概要・あらすじ
出版社の若手社員西村は、作家大和の原稿取りの仕事を任される。しかし、出会ってみると大和は妻に対して非常に暴力的な男で、大和の妻はひたすら受け身なのだった。編集者の視点から、作家夫婦の奇妙な関係を読み解くブラックコメディ短編。タイトルとストーリーは北原白秋作詞の童謡『待ちぼうけ』の歌詞がヒントになっている。
登場人物・キャラクター
西村 (にしむら)
男。文芸公論社の若い社員で、作家の大和からの原稿取りを任される。原稿を受け取るだけの仕事と思っていたが、大和の原稿が全く進んでいなかったため、予想外に付きっきりの仕事となる。大和と対面し、妻に対するあまりの暴君ぶりに驚くが、同時に大和の妻の反応や行動に違和感も覚えている。
大和
小説家。外面はいいが、妻に対しての態度は非常に厳しい。家庭のすべてを妻に任せているといいつつ、不始末の責任を全て押しつけ、教育と称して横柄で暴力的な振る舞いを繰り返している。にもかかわらずお互いに愛し合っているという、非常に自己中心的な考えの持ち主でもある。ヘビースモーカーで大酒飲み。 ルミちゃんという愛人、マレーシア産カニクイ猿のキー公というペットがいる。
大和の妻
小説家の大和の妻。家庭内の一切の責任を大和から任されているが、不始末をする度に大和から暴力と叱責を受けている。言い訳は一切せず、ただひたすらに黙って暴力を受け入れている。しかし、大和本人は気付いていないが、同じ失敗を何度もする、同じ料理ばかり出す、特定の新聞記事をスクラップしているなど、不審な行動も多い。
場所
コロリころげた木の根っ子 (ころりころげたきのねっこ)
大和が構想して書き始めた小説。自分は手を下さずに、相手が罠に掛かるのをひたすら待ち続ける、徹底的に受け身の人間が主人公の物語。