあさんが1日中何かを作り、じいさんがそれを売り歩く事で家計を支えている。どの創作物もそれぞれにコアなファンがついており、作るとあっという間に売り切れる。 しかし「作りたい時が作り時」をモットーとしているため、非常に気まぐれな創作活動をしている。昔は複数人で創作活動を行っており、主にシナリオとグッズ(ノベルティ)の制作を担当していたとされる。

秘書 (ひしょ)

エピソード「おおきなかぶ」に登場する。社長の秘書を務める女性。長い髪をリボンでポニーテールに結っている。楽観的な性格の社長を諫め、軌道修正して操縦する会社運営の要。事務手続きや法務、経理などさまざまな役を兼任しており、秘書が辞めると本当に会社が回らなくなるという社内の重要人物。プライベートでは漫画やアニメ、ソーシャルゲームなど多岐にわたって作品を楽しんでいる。 突拍子もない案を提示してくる社長に最初は難色を示すものの、最終的にはなんとか実行できる方法を考え出す有能な存在。

栗夢の担当編集 (ぐりむのたんとうへんしゅう)

エピソード「おおきなかぶ」に登場する。栗夢の商業連載での担当編集を務めている男性。小太りで、スクエア型のメガネをかけている。栗夢の締切が迫っているため部屋で待機していた。栗夢が原稿作成中、鏡で流し見ていたネットニュース、コミックマーケット開催前夜の徹夜組と、社長が開催した「天体観測の会」との衝突動画を目にし、「これを止めてくれたら本気出して原稿を完成させる」という言葉を信じ、わざわざ騒動に突入していった。

集団・組織

クソ豚 (くそぶた)

エピソード「三匹のクソ豚」「白雪姫と毒漫画」「ごんクソ豚」「コミケ童話」に登場する。兄、弟、妹の総称。ラブコメ体質でネタ提供者の妹の話を聞いた兄がシナリオとネームを作り、弟が作画をするという創作スタイル。発表する作品は、兄の嗜好の関係でハッピーエンドばかりだが、大神や鏡など、高く評価をしている者が多い。

大神金融 (おおがみきんゆう)

大神が営んでいる闇金融。当初は大神がラブコメ作家を支援する貸金業者として発足した。融資を行う関係上、印刷会社、出版社、アシスタントなどさまざまなコネクションを持っており、毎月締切に追われるラブコメ作家を裏でサポートしている。またどんな債務者に対しても、ラブコメ作品の提出とその質によって返済免除を獲得する権利を与えており、権利を獲得した債務者は、12か月にわたって毎月25日を締切とした20ページのラブコメ作品を提出する事で、借金返済を全額免除される。 この取り決めは大神金融の借用書すべてに記載されている。

地蔵 (じぞう)

エピソード「地蔵の漫画」に登場する。じいさんがおばあさんの描いたBL漫画を供えた6体の地蔵。全員がBLを愛好しており、近隣に人がいない時は、いつも6体でシチュエーション萌えについて語り合っている。しかし、つねに供給に飢えているため、じいさんにBL漫画をお供えされた際には、感動と興奮がすぎて6体とも語彙が消失した。 また作品を読んだ直後に、おばあさんのもとへどもりすぎた感想を伝えに来ており、大量の米や野菜、酒、グッズといった差し入れも持参した。

つる屋 (つるや)

エピソード「コミケ童話」に登場する。おっさんとツルが結成した成人向け同人誌サークル。コミックマーケット開場前に、スタッフから性器の修正が甘い事を指摘され、持ち込んだすべての本に修正をし、それをスタッフが確認できるまでは配布不可という通達を受け、絶望していた。しかしそこに神おっさんが現れ、疾風怒濤の速さですべての修正を手伝ってくれたため、開場時間に間に合う事ができた。 後輩から、「本当に凄い全裸を描くサークル」として挨拶を受けた。

日本一 (にっぽんいち)

エピソード「コミケ童話」に登場する。桃太郎が企画した恋愛シミュレーションゲームを配布する創作ゲームサークル。栗夢から「ラブコメの女王である自分に匹敵するかもしれない」と考えられ、偵察を受けた。

徹夜組 (てつやぐみ)

目的の頒布物を入手するために、始発前にコミックマーケット会場前に並ぶ人々。コミックマーケット運営側からは治安の悪化、騒音などの側面から深夜来場を禁止されているが、ルールを無視する人間が絶えず、問題化している。エピソード「おおきなかぶ」において、社長が開催した「天体観測の会」と衝突し、ネットニュースで取り上げられた。

場所

シェアハウス竜宮城 (しぇあはうすりゅうぐうじょう)

エピソード「竜宮城の漫画」に登場する。乙姫がオーナーを務める物件の一つ。駅から徒歩5分の立地にある。コミック1万冊を完備し、ドリンクも無料のシェアハウス。子供達からいじめられていた亀を助けた礼にと、浦島が案内された場所。玄関を入ってすぐに本棚が立ち並び、その品揃えは量を揃えただけではなく、評価が高いものやマニア受けするものが厳選されている。 夜通しのアニメDVD鑑賞会が行われていたり、「再現したらヤバそうな漫画料理選手権」などが開催されている。漫画好き以外は入居できない。

イベント・出来事

コミックマーケット

年2回、世界最大規模で開催される同人誌即売会。夏のお盆の時期に開催されるものは「夏コミ」、年末に開催されるものは「冬コミ」と称されており、コミックマーケット自体の略称が「コミケ」である。参加サークルは創作、二次創作の漫画や小説に留まらず、自作ゲームや素材集などの取り引きが行われている。会場内で金銭のやりとりはあるものの、あくまで「ファン同士が原価と交換で品物を渡している」という建前で成り立っているので、販売ではなく配布、または頒布と表現される。

その他キーワード

クリスタ

株式会社セルシスが提供している、実在する漫画原稿制作ソフト。正式名称は「CLIP STUDIO(クリップスタジオ)」。充分すぎる機能とカスタマイズ性に加えて、漫画制作に必要な素材も豊富にあり、ユーザー制作の素材が利用できるなどの特徴がある。パソコンを使用して漫画を描く者の多くが使用している。

玉手箱 (たまてばこ)

B5サイズの、漆塗りの箱。浦島がシェアハウス竜宮城をあとにする際、乙姫から渡された。絶対に開けてはいけないが、辛くなったら開けてもいいとされる。玉手箱の中には乙姫が制作した、浦島が高校時代にハマっていたアニメの同人誌が入っていた。

新刊を落とす (しんかんをおとす)

コミックマーケット開催に合わせて発行するはずの同人誌を、印刷所の設定した締切に間に合わせられず、製本できずにコミックマーケット当日を迎えてしまう事。結果、コミックマーケットにおける目玉商品がなくなってしまう事態を招く。締切が遅い印刷所か、作業を手伝ってくれるアシスタントがいると、間に合わせられる可能性が上がる。

この漫画クソじゃね?症候群 (このまんがくそじゃねしょうこうぐん)

漫画を描く者が陥りやすい一過性の症状。発症すると、文字通り自分の漫画がつまらなく感じ、自身の才能に疑問を抱いて落ち込む事となる。執筆作業中には、どうしても現在描いている作品を繰り返し読む事になるため、多くの場合、ペン入れの最中など執筆作業の終盤に差し掛かったところで発症する。症状が悪化すると、作品自体が闇に葬られる事がある。

お絵かきソフト (おえかきそふと)

イラスト、漫画を描く人間が使用する描画ソフトの総称。クリスタも含まれる。多くの場合無料の試用期間が設けられており、そのあいだはすべての機能を使用できるため、原稿執筆の速度に自信がある者は、試用期間に漫画原稿の完成を目指す場合もある。エピソード「石油王の漫画」に登場するシン・デレラは試用期間に原稿を完成させる事ができなかったため、新刊を落とす事を匂わせた。

コピー本 (こぴーぼん)

自宅のプリンターやコンビニのコピー機で印刷した漫画や小説作品を、二つ折りにしてステープラーで留めた本。印刷費が少なくて済むが、折れやすいため保存には気を遣わなければならない。

オフセ本 (おふせぼん)

オフセット本の略称。自作した漫画や小説作品を、オフセット印刷所に依頼して印刷、製本した本。初期費用はかかるが、紙の仕様や製本方法が一般流通している本や雑誌と同じため、丈夫で保存しやすい。

腐女子 (ふじょし)

男性同士を恋愛関係(CP)にした作品を楽しむ女性の総称。「脳みそが腐っているからこういう妄想をしてしまう」という自虐的な意味で用いられるようになった。昨今では女性以外にも男性同士の恋愛作品を楽しむ人が認識されてきた事から、ほかに「腐」などの呼び方がある。

夢女子 (ゆめじょし)

漫画やアニメ、ゲーム、小説などに登場するキャラクターと、自分の恋愛を想像して楽しむ女性の総称。「夢のような妄想をしている女性」という意味で用いられるようになった。昨今では自分自身とキャラクターとの恋愛ではなく、作中に登場しないオリジナルキャラクターと作中キャラとの恋愛を妄想する場合なども含まれる。

CP (かぷ)

漫画やアニメ、ゲーム、小説などに登場するキャラクター達を恋愛関係にし、その組み合わせそのものを指す言葉。文字通り「カップリング」とも言われる。基本的に、作品内での関係性は公式に恋愛関係とされる事は少なく、キャラクターの解釈や関係性の解釈には読者個人間で差異が生じるもの。そのためファンのあいだでは、わりと自由にCPを組む事が楽しまれるが、その解釈の違いによって争いが起こる事もある。 支持する人間が少ないCPは「マイナーCP」と呼ばれ、そのCPを好む者はしばしば軽視、ひどい場合は蔑視される傾向がある。

SHARE
EC
Amazon
logo