概要・あらすじ
日本からブラジルへと向かう貨客船・サントス丸は、航海二日目に何者かからの襲撃を受けて沈んでしまう。乗客だった三人の少年、水早健次、日下五郎、海野千太は幸運にも近くを通りかかった潜水艦・707号に拾われて一命を取り留める。707号は怪潜水艦を追跡している最中であり、身寄りが無く海を好む三人は進んで船の仕事を手伝うように。
その内に、怪潜水艦を操っているのが、707号の艦長・速水の旧友シュミット・ウルフであること、彼がU結社なるものを設立し世界統一を目指していることなどが明らかになる。死力を尽くしウルフの野望を打ち砕いた707号は、三人の少年を正式に訓練兵として受け入れた。
やがて旧式の707号は最終航海を迎えるが、そこでまた奇妙な事態に遭遇、更なる戦いへと臨んでいくのだった。
登場人物・キャラクター
速水 (はやみ)
海上自衛隊の潜水艦・707号うずしおの艦長を務める中年の男性。階級は一佐。小太りで、パイプを持っていることが多い。第二次世界大戦でも活躍した歴戦の軍人で、海で生きることを望んでいる。難破したサントス号に乗船していた三人の少年を救助、後に707号に受け入れる決断を下す。 腕白な彼らに手を焼きつつも、身寄りの無い彼らの親代わりとして面倒を見ている。
南郷 (なんごう)
初登場時海上自衛隊の潜水艦・707号うずしおの副艦長。階級は三佐。実戦経験は持たないものの、冷静な判断力を持つ優秀な軍人。後に実力が認められて二佐に昇進、708号の艦長に任命される。
水早 賢次 (みなはや けんじ)
身寄りが無く、ブラジルへの移住を考えていた少年。乗っていた船が沈没した後、707号に拾われた少年の内の一人。行動力に溢れ、三人の中ではリーダー格。父親は元速水の部下であり、優秀な砲撃手だった。戦艦に詳しく、モールス信号を理解するなど一定の知識も持ち合わせる。707号の見習い雑用係を経て、偵察用小型潜水艇ジュニア一号の艇長に任命される。
日下 五郎 (くさか ごろう)
身寄りが無く、ブラジルへの移住を考えていた少年。乗っていた船が沈没した後、707号に拾われた少年の内の一人。父親は海上自衛隊にまで名前が通った航空自衛隊のエースパイロット。707号の見習い雑用係を経て、偵察用小型潜水艇ジュニア二号の艇長に任命される。
海野 千太 (うんの せんた)
身寄りが無く、ブラジルへの移住を考えていた少年。乗っていた船が沈没した後、707号に拾われた少年の内の一人。多少抜けたところがあるが、基本的に素直な性格。707号では炊事係を務めている。得意料理はコロッケだが、ほとんどそれしか作らないためクレームがくることも。
シュミット・ウルフ
第二次世界大戦中に速水と共闘し、彼に命を救われたこともある元ドイツ軍の中尉。世界の統一を目指し、U結社なる組織を立ち上げて怪潜水艦・UC140でテロ行為を繰り返していた。最初は恩人である速水との戦いを避けたが、後に部下の嘆願を聞き入れて敵対する。不屈の精神を持ち、大胆な戦術を取る。
ジャック・レッド
第二次世界大戦時に日本軍との戦闘中に沈んだと思われていたアメリカ海軍の戦艦・コッド・フィッシュ号の艦長を務めていた大佐。沈没した先で発見した海底王国・ムウ大陸を拠点にして世界征服を計画している。前時代的だったムウ大陸を大幅に機械化し、洗脳装置まで作り上げるなど非常に高い技術力を持っている。
メナム
ムウ大陸を統治する女王の弟。ジャック・レッドの野望にいち早く気が付き、彼を信用する姉に代わり国を守ろうとしている。技術力に乏しいムウ大陸で生まれ育ったが、銃や船を扱いこなすなど順応性も高い。
ラマポ
某軍事国家・N国出身の優秀な科学者。太平洋を一周して南極海にまでおよぶ大ジェット海流の存在を提唱し、軍の協力を得てその証拠を掴む。しかし、世界に公表すべきとする自分の意志とは真逆に、軍事利用を考える軍によって口封じの為に命を狙われてしまう。
ケーン・エイモス
アメリカ軍に所属する少尉。父親・エイモス中佐の意志を引き継いで、アメリカ軍の最新式潜水艦・アポロ・ノーム号を乗っ取り、人類の統一を目指す危険思想の持ち主。何度か命の危険に会うも、生き残る強運を持つ。
場所
ムウ大陸 (むうたいりく)
『サブマリン707』に登場する国家。遥か昔に海に沈み、現在では海底に存在する国。若き女王が統治している。技術力は進歩していなかったが、20年前に漂着した軍人・ジャック・レッドによって急速に軍事化が進められている。
その他キーワード
SS707号うずしお (えすえすななまるななごううずしお)
『サブマリン707』に登場する兵器。海上自衛隊が保有する攻撃型潜水艦。通常707号と呼ばれ、速水が艦長を務める。船首にはタツノオトシゴの絵が、潜望鏡には顔の絵が描かれている。基本性能の低い旧式の潜水艦であり、他船の乗組員からはドンガメと蔑まれていたが、速水の指揮の下実力以上の成果を叩きだす。 その後改良され性能を大幅にあげ、ジュニアという二機の偵察用小型潜水艇を備える。
アポロ・ノーム号 (あぽろ・のーむごう)
『サブマリン707』に登場する兵器。最新の技術を詰め込み、全長800m、重量100万トンという巨体を持つ万能戦艦。六隻の潜水艦を搭載し、また母体も潜水機能がある。人間の誇りと平和の守り神として建造されたが、ケーン・エイモスによって悪用されてしまう。
サブマリン教室 (さぶまりんきょうしつ)
『サブマリン707』の作中コーナー。小沢さとるによって、物語中に登場した兵器や潜水艦の機能について解説している。ムウ大陸編とジェット海流編ではサブマリン百科と名前を変え、アポロ・ノーム編で再びサブマリン教室に名前を戻すも、中盤以降は存在を消してしまった。