ザ・ナニワ金融道

ザ・ナニワ金融道

青木雄二の『ナニワ金融道』のシリーズ作品。東京から軽い気持ちで大阪の消費者金融会社に入社したイマドキの若者、田町直也が、海千山千の強者達に揉まれながら、「金融道」を歩み始める。債務者の悲哀や愚かさ、生き残りを賭けた街金の非情さなどが、連載当時の時事ネタも交えてリアルに描かれる。『ナニワ金融道』『新ナニワ金融道』の主人公、灰原達之が、本作では直也の教育係として登場する。「グランドジャンプPREMIUM」2017年1号から掲載の作品。

正式名称
ザ・ナニワ金融道
ふりがな
ざなにわきんゆうどう
作者
ジャンル
経済・金融
関連商品
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あらすじ

俺が金貸しに?(第1巻)

彼女にふられ、就職もままならない田町直也は、東京から逃げるように大阪にやって来た。軽い気持ちで受けた消費者金融「帝国金融」の面接に受かってしまった直也は、流されるがままに食うか食われるかの「金融道」に足を踏み入れる。ある日、直也は移転問題で揺れる井保地卸売市場の仲卸者、飛松達夫への融資で、連帯保証人となった娘の飛松亜矢子と意気投合。そんな中、恋への発展に手応えを感じた直也のもとに、達夫が逃げたという知らせが入る。早速「帝国金融」は、飛松家の差し押さえに舵を切り直し、直也は灰原達之に命じられるがままに騙し打ちのような恰好で亜矢子を追い込む事になる。

嫁が夢見りゃ、旦那はツライ!(第2巻)

住宅ローンの審査が通らない夫の奧野安道に、マイホームを夢見る妻の奧野紗栄子のヒステリーは止まらない。そんな時、不動産屋は安道にタクシー運転手の父親、奧野安夫と同居すれば審査が通ると提案。しぶしぶ同居に同意した安夫だが、その見返りは安道の名前で「帝国金融」から金を借りる事だった。そんな中、「帝国金融」の都沢勝は、奧野夫妻が購入したニュータウンの新居に目をつけ、担当の田町直也と奧野宅に向かう。安道に借金があると知って激怒した紗栄子は、安夫を追い出すといきり立っていた。ニュータウンの地価の高騰を見込んだ都沢は、安道に金を貸し付けて適当なところで家を取り上げ、転売しようとの目論みがあった。そこで警戒されにくい直也を使い、次は紗栄子にローンの借り換えを持ちかけさせる。一方、安道は仕事の途中で集金バックを盗まれるという失態を起こし、会社から弁償金を求められていた。追い詰められた安道は、さらなる融資を頼むために罠だと知らず「帝国金融」で借り換えを申し込む。

食われてへんか、このホテル!?(第3巻~第4巻)

「帝国金融」の新入社員、田町直也達が宿泊する事になったのは、直也の大学時代の親友、阿久目満夫が2代目となるホテル阿久目だった。その内情を聞いた桑田澄男は、ホテルが経営コンサルタントの片原信夫に喰い物にされていると気づき、阿久目親子の信頼を勝ち得て、融資を取りつける。一方、満夫の嫁の阿久目良美は不倫関係にある元彼の須藤健と共謀し、その融資金を騙し取る。そんな中、桑田と片原によるホテル阿久目を巡る争奪戦が火蓋を切る。直也は、良美の窃盗と不倫の証拠を満夫に突きつけ、満夫は泣く泣く良美との離婚を決意。一方で、桑田はホテル阿久目に全面的に協力するという姿勢を見せる。桑田には片原がホテル阿久目から騙し取った金を銀行への返済に充当させ、「帝国金融」がホテル阿久目を買い受けるという思惑があったのだ。しかし友情を優先させた直也は、満夫に片原から直接金を受け取るよう助言。すると、満夫はその金で良美と失踪してしまう。逃避行中、もう良美を愛せないと気づいた満夫は、車で接触事故を起こす。一方、罪悪感に押しつぶされそうになった直也に、灰原達之は双方の利になる落としどころを提案する。

ウチ、誰の子やねん?(第5巻~第6巻)

消費者金融「帝国金融」の田町直也とその教育係の灰原達之は、延滞客のシングルマザーの安立ひとみを訪問。彼女の娘、安立宏美は中学生で、婚外子だった。達之はひとみに、当時付き合っていた筒井宏隆に認知請求をして、養育費を返済に充てるよう提案。だが、仕事も家庭も順風満帆な宏隆はあの手この手で認知を回避しようとし、最終的にさえないが小金はある、部下の正田福男にひとみをあてがう事に成功。しかし一連の出来事は、宏隆の行動を怪しんで探偵を雇った妻の筒井景子の知るところとなった。景子は弁護士を立てて、ひとみにDNA検査を要求。ところが、検査結果は宏隆と宏美の親子関係を否定。ひとみは窮地に立たされ、宏美は自暴自棄になり様子がおかしくなっていく。一方、筒井家では不信感を募らせた景子が家を出て行き、さらに正田の反乱で宏隆の会社での立場も危うくなる。達之はひとみの借金を、母親の安立膣子と兄の安立謙介から回収する方向に軌道修正するが、そんな中、ひとみが自殺未遂で病院に運ばれる。

出会いは突然に(第6巻)

ある夜、田町直也の部屋に一人の美女が飛び込んで来た。彼女はセクハラまがいのタクシー運転手から乗り逃げして来たピアノ講師の松井美咲だった。彼女のサバサバした性格と美貌にやられ、直也は恋に落ちる。だが後日、彼女の父親が経営する会社が倒産してしまう。

登場人物・キャラクター

田町 直也 (たまち なおや)

消費者金融「帝国金融」の新入社員の男性。少し長めの茶髪をしたイマドキの若者。初登場時は23歳で、東京出身。盆倉大学を卒業して就職もせずにピザ屋でアルバイトをしていた。彼女にふられ、さらに両親から就職の事で問いつめられ、大阪の会社に内定をもらっていると思わず噓をついてしまった事から、大阪にやって来た。そのアリバイ工作のために「帝国金融」の面接を受け、思いもよらず採用される。当初、ガラの悪い大阪の雰囲気に馴染めず、特に桑田澄男に苦手意識を持っていた。心の中で先輩社員達や大阪人にダメ出ししながら日々を過ごしているが、自分なりの向上心を持っており、徐々に大阪での暮らしにも慣れていく。教育係の灰原達之から、臆病なところが金貸しに向いていると誉められ、金融の仕事が自分に向いていると思うようになる。同時に、債務者を追い込むだけではなく、双方の利につながる落としどころを提案する達之を尊敬するようになっていく。軽い性格の持ち主で、立ち直りも早い。また、根は素直でかわい気があるため、気が強い女性に好かれる傾向にある。朝が苦手で睡眠不足をつらく感じるタイプ。

灰原 達之 (はいばら たつゆき)

消費者金融「帝国金融」で営業部主任を務める男性。田町直也の教育係を担当している。灰原朱美の夫で、達一郎という息子がいる。現在は朱美の両親と一軒家に同居しており、関西にいながら標準語でしゃべる。淡々と仕事をこなしているように見えるが、勘が非常に鋭く、つねに自社と債務者の双方の利になるような落としどころを考えている。取り立てに厳しさは必要だが、相手を破たんさせるだけが仕事ではないという意識が強い。情に流されそうになる直也に、この仕事は食うか食われるかであり、自分がヘタを打ちたくなかったら、客への同情は断ち切る事だと教えた。また、過去の自分を彷彿させるような直也を、デキの悪い弟のように思い、厳しく接しながらも優しさを持って見守り、悩みながら自分のやり方を模索していけばいいとのアドバイスを送る。

灰原 朱美 (はいばら あけみ)

灰原達之の妻。達一郎という息子がいる。現在は自分の両親と一軒家に同居している。ロングヘアの美人で、しっかり者。達之の仕事に理解があり、阿久目満夫の件で、友達を追い詰めなくてはならなくなった田町直也を家に招いて元気づけるなど、内助の功を惜しまない。また、安立ひとみの件で苦戦する達之に、認知請求は子供の権利であって母親は子供の代理人に過ぎず、子供自身が認知を要求すれば相手の男は拒否できないと教えるなど、打開策につながるきっかけを与える事も多い。ちなみに、灰原朱美自身が子供を授かった時に、達之が責任逃れした場合を想定して認知請求について勉強した経緯があり、万一裏切られた場合には彼の事を再起不能になるまで追い込むつもりでいた。

都沢 勝 (みやこざわ まさる)

消費者金融「帝国金融」で不動産部主任を務める男性。整髪料で髪をキッチリ固め、骨柄のスーツを着用している。ドSな人物で、田町直也から敬遠されている。総額40万円の融資をもとに奧野安道の新居を取り上げる計画を目論むなど、金のためなら人の人生がどうなってもいいという悪魔的な考えを持っている。前職が警察官なだけあり、人の心を読むのが得意。灰原達之には並々ならぬライバル心を燃やしている。

桑田 澄男 (くわた すみお)

消費者金融「帝国金融」で次長を務める中年男性。パンチパーマで目が細く、前歯が2本出ており、見た目は昭和のヤクザそのもの。金融の仕事は人のイヤらしさをイヤというほど味合わなければ一人前にならないという持論を有し、田町直也を育てるなら色んな場数を踏ませろと、灰原達之にアドバイスする。敵対する相手は徹底的に叩きのめすため、敵に回したくない男と達之に認識されている。一方で気持ちがブレても、ブレた先で道が見つかる事もあると、直也に教えるなど後輩の面倒見はいい。「いつかいっしょに大阪一の金融マンになろう」と達之を鍛え上げた強者で、金融の表も裏も知り尽くしている猛者。カラオケが大好き。

髙山 和夫 (たかやま かずお)

消費者金融「帝国金融」で営業部長を務める中年男性。ほぼ引退気味の社長、金畑金三に業務を任されており、会社の実質的な責任者。強面の風貌に角刈りのパンチパーマで派手なスーツに身を包んでおり、昭和のヤクザのような風体をしている。回収に対してはシビアな一面を見せる。

元木 (もとき)

消費者金融「帝国金融」で係長を務める中年男性。坊主頭で唇が分厚く、昭和のヤクザのような風体をしている。冗談が好きで、言葉はキツいが、裏ではみんなのフォローに回る温情的な一面がある。

金畑 金三 (かねはた きんぞう)

消費者金融「帝国金融」の社長を務める高齢男性。最近はほとんど会社に顔を見せなくなり、引退を視野に入れている。社員からは絶大な信頼を寄せられている凄腕のカリスマ。

ユキ

消費者金融会社「帝国金融」に勤務する若い女性。ミディアムヘアを外はねにさせたヘアスタイルで、百戦錬磨の社員達のあしらいもお手の物。見た目とその言動から、元ヤンキーだと田町直也に思われている。

悪徳 栄 (あくとく さかえ)

消費者金融会社「帝国金融」の顧問弁護士を務める初老の男性。口ヒゲを生やして派手なストライプのスーツを着用し、四角い眼鏡をかけパイプ煙草を吸っている。「帝国金融」に喧嘩を売った片原信夫を追い詰めるなど、仕事にはソツがなく、「帝国金融」にとってはなくてはならない人物。法律の抜け穴を熟知している。

肉欲 (にくよく)

ディベロッパー「肉欲興産」の社長を務める男性。都市開発のプロとして府知事の大沼に信頼されている。実は飛松達夫を監禁して、井保地卸売市場移転の舞台裏を吹き込んだ黒幕として暗躍した。大沼に井保地卸売市場を改修して存続させ、貧洲新市場は物流センターとして民間に利用させるという提案をした。高みを目指す野心家であり、大沼が「府議会のドン」事外山に戦いを挑む派手な「祭り」になれば、世論が外山を失脚に追い込み、自分が外山に代わって利権を手に入れようと画策している。

坂田 (さかた)

消費者金融「帝国金融」に借金がある中年サラリーマン。坂田の妻の夫。オールバックで四角い眼鏡をかけ、髭剃りあとの濃い、気弱そうな男性。田町直也が初めて訪問した債務者で、マンションを担保に300万円借り、延滞金が発生している。妻から借金を責められるが、もともとは彼女の結婚前の税金滞納費を払うために借りたという経緯がある。「租税債権管理機構」からの連絡で、結婚早々に妻が金目当てで愛人をしていた過去を知ってしまい、子供が自分の子であるかどうかも疑っている。

坂田の妻 (さかたのつま)

坂田の妻。生まれたばかりの子供がいる。金髪ロングヘアの巻き髪で、口元にホクロのある肉感的な女性。結婚前に会社経営の男性と不倫してお手当てをもらっていた。しかし、そのお金が従業員扱いの経費で処理されていたため、税務調査でそれがバレてしまい、坂田の妻に支払い義務が生じた。それを放置していたため、結婚した夫に連絡が入り、夫が「帝国金融」から借金をするに至った。だが、その事実を知らなかったため、田町直也達の訪問を受け、夫に疑いの目が向けられた。

飛松 達夫 (とびまつ たつお)

井保地卸売市場で仲卸をしている飛松水産の社長を務める男性。飛松亜矢子の父親。短髪でギザギザの前髪をしており、頭頂部が円形にテカっている独特のヘアスタイルで、黒目が極端に小さい。貧洲新市場への移転で新店舗を契約。設備を設置し終えてからの移転延期表明であったために資金繰りに支障をきたし、「帝国金融」に1500万円の融資を頼んだ。だが、しばらくして行方不明になる。その間、肉欲の息がかかったある人物に監禁され、移転先の貧洲市場は大手卸業者のための流通センターで、市場の流通システムから「仲卸業者」を排除するのが目的の一つであるなど、移転の裏側に隠された真実を吹聴される。

飛松 亜矢子 (とびまつ あやこ)

大阪市役所に勤めている若い女性。飛松達夫の娘。「帝国金融」から融資を受けた父親の連帯保証人となる。あっさり系の美人で、おとなしそうな印象だが、実は負けず嫌いな性格。パンクバンド「ケロマニヨンズ」のインディーズ時代からのファンという事で、田町直也と意気投合し、いっしょにコンサートに出かけるようになる。しかし父親が行方不明となった事で、「帝国金融」からの容赦ない取り立てにあい、直也との関係は自然消滅した。どんな手段を使ってでも、金貸しに負けたくないという思いから、合コンで知り合った金持ちの不細工男からの求婚を受け入れる。

藤井 秋夫 (ふじい あきお)

消費者金融「帝国金融」に借金がある中年男性。田町直也が担当している。ヴァギナ設計事務所に勤めている。自分が経営していた設計事務所を潰したという過去があり、妻子とは別れている。借金の利息が払えず、内縁の小竹加代子に売春をさせて返済していたが、それも滞りがちとなり、事務所の所長、膣田が借金の連帯保証人となる事で、「帝国金融」との話はついた。だが交換条件として、膣田から1000万円で、貧洲新市場の設計ミスは自分がやった事にしてほしいと頼まれる。加代子から「秋ちゃん」と呼ばれている。

小竹 加代子 (おたけ かよこ)

清掃のパート従業員の中年女性。藤井秋夫と内縁関係にある。金髪ショートヘアのやせた体型で、顔が歪んでいる。藤井の借金利息返済のために売春をさせられている。藤井にベタ惚れしているため、持病のヘルニアを押してまで客を取っている。藤井に邪険に扱われる事が多いにもかかわらず、藤井のためにコンビニ強盗をしようとまで考えている。しかし金を得た藤井から捨てられ、すがった際に暴力を振るわれて入院する事となった。過去に自己破産歴がある。

外山 (そとやま)

自慰党大阪府連の幹事長を務める初老の男性。「府議会のドン」との異名を取る。小太りで白髪頭をしている。井保地卸売市場の移転後の跡地は臨海副都心開発事業の拠点になり、これを指揮している。開発事業に伴って新設される道路は、外山の関連会社所有の土地を何か所も通過するよう計画されており、自分が懇意にしているゼネコンや企業を潤わせるようと、強引に市場移転を進めている。週刊誌により市場移転問題の陰に外山自身の利権がからんでいると報道されると、移転延期に伴う悪影響から、府政に軋みが生じた大沼に国を仲介させ、府連の幹事長として院政を敷く事を選んだ。

大沼 (おおぬま)

新府知事となった中年女性。下まつげが長く化粧が濃い。肉欲に都市開発のプロとして助言を求めている。外山の肝いりで利権ありきの井保地卸売市場移転事業が始まって以来、前の知事をはじめ、みんなが見て見ぬふりをしていた事に憤懣を覚え、外山が私物化した府政を府民の手に取り戻そうと、市場移転の見直しを掲げて知事に当選。週刊誌が井保地卸売市場の移転問題の陰に外山の利権あり、と報じた事から追い風が吹いたが、だが移転延期に伴う補償金の財源確保でさまざまな方面に悪影響が出るようになった。国が仲介して問題解決に圧力をかけ、大沼自身は公約を断念する代わりに、外山の辞職要求と前知事の法的責任を追及。移転問題の元凶を自分が退治したようアピールし、支持率低下を防いだ。

膣田 (ちつだ)

ヴァギナ設計事務所の所長を務める男性。藤井秋夫の上司。顔が隠れるほどの口ヒゲを生やし、センター分けのオールバックで眼鏡をかけている。紳士を気取っているが、その胡散臭さを隠しきれていない。藤井が「帝国金融」から借りた金の連帯保証人となる代わりに、井保地卸売市場の移転先である、貧洲新市場の設計ミスを1000万円で藤井に押しつけ、大手の設計会社に恩を売った。

奧野 紗栄子 (おくの さえこ)

奧野安道の妻。二人の男の子がいる。年齢は36歳で、近所のファミリーレストランでパートをしている。茶髪のミディアムロングの外はねヘアで、派手な顔立ちをしている。親が商売に失敗して家を取り上げられた時の悔しさを忘れられず、マイホームを持つ事を夢見ている。夫が必ず家を買うと約束したために、結婚したという経緯がある。我がままな性格で、気に入らない事があると、頻繁にヒステリーを起こす。つねに上から目線で、バイタリティーと行動力は人一倍ある。義父の奧野安夫とはソリが合わない。

奧野 安道 (おくの やすみち)

自動販売機の会社に勤める男性。商品の補充と保守点検を担当している。年齢は38歳。奧野紗栄子の夫で二人の男の子がいる。髪を遊ばせたショートヘアで、妻にはものを強く言えない恐妻家。契約社員から正社員に昇格した期間が短いため、住宅ローンが通らず、妻からプレッシャーをかけられている。定収入のある父親の奧野安夫と同居する条件なら融資を受けられると不動産屋に提案され、人気上昇中のニュータウンに家を購入した。しかし安夫からその見返りとして、「帝国金融」での借り入れを頼まれてしぶしぶ承諾した。そんな中、仕事の集金バッグを盗まれてしまい、会社に弁償せざるを得なくなってしまう。

奧野 安夫 (おくの やすお)

タクシー運転手をしている高齢の男性。奧野安道の父親。眼が細くバーコード頭で、サイドの髪の毛がはね上がっている。4年前に妻が亡くなり一人暮らしをしているが、息子から住宅ローンの審査のために一時的な同居を頼まれた。当初、同居を嫌がっていたが、仕事中に腕を骨折してしまい、世話にならざるを得なくなる。そんな中、息子名義で「帝国金融」から借金した事が嫁の奧野紗栄子にバレてしまい、家を追い出されてしまう。嫁とはソリが合わない。

角田 (かどた)

クリーニング店で働く女性。母子家庭のシングルマザー。髪を一つに束ねており、目の下にクマがある。店を訪れた奧野紗栄子に5000円多く釣りを渡してしまい、返金を求めて紗栄子の家を訪ねるが、散々罵倒された事で紗栄子に憎しみを抱くようになる。のちに、見合いで裕福な男性と結婚した。婦人服の販売員となった紗栄子の前に現れ、復讐を敢行する。

彫り師 (ほりし)

田町直也が住むアパートのとなりの部屋に引っ越して来た中年男性。面長で丸みのある独特のショートボブにしている。いつも厳めしい表情をしており、額にシワが3本刻まれている。直也の目覚まし時計がうるさいと部屋に侵入して来るかと思えば、直也に客からの貰い物を差し入れたりと、つかみどころがない。入れ墨を彫る事を生業としており、自宅で作業している。そのため客が女性である場合は、直也によからぬ事を想像させている。甘いものが苦手。

阿久目 満夫 (あくめ みつお)

田町直也の盆倉大学時代の親友の男性。ホテル阿久目の跡継ぎ。阿久目喜多男の息子で、阿久目良美の夫。肥満体型で肩までのロングヘアに唇が分厚い。卒業後、品川の高級ホテルで働いていたが、父親の体を考えて大阪へ帰り、良美と結婚した。優しさだけが取り柄で、押しが弱い。妻が「帝国金融」からの融資金を不倫関係にある須藤健と騙し取ったと知り、ようやく離婚を決意する。しかし、片原信夫が騙し取った金を手に入れるよう直也から助言され、その金で良美と失踪してしまう。だが逃避行中、良美を信じられなくなり、彼女を置いて一人で車を走らせていた際、接触事故を起こす。事故を起こした相手に紹介され、名古屋の食品工場で働く事になる。

阿久目 良美 (あくめ よしみ)

阿久目満夫の妻。貞淑そうに見えるが、元ホステスで実は性悪女。毛先を丸くカールさせたロングヘアにしている。玉の輿を狙い、好きでもないホテルを経営する男性と結婚したが、ホテルは借金まみれでこきつかわれていた。その後、前の彼氏、須藤健と不倫関係となり、満夫が「帝国金融」に借りた融資金300万円を須藤と共謀して手に入れる。のちに、田町直也から不倫と窃盗の証拠をつき付けられると、満夫の優しさにつけ込み、満夫といっしょに逃げる事になる。だが逃亡中、隠し切れない性悪さが露呈してしまい、一人ホテルに取り残される。

阿久目 喜多男 (あくめ きたお)

ホテル阿久目の社長を務める高齢の男性。もみ上げが長く、後ろ髪を肩にかけた独特のヘアスタイルをしている。肥満体型で眼鏡をかけている。経理の事はまったくわからず、経営センスもないため、経営コンサルタントの片原信夫にカモにされている。

満夫の母 (みつおのはは)

阿久目満夫の母親。阿久目喜多男の妻。髪の毛を後ろで一つに束ねており、面長でドングリ眼をしている。当初から飲み屋で働いていた阿久目良美と息子の結婚には反対で、良美を嫌っている。息子に甘く、満夫が逃亡した際には良美の口車に乗せられただけだと、最後まで息子をかばい続けた。

片原 信夫 (かたはら しのぶ)

ホテル阿久目の経営コンサルタントを務める中年男性。髪を整髪料で立たせて、顎ヒゲを生やし、胡散臭い雰囲気を漂わせている。商工ローンの借金を整理したと見せかけ、ホテル阿久目から過払い金720万円を騙し取っている。「帝国金融」に横やりを入れられた事を根に持ち、一矢報いようと戦いを挑むが、百戦錬磨の桑田澄男に完膚なきまでに叩きのめされる。

須藤 健 (すどう けん)

阿久目良美が付き合っていた男性。オールバックの後ろ髪を外ハネにしており、チーマーのような風体をしている。良美と不倫関係にあり、彼女と共謀してホテル阿久目への融資金300万円を騙し取った。100万円を受け取るが、追い詰められた良美が金の返却を迫ると、非情な本性を見せた。良美からは「ケン君」と呼ばれている。

安立 ひとみ (あだち ひとみ)

「帝国金融」への返済が滞っているシングルマザー。安立宏美の母親。年齢は39歳。ウェービーなミディアムヘアで、エラが張っている。経営していたカフェレストランの資金繰りが苦しく、店を畳まざるを得なくなったため、灰原達之のアドバイスで、宏美の父親である筒井宏隆に養育費を請求する事になる。宏隆とは15年前に付き合っていたが、妊娠後にケンカ別れしている。4年前に開業資金として父親の連帯保証で350万円の融資を受け、「帝国金融」には現在200万円弱の残金と、多方面からの借金がある。父親は昨年死亡しており、母親の安立膣子、兄の安立謙介とは妊娠により疎遠となっている。結婚歴はない。

安立 宏美 (あだち ひろみ)

安立ひとみの娘。中学2年生の女子。前髪を切りそろえて、おさげにしている。母親のカフェレストランを手伝っていたために経営事情は理解している。最近、母親から父親は筒井宏隆と教えられた。目元は宏隆と瓜二つ。気丈に見えるが、認知騒動以降は、筒井家族だけが幸せになるのは許せないという思いが強くなる。しかし宏隆と親子関係がない事を知り、カウンセリングが必要となるほど、情緒不安定になってしまう。

安立 膣子 (あだち ちつこ)

安立ひとみと安立謙介の母親。夫は昨年亡くなっている。ワンレングスのショートボブヘアで、エラが張っている。謙介と同居しており、婚外子を産んだひとみとは疎遠になっている。ひとみが支払い不能となり、夫がひとみの連帯保証人になっていたため、夫の遺族である自分と息子の謙介が、「帝国金融」から取り立てを受ける事になる。

安立 謙介 (あだち けんすけ)

安立ひとみの兄。安立膣子の息子。40歳過ぎの独身で、いかつい顔をしたパンチパーマの男性で、ヤクザのような風体をしている。見た目に反して意外とまじめな性格で、どこからも借金をしていない。1か月前に勤めていた鉄工所が倒産し、現在は無職。ひとみが支払い不能となり、亡くなった父親がひとみの連帯保証人になっていたため、遺族である自分と母親が、「帝国金融」から取り立てを受ける事になる。婚外子を産んだひとみとは兄妹の縁を切っており、ひとみ親子に冷たい態度を取り続けているが、最終的には姪の安立宏美を不憫に思い、密かに自分が面倒をみるしかないと腹を決める。酒が飲めない事もあり、昔から甘い物に目がない。

筒井 宏隆 (つつい ひろたか)

システム開発会社に勤務する中年男性。役職は課長。筒井景子の夫で、2児の父親。短髪でギザギザの前髪をしており、いつも歯が見えている。仕事も家庭も順風満帆だったが、安立ひとみからの認知請求を受け、公私共に波風が立ち始める。15年前、付き合っていたひとみの妊娠を知り、堕ろせと迫った過去がある。当時、中絶費用を含めた手切れ金50万円を払った際、認知・養育費を求めないという念書を書かせていた。この認知問題が妻に知られてしまい、一方的で相手の気持ちを考えない性格が露見し、妻から愛想を尽かされる。

筒井 景子 (つつい けいこ)

筒井宏隆の妻。2児の母親。丸いフォルムのボブヘアをしており、毛先を外ハネさせている。夫の書斎から安立ひとみから送られて来た認知請求書を発見し、探偵を雇って、宏隆が認知請求を逃れるため、ひとみを正田福男にあてがおうとしている事実を知る。

正田 福男 (まさだ とみお)

システム開発会社に勤務するエンジニアの男性。筒井宏隆の部下。独身で年齢は37歳。小太りで眼鏡をかけた、トドを彷彿させる容姿をしている。自分の将来像がまったく想像できないのは結婚していないからだと、宏隆から安立ひとみを紹介される。ひとみを気に入り、結婚を前提に借金返済の協力を申し出るが、筒井景子の介入により、ひとみと宏隆の過去を知ってしまい、以降は宏隆を目の敵にする。休日は家で酒を飲みながら、アダルトビデオを楽しんでいる。

松井 美咲 (まつい みさき)

ピアノ講師をしている23歳の女性。女優並みの美人で、田町直也の部屋にいきなり飛び込んで来たのが直也との出会いのきっかけとなった。セクハラまがいの行為をするタクシー運転手から乗り逃げして来たというワイルドな性格で、物事の善悪は自分の物差しで決めている。音楽大学を卒業後、楽器店のピアノ講師をしていたが、楽器を売るノルマが嫌で、個人でピアノ講師を始めたという行動力の持ち主。かわいい男性が好みで、直也をまんざらでもないと思っている。のちに、父親の会社「パイパン物産」が倒産してしまう。

場所

井保地卸売市場 (いぼじおろしうりしじょう)

移転問題で揺れている大阪の卸売市場。移転先である貧洲市場の土壌汚染と手抜き工事の発覚で、急きょ移転延期となった。貧洲新市場への移転延期に伴う補償問題も持ち上がっており、井保地仲卸組合理事会では移転賛成派と反対派が激しく対立している。しかし貧洲新市場では、食品加工を含めアメリカ資本が入った大手が一括管理する事が決まっており、市場の流通システムから「仲卸」を排除するのが移転の隠された真実の一つ。また、市場移転の跡地は臨海副都心開発事業の拠点となっているが、これを指揮するのが「府議会のドン」こと外山で、開発事業に伴って新設される道路は、外山の関連会社所有の土地を何か所も通過し、彼が懇意にしているゼネコンや企業が潤うよう計画されている。

貧洲新市場 (ひんすしんしじょう)

井保地卸売市場の移転先である大阪の新市場。ガス工場跡地で土壌は汚染されており、埋立地である事から地震による液状化現象の懸念がある。その対策として、盛り土で土壌汚染を覆い、上の建物をかさ上げして、液状化で有害物質が噴き出た時の緩衝にしている。建物も市場としての使い勝手は極めて悪く、荷を広げて仕分けする十分なスペースもないため、着荷や積荷での混乱が予想される。また、仲卸業者の使うターレットは自重と積み荷で約2トンであるのに対し、貧洲新市場の床の強度は1平方メートルあたり650キロ以下の設計となっており、積載荷重問題および手抜き工事問題として、マスコミが連日激しく報道している。

関連

ナニワ金融道

大阪のマチ金・帝国金融を舞台に、一線を踏み越えてしまった人々の悲喜劇を描く。会社経営の失敗などを経て40代でデビューした作者の、経験を踏まえたリアルな描写が話題を呼んだ。ど素人の新入社員が一人前の金融... 関連ページ:ナニワ金融道

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