概要・あらすじ
小学校の学芸会では、いてもいなくても支障がない村人役ばかり。その他大勢にまぎれてしまう平凡な女の子、藤ヶ谷咲。ある日、満員電車で貧血を起こしてしまい、倒れそうになっていると、誰かが窓を開けてくれ、入ってきた風でなんとか次の駅まで耐えることができた。人をかき分け、やっとホームに降りるとカバンだけ車内に取り残され、扉が閉まって電車が発車してしまう。「おばあちゃんに作ってもらった大切なカバンが」と思いながら意識を失う咲。救護室で目覚めると、駅員さんからカバンが届いていると聞いてホッとする。引き返してカバンを届けてくれた人は「車内にいるときから具合が悪そうだった」と咲を心配してくれていたという。咲は「窓を開けてくれたのはきっとその人だ」と感動し、優しい神様みたいなその人に自分の気持ちを伝えたいと思った。そしてその日から「困っている人を見たら絶対放っておかない」と心に決めたのだった。高校に進学した咲は、同じクラスの桜陽希の兄の名前が、あの日助けてくれた桜亮介と同姓同名であることを知る。実は咲は人づてに桜亮介の情報を得て、遠くから彼の顔を見たことがあった。そして咲には感謝以上の気持ちが芽生えていったのだった。咲はお兄さんに手紙を渡して欲しいと陽希に頼んだ。よく知らない咲の頼みなど聞く義理もない陽希は、冷たく断る。咲はこのチャンスを逃すまいと陽希にしつこくつきまとった。最初は咲のことを迷惑がっていた陽希だったが、あちこちで懸命に人助けをしている咲にしだいに興味を持ち、手を貸すようになっていく。そして咲も陽希のさりげない優しさに気づき始める。咲から事情を聞いた陽希は「亮介に会わせてやるから自分で手紙を渡せ」と咲に協力してくれることになる。
登場人物・キャラクター
藤ヶ谷 咲 (ふじがや さく)
高校1年生の女の子。その他大勢にまぎれてしまう普通の女の子。電車で自分を助けてくれた桜亮介にお礼を言うつもりだったが、遠巻きに彼の顔を見た時に特別な感情が芽生える。電車で助けてもらってから「困っている人を見たら絶対放っておかない」と心に決め、「いい子ぶりっ子」と言われることさえも嬉しい。髪型はあごまでの長さのボブカット。早とちりしてしまうことが多い。
桜 陽希 (さくら はるき)
高校1年生の男の子。ぶっきらぼうだが、優しく友達からも慕われている。少しつり目で短髪。二つ上の桜亮介という名の兄がいる。亮介はとてもモテるため、女子から手紙を渡して欲しいなどと橋渡しを頼まれることが多い。周りから「優しい」と言われると、赤くなって否定する。
桜 亮介 (さくら りょうすけ)
高校生の男の子。桜陽希の二つ上の兄。イケメンで昔からモテていた。はっきりモノを言うので、冷たいと誤解されがちだが、実は気遣いのできる優しい人物。髪色は明るめで毛先を遊ばせている。
書誌情報
サクラ、サク。 9巻 集英社〈マーガレットコミックス〉
第1巻
(2021-05-25発行、 978-4088444888)
第5巻
(2022-08-25発行、 978-4088446929)
第6巻
(2022-12-23発行、 978-4088447056)
第7巻
(2023-04-25発行、 978-4088447407)
第8巻
(2023-08-24発行、 978-4088447957)
第9巻
(2023-12-25発行、 978-4088448503)