エロイカより愛をこめて

エロイカより愛をこめて

美形で男色家のイギリス人美術品泥棒(通称エロイカ)と、ドイツのNATO情報将校(通称「鉄のクラウス」)が、ヨーロッパを舞台に、お互いの目的の遂行のために協力したり反目したりして繰り広げるスパイアクション・コメディ。

正式名称
エロイカより愛をこめて
ふりがな
えろいかよりあいをこめて
作者
ジャンル
アクション
 
ギャグ・コメディ
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概要・あらすじ

巻き毛の長い金髪が麗しい美形のイギリス人ドリアン・レッド・グローリア伯爵、表向きは美術品収集家の貴族だが、実は美術品泥棒であった(通称怪盗エロイカ)。男色家でもある彼は、仕事に関係してきた強面のNATO軍情報部ボン支部のエーベルバッハ少佐の熱烈なファンになってしまう。エーベルバッハ少佐が陰謀の壊滅という任務を遂行しようとするとき、エロイカは美術品窃盗のために少佐の任務にからんでしまう。

お互いの目的の遂行のために協力したり反目したりを何度も繰り返し、事件は解決され、伯爵は獲物を手に入れるのである。

登場人物・キャラクター

ドリアン・レッド・グローリア伯爵 (どりあん・れっど・ぐろーりあはくしゃく)

表向きは美術品愛好家の貴族(伯爵)だが、その正体は美術品専門の窃盗犯「怪盗エロイカ」だった。巻き毛の長い金髪が麗しい美形のイギリス人で、男色家。年齢不明。派手で目立つことが大好きで、プライドも非常に高い。美意識も非常に高く、自分の気に入ったものしか盗まない。 中世欧州美術に関して豊富な知識を持ち、何かというとうんちくを語る。ロンドンの館に住んでいる。父親の影響で同性愛に目覚め、かつ「海賊の子孫」であることをさんざん父より吹きこまれ、盗賊の道を選んでしまう。エーベルバッハ少佐の大フアン。青池保子の作品『七つの海七つの空』の主人公、海賊ルミナス・レッド・ベネディクトの子孫という設定がある。 モデルは実在するロック・バンド「レッド・ツェッペリン」のロバート・プラントと思われる。

クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ

NATOドイツボン支部の情報部将校(少佐)。長身で漆黒の長髪、鋭い目つきのドイツ人。年齢不明。知力・体力・精神力全てに優れており、非常にストイックですべてに仕事を優先させる。ついた呼び名が「鉄のクラウス」で、世界中のスパイから恐れられている。部下26人を操り、NATOの平和のために日夜戦っている。 美術に無理解で、伯爵のことを嫌っているが、その泥棒の腕を利用することも多い。ボン近郊にあるエーベルバッハ家伝来の城に、執事らと住んでいる。甘い食べ物が大嫌い。青池保子の作品『エル・アルコン-鷹-』の主人公、ティリアン・パーシモンの子孫という設定がある。

ジェイムズ

伯爵の経理士で、窃盗の手助けも行う。ウエイブのかかった黒髪で、常に片目が前髪で隠れている。それなりの美形だが少々短躯。姓・年齢は不明。ケチで暴利をむさぼるのがとても好き。伯爵を愛しているが、小銭への愛が上回ることも多い。物語が進むごとに吝嗇やゴミ愛好がエスカレートし、「金の匂いを敏感に嗅ぎつける」「鼠の大群を操る」などの能力を有する人間離れしたキャラクターとなった。 モデルは実在するロック・バンド「レッド・ツェッペリン」のジミー・ペイジと思われる。

ボーナム

伯爵の部下筆頭。マッシュルームカットで口ひげを生やした温和な男。姓・年齢は不明。有能で、窃盗の立案・実行に関し、機材や車両を担当する。インターネットでの情報入手も行う。伯爵とジェイムス君の板挟みになることもしばしば。少佐の部下Aとはメール友達。モデルは実在するロック・バンド「レッド・ツェッペリン」のジョン・ボーナムと思われる。

部下A (ぶかあー)

NATOドイツボン支部情報部におけるエーベルバッハ少佐の部下26人の筆頭。少佐不在時の指揮権を持つ。ドイツ語読みのアルファベットで呼ばれ、決して名前で呼ばれることがなく、年齢も不明。金髪で少々背が低く、童顔。生真面目で責任感が強いが、少しばかり小心者。美人の妻がいる。 伯爵の部下ボーナムとはメール友達。

部下B (ぶかべー)

NATOドイツボン支部情報部におけるエーベルバッハ少佐の部下26人のNo.2。丸顔でアフロヘアの、楽天家。いい加減な性格をしており、太り気味の男性。名前・年齢は不明。すぐに仕事をサボりたがる。

部下G (ぶかげー)

NATOドイツボン支部情報部におけるエーベルバッハ少佐の部下26人の一人。女装が趣味の金髪の青年で、潜入調査や聞き込みといった仕事でも女装する。名前・年齢は不明。少佐と伯爵がとても好き。少佐の直属上司の部長から寵愛を受けている。物語後半では、部下Zと一緒に行動することが多くなる。

部下Z (ぶかつぅえっと)

NATOドイツボン支部情報部におけるエーベルバッハ少佐の部下26人の中で一番新人。金髪長身でハンサム。純情な青年。名前・年齢は不明。物語後半では、部下Gと一緒に行動することが多い。彼が主人公の、『Z -ツェット-』というスピンオフ作品も描かれている。

部長 (ぶちょう)

NATOドイツボン支部情報部におけるエーベルバッハ少佐の直属上司。名前・年齢は不明。少佐の能力は評価しているが、恐れている。結婚しているが美青年も好きな、禿頭に口ひげの初老の肥満体ドイツ人男性。伯爵のフアンで、イギリス諜報部SISの部長ミスターLと仲が良い。 部下G・部下Zのことが好き。甘い食べ物に目がない。

チャールズ・ロレンス (ちゃーるずろれんす)

イギリス諜報部SISのエージェントで少尉。黒髪オールバックの長身の色男だが、007気取りのおちゃらけ者。かつ、派手好きで周囲の注目を集めることを好む。年齢は不明。任務遂行能力はあまり無いようである。少佐のフアンだが、少佐と伯爵の両方から嫌われている。

ミスターL (みすたーえる)

イギリス諜報部SISの部長。非常に肥満した、巨漢で初老の男性。名前・年齢は不明。ロレンスの上司。NATOドイツボン支部情報部の部長と仲が良く、伯爵のフアン。7歳の孫娘メリンダを非常に可愛がっており、何かというと彼女の話をする。ロンドン郊外に住む。

仔熊のミーシャ (こぐまのみーしゃ)

旧ソビエト連邦KGB・現ロシア連邦SVRの武闘派エージェント。スキンヘッドでいつもサングラスをかけている強面の中年男性。名前・年齢は不明。冷戦時代は、少佐の抹殺が悲願で、作品中で何度も命のやりとりを行った。冷戦後は少佐と共同作戦をとることも多くなるが、あまり快く思っていない。 部下たちもみんなサングラスをかけている。一男一女の四人家族である。猫が好き。

白クマ (しろくま)

旧ソビエト連邦KGB・現ロシア連邦SVRのエージェントで、仔熊のミーシャの上司。白髪と口ひげの、渋い中年ロシア人。知性的な紳士。名前・年齢は不明。冷戦時はソビエト大使館の書記官が表の姿だった。冷戦後はモスクワのSVR本部にいる。 ミーシャととても強い信頼関係を築いている。

ルイ・サンドリエ

フランス情報局のエージェント。コードネームはQで、情報部員リストの4番目(フランス語の4)にいることから。年齢は不明。有能だが冷徹で独断専行を好み、フランス情報局内部でも問題視される。少佐や伯爵の邪魔をするが、共闘も行う。伯爵の首に時限爆弾を仕掛けたこともある。

ディック・グラント

アメリカ合衆国CIAのエージェント。マッチョで金髪のアメリカ人。年齢は不明。尊大かつ直情型、体力だけは少佐と張り合える。

シーザー・ガブリエル

イギリスの超能力者三人組の一人。大天才で超能力者の、金髪の美青年。18歳にしてロンドン大学の講師をしている。美しいものをこよなく愛する伯爵の、同性愛の標的になる。超能力者シュガー・プラム、レパード・ソリッドと一緒に伯爵と戦う。

コンラート・ヒンケル

エーベルバッハ家に、少佐の父から二代にわたって高い忠誠心で仕える執事。早くに母を亡くした少佐を少佐の父と育ててきた。少佐の身辺の世話から城の家事全般を、他の使用人たちに指示して取り仕切っている。頭髪が薄く、「すだれ頭」になっている。年齢は不明。

少佐の父 (しょうさのちち)

エーベルバッハ少佐の父親。スイスのチューリヒに隠居して、回顧録を執筆中。第二次大戦中は、ドイツ軍の戦車隊長であった(ナチスではなかった)。回想シーンに姿を表したが現在の姿は出てこず、電話か執事への伝言で存在を垣間見せるのみである。名前・年齢は不明。 少佐に無理難題を言う。少佐は内心で、彼を「じじい」と呼んで煙たがっている。

伯爵の父 (はくしゃくのちち)

伯爵の父親。金髪の美男子。故人。名前・年齢は不明。男色家で、才能ある青年たちを集めてサロンを開いていた。伯爵が泥棒修行を始めた際「海賊だった先祖の血だ」と喜ぶ。

伯爵の母 (はくしゃくのはは)

伯爵の母親。名前・年齢は不明。伯爵が泥棒修行を始めたことを、夫が喜んだために離婚を決意する。伯爵以外に三人の娘(伯爵の姉)がいたが、母側について行ってしまった。この娘たちの養育費に、伯爵の父は財産を大量に持って行かれてしまう。

山高帽の男 (やまたかぼうのおとこ)

伯爵が少年の頃、泥棒技術を教えてくれた男。伯爵が成人してからも、何かとサポートしてくれる。黒い山高帽に丸眼鏡、口ヒゲを生やした小柄な老紳士。伯爵は彼のことを「師匠」と呼ぶ。伯爵の父の古い友人でもある。

ジャン・マリア・ボロボロンテ

イタリア・マフィアの大親分。伯爵の大フアンで、彼を「俺のアイドル・スター」と呼び、何かと伯爵の活動に力を貸す。愛人の女性たちまで、伯爵に似た金髪巻き毛を揃えている。少佐を伯爵の友人と認識し、操作の手助けをしたこともある。少佐を「NATOの大将」と呼ぶ。 少佐の上司の部長と、ローマで伯爵を招いたお茶会を催した。

フランコ・ジュリアーニ

イタリア警察の刑事。棺桶を載せた霊柩車に乗って、捜査を行う名物刑事で、別名「かんおけ刑事」。顔の右側に傷跡がある。伯爵の罠にはまって、ひどい目に合う。

サーリム・アル・サバーハ

クウェートの若き大富豪で、石油王の息子。投資のため、美意識をさほど持たずに美術品を買い漁ったたため、伯爵に嫌われる。伯爵に大量の贋作を掴まされ、以後、彼らを不倶戴天の敵とする。

バクチアル親子 (ばくちあるおやこ)

ベイルートに住居を構える、裏社会にルートを持つ親子。二人とも、名前・年齢は不明。父親が伯爵の猛烈なフアンで、中東関係の情報を伯爵たちに流す。

ペケル兄弟 (ぺけるきょうだい)

イスタンブールで「絨毯屋ペケル」を経営する兄弟。兄のタルカンは、かつてドイツで働いており、少佐の知人だった。弟のハーカンも少佐を慕っている。ニッコロ・ニコリーニの工房とも付き合いがある。

中国人ハッカー (ちゅうごくじんはっかー)

ドイツのケルン市で店を開いている、中国人の偽造屋でハッカーの青年。カードの偽造やハッキングなどをいともたやすく行う。カンフーも強いと自称している。伯爵を気に入っており、「伯爵の友達」というと、値引きサービスをしてくれる。

李 剣光 (りー じゃんがん)

中国情報機関のエージェントのリーダー。東ドイツで開発されていた生物兵器(ウィルス)を奪取する目的で、少佐と対決する。武闘派の諜報員で、少佐と互角に戦った。顔が松田優作に非常によく似ている。黄文(ほぁんうぇん)という青年の部下を連れている。

ミレーヌ・ラロック

全仏ケルト協会のスポンサーで、伯爵に協会設立10周年記念ビデオへの出演を頼み込む。初老の妄想を大きく膨らませたフランス人のマダムであり、思いつきで制作スタッフや伯爵を振り回す。夫のジョルジュ・ラロックは実業家でEU議員だったが、汚職が発覚して逮捕される。 ミレーヌは、その後離婚する(離婚後の姓は不明)。ビデオには少佐も参加させられた(フランツ・シュミットという、偽名を用いる)。

ニッコロ・ニコリーニ

表向きはイタリアのラヴェンナにある古書店の主人。美術品に関して、非常に豊富な知識を持っている。しかし、その裏の姿は、闇社会に通じた贋作工房のオーナー。伯爵が情報を貰いに行ったり、贋作を買ったりする。ボーナムは、彼に憧れている。

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