ゴールデン・デイズ

ゴールデン・デイズ

心に大きなトラウマを抱える男子高校生相馬光也は、曾祖父・慶光の死と転落事故をきっかけに、大正時代へとタイムスリップしてしまう。光也はそこで、若き日の慶光に間違われながら、生活することとなる。

正式名称
ゴールデン・デイズ
ふりがな
ごーるでん でいず
作者
ジャンル
タイムトラベル
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概要・あらすじ

幼い頃に誘拐にあい、心に大きなトラウマを抱える男子高校生・相馬光也は、曾祖父・慶光の死と転落事故をきっかけに、大正時代へとタイムスリップしてしまう。光也はそこで、曾祖父の幼なじみである春日仁に、若き日の慶光に間違われてしまい、記憶を失った慶光として生きることとなる。生前の慶光が口にした後悔の言葉や、彼の行動の理由を探しながら、生きていく光也

タイムスリップした自分の従兄弟のと出会い、自分達が元の時代に戻る可能性や、この時代の人々と心を交すことについて、考えるようになっていく。

登場人物・キャラクター

相馬 光也 (そうま みつや)

『ゴールデン・デイズ』に登場するキャラクター。男子高校生。毎週土曜日は、祖父の見舞いに行く。十四年前の二歳の頃に一度、誘拐されている。ヴァイオリニストとしての才能を持ち、将来を嘱望されていたが、誘拐をきっかけに、自分自身外出に恐怖を覚えるようになり、また母が彼が一人で出歩くことを拒絶するため、断念した。祖父慶光の死の直後に起こった地震により、大正十年八月三十一日にタイムスリップしてしまう。 祖父の幼なじみである仁と出会い、しばらくの間、慶光と勘違いされるが、その後、彼とは異なる部分を認められ、光也として扱ってもらえるようになる。藤ノ森学園高等学校にも登校するようになった。慶と再会し、自分たちがタイムスリップしてきた意味と、運命が可変であるかどうかについて考えるようになる。 慶光の足跡をたどり、浅草の十二階下と呼ばれる私娼窟に赴き、そこで慶光を知る暴漢に襲われる。慶光と因縁を持つ女性つゆこに助けられ、売春を行っている彼女を助けようと奮闘する。春日家を年賀で訪れた際に、百合子を襲おうとした東堂という男性を取り押さえようとするが昏倒、その後、東堂が自分の杖によって、何者かに殴られているのを目撃し、逃走。 最終的に、自分自身が犯人ではないと判明した。仁から、常保が、暴行や罪を着せること、すべてを画策したのではないかと指摘され、過去を探り始める。仁と共に、つゆこの出身地であり、慶光の両親が死んだ場所である万倉谷温泉へと向かう。 常保が百合子たちと共にいるという連絡をもらい、帰宅。常保と対面し、慶光から彼が慶光の両親を殺した真相をしたためた手紙を読んだ。激高した仁が、常保に向けて銃を撃つが、怒りのままに人を傷つけてはいけないと感じた光也がかばった。本来の歴史では、そこで常保が怪我をし、その二年後に死亡。 仁も不幸になるはずだった。すべてが終わったあと、仁に黒のナイトの駒を預けて、現世に戻った。曾祖父・慶光から皆のその後を聞く。その後、亜伊子の曾孫である生方より、仁の形見として黒のナイトの駒を返される。

相馬 慶光 (そうま よしみつ)

『ゴールデン・デイズ』に登場するキャラクター。光也の曾祖父で、子爵家の遺児。仁とは幼なじみ。仁の祖父に、姉の百合子か自分のどちらかが見合いをするように持ちかけられ、自分がすると主張。しかし、見合いの日に行方をくらませた。仁たちとの間のあだ名であるナイトは、チェスからとったもの。仁から自分へ向けられている愛を知っているが、親兄弟という不変の関係でなく、恋人という縁の切れるようなものにはなりたくないと拒絶した。 臍の右側に、仁と同じほくろがあるように見せかけていたが、実はインクの跡だった。光也が現れた後も存在しており、万倉谷温泉の平吉からの懺悔の手紙を読んで、一人で自分の両親の死の真実である、常保の暗躍を明らかにしようとしていた。 軽井沢や、春日家の邸宅、万倉谷温泉の平吉の元を訪れる。最後、真相をしたためた手紙を、春日家に届けた。光也が現れない世界では、仁が常保を銃で撃ち、そのために不幸になっており、慶光はそのことを深く悔やんでいた。

春日 仁 (かすが じん)

『ゴールデン・デイズ』に登場するキャラクター。慶光の幼なじみの青年で、春日家の嫡男。タイムスリップしてきた光也を慶光と勘違いして、彼に殴りかかった。慶光の見合いを潰そうと考えており、婚約者である妙子の前で、彼の頬にキスをした。母はイタリア人で、仁自身も瞳が緑色。春日家に引き取られた際、家族や女中たちに冷淡に扱われていたが、親を亡くして引き取られた慶光は、彼を大切にしてくれた。 そのため、彼に強い執着を見せる。慶光たちとの間のあだ名であるキングは、チェスからとったもの。春日家の嫡男であるため、暴漢に襲われることも。亜伊子への態度故に、母親を憎んでいる。藤ノ森学園高等学校在籍。 臍の右側に、慶光と同じほくろがある。光也に無いことに気づき、彼が慶光とは別人であることにショックを受ける。しかしその後、元々慶光にはほくろはなかったと百合子から聞かされる。光也を浅草で襲った男や、東堂を殴って彼に罪を着せようとしたのが、叔父の常保じゃないかと疑っている。光也と共に、つゆこの出身地であり、慶光の両親が死んだ場所である万倉谷温泉へと向かう。 常保が百合子たちと共にいるという連絡をもらい、帰宅。常保と対面し、慶光から彼が慶光の両親を殺した真相をしたためた手紙を読んだ。激高した仁が、常保に向けて銃を撃つが、怒りのままに人を傷つけてはいけないと感じた光也がかばった。 本来の歴史では、そこで常保が怪我をし、その二年後に死亡。仁も不幸になるはずだった。後にイタリアに渡り、第二次世界大戦では大尉として活躍。

冴木 妙子 (さえき たえこ)

『ゴールデン・デイズ』に登場するキャラクター。慶光の見合い相手で、軍閥の名家の子女。光也に仁がキスした場面を目撃し、気絶。実は、山辺と二年間交際を続けていた。彼と結婚したい旨を訴えるが、逆に監視が厳しくなってしまい、一ヶ月近く会えない状態だった。山辺と会いたい一心で、百合子と、同じ学校に通う光也たちに接触。 彼らの手引きで、中国の大連へと、駆け落ちをすることが出来た。

春日 亜伊子 (かすが あいこ)

『ゴールデン・デイズ』に登場するキャラクター。男装をしている十二歳の少女。母はイタリア人で、亜伊子自身も金髪。慶光ではなく、光也であることを、真っ先に見破った。仁たちとの間のあだ名であるビショップは、チェスからとったもの。双子の弟であるカイは病弱で、幼い頃に死亡。それをきっかけに母親が亜伊子をカイと信じるようになったため、男装をしている。 年賀に撮っていた、ドレスを着ていた写真を仁が母に送り、母は正気に戻った。その後、家庭教師の息子だった祭という青年と結婚。子供をもうけるが、祭は戦争で死亡した。

相馬 百合子 (そうま ゆりこ)

『ゴールデン・デイズ』に登場するキャラクター。慶光の姉。仁たちとの間のあだ名であるクイーンは、チェスからとったもの。光也が慶光ではないことを、一応は受け入れるものの、涙している場面もあった。国見隼人とは、幼い頃両親を亡くして、心労のためふせっていた際によくして貰ったため、懇意になっていた。隼人を愛していたが、彼が女性と同衾している場面を目撃してしまい、一旦破局。 その後、隼人からの贈り物に態度を軟化させる。妙子の駆け落ちの手引きをする。見合いをさせられていた百合子を、隼人が自分がもらい受けると宣言。最終的に許しを貰って、彼女と結婚した。間にもうけた一子は、戦争で死亡。隼人も終戦の翌年に、過労のため死去、その翌年に百合子も死亡した。

田辺 つゆこ (たなべ つゆこ)

『ゴールデン・デイズ』に登場するキャラクター。六重鉱山という、東北の炭鉱の町にいたが、慶光の両親と出会い、彼らと共に東京に出てきた。薬問屋の奉公をしており、同じ店にいた男と結婚したが、薬問屋の主人夫婦は死亡、男も借金を作って、別の女と逃げてしまった。その借金を返すため、浅草の十二階下と呼ばれる私娼窟で生きるようになった。 薬問屋で奉公していた頃に、一度お使いで春日家の邸宅を訪れ、慶光と亜伊子に会ったことがある。慶光の足跡を追って、十二階下を訪れ、暴漢に襲われていた光也を助けた。その後、光也に心を救われ、大阪にいる母の元へと旅立っていった。

春日 常保 (かすが つねやす)

『ゴールデン・デイズ』に登場するキャラクター。春日家の血筋で、仁たちの叔父。妻は赤名家で、様々な事業を成功させている財閥。つゆこの出身地である六重鉱山を運営する、赤名鉱業も持っており、常保は専務理事を務めている。六重鉱山の公害防止工事のやり直しを提言していた慶光の両親を疎み、孫を人質にかごやの平吉を使って、車に細工させ、二人を殺した。 慶光から彼が慶光の両親を殺した真相をしたためた手紙を読んで、激高した仁が、常保に向けて銃を撃つが、怒りのままに人を傷つけてはいけないと感じた光也がかばった。本来の歴史では、そこで常保が怪我をし、その二年後に死亡。仁も不幸になるはずだった。

山辺 秋一 (やまべ しゅういち)

『ゴールデン・デイズ』に登場するキャラクター。藤ノ森学園高等学校に在籍。妙子と二年間、文通や交際を続けている。北国の農家の息子。光也たちに一芝居打って貰い、妙子との駆け落ちを成功させた。

相馬 慶 (そうま けい)

『ゴールデン・デイズ』に登場するキャラクター。光也のいとこ。父は厳格だが、家族に暴力を振るう男で、慶もその暴力に対抗して力をふるうように。両肩に入れ墨があり、現代ではトラック運転手。幼い頃、光也が壊してしまった車のおもちゃを直してやったことがある。光也と共に、大正十年八月三十一日にタイムスリップ。 しばらくホームレス同然の生活を送るが、カフェ・金星のオーナーだった老人を助けたことをきっかけに、住み込みでオーナーをするようになった。自分がタイムスリップしてきた意味について深く考え、この時代の人間を愛するということは、いずれくる大震災や第二次世界大戦で奪われることでもあると感じている。節と出会い、捨て子を拾って育てながら、この時代の人間と心を通わすことを考えていく。 段々と節に惹かれていくことに耐えられず、一度店を出るが、地震で彼女が死ぬ姿と、戻れと言う慶光の姿を夢に見て、店に戻り、節を助けて、本心の愛情を口にした。節と所帯を持ち、彼女とともに、関東大震災のあとは、共に震災孤児を複数引き取り、育てていた。

(せつ)

『ゴールデン・デイズ』に登場するキャラクター。カフェ・金星のウェイトレス。北の塗り師の家の娘。以前の奉公先で、主人に暴力を振るわれ、逃げてきたところを、慶に救われた。慶を心から慕っている。地震の時に慶に救われ、その後結婚。慶とともに、関東大震災のあとは、共に震災孤児を複数引き取り、育てていた。

国見 隼人 (くにみ はやと)

『ゴールデン・デイズ』に登場するキャラクター。相馬家と長いつきあいのある国見家の息子で、慶光と百合子の幼なじみ。両親を亡くし、ふせっていた百合子に、つたないながらも絵を贈った。百合子とは心を通わせていたが、彼に思いを寄せていた、やよいという名の女性に、酔わされた挙げ句同衾されたところを、百合子に目撃され、一時破局。 その後、幼い頃の約束を表した贈り物をし、態度を軟化して貰うが、再度同じ女性からアプローチを受けているところを目撃され、激怒される。女性に好かれやすいが、言動が無神経(名前を間違える、百合子に心から寝たいのはおまえと伝える)であるため、破局もしやすい。父が軽井沢で慶光を見たと、光也に伝える。 見合いをさせられていた百合子を、自分がもらい受けると宣言。最終的に許しを貰って、彼女と結婚した。間にもうけた一子は、戦争で死亡。当人も終戦の翌年に、過労のため死去した。

集団・組織

春日家 (かすがけ)

『ゴールデン・デイズ』に登場する家系。現当主は、仁と亜伊子の祖父。伯爵家であり、祖父は国会議員。

藤ノ森学園高等学校 (ふじのもりがくえんこうとうがっこう)

『ゴールデン・デイズ』に登場する学校。仁・慶光たちが通う。作中での「学」の表記は旧字体。

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