作者が最後に手がけた新連載
超A級スナイパーの活躍を描いた本編『ゴルゴ13』は、小学館「ビッグコミック」にて1968年11月から連載されている人気長寿劇画。本作『ゴルゴ13スピンオフシリーズ』は連載53年目にして初めてのスピンオフ作品である。シリーズ第1弾『銃器職人・デイブ』の連載開始は2021年7月16日。同年9月24日に亡くなった、作者のさいとう・たかをが最後に手がけた新連載となった。主人公のデイブ・マッカートニーは、ゴルゴ13の超絶狙撃を可能にするガンスミス。ゴルゴの無理難題に激怒しつつも期待に応え、ゴルゴの絶大な信頼を得ている人物。本編第37話「AT PIN-HOLE!」(1971年)に初登場以来、しばしば登場することからファンにはおなじみになっており、2022年9月12日には、登場回のベストセレクション『ゴルゴ13 スペシャルエディション1 デイブ・マッカートニーの仕事』も発売された。
リアリティのあるサイエンスドラマ
シリーズ第2弾『Gの遺伝子 少女ファネット』の主人公、ファネット・ゴベールも本編『ゴルゴ13』の登場人物で、初登場は、第562話「Gの遺伝子」。ゴルゴの正体に迫るキーパーソンの登場と、それが制服姿の女子中学生だったことで話題を呼んだ。類まれな身体能力やオリンピック級の射撃の腕を持つファネットは、幼少期にゴルゴからの輸血を受けたことがある。NSA(アメリカ国家安全保障局)によるDNA鑑定では、ゴルゴの娘と断定されたが、当のゴルゴは「輸血した血液に混じっていた幹細胞によるもの」と、血縁関係を否定している。こうした科学的な設定にリアリティを持たせているのが、本編に引き続き脚本を担当している夏緑。京都大学大学院理学研究科博士課程を修了し、本格的な生命科学ものを得意とする小説家・漫画原作者である。
ゴルゴ13が登場しない完全新作スピンオフ
『銃器職人・デイブ』では、ゴルゴはほとんど姿を見せない。まれに登場する場合でも、黒い影で顔が見えないように描かれている。本作ではゴルゴを極力排除し、裏方であるデイブにスポットを当て、あくまでも彼の目線でストーリーが展開していく点が特徴である。『Gの遺伝子 少女ファネット』も同様。第1話でゴルゴの仕事と思われる狙撃はあるが、本人は一切姿を見せていない。ともに、ゴルゴに縁の深い人物を主人公にしながらも、本編とは一線を画す完全新作スピンオフ作品となっている。
登場人物・キャラクター
デイブ・マッカートニー
シリーズ第1弾『銃器職人・デイブ』の主人公。ニューヨークに住む闇の銃器職人(ガンスミス)の中年男性。丸メガネに出っ歯、M字型に後退した広いおでこが特徴。デイブス葬儀社の雑用係を装い、葬儀場の地下をガンスミスの仕事場にしている。ゴルゴ13が要求する無理難題に頭を悩まし悪態をつくことも多いが、結局は要望通りの銃器や弾丸を作り上げ、莫大な報酬と絶大な信頼を得ている。裏通りの「ブルーノ」というマズイ料理のダイナーを好むが、それは客が少なくて目立たなくてよいという理由から。
ファネット・ゴベール
シリーズ第2弾『Gの遺伝子 少女ファネット』の主人公。フランス、パリの私立サン・リュカ中学第4学年に在籍する14歳の少女。身長154センチメートル。左目の下の泣きぼくろ、金髪のポニーテールが特徴。射撃部に所属し、射撃の腕はオリンピック級。IQ180の天才で、学問はもちろん、芸術、スポーツほかあらゆる方面で類まれな才能を持つことから「聖なる怪物」と呼ばれる。幼少期に銃撃事件に巻き込まれ、実母のヘゲドゥシュ・スザナは死亡。ファネットも重傷を負うが、病院でゴルゴ13が輸血のドナーとなり生き延びる。その後、運び込まれた病院を経営するゴベール家に引き取られて育つ。体質的にアルコールに弱いという弱点を持つ。ゴルゴに対して思慕の情を抱き、自分の父親かも知れないと考えていたが、ゴルゴ本人にはっきりと否定された。
ベース
ゴルゴ13 (ごるごさーてぃーん)
単行本200巻を超える、さいとう・たかをの長寿劇画作品。超一流の狙撃者ゴルゴ13が、世界中から不可能と思えるような依頼(主として暗殺)を高額な報酬で引き受け、奇跡のような技と非常に優れた能力で遂行して... 関連ページ:ゴルゴ13
書誌情報
ゴルゴ13スピンオフシリーズ 銃器職人・デイブ 1巻 小学館〈ビッグ コミックス〉
第1巻
(2022-09-30発行、 978-4098614431)
ゴルゴ13スピンオフシリーズ Gの遺伝子 少女ファネット 2巻 小学館〈ビッグ コミックス〉
第2巻
(2024-02-29発行、 978-4098627561)