概要・あらすじ
ドジでノロマでダイコン女優といわれている根沖トロ子は、それでもなぜか東西テレビ局のさまざまな番組で起用され続けていた。その謎を追うルポライターの間久部緑郎は、13号スタジオで連続して起きていたポルターガイスト現象に辿りつく。そして緑郎は、ポルターガイストを起こしているのは13号スタジオに住み着いたブッキラという妖怪の仕業であり、しかもブッキラとトロ子が恋人同士の関係にあることを知る。
13号スタジオのポルターガイストはトロ子がいる時だけ収まるので、テレビ局はそれを理由にトロ子を番組に出演させていたのだった。こうして縁郎は、妖怪に好かれやすい体質のトロ子とブッキラが次々と呼び寄せる怪奇な事件に、巻き込まれていくようになる。
登場人物・キャラクター
根沖 トロ子 (ねおき とろこ)
東西テレビ局が売り出している、ドジでノロマで失敗ばかりの女優。演技力もなく周囲からはなぜ起用され続けているのか疑問に思われているが、根沖トロ子自身は天才女優だと思っている。うぬぼれが強く調子に乗りやすい性格で、揉め事ばかり引き起こしている。妖怪のブッキラと付き合っており、恋人として愛情を注いでいる。妖怪に好かれやすい体質のため、次々と怪奇な事件に巻き込まれる。
ブッキラ
東西テレビ局の13号スタジオに住み着いている妖怪。体は粘菌の集合体で作られている。根沖トロ子とは恋人同士。トロ子がいない時に13号スタジオで番組収録を行おうとすると、ポルターガイスト現象を起こしている。妖怪の世界では学校に通っており、学校の裏門とスタジオがつながっているため、そこを通じて行き来している。怪奇な事件に巻き込まれてばかりのトロ子を必死に守ろうとする。
ザザプトン
ブッキラが通う妖怪の学校の先生。見た目は使い古した座布団にそっくり。学校に出て来なくなったブッキラを探して、学校の裏門とつながっている東西テレビの13号スタジオを通り、人間の世界にやって来た。妖怪の不良グループに苛められているブッキラを、また学校に来るように説得するが、自分が矢面に立って不良グループを諫めようとはせず、ブッキラに立ち上がって戦えと鼓舞する。
間久部 緑郎 (まくべ ろくろう)
ルポライターの男性。サラ金のように人に金を貸して弱みを握り、それを盾にいろいろな会社の秘密を聞き出して、その情報を自身が儲けるために利用している。東西テレビ局の仁古見宇呑にも500万円を貸しており、その返済を待つ代わりに、ダイコン女優の根沖トロ子を起用し続ける理由を教えるように迫る。その謎を追ううちにトロ子とブッキラの関係を知り、彼らが呼び寄せる事件に巻き込まれるようになる。
仁古見 宇呑 (にこみ うどん)
東西テレビ局の男性プロデューサー。根沖トロ子を起用し続ける理由を知っており、間久部緑郎から借金のかたに秘密を話すよう強請られている。しつこく秘密を探る緑郎を止めるため、火之本興業のヤクザに頼んで暴力で脅させる。
鳴神 (なるがみ)
筑波大学比較生物研究所の男性教授。間久部緑郎が切り取ったブッキラの小指を持ち込み、調査を依頼した。最初は本気にしなかったが、指を切り落とされた復讐のため研究所を襲って来たブッキラを捕獲。妖怪の実在を確信すると、標本にして学会に発表しようとした。
チャン・ミイファン (ちゃんみいふぁん)
根沖トロ子が住むマンションに、突然香港から訪ねて来た外国人女性。猿の手のミイラが入っている大きなトランクを持って現れ、トロ子に押し付けて去って行った。その後、全身に小動物に爪で引っかかれたような傷が無数に残された変死体となって、路上で発見される。
金の精 (かねのせい)
呪いの100円玉を拾った人間に取り憑く妖怪。呪いの100円玉とは、かつて100円玉を落とし雨の中探し回ったせいで肺炎になった少年が、死の床で呪って悪魔に預けたもの。買い物のお釣りとして呪いの100円玉を受け取った根沖トロ子に取り憑き、いくらでも金を出すから代わりに自分をおんぶするように頼む。100円玉しか出すことはできないが、お金を出せば出すほど大きくなって重くなる。
霊能者 (れいのうしゃ)
ブッキラの存在を知っており、日本から追い出そうとしている男性。かつて戦争中に迷子島に駐屯していた中隊のたった1人の生き残り。コマーシャルの撮影を騙って根沖トロ子を迷子島に誘い出し、ブッキラから引き離した。そのうえで、3日以内に日本から去らなければ、迷子島の亡霊を使役してトロ子を呪い殺すとブッキラを脅す。
その他キーワード
猿の手 (さるのて)
チャン・ミイファンが根沖トロ子のもとに持ち込んだ呪術の道具。船乗りの間で昔から語り伝えられている呪いのかかった猿のミイラの一部。持ち主の3つの願いを叶える代わりに、永久に持ち主と離れないようになる呪いがかけられており、完全に手放すと持ち主は死んでしまう。トロ子に取り憑き、どこに何度捨てても戻って来る。