概要・あらすじ
朝夕新聞社の新聞記者である主人公は、大物政治家の汚職事件「ブラッキード事件」を追っていたが、決定的証拠を掴めないまま公判は終わろうとしていた。そんなとき、ジオラマ好きの息子のもとに、自在に複数の写真を合成できるカメラを売るセールスマンが現れた。当初は100万円という高額に驚き相手にしなかったが、やがて「ブラッキード事件」の証拠となる写真を、そのカメラで作り出すことを思いつく。
登場人物・キャラクター
新聞記者
作中に名前は登場しない。妻子とともに暮らす、朝夕新聞社に勤める新聞記者。デスクの職にあり、部下の信頼も厚い。大型の汚職事件である「ブラッキード事件」を追っていたが、社が名誉毀損で訴えられようとしていたため、上層部から事件の追求を打ち切るように命じられている。子供のころは模型を自作する趣味があり、息子のプラモデルの塗装やジオラマ作りに熱のこもった指導をする面もある。 ヨドバがセールスする「コラージュ・カメラ」にも興味を示し、一度は100万円という売価に仰天してヨドバを追い返すが、「ブラッキード事件」の真実を暴くために「コラージュ・カメラ」を使うことを思いつき、機密費と自身の退職金を流用してまでカメラを購入する。
ヨドバ
未来から現代にやってきたカメラの販売員。『コラージュ・カメラ』の作中に名前は登場しないが、『タイムカメラ』で初登場以来、しばしば藤子・F・不二雄のSF短編に登場。主人公の願望を満たす不思議なカメラを販売しようとし、本作ではジオラマ作りに熱中する少年に近づいて「コラージュ・カメラ」をセールス。 その親の新聞記者に100万円を捻出させようとする。
田金
主人公の新聞記者が追う「ブラッキード事件」の中心人物である大物政治家。金と権力にものをいわせ、事件に関する証言をねじ曲げていると目されている。
田金の運転手
「ブラッキード事件」の渦中にある大物政治家・田金の元運転手で、現金授与をはじめとした汚職の現場に居合わせた人物を知る。田金のやり方を許すことができず、事件に関する証言をするが、それが原因で運転手をクビとなる。彼のひと言から「コラージュ・カメラ」の利用方法を思いついた主人公の新聞記者のために、必要な写真を指示する重要な役割を果たす。
その他キーワード
コラージュ・カメラ
別々に撮影した写真やありあわせの写真を合成することができるカメラ。現実に存在する画像加工ソフトと似た機能だが、背景を消したり、光の向きや画質の統一といった工程がワンタッチでできるうえ、コンピューター解析でも合成が判別できない。