ゴールデンゴールド

ゴールデンゴールド

恋に悩む1人の少女が謎の生命体を拾ったことがきっかけとなり、ある島に降りかかった異変を描いた、長編サスペンス漫画。「月刊モーニング・ツー」2016年より連載の作品。

正式名称
ゴールデンゴールド
ふりがな
ごーるでんごーるど
作者
ジャンル
オカルト
 
怪談・伝奇
 
サスペンス
レーベル
モーニング KC(講談社)
巻数
既刊9巻
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概要・あらすじ

「福の神」伝説が残る寧島に住む早坂琉花は、想いを寄せている及川が中学卒業後に大阪に引っ越してしまうことを聞き、悩んでいた。そんなある日、海岸で見つけた奇妙な置物を持ち帰った琉花は、及川が大阪に引っ越さないための願掛けをして、山の中の祠に置く。しかしその直後、彼女の目の前に異形が現れ、琉花の家である早坂商店に居着いてしまう。

フクノカミと呼ばれることになった異形の力によって早坂商店は繁盛していくが、その力によって、琉花の周りの人々は金への欲に当てられてしまい、次第に正気をなくしていく。

登場人物・キャラクター

早坂 琉花 (はやさか るか)

寧島に住む、中学生の少女。1年前まで本州に住んでいたが、現在は祖母の早坂町子と2人で暮らしている。思慮深く、落ち着いた性格をしているが、周囲の人間から寄せられる感情を波長として感じ取る能力を持っており、それが原因で、相手を値踏みしているように見られることもある。海岸でフクノカミを拾ったことをきっかけに、それが引き起こした騒動に巻き込まれることになる。

フクノカミ

海岸に打ち捨てられていた、人形のような異形の物体。早坂琉花により拾われ、気まぐれで祠に祀られたところ、自意識を持って動き出した。寧島の外からやって来た琉花や黒蓮、青木にはありのままの姿に見えるが、寧島で生まれた人間には、差し障りのない人間の姿に見えており、騒動になることはない。居着いた場所、店などを繁盛させる効果があり、事実、早坂商店は、この存在によって大きく栄えることとなった。 一方、身近な人物の人格に干渉する能力を持っており、早坂町子の性格を豹変させている。

早坂 町子 (はやさか まちこ)

早坂琉花の祖母で、琉花からは「ばーちゃん」と呼ばれている。早坂商店と、自宅を利用した民宿の経営を行っている。しかしある時、琉花が拾ったフクノカミの力によって人格が変えられてしまい、商売が繁盛する一方、金の為には手段を選ばなくなっていく。寧強会を結成するなどして、強引な手腕で繁盛を加速させようとするが、そのやり方のせいで、人々から次第に恐怖心や敵意を抱かれるようになってしまう。

黒蓮 (くろはす)

東京に住む、小説家の女性。田舎の島を舞台とした小説の構想を練っており、その取材のために寧島を訪れた。勝気で好奇心や探求心が旺盛な一方で、自分の考えが誤っていると知ると、ひどく落ち込んでしまう癖がある。早坂商店の民宿に宿泊した際に、フクノカミと遭遇する。さらに、それに対して何の違和感もいだかない早坂町子に強い警戒心を抱き、フクノカミの本当の姿を見ることができる早坂琉花とともに、さまざまな検証を行う。

青木 (あおき)

黒蓮の担当編集者の青年。黒蓮の執筆する小説の個人的なファンでもある。黒蓮とともに早坂商店の民宿に宿泊した際に、フクノカミと遭遇。黒蓮や早坂琉花とともに調査を行うが、急な仕事が入り、青木1人で東京に帰ることとなる。その際に、フクノカミを扱った企画を立てようとしていたが、いざ東京に着くと、フクノカミに関するすべての記憶を失ってしまう。

及川 (おいかわ)

早坂琉花の同級生の少年。筋金入りのオタクで、寧島から大阪に引っ越すことが決まった際も、大型のアニメショップがあることを真っ先に喜ぶほど。一方で、何事にも偏見を持たず、本気で向き合う性格のため、琉花からは想いを寄せられている。なお、及川自身は寧島の出身であるため、フクノカミが普通の人間と同じように見える。

ハルオ

早坂琉花の親戚にあたる青年。叔母である早坂町子の頼みで、早坂商店で店番をすることもある。大らかな性格で、店番の報酬を町子に差し出された時も、身内だからと受け取りを遠慮しようとする。フクノカミによって豹変した町子の戦略にも文句ひとつ言わずに付き合い、のちにM2マート寧島1号店の店長に就任する。

仁五井 (にごい)

早坂商店の隣に住んでいる、老年の女性。早坂町子の友人で、町子からは「律ちゃん」と呼ばれている。息子に同居を勧められたことで引っ越しを予定しているが、その際に、現在の家を売るように町子から求められる。仁五井自身は、愛着があるため乗り気ではなかったが、代金として札束を差し出され、唖然としてしまう。

岩奈 (いわな)

スーパー岩奈屋の社長を務める、中年の男性。フクノカミによる早坂町子の人格豹変に感づき、それとなく探りを入れ始める。また、M2マート寧島1号店を開店し、さらにはスーパーマーケットを作るという町子に対し、スーパー岩奈屋が立ち行かなくなるという危機感を抱く。岩奈屋を守るため、渋々ながらも、友人である梶刈に妨害工作を依頼する。

神月 神那女 (かみつき かなめ)

及川が憧れている声優の女性。M2マート寧島1号店開店の際に、早坂町子によって招かれ、1日店長に就任した。寧島の大人たちには知られていなかったが、かつてM2マートでアルバイトしていたことがあり、その経験による手際の良さで人気を集めた。また、及川たちに対しては、自身がが出演しているアニメの台詞を聞かせて、大いに喜ばれた。

有下 (ありげ)

寧島で喫茶店を営んでいる中年男性。10年前に島の外から引っ越して来たため、フクノカミの姿を見ることができる。そのため、商工会の会合にフクノカミが現れた際に、大いに戸惑いを見せた。しかし同時に、早坂町子の羽振りが急によくなった理由がフクノカミにあることを推測し、町子の立ち上げた寧強会に加入することを決める。 その結果、急に喫茶店に大勢の客が訪れるようになったため、フクノカミに対して深く感謝するようになる。

茶虎 宇斗 (ちゃとら うと)

おもに歴史関係を手掛けるライターの男性。特に江戸時代に興味を持っており、寧島の歴史についても詳しい。一方で、酒癖が悪く、酔った勢いでセクハラめいたことを口にしてしまうこともある。フクノカミについて調査をしていた黒蓮に対して、かつての寧島が、一時期大きな発展を見せていたことを語った。

梶刈 (かじかり)

寧島に住む中年男性で、岩奈とは幼なじみの関係。ガラが悪く、裏ではチンピラなどを雇って、地上げや嫌がらせのようなこともしている。スーパー岩奈屋を守るためとして、M2マート寧島1号店へ嫌がらせをすることを岩奈に提案し、承諾を得て実行する。しかし、フクノカミの差し金で凶暴になった梶刈の部下と乱闘になり、その拍子に後頭部を地面に打ち付けて死亡した。

梶刈の部下 (かじかりのぶか)

梶刈とともに、早坂町子への嫌がらせを実行した青年。トラックの運転手を任されており、M2マート寧島1号店の入り口に大量のゴミをまき散らした。しかしその夜、フクノカミが海底から呼んだ謎の虫に刺されたことにより、凶暴化。本能のままに暴れ出し、梶刈と乱闘になった挙句、殺してしまう。

集団・組織

寧強会 (ねいきょうかい)

寧島の経済活性化を謳い、早坂町子が設立した会。町子は、会費として集めた金を寧島発展のために使うことと、自らは売上金の1割を経費として計上することを宣言している。しかし、これはフクノカミによって豹変した町子の提案によるもので、実質的にはフクノカミの傀儡組織となってしまう。

場所

寧島 (ねいじま)

広島県周辺の海に位置する、小さな島。かつて福の神が訪れたという伝説があるが、それによって観光地になっているわけではない。江戸時代も地味な漁村だったとされているが、茶虎宇斗の調べによると、景気が良かった時期もあるという。

早坂商店 (はやさかしょうてん)

早坂町子が営んでいる小さな商店。民宿も兼ねているが、黒蓮や青木が訪れるまでは、しばらく宿泊客に恵まれなかった。しかし、早坂琉花がフクノカミを拾ったことで、商店は連日客が押し掛けるようになり、民宿に対しても、宿泊を希望する客が殺到するようになった。

M2マート寧島1号店 (えむつーまーとねいじまいちごうてん)

大手コンビニのチェーン店。フクノカミの干渉によって豹変した早坂町子が、寧島発展のために開店した。早坂商店を手伝っていたハルオが店長で、開店日には記念イベントとして、神月神那女が1日店長を務めた。島内初のコンビニとして人気を集めているうえに、フクノカミの力もあって、空前の賑わいを見せる。

スーパー岩奈屋 (すーぱーいわなや)

寧島に昔から存在しているスーパーマーケット。現在は、父親から受け継ぐ形で岩奈が社長を務めており、昔からの客にも贔屓にされていた。しかし、早坂町子がM2マート寧島1号店を開店したことにより客足は遠のき、町子が新たなスーパーマーケットも開くと宣言したことで、さらなる窮地へと追い込まれる。

その他キーワード

波長 (はちょう)

感情を含んだ気配の流れ。早坂琉花は、疑念や興味といった感情の種類と、それがどこに向けられているのかを視認することができ、それを波長と呼んでいる。しかし、なまじそれが見えてしまうため、人と一線を引いて接してしまうことも多く、それを快く思わない人も存在する。

書誌情報

ゴールデンゴールド 9巻 講談社〈モーニング KC〉

第1巻

(2016-06-23発行、 978-4063886153)

第2巻

(2017-01-23発行、 978-4063886894)

第3巻

(2017-10-23発行、 978-4065102022)

第4巻

(2018-05-23発行、 978-4065113875)

第5巻

(2018-12-21発行、 978-4065140550)

第6巻

(2019-07-23発行、 978-4065165058)

第7巻

(2020-06-23発行、 978-4065190791)

第8巻

(2021-02-22発行、 978-4065221174)

第9巻

(2021-11-22発行、 978-4065246801)

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