あらすじ
第1巻
村正春樹は、弱冠5歳にして天才的なパチンコの才能を持っていた。春樹の祖父、村正竹春は、そんな春樹を自身の経営するパチンコ店で遊ばせながら、日々新たなパチンコ台の研究に没頭していた。一方、春樹の父親、村正春根は、そんな竹春の行動を苦々しく思っていた。そんな矢先、竹春は春樹を自室へと招き入れ、そこでかねてから研究していた新たなパチンコ台「竹春ゲージ」を披露する。しかしその直後、竹春は心臓発作で帰らぬ人となってしまう。竹春の葬儀で、春樹は伝説のパチプロ、那々海龍と出会い、竹春の遺した「竹春ゲージ」を見事に攻略する龍の姿に、春樹は胸を躍らせる。しかし、「竹春ゲージ」はパチンコを憎む春根の手により壊されてしまうのだった。 やがて月日は流れ、高校生となった春樹は、自慢のパチンコの腕にさらに磨きをかけていた。そんな彼が目標としていたのは、龍の主催する15歳以上18歳未満が参加を許されるパチンコ大会「アンダー18」に出場する事だった。
第2巻
高校生となった村正春樹は、幼なじみの真田歳三や原西亮らと共に高校でパチンコ倶楽部を結成する。対外試合として世燕学園に出向き、そこで華冬堅強という男と出会う。そこで春樹は、自分よりも早く「アンダー18」に出場経験のある華冬が、自分と同じくパチンコに対して強いプライドを持っている事を肌で感じるのだった。 その後、春樹は新しく開店したパチンコ店で開かれた大会に出場。その大会には、華冬と共に「アンダー18」の出場経験者である星川照も参加していた。華冬、星川との熾烈な争いの末に優勝する春樹だったが、「アンダー18」は甘くないと、改めて華冬に指摘される。そんな中、村正春根は、春樹が「竹春ゲージ」を修復していると知り、彼に家族を取るかパチンコを取るかの決断を迫る。
第3巻
「竹春ゲージ」を自らの手で壊した村正春樹は、「竹春ゲージ」の釘がどのような配置だったのかを思い出すために、日々パチンコ台と向き合っていた。そんな春樹の前に、釘師、赤宮剣が現れ、勝負を挑んでくる。赤宮は、パチンコ玉を打つだけで自在にパチンコ台の釘を操作する技術を持つ強敵だったが、春樹はからくも勝利する。そして赤宮もまた「アンダー18」を目指しているのを知り、二人は意気投合するのだった。そんな彼らの前に、青園丈流という男が現れる。青園はかつて「アンダー18」で不正行為を行って出場停止に追い込まれた。それを逆恨みし、「アンダー18」の出場者狩りを行っていたのだ。パチンコを愛する春樹は、パチンコを侮辱するかのような青園の行為に怒りを爆発させる。
第4巻
青園丈流とのパチンコバトルに勝利した村正春樹だったが、彼の前に青園が所属するグループ「7ff」のリーダーを務める綾聖摩が現れる。聖摩はかつて那々海龍にもパチンコの才能を認められたほどの人物だったが、パチンコが原因で母親を亡くし、パチンコを憎んでいた。そして聖摩は春樹に対し、「アンダー18」に出場して龍を倒すと公言する。そんな聖摩を倒すため、春樹が仲間達と対策を考え続ける中、「アンダー18」では出場エントリーがスタート。華冬堅強や星川照、赤宮剣など、春樹のライバル達が続々とエントリーするのだった。
第5巻
ついに開幕した「アンダー18」。村正春樹らの前には華冬堅強や星川照、赤宮剣、そして綾聖摩ら数々のライバルが集結する。第1関門は一発だけで大当たりさせるというパチンコ台。春樹のライバルは難なくこの関門をクリアし、春樹もまた見事に大当たりさせる。続く第2関門では、仮想空間内に浮かぶパチンコ台で、目に見えない大当たりスロットを見つけるというもの。パチンコを憎みながらも、その技術は超一流の聖摩はこの関門を突破し、春樹もかろうじてこの第2関門をクリアする事に成功する。しかし、次の第3関門は、都内某所にあるパチンコ店での大当たり台を見つけるというもの。完全に運まかせの関門に、出場者達は驚きの声を上げる。
第6巻
運だけが頼りの「アンダー18」の第3関門だが、綾聖摩とそのグループ「7ff」のメンバー達はあっさりとクリア。また、華冬堅強ら村正春樹のライバル達も難なくクリアしていく。そして春樹もようやく運を手繰り寄せてクリアする事に成功する。続く第4関門では、ようやく1対1のパチンコバトルが開催されたが、春樹はバトル前に対戦相手である「7ff」の蜥蜴に闇討ちされ、重傷を負ってしまう。それでも春樹は闘志が衰えず、パチンコバトルで蜥蜴を撃破する。その後、春樹は病院に運ばれるが、そこで聖摩が那々海龍の息子であるという事実を知る。
第7巻
綾聖摩は、自分と母親を捨てた那々海龍を憎み、龍の前で彼と彼の主催する「アンダー18」を崩壊させると宣言する。それを聞いた村正春樹はそれを阻止するため、龍の立会のもと、聖摩とのパチンコバトルに臨む。そのさなか、龍は聖摩に対して自身の事を語り始める。妻子を捨てざるをえなかった龍のやむにやまれぬ事情を知った聖摩は、試合を放棄してその場を立ち去るのだった。結果的に勝ち残った春樹は、龍とのパチンコを愛する者同士の最後のパチンコバトルが幕を開ける。
登場人物・キャラクター
村正 春樹 (むらまさ はるき)
パチンコを「芸術」と称し、パチンコをこよなく愛する少年。パチンコ店を経営する村正竹春の孫として、幼い頃からパチンコに親しんできた。一度目にしたものを瞬時に記憶する能力を持ち、その才能を活かして天才的なパチンコ技術を発揮する。釘の配置を読み取り、当たりの出やすい台を見極める、といったパチンコ台を選ぶ技術も超一流。初見の台であっても必ず大当たりさせる。
那々海 龍 (ななみ りゅう)
伝説のパチプロの男性。パチンコ界ではその名を知らない者はないといわれる。かつて村正竹春に出会った際にパチンコの奥深さを知り、その恩返しとしてパチンコという遊戯の普及と発展に努めている。15歳以上18歳未満のパチンコ大会「アンダー18」の主催者も務めている。村正春樹が目標とし、最も尊敬している人物。
村正 竹春 (むらまさ たけはる)
パチンコ店を経営していた男性。村正春樹の祖父。息子である村正春根とはパチンコについての考え方が違い、いつもいがみ合っていた。しかし孫の春樹の持つ才能を見抜き、パチンコの英才教育を施した。自身の心血を注ぎ込んだパチンコ台「竹春ゲージ」を完成させたあと、心臓発作で亡くなる。パチンコ業界では名の知れた存在であり、葬儀では那々海龍をはじめ、多くのパチプロ達がその死を悼んだ。
真田 歳三 (さなだ としみ)
村正春樹と同じ高校に通う男子高校生。春樹の幼なじみ。高校では生徒会長を務めるほどの優秀な頭脳の持ち主であり、春樹のよき理解者でもある。パチンコ倶楽部設立に向けて春樹達と尽力する。頭脳明晰ながらケンカも非常に強い。
原西 亮 (はらにし りょう)
村正春樹と同じ高校に通う男子高校生。春樹の幼なじみ。高校でのパチンコ倶楽部設立の発起人であり、そのまま部長に就任する。さまざまな分野でのデータ収集を趣味としている。ややおっとりした性格ながら、仲間達のまとめ役として信頼されている。
見上 航騎 (けんじょう こうき)
村正春樹が通う高校の生徒会副会長を務める男子高校生。パチンコ倶楽部設立を目指す春樹達に対して、当初は反対の姿勢を示していた。のちにパチンコの魅力に取りつかれて依存症となり、パチンコ倶楽部のメンバーに加わる。
門脇 路香 (かどわき みちか)
村正春樹と同じ高校に通う女子高校生。ダンスクラブへの入部を希望していたが、春樹達に勧誘されてパチンコ倶楽部へと加入する。高校生ながら色気漂う美少女で、その風貌から「モンロー」とあだ名されている。パチンコ倶楽部の紅一点で、強運の持ち主でもある。
伊達 杏呼 (だて きょうこ)
村正春樹が通う高校の女性教師。かつて村正竹春の経営していたパチンコ店で店長を務めており、幼少時の春樹とも面識があった。パチンコ店の店長をしていたので、パチンコへの理解も深く、春樹達が立ち上げたパチンコ倶楽部の顧問を務める。
村正 春根 (むらまさ はるね)
村正春樹の父親で、村正竹春の息子。竹春からは、幼い頃から親らしい愛情を受けずに育ったため、その要因がパチンコにあると考え、パチンコを憎悪している。都庁に務める公務員で、部下からは堅物として揶揄される事もあるが、妻と子を愛するよき家庭人。
華冬 堅強 (かとう けんごう)
不良の巣窟と呼ばれる世燕学園に通う男子高校生。村正春樹と同じく「アンダー18」出場を目標としており、春樹に「アンダー18」の壁の厚さを伝えた。自身が戦うのは認めた相手だけと決めており、基本的には弱い相手には興味がない。また、卑怯な手を好まず、自らが敗れた際には潔く負けを認めるなど、男気のある人物。
星川 照 (ほしかわ てる)
「アンダー18」の出場者の男性。かつて華冬堅強と共に「アンダー18」の出場経験があり、釘を読む才能は超一流。日本人ながら自身の名前をもじった「テリー」という通り名を名乗っている。つねに人を食った態度を崩さないが、パチンコに対する情熱は本物。
赤宮 剣 (あかみや つるぎ)
釘師の少年。パチンコ台に打たれた釘を、道具を一切使わず、パチンコの玉だけで自在に締めたり緩めたりできる技術の持ち主。自分一人の力で生活するために「アンダー18」での優勝を目標としており、同じ「アンダー18」を目指す村正春樹とは、勝負の末に互いを認め合うライバルとなる。かつて青園丈流や綾聖摩の仲間だったが、そのやり方についていけずに離反した。
青園 丈流 (あおぞの たける)
パチンコ集団「7ff」のメンバーの男性。赤宮剣を破った村正春樹に興味を感じ「アンダー18」狩りを始める。財力と暴力をたくみに使い分ける狡猾な人物。勝負の前に不正に大当たりを発生させる「裏ROM」を仕込むなど、卑怯な性格。かつて「アンダー18」本大会でも不正行為を行い、出場停止に追い込まれた事がある。
綾 聖摩 (あや せいま)
パチンコ集団「7ff」のリーダーを務める男性。村正春樹と同じ年齢でありながら、パチンコ玉一発でどんな台でも大当たりさせられる技術を持っている。幼い頃に那々海龍と出会ってパチンコの楽しさを学んだが、同時期に母親を亡くし、心を閉ざしている。ピアニストとしても一流で、主にクラシック音楽を好んで演奏する。
蜥蜴 (とかげ)
パチンコ集団「7ff」のメンバーの男性。蜥蜴はあくまでもコードネームであり、本名は不明。パチンコの技術は高いものの、パチンコバトルよりも対戦相手を暴力で屈服させる事を優先する危険な人物。
集団・組織
パチンコ倶楽部 (ぱちんこくらぶ)
原西亮が発起人となり、村正春樹らと共に高校で立ち上げた同好会。のちに伊達杏呼が顧問を務め、正式に部活動として認められた。主な活動はパチンコ台の研究だが、対外試合と称して他校と交流戦を行ったり、新装開店のパチンコ店に遠征する事も多い。
7ff (せぶんふぉるてしも)
綾聖摩が率いるパチンコ集団。メンバー全員がパチンコに対して何らかの恨みを持っており、パチンコへの姿勢も、不正行為を仕込む事が前提となっている。ただし、メンバーはいずれも高い技術の持ち主で、不正行為をしなくても、村正春樹ら「アンダー18」の出場者達と互角以上に渡り合う実力を持っている。
イベント・出来事
アンダー18 (あんだーえいてぃーん)
15歳以上18歳未満を対象としたパチンコの全国大会。主催者は那々海龍が務めている。毎年東京で開催されており、大会当日はマスコミが大々的に報じるなど、全国的な認知度も高い。龍はパチンコという遊戯を一般にも広く認知および普及させる事を目的としてこの大会を主催しており、優勝者には龍本人とパチンコバトルができるという特典がある。
その他キーワード
竹春ゲージ (たけはるげーじ)
村正竹春が死の直前に完成させたパチンコ台。パチンコ本来の姿に立ち戻り、子供でも楽しめるよう突き詰めて作られた。そのため、本来のパチンコの楽しみ方を忘れた並のパチプロでは、攻略が不可能な難易度となっている。一度はパチンコを憎んでいる村正春根の手によって破壊されたが、のちに村正春樹によって修復される。